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2008.07.13

舌の記憶

こないだ、お米がなくなりかけてることとか、お野菜が高くて手が出ないってことを書いたら、いつもお野菜を送って来てくださる俳句仲間の女性から、お米とお野菜が送られて来た。もちろん、その時の日記を読んでのことなんだと思うけど、何だか日記で催促したみたいな感じで、あたしは、感謝するとともに、申し訳なく思った。とは言え、急に気が大きくなったあたしは、残しておいた古古米を3合、ぜんぶ豪快に炊いて、1個でガマンしてたお昼のおにぎりも2個に戻したし、半分でガマンしてた朝と晩のご飯もお茶碗1杯に戻した。そしたら、その次の日に、また別のいつもお野菜を送ってくださる俳句仲間の女性から、お野菜の詰め合わせが送られて来た。これまた日記で催促しちゃったみたいな感じで、申し訳なく思いつつ、心から感謝した。

それで、2人から届いた2つのダンボールを開けて、冷蔵庫に入れるもの、すぐ茹でてからフリーザーに入れるもの、そのまま置いておけるもの‥‥って分けてたら、あとから届いたほうに、枝豆が入ってた。どのお野菜も手作りなので、形がそろってなかったり、土がついてたり、虫が食ったりして、ホントに美味しそうなんだけど、この枝豆も、スーパーで見かける農薬だらけのヤツみたいに、4粒も5粒も入ったのがワサワサと成ってるんじゃなくて、1粒とか2粒のも多くて、あっちに2つ、こっちに3つって感じで、絶対量は少ないけど、健康的で、作った人の愛情も感じられて、とっても美味しそうだった。

それで、「枝豆って言ったら、やっぱビールだよな~」って思いながらお野菜の分別を続けてたら、玄関のチャイムが鳴ったので、出てみると、宅配便だった。前に、「きっこの日記R」をブログで紹介してくださった、老舗のハードロックバンド「アースシェイカー」のギタリストのSharaさんからで、3月にリリースされたニューアルバムを送ってくださるって話は聞いてたんだけど、小包はCDよりも大きいし重かった。それで、開けてみたら、ニューアルバムと一緒に、ナナナナナント! アサヒのスーパードライが6本入ってた今日この頃、皆さん、心より感謝いたします。


‥‥そんなワケで、あたしは、何よりも必要な「お米」をいただき、次に必要な「お野菜」をいただき、この時点でサバイバルモードからノーマルモードに復帰できたんだけど、そのあとに「枝豆」、そして「ビール」という、まるで絵に描いたようなアメリカンドリームが炸裂しちゃったもんだから、一気にハイソサエティモードへと突入しちゃった。それで、セレブ気分になったあたしは、MAXのツアーTシャツと短パンだったんだけど、すぐにシルクのキャミワンピに着替えて、さらにはフリフリのエプロンをして、セレブとしての外観を確保しつつ、お鍋にお湯を沸かした。もちろん、枝豆を茹でるためだ。

そして、冷蔵庫の上のCDラジカセに、Sharaさんからいただいたニューアルバム、「Quarter」をセットして、缶ビールをフリーザーに入れて急速冷蔵しつつ、忙しい作業が始まった。とにかく、お野菜に飢えてたあたしは、ゴチャゴチャと調理したり味付けしたりしたお料理じゃなくて、「冷したトマトにお塩をつけて丸かじり」とか、「冷したキュウリにお味噌をつけて丸かじり」とか、「茹でたブロッコリーにお塩をかけて丸かじり」とか、そういう食べ方をしたかった。それで、トマトやキュウリは冷蔵庫に入れて、カリフラワーが1つ入ってたから、それを茹でるために、もう1つお鍋を火にかけた。

とにかく、あまりにも食糧が少なかった状態から、一気に有り余るほどの状態にジャンプアップしちゃったもんだから、あたしはプチパニックで、アタフタ感もありつつ、そのアタフタ感を楽しんでるもう1人の自分がいたりもしつつ、思いついたことから作業を進めて行った。それで、あたしがやったことと言えば、枝豆を茹でて、カリフラワーを茹でて、そのカリフラワーを茹でたお湯で今度はインゲンを茹でたんだけど、他のお野菜の分別もしながら、コロアイを見てフリーザーの缶ビールを冷蔵庫のほうに移動したりもしながらだったから、これが活動限界だった。プシュー!

‥‥そんなワケで、CDのほうはと言えば、同封されてたSharaさんのからのお手紙には、「ジャンルで言うとジャパメタなんで、きっこさんにはピンと来ないかも」って書いてあったんだけど、あたしの愛用のCDラジカセから流れて来たのは、「ヘヴィメタ」じゃなくて、紛れもない「ハードロック」だった。オマケに、2曲目に入ってた「欠片」って曲は、テレビ朝日の「ワールドプロレスリング」のファイティングテーマになってる曲だそうだけど、ナニゲに、KISSの「LOVE GUN」ぽい感じのアレンジが施されてた。それで、あたしは、トマトやキュウリや茹でたお野菜たちが冷蔵庫で冷えるまで、Sharaさんにお礼のメールを書いたんだけど、その中に、こんなことを書いてみた。


CD、カッコイイですね!
まだスタジオ録音のほうしか聴いていませんが、メタルというよりも正統派ハードロックだと感じました。
「欠片」は、アレンジがKISSの「LOVE GUN」ぽくて、ピーター・クリスが好きなあたし的にもツボでした。
ピーターのタイコも好きなのですが、「Hard Luck Women」とか「Beth」とか、ピーターのハスキーなバラードが好きなのです。


‥‥ちなみに、「まだスタジオ録音のほうしか聴いていませんが」ってのは、スタジオ録音のニューアルバムの他に、去年の武道館ライブのDVDが付いてるスペシャルエディションだったからだ。で、プロのミュージシャンに対して、ドシロートのあたしが、こんなにもチャレンジャーで身のほど知らずのメールを送っちゃったワケだけど、Sharaさんから返って来たメールには、こんなことが書いてあった。


きっこさん、CD気に入ってもらえたようで良かった~。
きっこさんの言うように僕らはハードロックなんです。
後になってメタルという言葉が出て来て、その中に無理矢理放り込まれてしまったんです。
最初は「メタルじゃない、ハードロックだ」といちいち言ってたのですが、あまりに何度も言われ、途中で面倒臭くなり、「メタルでいいや~」に変わってしまいました。
バンドの肝心な部分ですよね、今日からハードロック復活です。

あっそうだ、「欠片」のあの部分はKISSへのリスペクトで、聴いてる人があそこで「ニヤッ」としてくれる事を想像しながら、ニヤニヤしながらアレンジしてたんですよ(笑)
わかってもらえて、うれしいな~。


‥‥そんなワケで、感じたことをそのまま書いたら、運よく当たってたみたいだ(笑)‥‥って言うか、あたしは、ハードロックは好きだけど、何でニポンのハードロックを聴かなくなったのかって言うと、ほとんどのバンドがヘヴィメタになっちゃって、あたしの好きな横のグルーヴがなくなっちゃったからだ。横のグルーヴのないロックなんて、ロックじゃなくて「やかましい歌謡曲」でしかない。だけど、Sharaさんたちの作ってる音楽は、ちゃんとロックンロールしてる横のグルーヴがマンマンで、ワクワクして来るような疾走感があった。だから、あたしは、1曲目を聴いただけで、すぐに「あっ!ハードロックだ!」って思ったのだ。

ちなみに、2丁目の牧原ナントカに逆ギレされちゃった松本零士大先生と言えば「キャプテン・ハーロック」だけど、「ハードロック」と「ハーロック」の違いって、「レオパード」と「レパード」の違いに似てる感じがする‥‥ってのも織り込みつつ、あたしは、我が家で一番大きなお皿を用意して、冷蔵庫からカリフラワーとインゲンを取り出して、豪快に盛りつけた。カリフラワーは1個ぶんをぜんぶ、インゲンは20本くらいだ。そして、次に、冷蔵庫からトマト2個とキュウリ2本を取り出して、トマトは6つに切って、キュウリはスティック状に切って、カリフラワーとインゲンの周りを囲むように盛りつけた。

で、文章で読んでると、なかなかビジュアル的にステキな感じがすると思うけど、実際には、ナニゲに、動物園の草食動物用の「エサ」みたいな感じになっちゃった。だって、あまりにもお皿がデカかったことと、こんなにデカいお皿なのに、お野菜の種類が4種類だけだったからだ。大きなお皿でも、8種類とか10種類とかのお野菜が盛り合わせになってて、そこにオシャレなドレッシングでも掛けてあれば「パーティ用のサラダ」って感じになるんだろうけど、種類の少ないものが大量に盛り合わせになってる上に、能登半島のお塩をパラパラと掛けただけで、唯一のアクセントが、キュウリに添えてあるお味噌だけなのだ。

だから、なんて言うか、全体的にジミー・ペイジな感じで、せっかくシルクのキャミワンピに着替えたのに、イマイチ、派手さが感じられなかった。だけど、このお皿が置かれてるのは、パリス・ヒルトンのテーブルじゃなくて、お野菜に飢えてた草食動物、きっこのテーブルなのだ。だから、あたしにとっては、どんなゴチソウよりも美味しそうに見えた。

そして、ちょうどいい具合に冷えたスーパードライを持って来て、プシュッと開けて、ゴキュゴキュッと飲んでから、まずはトマトを口に入れたら、これがもう、究極の美味しさと至高の美味しさとがクロスオーバーしちゃったほどの美味しさで、あまりの美味しさに、思わず、海原雄山と山岡士郎が仲直りしちゃったほどだ。そして、次に、お味噌をつけたキュウリをかじってから、スーパードライをゴキュゴキュッと飲んだら、これまた素晴らしい美味しさの合体で、あまりの美味しさに、思わず、ハマちゃんとミチコさんが合体して、鯉太郎くんの弟を製造しちゃいそうになったほどだ。

それで、あたしは、カリフラワーも美味しかったし、インゲンも美味しかったし、大満足できたんだけど、久しぶりに「本物のビール」を飲んだら、ひとつの発見があった。それは、「ビールは苦い」ってことだ。そんなの当たり前じゃん!‥‥って言われそうだけど、長いこと第3のビールの「のどごし生」ばっか飲んで来て、その「のどごし生」でさえ、ここ1ヶ月くらいガマンしてたあたしとしては、ものすごく久しぶりのスーパードライだったワケで、ものすごく久しぶりに「本物のビール」を飲んだら、その「苦さ」が新鮮に感じられたのだ。そして、「そう言えば、のどごし生は第3のビールの中じゃ一番ビールっぽい味だけど、何かが足りないと思ってたら、この苦さが足りなかったんだな」ってことにも気づいた。

‥‥そんなワケで、あたしは、愛情をそそいで作られた本物のお野菜を食べたり、第3のビールや発泡酒じゃない本物のビールを飲んだら、トマトはトマトの味がする、キュウリはキュウリの味がする、ビールは苦い‥‥っていう、ものすごく当たり前のことなのに、理屈じゃ分かっててもカンジンの舌が忘れかけてたことをハッキリと思い出すことができたのだ。そして、ヘヴィメタバンドを名乗っててもハードロックバンドを名乗ってても、そんなジャンル分けなんか関係なくて、ちゃんとロックンロールしてるゴキゲンなバンドが「本物のビール」で、やかましい歌謡曲になっちゃってるバンドが「第3のビール」なんじゃないかって思えて来た今日この頃なのだ。


※Sharaさんが「きっこの日記R」のことを取り上げてくださったエントリーです♪
「House of the ankh」


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