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2008.04.26

ブラックバスの溜め息

あたしは、いろいろと欲しいものあるんだけど、その多くは、金額が高すぎて手が出ないものだから、単なる憧れのものとして、ぼんやりと夢見てるだけだ。でも、中には、買おうと思えば買えない金額じゃないんだけど、節約生活をしてるためにガマンしてるものもある。たとえば、ずっと前から欲しかったものの1つとして、「魚類図鑑」がある。お魚が好きで、図鑑が好きなあたしとしては、すでに魚類図鑑は2冊も持ってるんだけど、あたしの欲しいのは、「山と渓谷社」から出てるニポン最大の図鑑だ。大きくて、ぶ厚くて、重くて、5670円もする。で、「日本の海水魚」と「日本の淡水魚」があるんだけど、あたしの欲しいのは、もちろん、「日本の淡水魚」のほうだ。

 

この図鑑のポイントは、両方ともおんなじくらいの厚さで、値段もおんなじだってことだ。ニポンは、海水魚に比べて淡水魚はずっと種類が少ないから、それでもおんなじ厚さの図鑑てことは、1種類の淡水魚に対して割り当てられてるスペースが、海水魚の何倍もあるってことだ。だから、淡水魚のほうは、写真も豊富だし、ものすごく詳しく書いてある。それで、「日本の海水魚」のほうは、「なかなか素晴らしい図鑑」ってレベルなんだけど、「日本の淡水魚」のほうは、間違いなく、ニポンの淡水魚の図鑑の中の最高峰で、「キング・オブ・キング」のレベルなのだ。

 

写真も素晴らしいし、解説も素晴らしいし、ものすごく欲しいんだけど、節約生活を続けてるあたしにとって、趣味のためにこれだけの金額を出すことはできない。だから、今は、10年以上前に買った、おんなじ「山と渓谷社」の小さな1000円の図鑑でガマンしてる。言うなれば、今、カローラに乗ってる人が、「いつかはクラウン」って思ってるみたいなもんだ(笑)

 

それにしても、あらためて自分の本棚を見ると、魚類図鑑の他にも、花の図鑑、木の図鑑、野鳥の図鑑、キノコの図鑑と、ヤタラと図鑑が多い。特に、花の図鑑は、一般的なものから高原植物専門のものまで、ぜんぶで5冊もある。ただ、「図鑑」って言うと、大きくて重たいものを想像すると思うけど、あたしの場合は、ハンドバッグに入れて持ち歩けるような、小型のものばかりだ。何でかって言うと、ハンディータイプの図鑑なら、持ち歩けることはもちろんとして、値段が安いことと、ソファーに仰向けに寝転がってパラパラと眺めることができる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?

 

 

‥‥そんなワケで、あたしは、ニポンの淡水魚が大好きで、自分でも黒メダカとクチボソを飼ってることはオナジミだと思うけど、一般的な薄いオレンジ色の緋メダカじゃなくて、黒メダカだってことからも分かるように、あたしが好きなのは、「野生種の淡水魚」なのだ。緋メダカってのは、野生の黒メダカを鑑賞用に品種改良したものだから、あたしの趣味じゃない。ヘソ曲がりなあたしは、鑑賞用に作られたものを鑑賞するってのがキライなのだ(笑)

 

ちなみに、「黒メダカ」ってのは、鑑賞用の「緋メダカ」に対して「黒」って呼んでるだけで、正しくは、単に「メダカ」って呼ぶ。何も知らない人に「メダカ」って言うと、ほとんどの場合は「緋メダカ」のことを思い浮かべちゃうから、そう思われないために「黒メダカ」って言ってるワケだ。

 

で、おんなじメダカでも、生息域によっていろいろと種類があるから、純血種にコダワリを持ってるあたしは、利根川水系のメダカと酒匂川水系のメダカを一緒に飼って、交配されちゃうようなヤボなマネはしない。あたしが飼ってるのは、特に貴重な多摩川水系のメダカだから、絶対に他水系のメダカとは交配させないようにしてる。

 

だけど、クチボソに関しては、あたしが多摩川で獲って来たものだから、すでに他水系の種と交配しちゃってるかも知れないし、多摩川のいろんな化学物質とかに対抗するために、他のお魚と交配して進化したハイブリッド種の可能性もある。1匹だけ、ナニゲに体型が違う感じなのがいるからだ。他のクチボソたちは、みんな普通の体型なのに、1匹だけ、ちょっと体高があって、タナゴ風味のクチボソなのだ。

 

またまたちなみに、「クチボソ」ってのは、東京の呼び名で、正式には「モツゴ」っていう名前だ。それから、多摩川で稚魚を捕まえて来て、クチボソだと思って育ててたら、大きくなったら「ハヤ」だった‥‥って話を何年か前に書いたことがあるけど、これも東京の呼び名で、正式には「ウグイ」っていう名前だ。で、さっきはトヨタの車を例にしたから、今度はニッサンの車を例にするけど、クチボソがサニーなら、ハヤはスカイラインって感じで、すごくカッコイイ。だから、ホントは飼いたかったんだけど、ハヤは大きくなっちゃうし、そしたらメダカが食べられちゃうから、多摩川に逃がして来た。

 

もちろん、それだけじゃなくて、ハヤは、川の流れの速い場所にいるお魚だから、流れのない水槽で飼うと、健康的に成長しないのだ。だから、他の川魚でも、流れの速い場所を生活圏にしてるお魚は、水槽で飼うのはかわいそうだ。

 

‥‥そんなワケで、あたしは、ニポンの淡水魚が好きなんだけど、当然のことながら、すごく好きなのと、ワリと好きなのと、普通に好きなのと、いろんな「好き」がある。この場合の「好き」は、もちろん、「飼いたい」って前提での「好き」であって、「食べたい」って前提の「好き」じゃない。食べるんなら、1番が「アユ」、2番が「ドジョウ」、3番が「カジカ」、4番が「ワカサギ」、5番が「ウナギ」、6番が「ヤマメ」や「イワナ」や「ニジマス」‥‥って感じだけど、この中で飼いたいと思うのは、ドジョウとカジカだけだ。

 

それで、「飼いたい」ってほうの「好き」の場合は、フランク・ザッパな分類になっちゃうけど、1番が「ブラックバス類」で、2番が「ハゼ類」で、3番が「クチボソ・タナゴ類」だ。つまり、あたしは、ブラックバスやブルーギルを飼いたいんだけど、ブラックバスは大きくなりすぎるから、あたしの水槽じゃ飼えないし、ブルーギルはどんどん繁殖しそうで困るし、それ以前に、コイツラはニポンの淡水魚じゃない。もちろん、80年くらい前からニポンにいるんだし、すでにニポン特有のハイブリッド種も生息してるから、もう市民権を与えてあげて「ニポンの淡水魚」って呼んでいいとは思うんだけど、小さな水槽で飼うのには向いてない。

 

それから、ブラックバスに似てる在来種の淡水魚って言うと、四万十川とかにいる「アカメ」が有名だけど、これは、大きくなると1mを超えちゃうから、飼えるワケないし、細かく言うと、沿岸部や汽水域にもいるから、純粋な淡水魚とは言えない。で、ブラックバスに似てて、あんまり大きくならなくて、ニポンの在来種で、純粋な淡水魚で‥‥って、あたしの希望をすべてクリアしてるお魚を探すと、ニポンには、たった1種だけしかいない。それが、「オヤニラミ」だ。

 

ブルーギルの「ギル」ってのは「エラ」のことで、エラの一部が青いからブルーギルって言うんだけど、オヤニラミも、ブルーギルみたいに、エラの一部が黒い丸になってて、それが大きな目玉みたいに見えるから、「オヤニラミ」って名前で呼ばれてる。それで、このお魚は、大きくても10cmちょいにしかならないし、人にもなつくそうで、水槽で飼うのに適してるそうだ。リラックスしてる時はシマシマなのに、怒ると全身が真っ黒になるから、体の色でゴキゲンが分かる。そして、ブラックバスとおんなじに、小さなころは群になってスクーリングするんだけど、成魚になると自分の縄張りを持つようになるので、狭い水槽に何匹も入れると、縄張り争いでケンカをしちゃう。だから、恋のシーズン以外は、基本的には1匹だけで飼ったほうがいいみたいなんだけど、あたしの夢は、オヤニラミを飼うことなのだ。

 

でも、当然、肉食なので、メダカとクチボソの水槽に入れることはできないから、もうひとつ、別の水槽が必要になる。そして、それ以前の問題として、四国とか九州とかにオヤニラミを釣りに行かないとダメだし、それ以前の問題として、どうやって釣ればいいのか分かんないし、その後の問題として、九州で釣ったオヤニラミをどうやって東京まで運んでくればいいのかも分かんない。だから、遥か遠い夢なんだけど、「いつかはクラウン」みたいに、「いつかはオヤニラミ」って思ってる(笑)

 

‥‥そんなワケで、2番目に飼いたいお魚の「ハゼ類」っていうのは、海や汽水域にいるハゼじゃなくて、完全な淡水にいるハゼ科のお魚たちだ。たとえば、「ヨシノボリ」の仲間たちとか、琵琶湖にいる「イサザ」とかだけど、そこまですごいレベルじゃなくても、「ダボハゼ」でもいい。でも、ダボハゼは肉食なので、あたしがペットボトルで作った仕掛けだと、中に入れるエサが練り餌なので、クチボソしか獲れないのだ。

 

前に、多摩川のテトラポッドのとこでクチボソ釣りをしてた時に、水中をよく見たら、水中のテトラポッドの表面を上って来るみたいな感じで、ダボハゼがジワジワと近づいて来た。それで、あたしは、どうしてもダボハゼを釣りたくて、そっちのほうにエサが行くように仕掛けを沈めたんだけど、ダボハゼの近くまでエサが行く前に、群れてたクチボソがアッと言う間に食べちゃうから、どうしても釣ることができなかった。だから、ペットボトルの仕掛けでもダメだし、釣りでもダメだし、どうすればダボハゼを捕まえられるのか研究中なのだ。

 

それから、3番目に飼いたいお魚の「クチボソ・タナゴ類」は、すでにクチボソは飼ってるから、まあまあ満足してる。ホントは、大きな水槽でたくさんのタナゴを飼ったら、すごく美しいだろうなって思ってるんだけど、そこまではムリだから、小さな水槽でクチボソを飼って満足してる。だって、あたしがタナゴを飼うとしたら、どうせ、「ヤリタナゴ」あたりを5~6匹くらい飼うのが関の山だから、タナゴを飼うだけの器量がないってことだ。

 

やっぱ、どうせタナゴを飼うんなら、美しい体色の「ニッポンバラタナゴ」とか、10cmくらいになる大型の「イタセンパラ」とかを飼いたいんだけど、どっちも絶滅危惧種だから、獲ることも飼うこともできない。で、この大型タナゴのイタセンパラってお魚は、古くは大阪の淀川にたくさんいたんだけど、行政による河川工事や水質汚染などによって、今はほとんど生き残ってない。それで、イタセンパラを保護するために、長年、尽力してるのが、あたしのリスペクトしてる木村英造さんだ。

 

木村英造さんは、今年で87才になる渓流釣り師で、「紀村落釣」という名前で「愛をもて渓魚を語れ」(平凡社)って本も書いてるんだけど、あたしが知ったのは、上野敏彦さんが書いた「木村英造―淡水魚にかける夢」(平凡社)っていう本だ。これは、渓流釣り師の木村さんの波瀾万丈波の人生を描いた伝記で、目からウロコどころか、目からタナゴが落ちちゃうほど、いろんな気づきを与えてくれた。

 

木村さんは、地元の淀川に住むイタセンパラが絶滅の危機に瀕してることを知って、「淡水魚保護協会」を設立して、その保護に乗り出すんだけど、その活動ぶりが素晴らしいのだ。こうした活動って、どうしてもカリカリとしながらやりそうなイメージがあるけど、木村さんの場合は、何て言うか、こんな言い方をすると語弊があるかもしれないけど、自分も楽しみながら、壮大な「遊び」として取り組んでる感じがする。だから、とってもステキに感じられるのだ。

 

そして、木村さんたちの尽力によって、イタセンパラは天然記念物に指定されたんだけど、アメリカ軍の滑走路を造るために、意地でもジュゴンを天然記念物に指定しなかった小池百合子に、木村さんの爪のアカでも飲ませてやりたいと思う。木村さんは、「淡水魚保護協会」は解散しちゃったけど、80才を過ぎてから、イタセンパラを守るためのホームページ、「淡水魚の窓」を開設したりと、今でも精力的に活動してる。あたしは、この木村さんのような人こそが、ニポンの環境大臣になるべきだと思ってる。

 

‥‥そんなワケで、またまたココに着地しちゃうけど、自民党とナンミョー党による政官癒着政治によって、障害者やお年寄りを自殺に追い込んでまで、この国は、必要のない道路やダムを全国に造り続けて来たワケだ。そして、こうした悪政による被害者は、あたしたち国民だけじゃない。政府が、「地方を活性化させる」という大義名分を掲げて、不必要な公共事業を地方の談合企業へと垂れ流し続けて来た結果、ニポン固有の数多くの動植物が絶滅し、また、絶滅の危機に瀕してるのだ。そして、メダカやタナゴが絶滅に瀕してると言えば、その責任をすべてブラックバスやブルーギルに押しつけて、自分たちが私利私欲のために環境を破壊して造り続けて来たダムや堰(せき)や護岸工事にはいっさい触れない責任転嫁が全開なんだから、あまりにもデタラメだ。そりゃあ、どんなに濡れ衣を着せても、ブラックバスやブルーギルは反論できないもんね。地球上には、人間以外に、「悪い生き物」なんて1種類もいないのに‥‥なんて思う今日この頃なのだ。

 

 

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