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2008.06.03

カメムシ記念日

昨日の日曜日は、サスガ、「ジューンブライド」ってワケで、あたしは、3組の結婚式のお仕事をカケモチしてて、ずっとバタバタしてた。だけど、昨日は、アシスタントを2人つけてたから、すべてリハ通りに進んだし、3組ともとってもステキなお式で、ホントに良かった。特に、そのうちの1人の新婦さんは、あたしとおんなじ母子家庭だったから、打ち合わせの時から、あたしは、すごく力が入ってた。その子のためなのはもちろんのこと、お母さまのためにも、全身全霊を傾けて取り組んで来た。だから、最高の出来栄えになった上に、お天気にも恵まれて、ホントに良かった。

ちなみに、今さら説明の必要もないと思うけど、「ジューンブライド」ってのは「6月の花嫁」って意味で、西洋では、6月が「家庭の守護神」である「ジュノー」の月なので、この月に結婚すると幸せになれるって言われてる。ただ、こんなこと言うとアレだけど、12ヶ月のうちで6月が一番「晴れの日」が多いヨーロッパはいいけど、ちょうど「梅雨」に入るニポンの場合は、せっかくのお式の日が「雨」になっちゃうってパターンが多いから、あたしは、「ニポンは5月にすればいいのに」って思ってる。

5月は「聖五月(せいごがつ)」って呼ばれるように「聖母マリアの月」なので、「聖母月」とか「マリアの月」とも呼ばれてて、結婚式を挙げるにはピッタリの月だ。それに、4月は入学や入社や配置転換とかで忙しいけど、5月なら少し落ち着くころだから、ニポンは「ジューンブライド」をやめて、「メイブライド」にしちゃえばいいのにって思う。まあ、6月も、田植えの終わった田んぼに水を張る「水張月(みずはりづき)」って別名があるので、これから新しい家庭を築いて行くカップルにはピッタリのイメージなんだけど、いかんせん、雨が多い「梅雨」ってのが困っちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、ニポン列島は、南のほうから梅雨入りが始まったワケだけど、東京のお天気は、先週の土曜日までは降ったり止んだりのパッとしない感じだったのに、大切なお式が入ってた昨日の日曜日だけがお天気になったので、ホントに良かった。それで、今夜からは、またパッとしない感じになっちゃうみたいだけど、今日の昼間だけは雨が降ってないし、ものすごく久しぶりのお休みだったから、田植えの終わった田んぼを見学に行ってみることにした。もちろん、どっかの田舎まで行くことはできないから、原動機付き自転車で7~8分、原動機無し自転車で2~30分ほどのとこにある「次太夫堀(じだゆうほり)公園」だ。

前にも何度が書いたから、「次太夫堀公園」の説明は割愛するけど、自民党とナンミョー党のセイでガソリンが170円以上になっちゃったから、あたしは、原動機無し自転車で行くことにした。それで、梅干しのおにぎりとオカカのおにぎりを作って、500のペットボトルにお茶を入れて、10時すぎに、ママチャリの「フェラーリ F2004」で出動した。

Tt8
バス通りは、原動機無し自転車だと危険だし、排気ガスで空気も悪いから、リトル遠回りになっちゃうけど、多摩川まで出て、土手の上のサイクリングロードを走った。空は曇天だけど、風が爽やかで気持ちいい。こんな時は、ペダルのリズムに合わせて、自然と「自転車の歌」を口ずさんじゃうんだけど、Aqua Timezの「自転車」が出ちゃうのは10代から20代の人、ユニコーンの「自転車泥棒」が出ちゃうのは30代から40代の人、サディスティック・ミカ・バンドの「サイクリング・ブギ」が出ちゃうのは50代以上の人‥‥ってワケで、30代でもヘソ曲がりのあたしの場合は、リトル違う。「子猫がミヤ~タ、コルナ~ゴ~~僕の彼女はビアンキで~~プジョ~が読めなくコメンサル~~ルックは良いのにクラインで~~♪」って、小林旭の「自動車ショー歌」の替え歌、忌野清志郎の「自転車ショー歌」を口ずさんじゃうのだ(笑)


 六月の風のまつはるペダルかな  きっこ


東名高速が近づいて来たら、土手の上のサイクリングロードから下の道に降りて、東名高速のとこを右折する。まっすぐに走ると玉堤通りに出るから、左折して道なりに走り、マックを超えてコンビニの信号を左折すれば、「次太夫堀公園」に到着だ。

Tt5
公園の入口から奥へと続く田んぼは、5月の終わりころに子供たちが田植えをしたって聞いてたんだけど、「いかにも子供たちが植えた」って感じの苗が、一面に水の張られた田んぼに並んでて、とっても可愛かった。あたしは、畦(あぜ)にしゃがんで、「このキチンと並んでる筋の苗は、学級委員のサチコちゃんが植えたんだな。あの雑な筋の苗は、ガキ大将のタケシくんが植えたんだな」なんて想像して、しばらく楽しんでた。


 几帳面な早苗大雑把な早苗  きっこ


田んぼの水面には、正面の木々の影が、こんもりした森のように映ってる。ここまではバス通りの音も聞こえて来ないから、遠くの田舎に来たみたいな気持ちになって来る。しばらく田んぼを眺めてたら、水面に小さな影がチョコチョコしてるのに気づいたから、よく見たら、アメンボだった。まだ、そんなに大きくなってなかったけど、あまりにも大きなアメンボって意外と不気味だから、あたしは、このくらいのアメンボのほうが好きだ。

それで、田んぼの水の流れをよく観察したら、入口の田んぼの角に水路の分岐点があって、そこから田んぼに流れ込んでた。そして、そこの畳1枚ぶんくらいの四角い池みたいなとこに、アメンボの大群がいた。あたしは、そこでもしゃがんでアメンボを観察してたんだけど、少しだけ日が差して来たら、水底の泥の上に「猫の足跡」みたいなのが点々と見えて来た。

一瞬、何だか分かんなかったんだけど、すぐに、アメンボの影だってことが分かった。アメンボは、広げた6本の足の先で水面に浮かんでて、足の先が水面をビミョ~に押してるみたいで、小指の先くらいの楕円形に水面が凹んでるみたいだ。それで、その部分が影になって、水底に映ってたのだ。長くて立派な後足が4本と、オマケみたいな小さな前足が2本あって、後足のほうは大きな楕円の影、前足のほうは少し小さな楕円の影で、それが6つ左右対称に並んでるから、猫の肉球みたいに見えたのだ。


 水馬(あめんぼ)の影の行き交ふ水の底  きっこ


Tt2
これ、どうしても誰かに見せたくて、ケータイで写真を撮ったんだけど、ちゃんと撮れるまでに、10回くらい失敗しちゃった。何しろ、アメンボってジッとしてないから、すごく大変だった。

それから、田んぼの横の水路に沿って少し進んだら、あたしの大好きなブルーのアジサイが咲き始めてた。でも、まだ満開じゃなかったので、写真を撮ろうかどうしようか悩みながらグルッと観察してたら、ナナナナナント! 1つだけ満開に咲いてたのが、ピンクだったのだ! その株は、すべてブルーのアジサイなのに、真ん中に1つだけ、ピンクのアジサイが咲いてるなんて、こんなの初めて見た!

Tt3
周りのブルーのアジサイは、みんな三分咲きから五分咲きくらいで、その真ん中に1つだけ、ピンクのアジサイが満開だなんて、まるで、数えきれないほどの男たちをはべらしてるきっこ女王様?(笑)‥‥なんて思いつつ、シッカリと写真を撮った。


 紫陽花の吐息ももいろ雨催(あめもよひ)  きっこ


あんまりステキだったので、立ったりしゃがんだりウロウロしたりして、いろんな角度から眺めてた。そしたら、1つのブルーのアジサイの横の葉の上に、カメムシ発見! あたしは、カメムシの匂いほど嫌いな匂いはない。子供のころ、カメムシが臭いことを知らずに触っちゃって、それから、セッケンで何回手を洗っても匂いが落ちなくて、死ぬほどつらい思いをした。

Tt4
だけど、今なら相手は油断してるし、触らないように気をつければいいだけだから、あたしは、写真を撮ってみることにした。このカメムシは、全体的に黄緑色で、左右に茶色の筋みたいなのが入ってた。それで、帰って来てから図鑑で調べたら、「チャバネアオカメムシ」って名前だってことが分かった。

それで、ついでにアメンボも図鑑で調べてみたら、久しぶりにビックル一気飲みしちゃった。カメムシが「カメムシ目(もく)」なのは分かるけど、アメンボも「カメムシ目」だったのだ。そう言われて見ると、図鑑のアメンボの絵って、カメムシを細長く伸ばしたみたいな感じがした。もちろん、カメムシみたいに臭くはないんだろうけど、見た虫がみんな「カメムシ目」だなんて、今日は「カメムシデー」なのか?


 どの虫もみんなカメムシ目だから六月二日はカメムシ記念日  きっこ


さらについでに調べてみたら、セミも「カメムシ目」だってことが分かって、意外と昆虫界じゃ幅を効かせてる亀田一家‥‥じゃなくて、カメムシファミリーに脱帽しちゃった。で、何とかカメムシの写真を撮ったあたしは、急に飛んで鼻の穴にでも飛び込んで来たら発狂しちゃうから、アジサイの場所をそそくさとアトにした。


 飛ぶぞ飛ぶぞと茶羽青亀虫が  きっこ


それで、少し進むと、今度は小さな赤い実が落ちてた。上を見ると桜の木で、可愛らしいサクランボが生ってた。直径が1cmもないほどの小さなサクランボで、食べられそうもない感じだった。でも、とっても可愛いかったから、しばらく観察した。


 初恋のかそけきこともさくらんぼ  きっこ


この水路は、幅が1mちょっと、水深は2~30cmくらいなんだけど、アメリカザリガニがいるみたいで、割箸から垂らした凧糸にサキイカを結んで、ザリガニ釣りをしてる5~6才くらいの女の子がいた。エヴァンゲリオンのアスカみたいな黄色いサマードレスで、とっても可愛かった。声をかけてみようかと思ったんだけど、あまりにも夢中になってたから、ちょっと離れたとこから見てた。


 ざりがにへ凧糸たらす少女の目  きっこ


そしたら、その子は、5分くらいして大きなザリガニを釣り上げて、遠くにいたお父さんに見せに走ってった。きっと、最初はお父さんのすぐそばで釣ってたのに、なかなか釣れなくて、少しずつ移動してるうちに、こんなに離れたとこまで来ちゃったんだな~って、あたしは、またまた空想を楽しんだ。もうすぐ「父の日」だけど、父さんに会うことができないあたしは、こうして空想して心の穴ぼこを埋める。


 父の日にざりがにあげてみたりして  きっこ


Tt7
今度は、田んぼと田んぼの間の細い畦を渡って、反対側の広いほうに行ってみたら、田んぼの脇の草むらに、2羽のカモがいた。1羽は身づくろいをしてて、1羽は寝てた。寝てるほうのカモは、こんもりした自分の胸の上にクチバシを乗せてて、まるで置物みたいだった。あんまり可愛いので、ケータイを構えながらジワジワと近づいてったら、1mくらいのとこまで近づけたので、そこからズームにして写真を撮った。寒い国へ渡らないで、夏場もニポンにいるカモのことを「通し鴨」って呼んで夏の季語にしてるので、俳句も詠んでみた。


 胸に嘴(はし)のせてうとうと通し鴨  きっこ


そろそろお腹が空いて来たので、園内に入って、母屋の前の木のテーブルで、おにぎりを食べることにした。いつもとおんなじ梅干しとオカカのおにぎりなのに、お休みの日に外で食べると、どうしてこんなに美味しいんだろう? それも、5kgで1100円の古古米なのに(笑)

でも、田植えが終わったばかりの美しい田んぼを見学に来たのに、食べてるおにぎりが古古米だなんて、ナニゲに情けない。だけど、これほど何から何まで値上げされちゃった上に、今度は電気もガスも軒並み大幅に値上げするってのに、高いお米なんか買えるワケがない。だから、あたしは、高いお米は鑑賞するだけにして、食べるのはこれからも古古米だ。


 古古米を食べて眺める代田(しろた)かな  きっこ


Tt9
‥‥そんなワケで、梅雨に入る直前の、たった数時間の気分転換だったけど、いろんな自然と触れ合えて、とってもリフレッシュできた。そして、しばらく俳句から遠ざかってたんだけど、今月から頭を俳句モードに切り替えなくちゃならないから、いい準備運動にもなった。帰りの自転車も気持ち良くて、印度更紗(インドさらさ)のスカートが脚にまつわる感触が、夏の始まりを感じさせてくれた今日この頃なのだ。


 黒南風(くろはえ)に印度更紗のひるがへり  きっこ


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