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2008.06.23

おかえりテレキャス♪

今までに何度もお知らせして来たけど、以前、「きっこのブログ」のほうで公開してたメールアドレスは、どこかのアホの嫌がらせで使えなくなっちゃった。そのため、公開アドレスは新しいものに変えたんだけど、まだ浸透してないみたいで、読者から送られて来るメールは、この「きっこの日記」のサイドバーの「メールを送信」から送られて来るものばかりが届く。だから、読者メールをチェキするのがラクチンになった。

あと、これも何度もお知らせして来たことだけど、いろいろとメールをくださるのは嬉しいんだけど、何かの情報とか、「この問題を取り上げてください」っていうメールの場合は、「きっこの日記」のサイドバーにある検索システムを使って、過去ログをチェキしてからにして欲しい。1週間前に秋葉原の事件について取り上げたのに、「きっこさん、ぜひ秋葉原の事件について書いてください」なんてメールが来て、そういう人に限って「毎日愛読してます」なんて書いてあるから、あたしはガクッときちゃう。

それから、あたしへの手書きのお手紙とかプレゼントとかを送ってくださる人がタマにいるので、心から感謝してる。ただ、今はメインの窓口が「辰巳出版」なので、以前の「白夜書房」宛てでも届くことは届くんだけど、関係ない部署の人たちにも手間を掛けちゃうので、あたしへの郵便物は、すべて「辰巳出版」宛てでお願いします。以上、業務連絡でした‥‥ってことで、一見、業務連絡っぽい感じだけど、これがちゃんと日記のマクラになってる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、しばらく前に読者メールをチェキしてたら、その中に、1通の丁寧な書き出しのメールがあった。それで、そのメールを読んだら、あたしは、脊髄にビリビリと電気が走り出しちゃった。それは、こんなメールだった。


お名前:●●●●
コメント:きっこさん、初めまして。突然のメール失礼致します。私は●●区で歯科医院を開業しております●●ともうします。先日、友人から「きっこの日記R」を薦められて読みはじめましたところ、多岐に渡った内容がとてもおもしろく、時に噴き出したり時に考えさせられたりと楽しく読み進めていました。そして第四章の「さよならテレキャス」を読みはじめた私は、読み進むにつれ目が点(古いですね)になってしまいました。実は私は去年の6月下旬に、渋谷の●●楽器で黒のテレキャスを●●万円で購入した者なのです。出品者の名前は伏せてありましたが、クレーム等は店側が全て引き受けるということでしたので、安心して購入しました。探していた年代のUS物でしたので、色の塗り替えや傷なども気になりませんでしたし、大変満足しておりました。そして「さよならテレキャス」を読み、これはきっこさんが売りに出したギターに間違いないと確信しました。私は今まできっこさんの日記の存在を知らず、今回「きっこの日記R」を読んで初めて知りましたので、ギター購入から一年後のメールになってしまいましたが、きっこさんにどうしてもお伝えしたい事がありますので、宜しければメールをいただけないでしょうか。どうぞ宜しくお願い致します。●●拝


ギターが売れた時、楽器屋さんの担当者に聞けば、どこの誰が買ってくれたのかを知ることはできたんだけど、あたしは、そんなことを知っても何の意味もないので、別に聞こうとは思わなかった。ただ、大切に使ってくれる人ならいいな‥‥って思ってただけで、それ以上は何も求めてなかった。だけど、買ってくださった人からメールが来たとなると、話は別だ。だって、これは、ものすごいミラクルだからだ。

「きっこの日記R」は、第1弾、第2弾と違って、長編の書き下ろしや対談などをタップリと収録したために、日記の傑作選はわずか27編しか収録できなかった。第1弾と第2弾は、45編前後も収録してるから、半分とは言わないけど、ずいぶん少なくなってる。そのぶん、オリジナルを多くしたってことだ。そして、収録した傑作選は、何百本ものエントリーの中からたった27本を選んだんだから、ものすごく厳しいセレクトをした。で、その中に、タマタマ「さよならテレキャス」が含まれてたってことだ。

だから、「きっこの日記」の存在を知らなかった●●さんが‥‥って、ずっと「●●さん」て書いてくと読むほうも大変だと思うので、ここからは「Aさん」にするけど、そんなAさんが、タマタマお友達から「きっこの日記R」を薦められて読んでくださったミラクルと、その中にタマタマ「さよならテレキャス」が含まれてたってミラクルとが重なって、あたしにメールをくださったってことなんだから、これはものすごいダブル・ミラクルだと思った。で、あたしは、すぐに返信をした。


Aさま
はじめまして。「きっこの日記」のきっこです。
メールをありがとうございました。
他にも同じ年代のテレキャスが何本か売りに出されていたと思いましたが、Aさまが買ってくださったものは、時期や金額などを考えると、私が売りに出していたテレキャスに間違いないようですね。
あのように酷いコンディションのものをこちらの希望以上の金額で買ってくださり、本当にありがとうございました。
Aさまのメールの丁寧な文面から、大切にしてくださっていることも伝わってきました。
とっても感謝しています。
可愛がってあげてくださいね。
きっこ


‥‥って感じの返信をした。ホントはもっとプライベートなことも書いたんだけど、そこは割愛した。そしたら、テレキャスの画像を添えて、すぐに返信が来た。


きっこ様
御返信をありがとうございました。
(中略)
私はUSフェンダーのコレクターでして、ストラトとテレキャスを専門にコレクションしております。
今回きっこさんにお伝えしたい事ともうしますのは、失礼でなければ、このテレキャスをきっこさんにお返ししたい、という申し出なのです。
貴女の本の「さよならテレキャス」を読み、後日ブログのテレキャスに関する日記も読ませて頂きました。
貴女がどれほどこのテレキャスを大切にしていたか、どれほど思い入れがあるのかを知り、このギターは貴女の手元にあるべきギターだと思ったのです。
大変失礼とは存じますが、貴女がこのギターを手放すに至った事情も、その後の経過等もある程度は知りましたので、代金の心配は必要ありません。
これは私の気持ちです。
私のコレクションのひとつとして並んでいるよりも、貴女の手元にあった方がこのギターも喜ぶと思ったのです。
(後略)


‥‥そんなワケで、あたしは、頭の中がプチ・パニックになった。いつか余裕ができたら、また中古のテレキャスでも探して買おうとは思ってたけど、長年愛用してたテレキャスに関しては、生活に困って手放した時点で、「二度と戻って来ないもの」って割り切ってた。だから、マサカ、こんなことになるなんて、喜んでいいのか、どうしていいんだか、分からない状態になった。

もちろん、もう二度と戻って来ないと思ってたテレキャスが、またあたしのとこに帰って来るなんて、夢みたいな話だ。だけど、いくら何でも、お金も払わずに返してもらうなんてことは絶対にできない。5000円や1万円くらいの話なら、相手の気持ちに甘えちゃうかもしれないけど、これはケタの違う話だし、何よりも、あたしは、1年前にこのテレキャスを買ってもらったお金で、ホントに助かったのだ。だから、その「恩」に対して、自分の気持ちが済まない。

それで、あたしは、「戻ってくれば嬉しいけど、タダというワケには行かない。Aさんが買った金額で買い戻させて欲しい」ってことと、「でも今はお金がないので、1年後になるか2年後になるか分からないけど、お金が用意できるまで持っていて欲しい」ってことを伝えた。そしたら、Aさんからは、「それなら、とにかく先にテレキャスをお渡ししますので、お金はいつでもいいです」って返事が来た。それで、「そんなわけには行きません」ていうあたしと、「いえいえ、構いません」ていうAさんとのやりとりが続いた。

何だか、前から歩いて来た人とぶつかりそうになって、あたしが右に避けようとしたら、その人もおんなじほうに避けて、あたしが左に避けようとしたら、その人もおんなじほうに避けて、結局、ぶつかっちゃうみたいな、そんな感じのやりとりだった。そして、Aさんに押し切られるような形で、お金は後払いで、先にテレキャスを渡してもらえることになって、「日曜日の夜しか時間がとれない」というAさんのとこに、今日、行って来た。

でも、サスガに、まったくお金を払わずにテレキャスを受け取ることはできないから、コンビニに寄って、ATMで、パチンコの勝ちぶんを預金してる口座から、イザという時のために貯めといた5万円をおろして、おせんべの詰め合わせも買って、それから向かった。

Aさんは、想像してたよりもずっと若い感じで、とってもやさしい話し方をする人だった。テレキャスを受け取って、「とりあえずの5万円」を渡して帰って来るつもりが、歯科医院に併設してる自宅に上げてくださって、ものすごいギターのコレクションも見せてくださって、スカイラインの新車が買えるほどの値段のストラトを触らせてくださった。さらには、奥さんが美人でやさしい人で、お寿司までゴチソウになっちゃって、あたしはどうしていいんだか分からなくなっちゃって、キョーシュクしっぱなしだった。

‥‥そんなワケで、あたしは、1年ぶりに、ずっと愛用してたテレキャスと再開したワケだけど、まだ5万円しか払ってないし、残りはいったいいつになったら払えるのか分かんないってのに、帰って来て早々に、フロントのシングルコイルのピックアップをハムバッキングに交換しちゃった。で、チューニングして、アンプにつないで音を出してみたら、あの懐かしい音が出た。それから、ラスタカラーのストラップをつけて、姿見の前に立ってジャジャ~ン!って弾いてみた。そして、CDに合わせて、フェイ・ウォンの「夢中人」と、シド・ヴィシャスの「My Way」を続けて弾いてみたら、何だか分かんないけど、涙がポロポロと溢れて来て、止まらなくなっちゃった今日この頃なのだ。


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