« 命でしか償えないこと | トップページ | 「うば捨て山制度」の犠牲者たち »

2008.04.24

イカすオツマミ天国

ビールには枝豆、赤ワインにはチーズ、芋焼酎には薩摩揚げ‥‥って感じで、それぞれのお酒にはそれぞれ定番のオツマミがある。だけど、これは、季節によっても変わって来るし、その人の好みによっても違って来る。たとえば、ビールに合わせるお豆腐料理ひとつとっても、あたしなら、夏なら冷奴で、冬なら湯豆腐っていう、ごく普通のものだけど、中には、真夏のものすごく暑い日に、激辛のマーボードーフを食べながら、キンキンに冷えた生ビールを飲むのが大好きな人もいるだろう。

まあ、マーボードーフとビールなら、誰でも理解できる組み合わせだと思うけど、あたしの親友のお父さんは、ニポン酒が大好きで、ミカンが大好きで、いつもミカンをオツマミにしてニポン酒を飲んでる。そのお父さんは、ケーキとかシュークリームとかも大好きで、一度、イチゴの乗ったショートケーキをオツマミにして、ニポン酒を飲んでるとこを見て、悪いけど、あたしは気持ち悪くなった。そのお父さんいわく、「ウイスキーやブランデーのオツマミに、キスチョコやポッキーをつまむのと同じ」とのことだけど、それなら、せめて、冷やしてある純米酒と甘さを抑えたケーキくらいにして欲しいと思った。そのお父さんは、2リットルの紙パックの安売りの合成酒を湯呑に注いで、不二家のデカいショートケーキを食べてたのだ。

酢豚のパイナップルも、メロンに生ハムを乗せたのも、想像しただけで気持ち悪くなっちゃうほどアリエナイザーだと思ってるあたしにとっては、申し訳ないけど、この組み合わせは絶対にムリだ。これなら、お塩をなめながらニポン酒を飲んだほうが、遥かに美味しいと思う。ま、いつも言ってるように、人の感覚は十人十色だから、不二家のケーキを食べながら合成酒を飲もうとも、赤福を食べながら発泡酒を飲もうとも、白い恋人を食べながら黒ホッピーを飲もうとも、あたしは否定しない。ただ、あたしには、こうした組み合わせはムリだってだけな今日この頃、皆さん、いかがお過しですか?


‥‥そんなワケで、あたしにしても、他人から見たら、アリエナイザーな飲み方や食べ方をしてる。たとえば、前にも紹介したけど、あたしは、秋になってお魚屋さんにサンマが並ぶようになると、キンキンに冷した業務用の赤ワインを飲みながら、サンマの塩焼きを食べる。もう、この組み合わせはサイコーで、説明のしようもないほど美味しいんだけど、ワインの場合、肉料理には赤ワイン、魚介類には白ワインって言われてるし、赤ワインは室温で飲む、白ワインは冷やして飲むって言われてる。だから、このあたしの方法は、組み合わせとしても、赤ワインの飲み方としても、ダブルで間違ってるってことになる。でも、自分でいろいろと飲んでみて、サンマの塩焼きには、キンキンに冷した赤ワインが一番美味しかったんだから、これでいいと思ってる。

で、お酒のオツマミには、いろんなものがある‥‥って言うか、果物やケーキまでオツマミにしちゃう人がいる以上、世の中のすべての食べ物がオツマミになりえるんだと思うけど、ニポンでは、このオツマミのことを「肴(さかな)」って呼ぶ。これは、もともとは「酒菜(さかな)」って表記されてて、読んで字のごとく、「お酒を飲む時のお惣菜(そうざい)」って意味だった。

ちなみに、この「酒菜」って言葉ができたのは、1300年前の奈良時代ころで、当時の「酒菜」は、お塩やお味噌だった。つまり、お酒のオツマミってものは、あくまでも「お酒を楽しむためのアクセント」であって、「食べる」というよりは「なめる」という感じのものだった。それが、時代の流れとともに、「食べるほうも楽しむ」ってのが流行するようになって来て、江戸時代に入ると、主に「お魚料理」を食べながら、お酒を飲むのが主流になった。それで、このころから、「魚(うお)」のことを「さかな」とも読むようになったのだ。

「魚」って漢字は、もともとは、「うを」「いを」「な」って読まれてた。だから、今でも「うお」って読むんだけど、語源的に言えば、この「うを」のほうが初めからあった読み方で、「さかな」って読むようになった当初は、あくまでも、お酒のオツマミとしての「魚料理」のことを指した読み方だった。つまり、江戸時代には、水の中を泳いでるお魚は「うお」で、お刺身や塩焼きになってお皿に乗ったものだけが「さかな」と呼ばれてたってことだ。

‥‥そんなワケで、言葉のルーツを訪ねるのが好きなあたしとしては、江戸時代にまでさかのぼれば、お魚料理を食べながらお酒を飲むのが正統派のスタイルってことになるし、奈良時代にまでさかのぼれば、お塩やお味噌をなめながらお酒を飲むのが正統派のスタイルってことになる。で、どっちがいいかって聞かれれば、そりゃあ、当然、江戸時代のお魚料理のほうだ。

もちろん、最高レベルの本物の大吟醸と、田舎のおばあちゃんが手造りした本物のお味噌でもあれば、その組み合わせも悪くないけど、あたしが飲めるようなお酒って言えば、最高でも「銀嶺立山」くらいのレベル、1升で2000円ちょいのお酒が限界だから、お塩やお味噌よりも、やっぱ、お魚料理のほうがいい。そして、あたしの好みとしては、ニポン酒に合わせるなら、お刺身よりも、ダンゼン、焼き魚や干物のほうがいい。サンマの塩焼きをはじめとして、カマスの塩焼き、サバの塩焼き、アジのヒラキ、ホッケのヒラキ、カマスのヒラキ‥‥って、数え出したらキリがないけど、辛口のニポン酒と焼き魚の組み合わせって、炊き立てのご飯の上に甘塩のタラコを乗せて、お醤油をちょっとだけ垂らして食べるのとおんなじくらい、「ニポン人に生まれて良かった~♪」って実感できちゃう黄金の組み合わせだと思ってる。

だけど、あたしにとっての「銀嶺立山」は、年に一度か二度のゼイタクとして飲むお酒で、普段は、2リットルの紙パックのお酒を飲んでる。サスガに、合成酒まではレベルを落とさないけど、2リットルで1200円くらいの純米酒が、安売り店で800円台になってるものを買う。そして、オツマミのほうも、たいていは、オカズ用に買いだめしてあるメザシをあぶったり、コンビニの100円シリーズのお菓子の中からオツマミになりそうなものを買ったり、キュウリのキューちゃんとかのお漬物をつまんだりしてる。

だから、黄金の組み合わせを楽しめるのはタマにしかないんだけど、タマにだからこそ、よりゼイタクがしたくなるワケで、焼き魚の他にも、あと一品か二品くらい並べるようにしてる。たとえば、オクラを刻んで、オカカをかけて、お醤油を垂らしたのとか、長芋を短冊に切って、わさび醤油につけて食べるのとか、谷中ショウガにお味噌をつけて食べるのとか、こうした、「火を使わないもの」を並べるようにしてる。

‥‥そんなワケで、「火を使わない」ってことは、ガス代が掛からない上に、地球温暖化のためにもいいし‥‥ってのは表向きの理屈で、単に、チャチャッと作れる手軽さがいいワケだけど、こうしたオツマミは、やっぱ、メインの焼き魚があってのものだ。サンマの塩焼きでも、アジのヒラキでも、とにかくメインのお魚料理があるからこそ、オクラを刻んだだけだったり、長芋を切っただけのものが、味わいのバラエティーとしても、テーブルの彩りとしても、映えて来るってワケだ。だから、お魚料理がないのに、オクラを刻んだのだけをオツマミにして飲んでると、ちょっと寂しい感じになる。

でも、火を使わないで手軽に作れるオツマミでも、これが、魚介類になって来ると、一品だけでも主張があるし、十分にメインを張れるようになる。あたしは、お寿司でも、イカとかタコとか小肌とかが好きなんだけど、とにかくイカ関係は全面的に好きで、特に、お酒のオツマミには、イカがピッタリだと思ってる。もちろん、スルメと塩辛が、イカのオツマミの双璧だけど、他にも、イカの丸焼きをショウガ醤油で食べるのもいいし、イカソーメンもいいし、ホタルイカをボイルして酢味噌で食べるのもいいし、ホタルイカの沖漬けもいいし、イカリングもいいし、イカゲソにワタをからめて焼いたのもいいし、とにかく、イカって、どんなふうにしても、お酒に合う。

だから、あたしは、サキイカとか、イカの燻製とか、イカゲソのてっぽうとかの、乾き物も好きだ。細かいことを言うと、イカゲソのてっぽうの場合は、甘辛いタレみたいなのが全体的についてるから、湿ってるのに「乾き物」って呼んでいいのか自信がないけど、コンビニに行くと、サキイカやイカの燻製とおんなじ列に並んでるから、「ま、イッカ!」ってことにした。

‥‥そんなワケで、あたしは、昔から頭に来てることがある。それは、八代亜紀の「舟唄」だ。「お酒はぬるめの~燗がいい~♪」って部分は、個人個人の好みの問題だから、別にいい。あたしは、白か黒かハッキリしてるのが好きだから、ニポン酒の場合も、熱燗か冷酒が好きで、ぬる燗とか室温とかの「どっちつかず」は嫌いだ。だけど、この部分に関しては、人それぞれなんだから、あたしが文句を言うことじゃない。

だけど、問題なのは、このあとだ。「肴はあぶった~イカでいい~♪」とはナニゴトだ! 「イカがいい」なら分かるけど、「イカでいい」とはナニゴトだ! イカを何だと思ってんだ! あたしの大好きなイカのことを見下しやがって! 「あぶったイカ」ってことは、一夜干しのイカか、スルメってことで、どっちにしても、あたしには手が届かないような高級品だ。ちょっといいものになれば、1パイで1000円くらいするものもある。それなのに、「イカでいい」とは、いったい何様のつもりだ!‥‥って、あんまりガンガン怒り続けてると、「女は無口な~人がいい~♪」って、続きを歌われちゃいそうだけど(笑)

ま、歌ってるだけの八代亜紀には何の責任もないし、この詩を書いた阿久悠はもういないし、あたしのイカリのホコサキ、略して「イカサキ」、ひっくり返して「サキイカ」を向ける相手はどこにもないから、ここに書いてみただけだ。それに、ちょっと落ち着いて考えてみれば、2番の歌詞の感じから、どこかの田舎の漁港の近くのお店で飲んでるみたいだから、きっと、このお店のメニューの中で、イカは安いほうだったんだと思う。

‥‥そんなワケで、ここまでが「前フリ」だと思いながら読んでた人はいないと思うけど、実は、「サキイカ」っていうキーワードを引き出すための「前フリ」だったワケで、あたしが時々作る大好きなオツマミ、韓国の「オジンオムチム」の作り方を紹介しちゃおうと思う。これさえあれば、ニポン酒なら1升、ビールなら中瓶10本、他のお酒でも、グイグイ飲めちゃうほどお酒に合うのだ。

簡単に言えば、サキイカを甘辛く味つけした「和え物」なんだけど、韓国料理屋で出て来る「オジンオムチム」は、子供のころに食べた駄菓子のノシイカみたいに甘すぎるから、ニポン酒やビールに合う味のものは、自分で作るしかない。でも、「作る」って言っても、地球にやさしい「火を使わない」方式なので、簡単にチャチャッとできちゃう。

で、まずは、材料だけど、あたしは、スーパーで売ってるお徳用のサキイカ、100g入りで280円のを使ってるので、それを目安にして書くけど、コンビニとかで売ってるサキイカだと、50gとか60gとかだから、調味料の量は、テキトーに減らしてみて欲しい。


【きっこ風オジンオムチム】

サキイカ 100g
お醤油 大さじ2杯
ハチミツ 大さじ1杯
トウバンジャン 大さじ半分
ニンニク 1粒
一味唐辛子 適宜
ゴマ油 大さじ1杯
白ゴマ 適宜


まず、ボールとか片手鍋とかにお水を張って、そこに、サキイカを全部入れて、10分ほど放置しとく。これは、サキイカをやわらかくするためと、ついてる味を落とすためだ。それで、その間に、合わせ調味料を作っておくんだけど、ハチミツがなければお砂糖、トウバンジャンがなければコチュジャン、ニンニクがなければガーリックパウダーなどでも代用できる。

ただ、ハチミツだけは、味の決め手になるので、できれば、お砂糖で代用しないで、安いものでいいからハチミツを用意して欲しい。で、ゴマ油と白ゴマは最後に混ぜるので、それ以外をすべて、小鉢か何かで混ぜておく。ニンニクは、摩り下ろしてから混ぜる。

10分ほど経ったら、サキイカを両手で握ってよく搾ってから、ボールか何かに入れて、合わせ調味料をふりかけて、全体になじむように和えて行き、最後に、ゴマ油と白ゴマをかけて、また全体になじむように和える。これで、出来上がりだ。

Ika1
あたしは、洗い物が増えるのがイヤなので、ビニール袋の中で混ぜるようにして、そのまま冷蔵庫に入れておき、食べるぶんだけ、小皿に出して食べてる。ポイントとしては、あんまり長くお水に漬けておくと、やわらかくなりすぎちゃって、オツマミとしてはイマイチになっちゃう。だから、サキイカの歯応えを楽しみたい人は、7~8分くらいでもOKだ。

それから、あたしの書いた分量は、あくまでもあたしの目安なので、甘めのほうが好きな人はハチミツの量を増やしたり、辛いほうがいい人は一味唐辛子をドバッと入れたり、ニンニクが苦手な人はニンニク抜きにしたりと、それぞれお好みでアレンジして欲しい。

あたしの場合は、100g作ると、だいたい3~4回の晩酌のお供になる。とにかく、メッチャ美味しいし、お酒のオツマミだけじゃなくて、佃煮みたいな感じになるので、ご飯のオカズにもなる。お弁当のご飯の中に埋めておくと、食べる時にはすごくやわらかくなってて、なかなか美味しいのだ。

‥‥そんなワケで、値段の高い高級食材を使えば、美味しいものが作れて当たり前だ。1個で何千円もするアワビを買って来れば、誰が切ったって美味しいに決まってる。だから、そうした高級食材のことは、税金を好き放題に使える各省庁の天下りたちにまかせといて、自民党とナンミョー党の悪政に苦しんでるあたしたち庶民は、タマにゼイタクしようと思ったら、この「きっこ風オジンオムチム」を楽しんでみてはイカがですか?‥‥なんて言ってみた今日この頃なのだ(笑)


★ 今日も最後まで読んでくれてありがと~♪
★ 1日1回、応援のクリックをよろしくお願いしま~す!
   ↓   ↓
人気blogランキング


★ ビックル一気飲みの書き下ろしが満載、カラーグラビアまでついてる新刊、「きっこの日記 R」もよろしく♪
   ↓   ↓
 

|

« 命でしか償えないこと | トップページ | 「うば捨て山制度」の犠牲者たち »