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2008.03.23

きっこの名画座

どんなものでも、あまりにも宣伝が過剰だと逆効果で、あたしは食傷気味になって来る。最近だと、映画「ライラの冒険」の宣伝だ。テレビやラジオだけじゃなく、街中のアチコチで宣伝してるし、インターネット上も宣伝だらけだ。そして、何よりもウザイと感じるのが、いろんな番組でのタイアップだ。たとえば、しばらく前に、テレビ東京の「TVチャンピオン」を観てたら、発泡スチロールでオブジェを作る選手権みたいなのをやってたんだけど、最後のテーマが、「ライラの冒険」の白クマみたいなのと戦うライバルのダイモンを空想して作れ‥‥っていうもので、1人がサイ、1人がマンモスを作ったんだけど、映画を観なきゃ意味も分かんないし、あまりにもアカラサマなタイアップだったから、あたしはガックリきちゃった。

毎晩、お風呂に入りながら聴いてるTOKYO FMでも、10時からの「スクール・オブ・ロック」で、「桜田門」とかいうスタッフの女性が行方不明になったっていう架空の話を放送してて、その愛称が「ダモン」てことで「ダイモン」にカケてあって、意味不明なタイアップ企画を毎日延々と放送してた。ここまで来ると、宣伝てよりも、映画を観てない人には企画の意味すら分からず、リスナーの中には疎外感を感じた人も多かっただろう。もう、「映画を観てないヤツは置いてくぞ!」って感じで、すごくガックリきちゃった。

そして、インターネットでも、一般のポータルサイトから、ミクシーから、GyaOに至るまで、どこへ行っても「ライラの冒険」の宣伝やタイアップだらけで、もうウンザリを通り越しちゃった。GyaOをよく観てるあたしとしては、どんな音楽クリップを観ようとも、どんなアニメを観ようとも、どんな映画を観ようとも、必ず「ライラの冒険」の宣伝からスタートするし、途中のCMも「ライラの冒険」の連続で、あまりのしつこさに、粘着質なストーカーに狙われてるみたいな感覚になってきちゃって、もう、頭がおかしくなりそうだ。そして、「こんな映画、死んでも観に行かない!」って気持ちになった今日この頃、皆さん、「ライラの冒険」の過剰宣伝にウンザリしてませんか?


‥‥そんなワケで、あたしのダイモンは「チョウチョ」なんだけど、だからどうしたってワケもなく、最初は「観てみたいな」って思ってた映画だったのに、あまりにも度を超した宣伝の嵐によって、そんな気持ちはふっ飛んじゃった。宣伝費に何億円かけてんだか知らないけど、これだけ宣伝したら、どんなに酷い映画だって満員御礼になっちゃうだろうね。実際、平日でも、ほとんどの劇場が満員みたいだし、この映画は最近のお得意の「三部作」だって話だから、初回には莫大な予算をかけて宣伝しても、2作目と3作目のぶんも含まれてるワケだから、ガンガン宣伝できるってワケだ。

「ジョーズ」のあとに作られた「ジョーズ2」「ジョーズ3」みたいな「続編」の場合は、2回目以降は初回の7割程度の集客数しか望めないけど、最初っから「三部作」として作られた映画の場合は、初回を観に行った人のほとんどが、最初っから3作とも観るつもりなんだから、劇場版の「エヴァンゲリオン」にしろ「ライラの冒険」にしろ、初回の宣伝費をタップリと使えるのだ。これこそが、「芸術映画」と一線を画した「商業映画」の商業たるユエンだろう。とにかく、今の映画は、「どれほど良い作品か」ってことじゃなくて、「どれほどお金をかけた作品か」ってことでヒットするかどうかが決まるから、映画自体の製作費が莫大なだけじゃなくて、その宣伝費も尋常じゃない。今回の「ライラの冒険」の宣伝費だけで、普通の映画なら何本も撮れるだろうし、発展途上国に小学校や病院を数えきれないほど建てられるだろう。

ま、莫大な宣伝費を回収すべく、あらゆるメディアでしつこく宣伝を繰り返してるんだと思うけど、あたしみたくウンザリしちゃって、観る気が失せちゃった人も多いと思う。今回のケースは、単に広告代理店の担当班のセンスが古すぎただけのことだと思うけど、こうしたアメリカ風味の物量作戦てのは、エコブームの今どきは流行らないよね。「ライラの冒険」自体は、そこそこ面白い映画みたいで、あたしの周りの観た人たちは、みんな「まあまあ楽しめた」って言ってる。だから、こんなに異常なまでの宣伝をしなくたって、普通に集客力のある作品だと思うんだけど‥‥。

‥‥そんなワケで、あたしは、昔の映画が好きなんだけど、それも、自分の生まれる前の映画が好きだ。なんでかって言うと、自分が生まれる前の時代のお家とか、家具とか、ファッションとか、人々の生活とかを動画で見られることが楽しいからだ。過去だけじゃなくて、未来の人々の生活とかも見てみたいけど、自分が死んだあとに作られた映画は絶対に観ることができない。だから、自分の生まれる前の映画を楽しんでるってワケだ。

今、GyaOでは、何本かの古い映画を配信してるけど、その中でも、あたしが大好きなのが、ビリー・ワイルダー監督の「お熱いのがお好き」と「アパートの鍵貸します」だ。どっちもチョー有名な作品だから、観てない人のほうが少ないと思うけど、あたしは、両方とも、最初に観た時には、「こんなに面白い映画があったのか!」って思ったほど楽しめた。

セットだのCGだのに莫大な予算をかけた今どきの超大作と違って、ホントの名優たちが、その「演技力」で魅了してくれるこれらの作品は、当時は「商業映画」だったけど、「芸術映画」としての色合いが強い。それも、いかにも芸術作品ていう方向性じゃなくて、あくまでも娯楽作品なのに、それでいて芸術性を高く感じるのは、やっぱり、ジャック・レモンの名演技によるところが大きいと思う。

あたしは、「お熱いのがお好き」も好きだけど、「どっちか1本」って言われたら、笑いだけじゃなくて、胸がジーンとする「アパートの鍵貸します」のほうが好きだ。どっちの作品も、普通にストーリーだけを追って観てるだけですごく楽しめるんだけど、ファッションはもちろんとして、電話機だとか、テレビだとか、レコードプレイヤーだとか、レンジだとか、階段の手すりだとか、自動車だとか、そうした細かいとこにも興味が尽きない。

たとえば、「アパートの鍵貸します」なら、街でタクシーを止めると、後ろに大きな羽が生えてるキャディラックだかサンダーバードだかのタクシーが止まる。こんなスゴイ車が、当時はタクシーに使われてたってワケで、それだけであたしは「おおっ!」ってなっちゃう。「お熱いのがお好き」のほうは、禁酒法時代のシカゴが舞台だから、マフィアが霊柩車の棺桶の中にお酒を隠して運ぶシーンから始まるんだけど、その霊柩車も追いかけるパトカーも、あまりにもクラシックでカッコ良すぎる。

ちなみに、「お熱いのがお好き」が1959年、「アパートの鍵貸します」が1960年の作品なんだけど、前に紹介した、あたしの大好きな「日曜はダメよ」も1960年の作品だから、「アパートの鍵貸します」と「日曜はダメよ」を観比べると、おんなじ時代のアメリカとギリシャの生活の違いが分かって楽しい。そして、1960年のアカデミー賞には、この2作品もたくさんの部門にノミネートされてるんだけど、最優秀作品賞をはじめ、5部門を授賞した「アパートの鍵貸します」に軍配が上がった。「日曜はダメよ」のほうは、5部門にノミネートされたんだけど、授賞できたのは「主題歌賞」だけだった。

もひとつちなみに、この年の「主演女優賞」には、「アパートの鍵貸します」のシャーリー・マクレーンも、「日曜はダメよ」のメリナ・メルクーリもノミネートされてたんだけど、授賞したのは、穴馬の「バターフィールド8」のエリザベス・テーラーだった。だけど、これは、ホントに演技が評価されての授賞じゃなくて、同情票によるものだって言われてる。エリザベス・テーラーは、これまで4年連続でノミネートされてた上に、この時は、次回作の「クレオパトラ」の撮影中に肺炎をこじらせて、生死の間をさまよい、気管支切開の大手術で奇跡的に一命をとりとめたあとだった。エリザベス・テーラー自身も、この映画に出ることをずっと嫌がっていて、撮影中はワガママ放題で、試写の時にはスクリーンに飲み物を投げつけて出て行ってしまったほどだったそうだ。

‥‥そんなワケで、あたしの観た感じでは、きっと、「ライラの冒険」の宣伝費の10分の1以下の製作費で作られてると思う昔の映画だけど、最初からグイグイと引き込まれて行くストーリー展開や、本物の名優たちによる素晴らしい演技、そして、観終わったあとに残る温かい余韻など、どれを取っても今どきのバカ騒ぎ映画とは水準が違いすぎる。そんな「お熱いのがお好き」と「アパートの鍵貸します」は、GyaOで4月6日(日)の正午まで無料で配信してるので、まだ観たことのない人は、ぜひ楽しんで欲しいと思う。ウイスキーのロックでも用意して、チビチビと飲みながら楽しめば、怒涛のように押し寄せて来る「ライラの冒険」のCMも気にならなくなるし、水野春郎じゃないけど、「いや~映画って本当にいいもんですね~♪」ってことを再確認できると思う今日この頃なのだ。


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「お熱いのがお好き」 (4月6日正午まで)
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0047448/

「アパートの鍵貸します」(4月6日正午まで)
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0047447/


※ヨケイなお世話だと思うけど、2本続けて観るのなら、あたし的には、先に「アパートの鍵貸します」を観たほうが、より楽しめると思います♪

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