ついウッカリのベジタリアン
あたしは、牛や豚や鶏のお肉を食べることをやめてから、自分のことを「ユルユルのベジタリアン」だとか「ヘナチョコベジタリアン」だとかって名乗って来た。だけど、「ベジタブル」ってのは「お野菜」のことなんだから、「魚介類はOK」にしてるあたしの場合には、「ユルユル」であろうと「ヘナチョコ」であろうと、やっぱ、「ベジタリアン」を名乗る資格はないと思う。これは、当初から自分でもウスウスとは気づいてたことなんだけど、適切で分かりやすい言葉がなかったから、暫定的に使ってたみたいな感じだった。
ようするに、「ベジタリアン」て言葉の意味を「お野菜しか食べない人」っていう狭義でとらえるか、それとも、「お肉を食べない人」っていう広義でとらえるかってことで、あたしの場合は後者だったから、広義であることをフォローする意味もあって、「ユルユル」とか「ヘナチョコ」とかをつけ足してたワケだ。そして、この「お肉を食べない人」の「お肉」には、もちろん「魚肉」は含まれない。重箱の隅っぽいことが好きな人からは、「魚類だって動物だろう」とかって言われちゃいそうだけど、ここが、あたしの「食べ分け」の最大のポイントになってる部分なのだ。
あたしが、牛や豚や鶏のお肉を食べることをやめた最大の理由は、あまりにも残酷な屠殺の実態を知ったからだ。だから、「ニポンに出回ってるお肉のほとんどは健康に害がある危険なもの」であり、できるだけお肉を食べないようにしたほうが長生きできるってことは、あとから分かった副産物的なメリットであって、直接の理由は、あくまでも「動物がかわいそう」ってことが基本になってる。だけど、この「かわいそう」って気持ちって、人それぞれの主観によって決まるアヤフヤな感覚だから、ハッキリとしたモノサシがない。それで、あたしが思いついたのが、「自分の手で殺せる生き物だけを食べよう」っていう「俺様ルール」だったってワケな今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、猫が大好きだし、犬も好きだし、パンダもレッサーパンダもワオキツネザルも大好きだ。他の動物もみんな好きだし、スズメやセキレイなんかの鳥も大好きだ。もちろん、自分の手で猫を殺すことなんてできないし、スズメだって絶対に殺せない。そんな残酷なことなんか、できるワケがない。それなのに、以前は、何の違和感も覚えずに、牛や豚や鶏を平気で食べて来た。それは何でかっていうと、牛や豚や鶏の場合は、すでにスライスされたり、挽肉になったりして、パックに入って売られてるからだ。あたしたち消費者は、残酷な屠殺の現場に立ち会うことなく、文字通り「美味しい部分」だけをお金で買ってたのだ。あたしは、これほど無責任なことはないと思った。
あたしは、どんなに牛肉や豚肉が食べたかったとしても、目の前に可愛い子ウシや子ブタがいて、それを自分の手で殺して、ノコギリや大きな包丁で解体しなきゃなんないとしたら、そんなことは絶対にできない。それどころか、ニワトリの首をひねって殺すこともできない。つまり、あたしには、牛や豚や鶏を食べる資格がないって思ったのだ。
猫を殺して食べてる中国人や、犬を殺して食べてる韓国人を見ると、他国の食文化なんだから仕方ないとは思いつつも、やっぱり、あたしは、自分の身を切り裂かれるほど辛くて悲しい気持ちになる。中国人が木の棒で猫の頭を叩いて殺してる映像を観た時には、涙が止まらなくなったどころか、あまりの恐ろしさに過呼吸で死にそうになった。
だけど、前にも書いたけど、あたしたちニポン人だって、つい200年ほど前までは、普通に猫を殺して食べてたし、つい100年ほど前までは、犬も殺して食べてた。そして、今でも、クジラやイルカを殺して食べてる。クジラやイルカを殺して食べてるあたしたちニポン人を見て、欧米の人たちが感じる気持ちも、あたしが中国人や韓国人を見て感じた気持ちとおんなじだろう。
でも、こんなふうに、どこかの国の人たちが、他国の食文化を見て、「かわいそう」とか「残酷だ」とかって感じるのは、常に、牛や豚や鶏以外の動物なのだ。「ナントカ教の信者は豚肉を食べない」とか、そうした特殊な例を除けば、牛や豚や鶏って、世界的に人間に食べられるために生産されてる「家畜」であって、「動物」とは見られてないのだ。
あたしには、これが理解できないし、どんなに理解しようと思っても、そこに「命」が存在する以上、「家畜は動物じゃない」とか、「家畜を殺すことは罪にならない」なんて考え方は、人間の自分勝手な屁理屈にしか聞こえないのだ。牛だって豚だってニワトリだって、生まれた時から名前をつけて飼ってて、家族の一員みたいに暮らして来て、猫や犬のように意思の疎通もできるようになってたら、決して殺すことなんてできないと思う。自分の飼ってる猫や犬は殺せないのに、自分の飼ってる牛や豚なら割り切って殺すことができるなんて人、いるんだろうか?
まあ、人は十人十色だから、中にはそうした人もいるだろう。だから、そうした感覚の人は、普通に牛肉や豚肉を食べても、何も感じないんだと思う。だけど、あたしの場合には、自分が殺すことのできない動物をどこかの誰かに自分の代わりに殺させて、そのお肉をお金で買って食べるって行為に、ものすごい罪悪感を覚えたのだ。だから、他の人たちのことは関係なく、あたし自身の心の問題として、「自分の手で殺せない生き物は、できる限り食べないようにしよう」って決めたワケだ。
‥‥そんなワケで、あたしは、まだ生きてるアジやサバを自分でさばくことができる。まだ生きてるイカをお刺身にすることもできるし、まだ生きてるタコを塩もみしてから、お鍋の沸騰したお湯の中に入れることもできる。まだ生きてるサザエを網に乗せてツボ焼きにすることもできるし、まだ生きてるアサリをフライパンで酒蒸しにすることもできる。だから、「魚介類はOK」なのだ。
ただ、これも前に書いたけど、あたしにもジレンマがある。それは、あたしが、黒メダカとクチボソを飼ってるってことだ。いくら「魚介類はOK」って言っても、何年も飼ってる黒メダカやクチボソを水槽からすくって、それを殺して食べることなんて絶対にできない。それなのに、魚屋さんで買って来たお魚なら「かわいそうじゃない」なんて、こんなにおかしなことはない。自分の飼ってる猫を殺すことはできないけど、中国の市場で売ってる猫なら殺して食べることができる‥‥ってこととおんなじだと思った。
だから、この点に関してだけは、未だに自分として納得できる答えが出てない。自分の飼ってる黒メダカやクチボソを殺して食べられないんだから、それならすべての魚介類を食べないようにすべきじゃないのか? それとも、これは長く飼ってたことによる特別の感情であって、多摩川でクチボソを獲ったばかりなら、自分の手で殺して食べることができるんだから、「魚介類はOK」でいいんじゃないのか? この答えは、まだ分からない。
でも、あたしは、ヘンテコな宗教や思想とかで食生活を縛られてるワケでもないし、高尚な人間ぶるために「非肉食」を気取ってるワケでもなくて、いつでも自分の気持ちに素直に生きてるだけだ。そして、その結果が「今のあたし」なんだから、「完璧じゃなきゃダメ」なんていう堅苦しい考えじゃない。いつでも、「気づいた時に直せばいい」っていうユルユルのスタイルで生きてるから、このお魚の問題にしても、いつか何かのキッカケで、パッと答えが分かる日まで、そんなに難しく考えずに、常に「命をいただいてる」ってことに感謝しながら、魚介類を食べてけばいいと思ってる。
‥‥そんなワケで、あたしには、このお魚の問題よりも、もっとセッパ詰まった問題がある。それは、「タマゴ」に関しての問題だ。ちょっと前に、「ついウッカリとマヨネーズを食べてた」ってことを書いたけど、現代人が現代的な生活をしてると、この「ついウッカリ」があまりにも多くて、そのほとんどが「タマゴ絡み」なのだ。今年になってからのことだけを振り返ってみても、こないだのマヨネーズの他にも、いろんな「ついウッカリ」がある。
たとえば、数日前にも、こんなことがあった。お仕事が夜まで掛かっちゃって、みんなお腹が空いて来て、アシスタントの子がマックとコンビニに買い出しに行ってくれることになった。それで、あたしは、マックは食べられないから、コンビニで何か買って来てもらおうと思ったんだけど、アシスタントの子から、「今、夕方の5時からフィレオが100円になってるから、この時間なら100円で買えますよ」って言われたのだ。それで、あたしは、久しぶりに食べてみたくなって、次の日の朝のぶんも欲張って、2個も頼んじゃった。で、食べる段になって、初めて、タルタルソースが入ってたってことに気づいたのだ。
もちろん、せっかく買って来てもらったものだから、美味しくいただいたし、次の日の朝も食べた。だけど、マヨネーズがタマゴで作られてることを忘れてて、ヘナチョコベジタリアン宣言してからもウッカリと買ってたってことを日記に書いて、その時に「タルタルソースもダメってことだ」とまで書いたのにも関わらず、このアリサマだ。
でも、これなら、まだ「ついウッカリ」で許される部分もある。これよりも最悪なのが、1ヶ月くらい前のことだ。忙しくて朝から何も食べてなくて、お仕事の帰りに車を運転しながらお腹がペコペコで死にそうになった時に、目の前に「ほっかほっか亭」があったのだ。それで、お家に帰ってからご飯を炊いたりする気力も残ってなかったから、久しぶりにゼイタクして「ほっかほっか亭」の「のり弁」を買って帰ることにした。で、「ほっかほっか亭」の「のり弁」て、ノーマルは290円なんだけど、タルタルソースをつけると20円増しで310円になる。そう、カンのいい皆さんには、もうお分かりだと思うけど、「白身フライにはタルタルソース」ってことを長年のポリシーとして生きて来たあたしは、ここでも、「久しぶりのゼイタクなんだからタルタルソースをつけよう」って思って、310円を払っちゃったのだ。
そして、あたしは、ぜんぜん自覚がないまま、お家まで運転して帰って来た。あまりにもお腹がペコペコで、久しぶりに「ほっかほっか亭」の「のり弁」が食べられることが嬉しかったから、「早く食べたい」「早く食べたい」って思ってて、自分が犯した「タルタル違反」については、白身フライにタルタルソースをかけるまで、まったく気づかなかったのだ。もちろん、これも、サクサクと美味しくいただいたんだけど、マックの場合よりも遥かに大きなミスだった。マックのフィレオフィッシュの場合なら、最初からタルタルソースが入ってるんだから、フィレオフィッシュを注文した時点での「ついウッカリ」ってことになる。だけど、「ほっかほっか亭」のパターンは、もともとタルタルソースのついてない「のり弁」に、わざわざ別口で20円払ってつけてもらっちゃったんだから、どんなイイワケも通用しないほどの大きなミスってことになる。
‥‥そんなワケで、あたしは、こんな感じの「ついウッカリ」が続いてることから、だんだんにメンドクサクなって来た。だって、もともとは、牛肉を食べるのはやめたけど、牛乳やチーズはOKだったし、鶏肉を食べるのはやめたけど、タマゴはOKだったのだ。世の中に出回ってるタマゴなんて、ほとんどが無精卵なワケで、無精卵はどんなに暖めても孵化しないんだから、それを食べたって動物を殺したことにはならないからだ。だけど、何となく、「せっかくだからタマゴもやめとくか」って感じの軽い気持ちから、タマゴも「NG食品」のほうに分類しただけなのだ。
だから、今のあたしの率直な気持ちとしては、タマゴそのものを食べることはしないけど、マヨネーズとかタルタルソースに入ってるくらいならOKにしちゃってもいいかな?って思い始めてる。タマゴを食べるとか食べないとかっていう物理的なことよりも、こんな細かいことにまで神経を使ったり、マヨネーズやタルタルソースを「ついウッカリ」と口にしちゃうたびに罪悪感にかられたりしてることのほうが、遥かに精神衛生上のマイナスだと思ったからだ。そして、こんなことを考え始めてたあたしに、数日前、トドメの出来事が起こったのだ。
夜、地元のお友達が、近くまで来たからって、急に遊びに来た。お土産は、カップ麺だった。その子は、「きっこはお肉を食べなくなったって言ってたけど、すごくいいのが新発売したよ」って言って、カップヌードルの「シーフードカレー」ってのを買って来てくれた。あたしは、カップヌードルのカレーが好きだったんだけど、ヘナチョコベジタリアンになってからは、お肉が入ってるからずっと食べてなかった。だけど、シーフードならOKってことで、お腹も空いてたし、すぐにお湯を沸かして、一緒に食べることにした。
それなのに、いざ食べようとしたら、お肉は入ってないけど、例のスポンジみたいなタマゴが入ってたのだ。これも、もうお湯を入れて作っちゃったから、あたしは残さず感謝していただいたんだけど、何だか、逃げても逃げてもどこまでもタマゴが追って来るようで、ほとほと疲れちゃった。その上、念のためにフタに書いてあるちっちゃい文字を読んでみたら、麺の中にもスープの中にも「ポークエキス」だの「チキンエキス」だのが入ってたのだ。これじゃあ、もしもタマゴが入ってない「完全なるシーフード」のカップヌードルが発売されたとしても、食べることができないってワケだ。
‥‥そんなワケで、あたしは、お気楽にタラタラと続けて来た「ヘナチョコベジタリアン」だけど、根本的に「魚介類はOK」って部分に引っ掛かってた上に、どんなに気をつけても「ついウッカリ」を連発しちゃうし、このカップヌードルの「シーフードカレー」みたく、思いもしなかったところに敵は潜んでるワケだから、これ以上、こんなことに精神をすり減らしてく自信がなくなって来た。だから、まずは「ヘナチョコベジタリアン」ていう名前を返上して、あくまでも「牛や豚や鶏などのお肉をできるだけ食べないようにする人」ってことを全面に押し出して、細かいことは気にしないことにした。だけど、いちいち「牛や豚や鶏などのお肉をできるだけ食べないようにする人」だなんて長い説明をしてられないから、新しい名前を考えることにした。それで、「ベジタブル」ってのは「お野菜」のことだから、お魚やタルタルソースを食べちゃうあたしが「ベジタリアン」を名乗るのはオコガマシーけど、「ベジータ」なら「サイヤ人の王子」の名前だから、ヒタイの生え際がリトル気になっちゃうけど、これからは「ヘナチョコベジータリアン」て名乗ってみようかと思う今日この頃なのだ(笑)
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