第28回ゴールデンラズベリー賞
今年も、多くの映画ファンが、アカデミー賞よりも楽しみにしてるゴールデンラズベリー賞、通称「ラジー賞」が発表になった。第28回のラジー賞を受賞した作品や俳優は、以下の通りだ。
【最低作品賞】 「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー(I Know Who Killed Me)」
【最低主演男優賞】 エディー・マーフィー 「マッド・ファット・ワイフ(NORBIT)」のノービット役
【最低主演女優賞】 リンジー・ローハン 「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー」のオーブリー役とダコタ役
【最低助演男優賞】 エディー・マーフィー 「マッド・ファット・ワイフ」のミスター・ウォン役
【最低助演女優賞】 エディー・マーフィー 「マッド・ファット・ワイフ」のラスプーシア役
【最低スクリーンカップル賞】 リンジー・ローハンとリンジー・ローハン 「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー」の陰の彼女と陽の彼女
【最低リメイク賞/最低詐欺賞】 「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー」
【最低続編賞】 「ダディ・デイ・キャンプ(Daddy Day Camp)」
【最低監督賞】 クリス・サイヴァートソン 「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー」
【最低脚本賞】 ジェフリー・ハモンド 「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー」
【最低の謎解きをしたホラー映画賞】 「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー」
「28th Annual Golden Raspberry Award “Winners”」
http://www.razzies.com/history/07Winners.asp
‥‥ってなワケで、小学生並みの知能なんじゃないかって言われてる「お騒がせセレブ」のリンジー・ローハンちゃんが、前評判通りに大活躍しちゃった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、このラジー賞をほぼ総ナメにしちゃった「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー」って映画がどんな映画なのかっていうと、女子高生のオーブリー(リンジー・ローハン)が、連続殺人鬼に誘拐されて、両親が「もう殺されてるだろう」って諦めかけた2週間後に、奇跡の生還を果たす。だけど、それは、片腕と片足を切断されてるっていう変わり果てた姿だった。で、両親は必死に看病するんだけど、2週間に渡る殺人鬼の拷問によって、重度のPTSDになっていたオーブリーは、「私はオーブリーじゃなくて、ストリッパーのダコタだ」って言い出しちゃう。そして、本当のオーブリーは、まだ殺人鬼に捕らえられていて、殺されかけてるって言い続ける‥‥ってストーリーだそうだ。
で、最初に書いたように、リンジー・ローハンは、この映画で、女子高生のオーブリーとストリッパーのダコタの2役で「最低主演女優賞」を受賞してんだから、ストリッパーのダコタってのも、空想の中の映像みたいな感じで登場するんだと思う。まあ、このアラスジを聞いただけでも、とても観ようとは思わない映画だけど、さらに、「ハリウッドの藤原紀香」って呼ばれちゃいそうなほどのダイコン、リンジー・ローハンが主役だってんだから、お金をもらっても観たくない。ま、バカなジャニタレが主演の映画を観に行くようなオメデタイ人もいるんだから、こんな映画でも、お金を払って観る人もいるんだろうけど。
それにしても、何よりもスゴイのが、最後のエントリーの「最低の謎解きをしたホラー映画賞」ってのにも、この映画が選ばれてるってことだ。これは、去年までは「最低ファミリー映画賞」っていうカテゴリーだったのに、ラジー賞のオフィシャルサイトを見たら、新しいカテゴリーとしてこんな賞ができちゃってたもんだから、あたしは、飲んでた抹茶入り玄米茶を乳首から噴き出しちゃったよ(笑)
だって、このカテゴリーの名前を見れば、この映画のために新設された賞だってことが一目瞭然なんだもん。たとえば、アベシンゾーを表彰したくて、わざわざ「空気が読めないで賞」ってのを新設するみたいなもんだと思う。この賞は、正式には「Worst Excuse for a Horror Movie」って書いてあって、この「最低の謎解きをしたホラー映画賞」ってのは、あたしが訳したものだ。「Worst Excuse」を普通に訳すと、「最悪の弁解」とか「最低のイイワケ」とかって意味なんだけど、この場合は「ホラー映画に対する」ってのがついてるから、リトル違って来る。つまり、「推理小説の最後の種明かしが最悪だった」って感じで、この場合も、映画の結末の「それまでの謎が解明される部分が最悪だった」って解釈する。だから、もっと短くて巧い訳もありそうなんだけど、あたしの英語力だと、「最低の謎解きをしたホラー映画賞」って訳すのが精一杯なのだ。
‥‥そんなワケで、1つの映画で2役を演じて、その両方で「最低主演女優賞」を受賞しちゃったリンジー・ローハンもワンダホーだけど、その上を行くのが、1つの映画で3役を演じて、それが「最低主演男優賞」と「最低助演男優賞」と「最低助演女優賞」を受賞しちゃったエディー・マーフィーだ。この「マッド・ファット・ワイフ」って映画は、原題は「NORBIT(ノービット)」って言うんだけど、エディー・マーフィーが、主役のノービットと、ライバルのミスター・ウォンと、太った女性のラスプーシアの3役を演じたことで話題になった。で、その3役が、すべてラジー賞を受賞したってワケだ。
あたしは、昔っから、エディー・マーフィーのどこが面白いんだか理解できなかったし、何で人気があるのかも理解できなかった。ただペラペラとつまんないことをしゃべってるだけって感じで、演技力もないし、見てるほうが恥かしくなって来るような言い回しやオーバーアクションに、あたしの苦手な「アメリカ人が喜ぶドタバタ喜劇」の現代版みたいなイメージしか持ってなかった。それなのに、いろんなとこの評価を見ると、エディー・マーフィーの演技力や役作りをベタボメしてるものが多いから、いっつも不思議に思ってた。エディー・ヴァン・へイレンのギターの演奏力なら、ベタボメしても理解できるけど。
で、今回のラジー賞は、リンジー・ローハンとエディー・マーフィーとで二分するような形になっちゃったけど、「俳優」じゃなくて「映画作品」ってことで見れば、「最低作品賞」と「最低監督賞」と「最低脚本賞」を総ナメにした「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー」こそが、最低最悪な映画作品だってことになる。逆に、「マッド・ファット・ワイフ」のほうは、3役を演じたエディー・マーフィーだけが受賞してて、映画作品や監督、脚本は受賞してないんだから、ストーリーとしては、それなりに面白いのかもしんない。だから、エディー・マーフィーに無理な3役をやらせて、ヘタに話題作りをしたことが裏目に出ただけで、ちゃんとした俳優を3人キャスティングして、もっと映画として「観せる」ような作品にしてたら、もっと高く評価されてたって可能性もある。
‥‥そんなワケで、あたしは、「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー」も「マッド・ファット・ワイフ」も観てないんだけど、もしも、テレビでやったとしても、やっぱり観る気はない。「アイ・ノウ・フー・キルド・ミー」のほうは、最初に書いたように、ストーリーそのものが「観たくもない話」だってことと、何よりも、リンジー・ローハンなんかの学芸会みたいな演技を2時間も観続ける自信がないからだ。そして、「マッド・ファット・ワイフ」のほうも、エディー・マーフィーのギャグが寒くて苦手なことと、基本的に、この手の映画が嫌いだからだ。たとえば、シュワルツネッガーが似ても似つかない双子のカタワレを演じた「ツインズ」とか、こういうアメリカ人のノリって、あたしは、どうしても受けつけない。
だけど、3年前の第25回のラジー賞で、「最低作品賞」と「最低監督賞」と「最低脚本賞」を受賞して、主演のハル・ベリーも「最低主演女優賞」に輝いた「キャット・ウーマン」を何日か前にテレビでやってたから、あたしは、録画しといて夜中に観てみた。あたしは、ハル・ベリーは大好きだし、猫も大好きだから、機会があったら観てみたいって思ってたのだ。だけど、公開された翌年に、ラジー賞を総ナメにしちゃったから、「そんなにひどい映画なら観る価値ないか」って思ってた。
だから、無料で観られるパソコンテレビで「キャット・ウーマン」が配信されてても、ラジー賞による先入観から、あたしは、観ることはなかった。でも、そのあとに、実際に観た知り合いから、「評判ほどひどい映画じゃないと思うよ。私はケッコー面白かったよ」って聞いたので、「じゃあ観てみるか」って思ってたところ、テレビでやったってワケだ。
それで、あたしは、録画したのを夜中に観てみたら、相変わらずハル・ベリーは可愛いし、猫っぽい動きも良かったし、壁を走り回っちゃうとこなんか爆笑だったし、あたし的にはワリと楽しめた。評判の悪いCGにしても、もともとアメリカのバカ映画に興味のないあたしとしては、「スーパーマン」や「バットマン」や「スパイダーマン」なんかと「どこが違うの?」って感じだった。もしかすると、ラジー賞による先入観や、ひどい評判ばかり耳にしてたことから、ものすごくハードルを低くして観始めたために、「そんなにひどくないじゃん!」って感じた部分もあったのかもしんない。
結局、ある程度の先入観があったとしても、アカデミー賞を受賞した映画だって、あたしにはつまんない映画もいっぱいあるし、ラジー賞を受賞した映画でも、あたしにはそれなりに楽しめる映画もあるってワケだ。ようするに、みんなが「良い」っていうものが、必ずしも、自分にとっても「良い」ものであるとは限らないってワケだ。それに、ハル・ベリーの場合は、こんな最悪な賞を受賞したってのに、堂々と受賞式に出席して、壇上で「感激して泣くマネ」まで披露した上に、「このShit(クソ)を私にキャスティングしてくれたワーナーブラザーズに感謝したい!」ってコメントして、会場を沸かせたんだもんね。ま、これは、「キャット・ウーマン」から3年前の2001年に、「チョコレート」で、黒人女性としては初めてのアカデミー賞の「主演女優賞」を受賞してるから、その余裕もあったんだと思うけど、ホントにステキな女性だと思う。
‥‥そんなワケで、いくらジョークだとしても、主役を演じたハル・ベリー自身が「クソ」とまで言い放った「キャット・ウーマン」だけど、あたしには可愛くてカッコ良く見えた。だから、人の感性は十人十色なんだけど、これらの映画が「芸術映画」じゃなくて「商業映画」だってことを踏まえて考えれば、人の感性なんていうアヤフヤなモノサシじゃなくて、正確に評価できるモノサシがある。それが、「興行収益」だ。「スーパーマン」や「バットマン」や「スパイダーマン」みたく、どんなにおバカな映画だって、たくさんの動員があって大きな利益が生まれれば、それは、興行として成功したことになる。つまり、「評価されるべき映画」だってことになる。で、このモノサシを使って、去年公開された邦画の中から「ニポンのラジー賞」を探してみると、ダントツの1位が、どっかの都知事が脚本から制作から総指揮までした大バカ映画、「俺は、君のためにこそ死ににいく」だろう。なんせ、どこの映画館もガラガラで、7億2000万円もの大赤字を出したんだから、言わば、これは、「映画界の新銀行東京」と呼んでも過言じゃないと思う今日この頃なのだ(笑)
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