晋世紀アヴェンゲリオン~三人目の適格者~
西暦2006年、国民の格差拡大による世界的危機、「コイズミインパクト」から復興しつつあった現代に、突如、「アベ」と呼ばれる謎の使徒が襲来する。「アベ」は、その正体も目的も不明だが、オチョボグチから飛び出すさまざまな増税、年金問題、教育法改悪、憲法改悪、非核三原則の無視などで国民に戦いを挑んできた。この謎の敵「アベ」に国民が対抗する唯一の手段が 「汎用人型決戦兵器アヴェンゲリオン」である。政府直属の特務機関「ジミン」の世田谷支部「ニコタマ」によって主人公、碇シンゾを含む3人の少年少女がその操縦者に抜擢された。しかし、碇シンゾは、自分の無能さが招いた「サンイン戦」での歴史的惨敗によって、自らが志願したアヴェンゲリオンのパイロットの座を無責任にも途中で放棄してしまう。そのため、現在は、シンゾの代わりに、国民とのシンクロ率が極めて低い欠陥パイロット、渚ヤスヲが、アヴェンゲリオン四号機を操縦することになったのだ。今、国民の命運を掛けた新たなる戦いの火蓋が切って落とされる。果たして「アベ」の正体とは? 少年たちの、そして国民の運命は?
主題歌 「残酷な自民のセージ」
残酷な~弱者切り捨て~国民よ~奴隷にな~れ~♪
チャンチャンチャチャチャ~ チャチャチャチャチャチャ~チャ♪
チャンチャンチャチャチャ~ チャチャチャチャチャ~チャ~♪
向かい~風が今~支持率を下げても~♪
政権だけを~ただ死守して~大増税しよう~♪
官僚と~癒着して~絞り取ることに夢中で~♪
国民は~まだ知らない~裏で糸引くナンミョ~♪
だけどいつか~気づくでしょう~その背中には~♪
近い未来に~絶望した~自殺者がいること~♪
ナンミョ~の~言いなりになり~定額減税~税金バラ撒き~♪
やることすべて~選挙対策~目先の金で~国民騙せ~♪
第壱拾七話 「三人目の適格者」
第3新東京市に、突如現れた第13使徒「オオタノースイ」は、強力な磁力装置で、国民ひとりひとりの税金を吸い取り始めた。迎撃に向かったアヴェンゲリオン四号機をも巨大な体で包み込み、パイロットの渚ヤスヲごと体内に取り込もうとした。危機一髪のところで、援護の零号機と弐号機に助けられたヤスヲだったが、四号機はほとんどのエネルギーを吸い取られてしまった。アヴェンゲリオンの機体やエネルギーも国民の税金でまかなわれているのだから、「オオタノースイ」は莫大な税金を吸い取ったということになる。
つまり、今回の戦いは、使徒を殲滅することには成功したが、国家国民に対して大きな損害を与えてしまったということになる。そのため、ヤスヲと、ヤスヲの司令官である葛城アキエ三佐の2人は、「ジミン」の本部に呼び出されてしまった。しかし、本部に向かったのは、アキエ1人であった。
ナベツネ 「今回の使徒、オオタノースイに取り込まれそうになった四号機パイロットは、直接尋問を拒否したそうだな、葛城三佐」
アキエ 「はい、彼の情緒は大変不安定です。今ここに立つことが良策とは思えません」
ナベツネ 「では聞こう、代理人葛城三佐。先の問題だが、アベがわれわれ人類にコンタクトを試みたのではないのかね?」
アキエ 「パイロットの報告からは、それを感じ取れません。イレギュラーな事件だと推定されます」
ナベツネ 「彼の記憶が正しいとすればな」
アキエ 「記憶の外的操作は認められませんが‥‥」
ナベツネ 「アヴェのACレコーダーは作動していなかった。確認はとれまい」
モリ 「アベは国民の精神、心に興味を持ったのかね?」
アキエ 「その返答はできかねます。果たしてアベに心の概念があるのか、国民の思考が理解できるのかは、まったく不明ですから」
モリ 「今回の戦闘では、アベが国民の税金を体内に取り込んだという新たな要素がある。これが予測されうる第13使徒以降とリンクする可能性は?」
アキエ 「これまでのパターンから、アベ同士の組織的なつながりは否定されます」
ナベツネ 「さよう、単独行動であることは明らかだ。これまではな‥‥」
アキエ 「それは、どういうことなのでしょうか?」
ナベツネ 「君からの質問は許されない」
アキエ 「はい」
ナベツネ 「以上だ。下がりたまえ」
アキエ 「はい」
―― 退室するアキエ。
ナベツネ 「どう思うかね? モリ君」
モリ 「アベは知恵を身につけ始めています。残された時間は‥‥」
ナベツネ 「後わずか‥‥と言うことか」
一方、世田谷支部「ニコタマ」では、第13使徒「オオタノースイ」との情けない戦いで、完全に国民からサジを投げられてしまったヤスヲが、エントリープラグに入ってシンクロ率の計測を続けていた。ヤスヲの四号機は修理中のため、逃げだしてしまったシンゾの初号機を使っていた。
伊吹マヤ 「エントリー、スタートしました」
オペレータ 「LCL電化}
マヤ 「第一次接続開始」
赤木ユリコ 「どう? ヤスヲ君、初号機のエントリープラグは」
ヤスヲ 「な、なんだか‥‥変な気分です‥‥」
マヤ 「違和感があるのかしら?」
ヤスヲ 「いえ‥‥ただ、シンゾ君の匂いがする‥‥」
惣流アスカ 「何が匂いよ!変態じゃないの?」
マヤ 「データ受信、再確認。パターングリーン」
オペレータ 「主電源、接続完了。各拘束具、問題なし」
ユリコ 「了解。では相互間テスト、セカンドステージへ移行」
マヤ 「初号機、第2次コンタクトに入ります」
―― その日の夜、アキエが戻って来た。
アキエ 「どう? ヤスヲ君の状況は」
ユリコ 「やはりダメだったわ。国民の意識とのシンクロ率は5%にも達しないの」
アキエ 「前回までは、20%前後の数値は出てたわよね?」
ユリコ 「ええ、それでも他のパイロットたちよりは遥かに低かったけど、今回のこの数字はあまりにも‥‥」
アキエ 「もう国民から完全に見放された、ということ?」
ユリコ 「どうやら、そのようね‥‥本人も自覚していたようで、さっき、荷物をまとめて出て行ったわ」
アキエ 「ふうっ‥‥仕方ないわね。そうなると、また次のパイロットを探さなくちゃね」
ユリコ 「シンゾ君とヤスヲ君に次ぐ三人目の適格者は、すでにモリ司令が見つけ出しているわ」
アキエ 「ええ?」
ユリコ 「ヤスヲ君のクラスメートのタロウ君よ」
アキエ 「え? あの劣等生の麻生タロウ君?」
モリ 「ああ、そうだ」
アキエ 「あっ!モリ司令!お戻りになったのですか?」
モリ 「ああ‥‥それにしても、ナベツネの爺さんにはまいったよ。あの爺さんのバックには、例のカルト教団や経団連もついているから、アヴェのパイロットの選択にも、自分たちの利権を守るために口を出して来る」
アキエ 「それで司令、次のパイロットが麻生タロウ君というのは‥‥」
モリ 「ああ、そうだ。あの爺さんからの指示なのだから、バックのカルト教団や経団連の意向なんだろう」
ユリコ 「やはり、そうでしたか‥‥」
モリ 「それだけじゃないんだ赤木君。実は、君にもパイロットの選抜に名乗り出るようにとの指示があったのだ」
ユリコ 「ええっ!?」
モリ 「莫大な税金を投入してスタートしたアヴェンゲリオン計画だったが、最初のパイロットであるシンゾ君は、期待していた国民たちに情けない姿を晒し続け、最後にはパイロットの座を丸投げして逃げ出してしまった。そして、次のヤスヲ君も、あまりの無能さで国民の信頼をまったく得ることができず、国民とのシンクロ率が低迷したまま、とうとう嫌になってパイロットの座を丸投げしてしまった」
ユリコ 「はい‥‥」
モリ 「この2人が醜態を晒し続けたことによって、国民は、アヴェンゲリオン計画だけでなく、われわれの組織自体に信頼を失っているのだよ。だから、今後どんなに優秀なパイロットを探し出して来ても、国民は納得しないだろうし、当然、シンクロ率も期待できない」
ユリコ 「‥‥‥‥」
モリ 「国民とのシンクロ率が上がらなければ、アヴェを思い通りに動かすことができない。アヴェが思い通りに動かなければ、われわれの『フトコロ補完計画』も遂行できない」
ユリコ 「そのために、タロウ君を?」
モリ 「そうだ。この最悪な状況を何とか打破するために、ナベツネの爺さんは、知能は低くても父親が財界に太いパイプを持っているタロウ君を選んだのだ」
ユリコ 「でも、私までパイロットの選抜に出ろと言うのは?」
モリ 「君はデキレースのためのアテ馬だよ。国民に何も説明せずにタロウ君を次期パイロットに決めても、かつての信頼を取り戻すことはできない。そこで、女性である君にもパイロットに立候補してもらい、今度のパイロットの選抜を華々しく行ない、国民にもう一度われわれの存在や必要性をアピールするという作戦なんだ」
ユリコ 「それでは、また国民を騙すことに‥‥」
モリ 「何を言っているんだ赤木君。われわれジミンの『フトコロ補完計画』自体が、架空の敵であるアベから国民を守るというシナリオを作ってバカな国民を騙し、防衛費という名目で多額の税金を巻き上げ、この国の上層部の者たちだけが潤うというものなのだから、今さら騙すも何もないだろう」
ユリコ 「でも、それではあまりにも国民が‥‥」
モリ 「赤木君、この世の中は、99%の『搾取される側の人間』と、1%の『搾取する側の人間』でできているのだよ」
ユリコ 「‥‥‥‥」
モリ 「そして、君も私も、この1%の側の人間なのだ。今の裕福な生活を手放したくなければ、黙って上からの指示に従っていればよいのだ」
ユリコ 「でも‥‥」
モリ 「君はまだ分からないのかね? ATフィールドの意味が!」
ユリコ 「え? もしかすると、ATフィールドのATとは、麻生‥‥タロウ?」
モリ 「その通りだ」
ユリコ 「‥‥はい、分かりました。指示に従います」
こうして、アヴェンゲリオンのパイロットの座には、任務を丸投げして逃げ出したヤスヲの代わりに、劣等生のタロウが座ることになった。そして、本来ならば莫大な税金をムダ遣いして国民に迷惑をかけるこの交代劇に、女性であるユリコを参加させて華々しいデキレースを行ない、組織の宣伝に利用することになった。これも、組織の裏で糸を引く、例のカルト教団と経団連の書いたシナリオなのだが、すべてはモリ司令の言う「1%の側の人間たち」の演出であり、それに騙されるのが、残りの99%の国民たちなのである。つまり、自分たちが騙されていることに気づいていない国民がいる限り、アベという使徒は、次々とこの国を攻撃して来るのだ。永久に‥‥。
【完】
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