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2008.06.06

カエルさんの長靴

「とうとう東京も梅雨入りした」って書いて、「とうとう東京」の部分でラップ調をアピールするか、それとも、「東京もついに梅雨入りした」って書いて、「ついに梅雨入り」の部分でラップ調をアピールするか、リトル悩んだんだけど、ニポン語のラップってダサいから、普通に「東京も梅雨入りした」ってことで始めようと思う。で、前にも書いたけど、昭和には「シュミーズ」の呼び名が「スリップ」に変わったように、平成には「スパッツ」の呼び名が「レギンス」に変わったように、最近では、「長靴」のことを「レインブーツ」って呼ぶようになった。

正確に言えば、「レインブーツ」って言葉自体は、ずいぶん前から使われてた。だけど、そんなに一般的じゃなかったし、普通の長靴のことを「レインブーツ」なんて呼ぶと、「なにカッコつけてんだよ!」って言われちゃうような雰囲気があった。でも、ここ数年で、すごくオシャレな長靴がいろいろと売り出されて来て、長靴に対するイメージも変わって来た。特に大きいのは、トゥが尖っていたり、ヒールがあったりして、普通のブーツと変わらないデザインの長靴が出て来たことだ。これによって、「長靴」よりも「レインブーツ」って呼び方のほうがピッタンコって感じになって来て、だんだんと広まって行った。

考えようによっちゃ、「長靴」ってのも変な名前で、長靴を見たことのない人に、想像だけで長靴の絵を書かせたら、「つま先がうんと長い靴」の絵を描いちゃう可能性もある。それに、履き口の部分が長いから「長靴」って呼ぶんなら、普通のブーツも「長靴」のジャンルに含まれちゃうから、「雨の日に履く撥水性のブーツ」のことを指すのであれば、「長靴」よりも「レインブーツ」って呼んだほうが的確ってことになると思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、玲奈ちゃんのレイナブーツ‥‥じゃなくて、レインブーツを見てみると、どっちも可愛いけど、特に左のほうのは、デザイン的にも、「長靴」ってよりも「レインブーツ」って感じだ。だけど、デザインは完全に「長靴」なのに、その値段の高さから、とても「長靴」なんて呼べないのが、シャネルの長靴だ‥‥って、シッカリと「長靴」って呼んじゃってるけど、築地の魚河岸のおっちゃんたちが履いてる長靴とおんなじ形なのに、ソールがピンクで、シャネルのマークが入ってるってだけで、ナナナナナント! 49800円!(笑)

そして、グッチの長靴は、38850円のものが29800円になってるから、お買い得なんだかどうだか理解できない。他にも、エミリオプッチの長靴は、24500円が21500円になってるし、スチュワートワイツマンの長靴は、51450円が36015円になってる。だから、定価で買うよりはお得なんだろうけど、もっと根本的な問題として、果たしてこれが「長靴」の値段なんだろうか?

でも、いろんな長靴を見てたら、芦屋ポテチーノの長靴が、40950円もするけど、とってもデザインがステキで、シャネルやグッチのダサい長靴とは違って、これぞ「レインブーツ」って感じで、すごくあたしのツボだった。他には、エナメルフェチのあたし的には、ダイアナの長靴もステキだと思った。これは、高島屋のダイアナで現物を見たんだけど、ヒールが10cmもあって、トゥの形も好みで、すごく欲しくなった。もちろん、16800円なんて金額を「長靴」には出せないけど、「雨の日にも履けるオシャレなエナメルのブーツ」って思えば、まあまあ納得できる値段だろう。

‥‥そんなワケで、非現実的な妄想はここまでにして、現実的なことで言えば、今のあたしにカエルのは、この3515円のカエルの長靴だ‥‥ってワケで、カエルの長靴って言うと、あたしには、ちっちゃなころの思い出がある。

あたしは、小学校に入る前に大きな病気をして、半年ほど入院してた時期があった。正確に言うと、2~3ヶ月入院して、1ヶ月くらい自宅に帰って来て‥‥っていうのを3回ほど繰り返してたから、1年近く闘病してたことになる。それで、あたしは、小学校には1年遅れて入学することになったんだけど、入院中のあたしは、窓から外を見るか、お絵描きをするか、絵本や童話を読むか、テレビを観るしか楽しみがなかった。

だけど、今の病院みたいに、ベッドごとにテレビがついてるワケはないから、ロビーまで行かないとテレビが観れなかった。それで、夜の7時から観たいテレビがある日は、6時15分からの晩ご飯を大急ぎで食べて、テレビのあるロビーに行かないダメだった。ま、小児病棟だったから、子供たちの観たい番組はおんなじで、ヨホドのことがない限り、観たいものを観ることができたんだけど。

でも、月曜日の7時から放送してた「魔女っ子チックル」だけは、観るのが大変だった。あたしは大好きだったんだけど、スカートがめくれたりオッパイを触ったりと、子供が観るにしちゃエッチなシーンがあったし、主人公のチックルやチーコは、小学5年生って設定なのに、とても子供とは思えないようなナイスバディで、ビキニで登場しちゃったりもしてた。だから、付き添いの親の中には、「そんなもの観ちゃダメでしょ!」って言ってチャンネルを替えちゃう人もいたのだ。

あたしよりもずっと年上の人なら、「魔法使いサリー」や「ひみつのアッコちゃん」だろうし、あたしよりもリトル年上の人なら、「キューティーハニー」や「魔女っ子メグちゃん」や「魔法使いチャッピー」だろうけど、あたしの時代は、「魔女っ子チックル」や「ミンキーモモ」だった。これは、もちろん、魔法使いのアニメの話で、魔法を使わない普通のアニメなら、あたしの時代は「キャンディキャンディ」だ。

で、記憶が定かじゃないんだけど、たぶん、この「魔女っ子チックル」で、何回目かに、カエルを魔法で助けるお話があった。もしかしたら、他のアニメとゴッチャになってるかもしれないから、断言はできないし、何よりもどんなストーリーだったのかさえハッキリとは覚えてないんだけど、その回を観て、あたしは、カエルさんが大好きになった。

‥‥そんなワケで、あたしのベッドは、一番奥の窓際だった。入院が長いと、奥のベッドになるからだ。それで、ある雨の日のこと、あたしは、ベッドに横向きになって、ぼんやりと病室の窓の外を見てた。そしたら、窓ガラスの向こう側に、アニメで観たカエルさんが現れて、「雨の日は楽しいよ!一緒に遊ぼうよ!」って言って、あたしを外へと誘った。でも、あたしは、「傘もないし、長靴もないから、お外には行けないよ」って言った。

その時、母さんがやって来た。それで、どんなやりとりがあったのかは覚えてないんだけど、母さんから何か欲しいものがないか聞かれたあたしは、「カエルさんと遊びに行く長靴」って答えたそうだ。そして、それから何日後かに、母さんは、黄緑色のカエルさんの顔が並んでるピンク色の長靴を買って来てくれた。あたしの言った意味が分からなくて、「カエルさんの柄の長靴」って思ったそうだ。

外に出ることができなくて、長靴なんか必要なかったあたしのために、カエルさんの柄の長靴を探して、何軒もの靴屋さんを探し回ったってことを大人になってから聞かされた。これは、病気で小学校へ行くことのできない子に、ランドセルを買ってあげるような感覚だったんだと思う。外に出られなくて、いつも窓から外を眺めてたあたしに、「いつかこの長靴を履いて雨の中を歩く」っていう希望を持たせるために、探して来てくれたんだと思った。

あたしは、嬉しくて嬉しくて、いっつもその長靴を眺めてた。一度だけ、病室で履いてみて、何歩か歩いてみたんだけど、それ以外は、足に履いても、ベッドから長靴の足をブラブラさせるだけで、床を歩くことはなかった。なんか、あんまり履いて歩いてると、カエルさんが誘いに来てくれなくなっちゃうような気持ちがしたからだ。だから、あたしは、ヒマさえあれば、長靴のカエルさんの数を数えたり、中を覗いたり、匂いをかいだりしてたんだけど、匂いをかぐと新品の長靴のゴムの匂いがしたから、何度もかいでるうちに、そのゴムの匂いが、カエルさんの匂いのように思えて来た。それで、あたしは、ずいぶん大きくなるまで、「カエルの匂いはゴムの匂い」って思い込んでたように思う。

あたしは、長靴が手に入ったっていうのに、なかなかカエルさんが誘いに来てくれないから、カエルさんの出て来る絵本をひろげて、「クルンカクルンカテコポコテン!」って呪文を唱えてみたりした。これは、「魔女っ子チックル」で、絵本に閉じ込められてたチックルをチーコが呼び出す時の呪文だ。だけど、カエルさんは、絵本から出て来なかった。

‥‥そんなワケで、結局、あたしは、カエルさんが誘いに来てくれる前に、退院してお家にカエルことになった。だけど、それからは、少しずつ外に出られるようになって、雨の日には、そのカエルさんの長靴を履いて、水たまりでバシャバシャと飛び跳ねたりもできるようになった。そうすると、なんだかカエルさんと一緒に遊んでるような気がしたからだ。記憶も定かじゃないし、これといったオチもない話で申し訳ないんだけど、何となく思い出しちゃった今日この頃なのだ。


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【今日のオマケ】

「魔女っ子チックルのオープニング曲」


「魔女っ子チックルのエンディング曲」

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