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2008.07.03

ごめんね、もんじゃ

ちょっと悲しいことがあった。「悲しい」っていうか、「ショック」って感じなのかな? その時のあたしの感情をうまく表現できる言葉が見つからないんだけど、朝早く駅まで行く用事があって、テレテレと歩いてたら、あたしのマンションから50メートルくらいのとこの曲がり角のゴミ集積場で、ゴミ袋を破いて残飯をあさってる猫がいた。それで、5メートルくらいに近づいたとこで、その猫が顔を上げて目が合ったんだけど、それが、もんじゃだったのだ。

あたしは、「もんじゃ!」って呼びながら近づいてったんだけど、もんじゃは、カラス避けのネットの隙間から1つのゴミ袋を引きずり出して、それを破いて、中からロールパンを見つけて食べてるとこだった。それを見た瞬間、あたしは、胸が締めつけられるような思いがした。もんじゃが残飯をあさってたこともショックだったけど、それがパンだってこともショックだった。本来、肉食動物の猫が、パンを食べるってことは、ホントに飢えてるからだ。

あたしは、もんじゃに「待っててね!」って言って、走ってマンションに戻った。そして、カップ麺の容器にカリカリを入れて、急いで階段を下りた。そしたら、マンションの入口を出たとこで、ゆうべの雨で濡れてた床で足を滑らせて、「あっ!」っと思った時にはシリモチをついて、そこら中にカリカリをぶちまけちゃった。お尻と腕が痛かったけど、必死にカリカリを拾い集めて、またお部屋に戻った。スカートのお尻もブラウスも汚れてたけど、着替えなんかしてる時間はないから、そのままのカッコで、新しいカリカリを容器に入れて、今度は足元に気をつけてマンションを出た。

もんじゃは、待っててくれた‥‥っていうか、ロールパンを半分くらい食べたとこだった。それで、あたしがカリカリを置くと、狂ったように食べ始めた。やっぱり、パンなんかよりも、カリカリのほうが美味しいよね。もんじゃ、いっぱい食べてね‥‥。あたしは、もんじゃが食べ終わるまでしゃがんで見てて、食べ終わってから抱き上げようとしたら、もんじゃは少し怖がって体を硬くした。仕方ないから、そのままで頭や背中を撫でてたら、だんだんに緊張がほぐれて来て、あたしの足に頭をグリグリと押しつけて来た今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、10日くらい前に、この辺で見かけたことのない猫が来た。一番大きなマイケルとおんなじ茶トラなんだけど、痩せてて小さいから、あたしは「マイケル」に「小」をつけて「コマイケル」って呼んだ。コマイケルは、男の子で成猫なんだけど、よほど酷い状況で育ったのか、発育が悪かったみたいで体は小さいし、痩せててアバラも浮き出てるし、毛も部分的に抜けてるし、目ヤニもすごかった。見た感じだと、猫エイズか猫白血病に感染してる確率が高そうだった。

それで、何とかしてあげたいと思ったんだけど、これりばかりはあたしの一存じゃ決められない。猫社会のことは猫たちが決めることなので、あたしは口を出すことができない。そして、ナリユキを見てたら、どうやらみんなは仲間に入れてやることにしたみたいで、誰も威嚇をしなかった。それで、あたしは、コマイケルに、消化のいいカンヅメと、タップリのお水をあげ始めた。コマイケルは、どこかで誰かからご飯をもらってたことがあるみたいで、すぐにあたしになついて、足に頭をグリグリするようになった。だから、とりあえず、獣医さんから分けていただいてる猫用の抗生物質を飲ませて、しばらく様子を見ることにした。

だけど、これが良くなかった。あたしが、コマイケルのことばかり構ってたら、5日目くらいから、もんじゃが顔を出さなくなっちゃったのだ。これは、ヤキモチなんていう低レベルのことじゃない。もんじゃは、なんとかみんなと馴染んだんだけど、それでもどうしても一定の距離を置いてた。たぶん、性格的な問題なんだと思うけど、もんじゃは、あたしにはベッタリとなついてたのに、他の子たちと直接のコミュニケーションをとろうとはしなかった。なんていうか、転校して来た子が、なかなかクラスに馴染めないでいるような感じだったのだ。

それで、あたしは、このクラスの担任の先生みたいな位置づけだった。転校生のもんじゃ君は、とっても恥ずかしがり屋さんで、あたしには何でも話すことができたのに、クラスの子たちと話すのは苦手だった。だから、あたしがいる時に、あたしを介してクラスの子たちとコミュニケーションをとることはできたけど、あたしがいなくなると、ポツンとひとりぼっちになっちゃってた。

‥‥そんなワケで、あたしが猫たちと一緒に過ごしてる時間は、1日に長くても1時間ほどだし、遅くまでお仕事があって他の人にご飯を頼んでる日は、丸1日、猫たちと会わない日もある。それでも、ほとんどの子は、猫同士でコミュニケーションをして、猫社会で生きてるから、猫たちから見れば、あたしは単なる給食のおばさんみたいなもんだ。「あそこに行けばご飯が食べられる」って思われてるだけだ。

もちろん、あたしは、マックスにしても、ジジにしても、ぺぺロンチーノにしても、それぞれとあたしとの個別のコミュニケーションがあると思ってる。だけど、それは、あたしが勝手に思ってるだけで、猫のほうにしてみたら、やっぱり1日の大半を過ごす猫社会のほうが「自分の世界」なワケだ。あたしの存在なんか、猫たちにしてみたら、すごくチッポケなものなのだ。

だけど、もんじゃだけは違ってた。夜のご飯の時間になると、アチコチから猫たちが集まって来るけど、どの子も「ご飯が目当て」なのに対して、もんじゃだけは、あたしが目当てみたいなとこがあった。きっとお腹が空いてるハズなのに、ガツガツと食べ始める他の子たちと違って、もんじゃだけは、まずはあたしの足に頭をグリグリして、ひとしきりあたしに撫でてもらってからじゃないと、ご飯を食べ始めなかった。だから、あたしは、転校して来て、まだクラスの子たちと馴染めない子が、担任の先生だけには笑顔を見せてくれてるみたいに感じてた。

それなのに、あたしは、新しく来たコマイケルのことばかり構ってた。あたしとしては、コマイケルの貧相な顔やガリガリの体を見てられなくて、とにかくシッカリと食べさせて、体力をつけてもらって、少しでも元気になってもらおうと思ってたから、どうしても、元気な子よりも優先しちゃってた。そして、コマイケルのことを「コマ」って呼ぶようになった5日目くらいから、もんじゃは顔を出さなくなった。

それでも、最初の2日くらいは、「たまたま今日は来ないんだろう」とか、「お腹が空けば顔を出すだろう」なんて思ってた。だけど、もんじゃの顔を見なくなってから3日目に、ちょっと心配になって、あたしは、いつももんじゃがいる空地を見に行ってみた。でも、そこにはいなかった。そして、4日目、5日目と過ぎて、あたしの不安はどんどん大きくなり、「本格的に探さなきゃ」って思い始めてた時に、ゴミ袋を破って残飯をあさってるもんじゃを見つけたってワケだ。だから、これまでの流れを知ってから、今日の日記のマクラの部分を読んでもらうと、あたしの感じた胸が締めつけられるような悲しさを分かってもらえると思う。

‥‥そんなワケで、あたしは、まだクラスに馴染めなくて、あたししか話し相手がいなくて、毎日あたしに会いに来てくれてたもんじゃのことを後回しにして、コマイケルばかりを構ってたってワケだ。そして、唯一の居場所がなくなったもんじゃは、静かに去って行って、ゴミをあさってたのだ。あたしは、パンなんかを食べてたもんじゃの顔が、頭から離れない。狂ったようにカリカリを食べてたもんじゃが、どれほどお腹を空かせてたのかって想像したら、たまらないほど胸が痛くなった。もんじゃのことがいじらしくて、やりきれなくて、申し訳なくて、言葉じゃ説明できない感情に包まれて、あたしは、涙が止まらなくなった今日この頃なのだ。

ごめんね、もんじゃ‥‥。


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