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2008.08.13

防弾しない防弾ブラ

オトトイの日記、「攻撃は最大のブラジャーなり」で取り上げたドイツの警察の「防弾ブラジャー」について、何人かの人から、「あれはブラジャー自体に防弾機能があるわけじゃない」っていう指摘のメールがあった。教えてくださった皆さん、どうもありがとう♪

 

で、どんなことなのかって言うと、市販のブラをつけた上に防弾チョッキを着てると、ピストルで撃たれた場合に、銃弾は防弾チョッキで食い止められるけど、その衝撃で、ブラのワイヤーやストラップの金具などが体に強く当たり、それでケガをするケースがあった。そのため、防弾チョッキの下につけててもケガの恐れがない、ワイヤーや金具などをいっさい使ってないブラを支給した‥‥ってことだったのだ。その記事をもう一度掲載する。

 

 

「ドイツ警察、女性警察官に『防弾ブラ』支給へ」(ロイター)

 

ドイツの警察では、女性警察官に「防弾ブラジャー」を支給することになった。このブラジャーは、白色の木綿地に「警察」と書かれており、防弾チョッキを着用する女性警官の護身の補強が目的。同国北部ハノーバー市の警察のスポークスマンは「防弾チョッキの下に金属部品を付けた普通のブラジャーを着用している女性警察官はやや安全上問題があった」とコメント。その上で「もしも防弾チョッキに投射物が命中した場合、下に着用したブラジャーの金属部分への衝撃で負傷する可能性があった」と、今回の「防弾ブラ」採用の理由を説明した。今後、ドイツ連邦警察に従事する約3000人の女性警官に対し、見た目はスポーツタイプで金属部品を使っていない、この「新型ブラ」を支給する予定。(2008年8月6日)

 

 

‥‥う~ん、そう説明されれば、そう読みとれないことはないけど、何も知らずにこの記事だけを読んだら、果たして正確に伝わっただろうか? 何の予備知識もなく、この記事だけを読んだら、「それだけじゃ完全な防弾効果はないけど、防弾チョッキと併用することによって、さらに強度が増し、銃弾の衝撃によるケガを防ぐこともできる機能を持ったブラジャー」って思うだろう。だって、ハッキリと「護身の補強が目的」って書いてあるし、何よりも、この「防弾ブラジャー」って名称が誤解を招くと思う。正しくは「防弾チョッキ用ブラジャー」って書くべきで、こう書いてあれば、誰も誤解なんかしなかったと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?

 

 

‥‥そんなワケで、この記事を書いた人自身が、原文をよく理解しないまま翻訳したのか、それとも、文字数の制限とかで、仕方なく分かりずらい表現を余儀なくされたのか‥‥ってことが気になったので、あたしは、ロイターの原文の記事を探して読んでみた。

 

 

「German police women get "bullet-proof bras"」

 

BERLIN (Reuters) - Thousands of German police women will receive what media have labeled "bullet-proof bras".
Made of white cotton and featuring the word "Polizei" (Police) along the seam, the bras are meant to better protect police women who wear bullet-proof vests.
"There was a slight safety risk for women wearing normal bras with metal parts underneath a bullet-proof vest," a police spokesman in the northern city of Hanover said.
"If the vest is hit by a projectile, this can have an impact on the metal bit in the bra underneath and cause injuries."
Some 3,000 police women working for Germany's federal police will be equipped with the new bras which feature no metal parts and look like sports bras, the spokesman said.

 

http://www.reuters.com/article/newsOne/idUSL567727920080805

 

 

なんじゃこりゃ~! 原文にもハッキリと「bullet-proof bras(防弾ブラ)」って書いてアルジャジーラ!‥‥ってなワケで、ザッと直訳すると、こんな感じだ。

 

 

「ドイツの婦人警官は『防弾ブラ』をゲットします」

 

何千人ものドイツの婦人警官は、「防弾ブラ」と呼ばれるブラジャーを支給されることになった。それはホワイトコットン製で、「Polizei(警察)」と書かれており、防弾チョッキを着用する婦人警官をより良く保護するためのものである。「防弾チョッキの下に金属の部品のついた通常のブラジャーを着用していると、安全上わずかなリスクがあった」と、ドイツ北部のハノーバー市の警察のスポークスマンは言った。「防弾チョッキに発射物が当たった衝撃で、その下のブラジャーの金属の部品がケガの原因になることがあった」ドイツの警察に勤務している約3000人の婦人警官は、この新しいブラ(金属の部品を使用していない、スポーツブラに似たもの)を支給される。

 

 

‥‥そんなワケで、この原文の記事をニポン語に訳した人は、ただ単に「直訳」しただけで、文字数の制限のために短くマトメたワケでもなければ、分かりやすくするために工夫したワケでもなかった。まるで自動翻訳機か何かで訳したかのごとく、英文で書かれてたことをそのままニポン語に「直訳」しただけで、そこには、「少しでも分かりやすく伝えよう」とか「誤解を招く表現は回避しよう」とかって考えは皆無だったのだ。

 

だって、もしもあたしが担当者だったら、この「直訳」じゃ誤解されると思うから、最低でも「防弾ブラジャー」を「防弾チョッキ用ブラジャー」って書くし、「the bras are meant to better protect police women who wear bullet-proof vests.」の部分を「防弾チョッキを着用する女性警官の護身の補強が目的」だなんて訳さない。「meant to better protect」は「より良く保護する」であって、決して「護身の補強」とは訳さない。だって、根本的に意味が違っちゃう上に、ヨケイに誤解させちゃうからだ。

 

だけど、これを単に「英語力の低い人が担当した」って考えるのはシロートだと思う。この人だって、こうしたお仕事をしてる以上、ある程度以上の英語力も国語力もあるだろうから、絶対に「防弾チョッキ用ブラジャー」って書いたほうが誤解されないってことくらい分かってたハズだ。じゃあ、何でこんな書き方をしたのかって言えば、それは、誤解させることが目的だったからだとしか思えない。つまり、「防弾チョッキ用ブラジャー」って書くよりも、「防弾ブラジャー」って書いたほうが、より多くの人が記事に興味を示すから、意図的にそうした疑いがあるってことだ。

 

その上、原文にも「bullet-proof bras」って書いてあったんだから、少なくともウソを書いたことにはならない。原文に「The bras for bullet-proof vests」って書いてあったんなら、「防弾チョッキ用ブラジャー」って訳さないとウソになるけど、原文自体が誤解を招くような表現を使ってるんだから、それを「直訳」した人は、「不親切でセンスの悪い訳だな」とは思われるけど、何の責任も生じない。つまり、仮に読者から「あんな書き方をするから誤解したじゃないか!」ってクレームが来たとしても、「私は原文を忠実に直訳しただけですから、文句は原文を書いた人に言ってください」って責任転嫁ができるワケだ。

 

で、ホントなら、この場合は、「責任転嫁」とは言わない。だけど、あたしは、この記事を訳した人が、「これは『防弾チョッキ用ブラジャー』って訳さないと誤解されちゃうけど、記事としての注目度を高めるためにも、ここはあえて誤解されるように『防弾ブラジャー』のままで行こう!」って考えたって推測したので、いくら原文に忠実な直訳でも、翻訳者としての最低限の責務を果たしてないってことから、ワザと「責任転嫁」って言ってみた。いくら自分に責任が生じないように立ちまわっても、それが故意であれば、法的な責任は生じなくても、プロとしての責任が生じるって見解からだ。

 

‥‥そんなワケで、新聞よりもネットのニュースをよく読むあたしとしては、ついついタイトルに騙されちゃうことがある。ネットのニュースの場合は、たいてい13文字くらいにタイトルをマトメてて、それをクリックすると本文が読めるようになってるんだけど、ネットニュースを専門にしてる低俗な配信元とかは、「いかにクリックさせるか」ってために、詐欺みたいなタイトルをつけてることが多い。

 

たとえば、「ファンの裏切りでキンキ号泣」って芸能記事のタイトルを見れば、キンキキッズのファンじゃなくても興味を示すだろう。あたしみたく、キンキキッズが大っ嫌いな人でも、「何があったのかな?」って思って、ついクリックしちゃう。そうすると、「キンキキッズのコンサートで、ファンたちがメンバーのお誕生日を祝うサプライズを行ない、メンバーが感激して泣いた」っていう記事だった。だから、タイトルにウソはないんだけど、オレオレ詐欺に引っかかったような気分になっちゃう。

 

こないだも、おちまさとさんが結婚したって芸能記事があったんだけど、普通に「おちまさと氏が結婚」てタイトルにしても、多くの人は興味を示さないと思ったみたいで、「芸能界のあの有名人が結婚」てタイトルになってた。ようするに、「おちまさと氏が結婚」てタイトルだと、そのタイトルだけで「あっそう」って思って終わっちゃうけど、「芸能界のあの有名人が結婚」てタイトルなら、多くの人がクリックして記事を読むってことなのだ。

 

まあ、こういうのもひとつの作戦だから、タイトルに釣られてクリックしても、記事を読んでホントのことが分かれば、「そうだったのか」ってことになる。ムカツクことはムカツクけど、「うまいタイトルを考えたもんだな」って気持ちもあるし、わずか数十秒のことだから、アトを引くほど悔しくはならない。だから、今回の「防弾ブラジャー」の記事にしても、タイトルは「女性警察官に『防弾ブラ』支給へ」で何も問題はなかった。このタイトルに釣られて思わずクリックしても、記事にはちゃんと「防弾チョッキ用ブラジャー」って書いてあれば、「そうだったのか」ってことになってた。だけど、今回の記事は、タイトルだけじゃなくて、記事までもが誤解を招くような書き方だったから、あたしはミゴトに騙されちゃったってワケだ。

 

‥‥そんなワケで、とにかく、あたしが「防弾ブラジャー」だと思ってた「防弾ブラジャー」は「防弾ブラジャー」じゃなかったってワケで、その上に防弾チョッキを着ないと意味がない単なる「スポーツブラ」だったってワケだ。だから、あたしの護身計画は、イチから考え直さないとダメになった。だけど、ドイツの警察でさえも開発してない「防弾ブラジャー」を一般の下着メーカーが開発するワケなんかない‥‥って思ったのもトコノマ、ニポンには、とんでもないバカ・ブラジャーを次々と作り出してる「トリンプ」があった! それに「トリンプ」って、もともとはドイツで生まれたメーカーなんだから、ドイツの防弾技術を盛り込むことも可能かもしれない。だから、「トリンプ」の関係者の皆さん、次のバカ・ブラジャーは、ぜひ、「防弾ブラジャー」にして欲しいと思う今日この頃なのだ。

 

 

「トリンプのバカ・ブラジャー列伝」
http://homepage1.nifty.com/SiteK4/tri/

 

 

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