炭水化物の神様
ずいぶん前に、何かのテレビで、大阪の芸人が「お好み焼きをオカズにしてご飯を食べる」って言って、それを聞いた他の地域の芸人が「え~!?」って驚いて、その驚いた様子を見た大阪の芸人が「大阪は定食屋に行っても『お好み焼き定食』がメニューにある」って言って、他の地域の芸人が「いくら何でもそれはウソだろ?」って言って呆れた顔をしてた。で、あたしも、お好み焼きをオカズにしてご飯を食べる人なんているワケないと思ったし、お好み焼きに限らず、たこ焼きも、焼きそばも、すべて「それだけで食事」なワケで、こうしたものをオカズにしてご飯を食べるなんてアリエナイザーだと思った。だから、当然、そんな定食なんかあるワケない‥‥って思ったのに、あとから知ったんだけど、信じられないことに、これは事実だったのだ。
それで、あたしは、「炭水化物をオカズにして炭水化物のご飯を食べるなんて、普通じゃ考えらんない」とか、「これじゃあ、まるで、チャーハンをオカズにして白いご飯を食べるようなもんじゃん」とか思ったんだけど、このチャーハンの例から連想したのが、「ラーメンライス」だった。チャーハンをオカズにしてご飯を食べる人はいなくても、ラーメンをオカズにしてご飯を食べるのは、ちゃんと「ラーメンライス」っていう名称があるくらいポピュラーだったのだ。
説明するまでもないけど、この「ラーメンライス」は、松本零士の「男おいどん」ていうマンガで、一般に認知されるようになったものだ。ちなみに、あたしも、「男おいどん」は単行本で少しだけ読んだことがあるけど、今、調べてみたら、少年マガジンに連載してたのが、1971年から1973年までだそうなので、ちょうどあたしが生まれたころだった。
つまり、このマンガで一般に認知されたんだとしたら、ラーメンライスの歴史は、あたしの年とおんなじワケで、言うなれば、あたしは、ラーメンライスとともに人生を歩んで来たってことになる。それなのに、あたしは、ラーメンライスってものの存在は知ってたのに、生まれてから一度も食べたことがないなんて、これは、ラーメンにも失礼だし、ライスにも失礼だし、松本零士にも失礼だし、何よりも、炭水化物に失礼だと思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、正直、何よりも驚いたのが、あたしが生まれた時に、すでに少年マガジンで連載マンガを描いてた松本零士が、今も現役でマンガを描いてるどころか、第一線で活躍してるってことだ。パチンコ屋さんに行けば、「宇宙戦艦ヤマト」だの「キャプテン・ハーロック」だの「銀河鉄道999」だのって、次々と順番に新台が並んでるし、やっぱ、本物の才能のある人はすごいよね。それで、あたしが、さらに驚いたのは、松本零士がデビューしたのが、1954年だってことだ。あたしが生まれた時から現役を続けてるだけでもスゴイと思ったのに、あたしが生まれる20年近くも前から現役を続けてただなんて、つまり、もう半世紀以上も活躍し続けてるワケで、もはや、マンガの神様と言ってもいいくらいだ。
それなのに、あたしってば、そんな神様みたいな人が、まるであたしの誕生に合わせたかのように流行させてくれたラーメンライスを今まで一度も食べたことがなかったなんて、なんて失礼なことをしちゃったんだろう‥‥ってなワケで、あたしは、どうして自分が今までラーメンライスを食べたことがないのか考えてみたんだけど、その理由は簡単だった。まず、あたしは、ラーメンが苦手なのだ。お家で、インスタントの金ちゃんラーメンを作って食べたり、カップ麺を食べたりはするけど、ラーメン屋さんのラーメンは苦手なのだ。前にも書いたことがあるけど、かん水を使ってる麺を食べた上に、塩分が満タンのスープを飲むと、食べ終わった瞬間からノドがカラカラになっちゃって、お水を飲んでもお水を飲んでもお水を飲んでもお水を飲んでもノドの乾きがおさまらなくて、お腹がガボガボになっちゃうのだ。
だから、タマに食べる時でも、もったいないけどスープはぜんぶ残す。だけど、あたしは、本来、食べ物を残すのが嫌いだし、残すとお店の人にも失礼だから、自分からは進んで食べないようにしてる。もしも、みんなの希望でラーメン屋さんに行くことになったとしても、ご飯ものを注文するし、ラーメン類しか置いてないお店だったとしたら、塩ラーメンを「スープ薄め」で作ってもらって、麺だけ食べる。こんな感じだから、ラーメン自体を食べることがほとんどないワケで、ましてや、そのラーメンにライスまでつけてもらうなんてことはアリエナイザーなのだ。
でも、あたしの場合は、おんなじ麺類でも、おそばは大好物だ。ちゃんとした本物の美味しいおそばなら、普通の「もり」でも2枚は食べられるし、最初から1人2枚くらいを食べるように設定してある「せいろ」なら、4枚は食べられる。だけど、いくら「もり」が2枚食べられるからって、「もり」を1枚とご飯を1杯‥‥ってのは考えられない。どうしてもご飯をつけろって言うんなら、ラーメンライスとおんなじように、温かくてお汁のある「きつねそば」とかのほうが、まだマシだと思うけど、その場合は、お汁も飲むから、きつねそば1杯だけでお腹がパンパンで、とてもご飯は食べられない。
つまり、普通の量の2倍は食べられる「もり」の場合は、たとえ「もり」を1枚にしたところで、それをご飯のオカズにすることがムリなワケだし、ご飯のオカズになりそうな「きつねそば」の場合には、物理的にご飯を食べることができなくなるってワケだ。だから、ラーメンライスとおんなじことを好きなおそばでやろうとしても、やっぱ、ムリってことになる。だいたいからして、お店で出る「ラーメン」とか「きつねそば」とかってものは、それが1人前なんだから、それ1つでお腹がいっぱいになるように作られてるワケで、その他にご飯も食べるってこと自体にムリがあるのだ。もちろん、体の大きなスポーツ選手とか、お相撲さんとか、肥満児とか、ギャル曽根ちゃんとか、そうした特殊な人たちは別だけど、普通の女性の場合は、1人前のラーメンでも、ぜんぶは食べきれない人も多いんだから、最初っからムリな話なのだ。
だけど、そんなことを言ってたら、あたしは、松本零士に失礼だから、ラーメンライスはムリだとしても、せめて、きつねそばライスは食べなきゃなんない。で、あたしが考えついたのが、小さいきつねそばと小さいご飯のセットだ。ようするに、量がムリなワケだから、きつねそばとご飯とを足して1人前の分量になるようすれば、すべての問題はクルリンパって解決するってワケだ。
‥‥そんなワケで、ようやく大問題が解決したと思ったのもトコノマ、「一難去ってまた一難」って感じで、次の問題が浮上してきちゃった。それは、「焼きそばパン」についてだ。あたしは、一番最初に、「お好み焼きや、たこ焼きや、焼きそばをオカズにしてご飯を食べるなんてアリエナイザーだ」とか、「炭水化物をオカズにして炭水化物のご飯を食べるなんて、普通じゃ考えらんない」とかって言ってたクセに、今、ふと思い出したんだけど、あたしは、焼きそばパンが大好きだったのだ。
これって、どう考えても、自分の言ってたことに矛盾してるし、さらには、「かん水を使った麺が苦手」ってことまで言ってたんだから、ダブルで矛盾してることになる。だけど、どんなワケか、あたしは、焼きそばパンが好きなのだ。好きって言っても、ここ1~2年くらいは食べた記憶がないから、「食べないといられないほどの大好物」ってワケじゃないけど、高校生の時は、売店にいろんなパンがあったのに、あたしが買うのは、ほとんどが焼きそばパンかメロンパンのどっちかだった。もうちょっと詳しく言うと、普通にお腹が空いてる時が焼きそばパンで、ちょっとだけお腹が空いてて、オヤツみたいなものを食べたい時がメロンパンだった。
焼きそばパンのほうの「お惣菜パン系列」なら、他にも、コロッケパン、メンチパン、ハムカツパン、キャベツサラダパン、ポテトサラダパン、ナポリタンパン、タマゴパン、ハムタマゴパン、ハンバーグパン‥‥って、ぜんぶで10種類くらいあったのに、あたしは、10回のうち8回か9回は焼きそばパンだった。この中では、メンチとハムタマゴとハンバーグだけが100円で、あとはぜんぶ、焼きそばパンとおんなじ80円だった。だから、値段の高い3種類は、最初からあたしの選択肢からは除外されてたけど、他はみんなおんなじ値段なのに、あたしは、焼きそばパンばっか食べてたのだ。
これが、もしも、「炭水化物と炭水化物」って組み合わせに惹かれてたんだとしたら、ナポリタンパンだって一緒だから、焼きそばパンだけが異様に多かったのは、ただ単に、味が好みだったのと、真ん中の紅ショウガのアクセントがお気に入りだったからだと思う。あとは、他のパンよりも満腹感があったからかな? ま、とにかく、どんな理由にしても、お好み焼きや、たこ焼きや、焼きそばをオカズにして、ご飯を食べることはアリエナイザーだと思ってるあたしが、「焼きそばをオカズにしたパン」を好んで食べてたってワケだ。
じゃあ、「ご飯じゃなくてパンならいいのか?」ってことになるけど、お好み焼きをはさんだパンとか、たこ焼きをはさんだパンなんて、想像しただけでも「ごちそうさま」だ。とてもじゃないけど食べられない。そして、今度は逆に、ご飯の上に焼きそばを乗せたとしたら?って想像しても、これまた「ごちそうさま」だ。あたしは、焼きそばを細かく切ってご飯と炒める「そば飯」ってのも、作ってるとこを見てるだけで気持ち悪くなって来て、なんか、残飯を見てるみたいで、とてもじゃないけど食べたいとは思わない。だから、ご飯の上に焼きそばを乗せるのも、似たようなもんなのだ。
つまり、あたしの場合は、すべての組み合わせの中で、「焼きそば」と「パン」の組み合わせだけが特別なのだ。だから、何もパンの間に焼きそばをはさまなくても、焼きそばとパンとが別々にあれば、焼きそばを食べて、パンを食べて、焼きそばを食べて、パンを食べて‥‥ってふうに食べられると思う。今、チョーリアルに想像してみたけど、あたしの脳内スクリーンに映し出されたあたしは、ぜんぜん問題なく、美味しそうに食べてた。それに、焼きそばはシッカリと1人前あったのに、「ラーメンやきつねそばと違ってお汁がない」ってことと、パンのほうもシッカリと1つあったのに、「ご飯よりはお腹に溜まらない」って理由で、両方とも完食することができた。
‥‥そんなワケで、あたしは、ついにゴールに到達することができた。これこそが、あたしにとっての「ラーメンライス」だったのだ。ただし、ラーメンとライスで「ラーメンライス」ってふうにネーミングしちゃうと、焼きそばとパンで「焼きそばパン」てことになっちゃって、普通の焼きそばパンと区別がつかなくなっちゃう。だから、ここはひとつ、焼きそばとパンとは別々だってことを明確にするために、あたしは、このメニューに、「焼きそばとパン」っていう名前をつけることにした。「なんだ、マンマじゃん!」なんて思われるかもしれないけど、これをチョー早口で言ってみると、ナニゲに「焼きそばパン」みたいなのにビミョ~に「と」が入ってて、なかなか面白いのだ。だから、これからは、ラーメンライスとおんなじくらいまで世の中に認知されるまで、誰かに「好きな食べ物」を聞かれるたびに、チョー早口で、「焼きそばとパン」「焼きそばとパン」「焼きそばとパン」‥‥って言い続けて行こうと、ラーメンライスを世に広めた炭水化物の神様、松本零士方面に誓ってみた今日この頃なのだ(笑)
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