牛たちに明日はない
「HSUS(THE HUMANE SOCIETY OF THE UNITED STATES)」、つまり、「合衆国愛護協会」は、独自の調査をして、カリフォルニア州にある牛肉処理施設で、食用にすることを法律で禁じてる「ヘタリ牛」が、給食用の食材として使われてたことを発表した。「ヘタリ牛」ってのは、狂牛病などで歩くことができなくなった牛のことで、アメリカでは「ダウナー・カウ」って呼ばれてるんだけど、以前は、アメリカでは健康な牛の肉と一緒に流通してて、もちろん、ニポンにもジャンジャン輸入されてた。そして、アメリカの牛肉があまりにも危険だってことが分かり、ニポンは輸入をストップしたワケだけど、コイズミやアソウの大活躍で、アメリカ側は何ひとつ対策をしてないのに、そのまま輸入再開に至ったってワケだ。
で、この「HSUSのホームページ」を見ると、取材した牛肉処理施設の残酷な映像を紹介してる。見てもらえば分かるけど、病気で立ち上がることのできなくなった牛をムリヤリにフォークリフトで運んだり、足にロープをかけて引きずったり、ちょっと分かりずらいけど、先端に高圧電流の流れる棒を体に押し付けて移動させてるのだ。そして、その記事では、こうした「ヘタリ牛」を子供たちの給食に使ってることを批判するとともに、その残酷な扱いも「動物愛護の精神に反する無慈悲な行為だ」って批判してる。
細かいことを言わせてもらうと、あたし的には、自分たちの都合でこれから殺す動物に対して、それまでの「扱い」を批判する神経がイマイチ理解できない部分もある。だけど、自分たちは数え切れないほどの牛を殺しておきながら、わずかなクジラを殺してる他民族に文句を言うようなアングロサクソンなんだから、あたしに理解できない脳みその回路をしてるのはジンジャエールだと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、この「HSUS」の記事では、アメリカ国民に対して、農務省に適切な対応をとるように呼びかけて欲しいって書いてる。そして、この映像や記事を見た多くのアメリカ国民が、農務省に電話やメールをしたために、農務省は動かざるをえなくなった。だけど、これが、大爆笑の対応だったのだ。農務省は、1月30日に、この問題を取り上げて、調査を開始するってコメントしたんだけど、ナナナナナント! 翌日の31日には、「すべて調査したが、ダウナー・カウを食用にしている事実はなかった」って発表したのだ。わずか1日で「すべて調査した」だなんて、何をやらせてもアバウトな民族は、サスガだよね。そして、農務省の続いてのコメントもワンダホーだった。記者から「今回の問題が牛肉の輸出へ与える影響は?」って質問されたら、「日本からも韓国からも何の連絡も来ていないので、まったく影響はないでしょう」と来たもんだ。
いつものことだけど、ニポンのマスコミは、中国のギョーザのことは大々的に報じてるのに、アメリカの狂牛肉のことはほとんど報じない。そして、ニポンの政府はと言えば、中国にはすぐに文句を言ったクセに、アメリカには質問すらしていないのだ。アメリカの圧力に負けて、全頭検査をやめ、全箱検査もやめ、危険極まりない狂牛肉をほとんど「検査なし」で輸入し続けてるニポン。そして、今度は、輸入再開の時の条件だった「月齢20ヶ月以下」って約束までが、「30ヶ月以下」へと引き上げられようとしてる。今でも、どこの工場で処理されたのかも書かれてない「出どころ不明」の肉が大量に混じってるし、その中には、完全に排除する約束になってるハズの危険部位も混じってるっていうのに、さらに月齢まで引き上げたら、もう「狂牛肉」じゃなくて「殺人牛肉」って呼ぶしかなくなっちゃうよ。
で、こんなにデタラメなアメリカの牛肉事情だけど、アメリカで初めて「BSE感染牛」が見つかったのは、2003年12月のことだ。そして、ニポンは、アメリカからの輸入を停止したワケだけど、アメリカがどんな対策をしたのかって言うと、これまたビックル一気飲みの「ヘタリ牛の食用禁止」って措置なのだ。つまり、アメリカでは、2003年12月までは、ワケの分かんない病気にかかり、立ち上がることもできない牛やケイレンしてる牛や奇形の牛も、すべて健康な牛と一緒に普通に食用にしてたのだ。もちろん、自分たちが食べてるだけじゃなくて、ニポンをはじめとした海外への輸出にも使われてた。
‥‥そんなワケで、アメリカでは、2003年12月に「ヘタリ牛」の食用を禁止したワケだけど、これは、生産者にとっては大打撃だった。BSE天国のアメリカでは、今でも、年間に約45万頭の「ヘタリ牛」が生まれ続けてる。そして、以前は、歩けない牛だろうと奇形の牛だろうと、この約45万頭をすべてを食用として出荷できてたのに、2003年12月からは、すべて廃棄しなきゃならなくなったからだ。特に、異常プリオンがタップリの肉骨粉や鶏糞飼料なんかを与えてたような悪徳生産者のとこは、「ヘタリ牛」が生まれる確率も大きいから、この禁止措置によって、商売が成り立たなくなった‥‥なんてこたーない。
何でかって言うと、安全で美味しい牛肉を消費者に提供するために、マトモな牧草を食べさせて飼育してるような、自分の仕事にプライドを持った生産者もいる反面、肉骨粉や鶏糞飼料など、危険でも値段の安い飼料を使ってるような生産者たちは、プライドのカケラもない守銭奴たちだからだ。そんな、金儲けにしか興味がないような人たちが、自分たちに不利益な法律なんか守るワケがない。第一、農務省の役人や警察官が、広大なアメリカの各地に数え切れないほどある施設をすべて見張り続けることなんかできるワケもなく、結局は、「これからはヘタリ牛を出荷したらダメですよ」っていう通達をしただけで、あとのことはそれぞれの生産者の良心に任せたみたいなもんだったのだ。
で、「ヘタリ牛」の出荷が禁止されてから、2年ちょっとが過ぎた2006年2月、農務省の監察官事務所が発表した前年度(2005年度)の「BSE対策に関する監査報告書」によって、20頭の「ヘタリ牛」が食用として処理されてたことが明らかにされた。だけど、これは、アメリカ中にたくさんある食肉処理施設の中から、ランダムに12ヶ所だけをピックアップして、抜き打ち検査をした結果の報告なのだ。つまり、調査をしなかった何倍もの施設のことを考えれば、遥かに多くの「ヘタリ牛」が、食肉として処理されて、流通してることが想像できる。
‥‥そんなワケで、この時は、天下無敵の売国奴、コイズミが、飼い主のブッシュにシッポを振りながら、ニポン中の大ブーイングを無視して、アメリカの狂牛肉の輸入再開のために尽力してる真っ最中だった。そんな時に発表された調査結果だったから、ニポンの政府もアメリカの政府も大慌てになっちゃって、ものすごい必殺ワザが飛び出した。それは、2006年5月3日の日記、「ニポンを牛耳るコイズミ一家」でも取り上げたけど、アメリカの農務省は、自分のとこの監察官事務所が発表した報告結果だっていうのに、それに対して、ニポン向けにこんなコメントを出したのだ。
「20頭のダウナー・カウが食用になっていたというのは事実ではありません。あれは、健康な牛が濡れた床で足を滑らせて転び、足を骨折したために歩き方がおかしく見えただけなのです」
これは、「天才バカボン」のパパが言ってるんじゃなくて、アメリカの農務省が会見をひらき、正式なコメントとしてリリースしたものなのだ!なのだったらなのなのだ!(笑)
あまりにもバカバカしくて、もう、怒る気持ちもなくなっちゃうほどのコメントだけど、コイズミ率いるニポン政府は、何の調査もせずに、このコメントを「輸入再開のための信頼できる証言」て位置づけたのだ。そして、当時の外務大臣の麻生太郎は、強引に輸入再開を迫るライスおばちゃんに対して、ペコペコと頭を下げて、「できるだけ早期の輸入再開」を勝手に約束しちゃう始末。こんな茶番によって決められた輸入再開なんだから、あとからザクザクと危険部位が発見されようとも、月齢違反が発見されようとも、「ヘタレ牛」の肉が混じってようとも、そんなの関係ねえ!ってのがアメリカの農務省の見解だ。
だから、今回、「HSUS」が公開した映像や記事に関して、アメリカの農務省が、たった1日で「すべて調査したが、ダウナー・カウを食用にしている事実はなかった」なんてコメントしてんのも、実際には何の調査もしてないことがバレバレだろう。そして、「HSUS」の映像を見てもらえば分かるように、アメリカ人にとっては、牛なんてもんは動物でも命でもないワケで、単なる「収入源」にしかすぎないのだ。たとえば、2006年に別の動物愛護団体が撮影した「Downer cow mistreatment (ヘタリ牛への虐待)」っていう4分ほどの映像があるんだけど、最後にリンクしとくので、ぜひ見て欲しい。
今回の「HSUS」の映像と同じく、病気で立つこともできなくなった牛をフォークリフトで運んでるんだけど、デブのアメリカ人が動けない牛に蹴りを入れたり、高圧電流の棒で突いたりしてて、作業をしてると言うりも、まるで、ストレス発散のために牛を虐待してるようにしか見えない。そして、最後に、何頭もの牛の死体が映るんだけど、よく見ると、死体じゃないのだ。お腹が動いてて、目をパチパチさせてて、あたしには、苦しくて苦しくて泣いてるように見えた。人間が自分で立てないほど具合が悪くなったら、病院で治療を受けたり、やさしい言葉をかけてもらえたりするのに、アメリカの牛たちは、まるで粗大ゴミのように扱われているのだ。あたしは、あまりにもかわいそうで涙が出た。
‥‥そんなワケで、あたしは、中国のギョーザなんかにギャーギャー騒いでるヒマがあるんなら、ほとんど何の検査もせず、「ヘタリ牛」の肉が混じってる可能性も高いのに、それでも輸入し続けてるアメリカの狂牛肉に対してこそ、全国民がギャーギャー騒ぐべきだと思う。だけど、この国の多くの人たちは、政府の広報機関であるマスコミの偏向報道に踊らされてる人たちだから、アメリカの「ヘタリ牛」の問題に目を向けさせないために、必要以上に中国のギョーザの問題を報道しまくってるってことに気づかない。中国の食べ物が農薬まみれで危険だなんて、遥か昔から言われ続けて来たことで、今さら騒ぐようなことじゃないし、あたしから見たら、10年後に狂い死ぬアメリカの狂牛肉のほうが、よっぽど恐ろしいと思うんだけど、ま、ペテン師みたいなタレント候補なんかに投票するような人たちには、何を言ってもムダだと思う今日この頃なのだ。
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「Downer cow mistreatment」
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