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2008.09.08

時代を超える時代劇

前に、北海道が実家のヘアメーク仲間から、実家から送ってもらったスルメをオスソワケしてもらったってことを書いたけど、あたしがあまりにも喜んでたら、今度は「サキイカ」をオスソワケしてくれた。「オスソワケ」って言っても、コンビニの一番大きなレジ袋くらいのビニール袋にパンパンに入ってるほどの量のうち、「私はそんなに食べないから」って言って、半分以上も分けてくれた。だから、ものすごい量で、お家に帰って来てキッチンのハカリで量ってみたら、335gもあった。コンビニで300円くらいで売ってるサキイカって、だいたい50gから60g程度だから、6~7袋ぶんてことになる。

コンビニのサキイカは、たいていは輸入モノのイカで作られてるけど、これは北海道で獲れたイカで作った手作り品だから、比べ物にならないほど美味しかった。調味料以外の添加物は使われてないし、味はシッカリしてるし、歯応えも申し分ないし、噛んでるうちに旨味がどんどん出て来るから、強めの焼酎にピッタリって感じだった。それで、あたしは、あまりにも量があるので、このうちの100gぶんを「きっこ風オジンオムチム」にすることにした。4月23日の日記、「イカすオツマミ天国」で紹介した、韓国のサキイカの和えものをあたし風にアレンジしたものだ。

で、チャチャッと作ってみたら、モトのサキイカが良いものだったので、バツグンに美味しいオジンオムチムができちゃった。これなら、普通の焼酎だけじゃなくて、クセの強い泡盛にも相性が良さそうだ。それで、あたしは、お中元にいただいた「久米仙」の43度のク―スー(古酒)、「でいご」をロックで飲むことにした。一升瓶だから、どっしりと腰を据えて、大きめの湯呑で飲むのがスタイリッシュなワケで、これぞ筋金入りのオヤジギャルの末路って感じがする今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、久しぶりに映画でも観ながら飲もうと思ったんだけど、サキイカで作ったオジンオムチムをオツマミにして、一升瓶の泡盛を湯呑で飲むってことは、「SEX AND THE CITY」みたいなオシャレな映画なんか絶対に似合わない。最低でも「邦画」であることは譲れないし、ここ10年くらいの新作もNGだ。昭和の匂いがする邦画じゃないと、このシチュエーションには似合わない。できれば時代劇がいいし、できれば「遠山の金さん」とか「水戸黄門」とかの分かりやすい勧善懲悪モノがいい。

もちろん、今どきの、松平健の「遠山の金さん」とか、里見浩太朗の「水戸黄門」みたいな、時代劇としての味わいがゼロの最悪なヤツじゃなくて、古き良き時代の作品だ。テレビの「遠山の金さん」なら、やっぱり丸顔の中村梅之介が一番いいし、映画の「遠山の金さん」なら、片岡千恵蔵でキマリだろう。テレビの「水戸黄門」なら、何と言っても東野英治郎しかいないし、映画の「水戸黄門」なら、月形龍之介が好きだ。それで、あたしは、何かピッタリの時代劇をやってないかと思って、GyaOを覗いてみた。

そしたら、残念なことに、あたしの好きな勧善懲悪モノは配信してなかった。古い時代劇は、「次郎長富士」と「座頭市」だけだった。それで、「座頭市」は観たことがあったから、「次郎長富士」を観てみることにした。清水次郎長のお話って、所詮はヤクザ対ヤクザの抗争のお話だから、あたしの好きな感じじゃなくて、今までは避けて来た。ようするに「食わず嫌い」だったんだけど、キャスティングを見てみたら、次郎長は長谷川一夫だし、吉良仁吉はカッコイイ市川雷蔵だし、森の石松は勝新太郎だし、女性陣も京マチ子や若尾文子や山本富士子などなど、ものすごい顔ぶれだったから、観てみることにした。

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‥‥そんなワケで、あたしは、泡盛をチビチビと飲みながら「次郎長富士」を観始めたんだけど、画面がヤタラと横に長い。たぶん、「シネスコ(シネマスコープ)」とかって言うサイズだと思うんだけど、これがまた、いかにも昔の映画って感じで、あたしの求めてた雰囲気にバッチリだった。それで、観始めたら、これがもうホントに面白くて、グイグイと引き込まれちゃった。長谷川一夫は男っぷりがいいし、市川雷蔵はサイコーにカッコイイし、何よりも良かったのが、勝新太郎の森の石松だ。そして、石松を騙してお金を盗んじゃう「お新」ていう女性を山本富士子が演じてるんだけど、これがものすごい美人で、あたしの目はクギヅケになっちゃった。他にも、京マチ子も若尾文子もバツグンに美しいし、何よりもストーリーが楽しめた。

で、すごく楽しむことができたんだけど、1時間40分ていう短めの映画だったから、あたしはまだまだ飲み足りない気分で、もう1本、映画を観たくなった。だけど、「座頭市」って気分じゃないし、どうしようかと思って、GyaOの配信中の映画一覧を順番に見てった。そしたら、ナナナナナント! 下のほうに「続・次郎長富士」を発見! 「次郎長富士」を観終わって、すごく楽しかったから、「もう1本観たいな」って思った時に、その続編を発見しちゃうなんて、こんなにもワンダホーなことはヒサビサだ。

それで、今度は、自分で作った「ダイコンの梅漬け」も持って来て、第二幕のはじまり、はじまり~ってワケで、これまたサイコーに面白かった。長谷川一夫の次郎長は一緒なんだけど、市川雷蔵は吉良仁吉じゃなくて山上藤一郎を演じてた。もちろん、カッコイイことは変わらない。そして、この続編でも、勝新太郎の森の石松が大活躍だった。何よりも面白かったのが、1作目で石松を騙した「お新」の妹分て設定で、「お亀」って女性が出て来て、またまた石松と飲み比べをするんだけど、そのまま2人は「SEX AND THE CITY」ならぬ「SEX IN THE 宿屋」ってことになっちゃう。で、その「お亀」が、中村玉緒なのだ(笑)

中村玉緒は、1作目にもチョイ役で出てたけど、この2作目のほうでは、思いっきり勝新太郎と絡んでて、体まで絡んじゃってるんだから、当時のことを知らなかったあたしとしては、個人的にお宝映像だった。それにしても、今じゃおにぎりを食べながらパチンコを打って、野太い声で「ぐふふふふ‥‥」って笑ってる印象しかない中村玉緒なのに、若いころは、とても同一人物とは思えないほどの可愛らしさで、声もキレイだし、ものすごく意外だった。

結局、あたしは、「次郎長富士」と「続・次郎長富士」の2本を続けて観ながら、3時間ちょいの自分の時間を楽しんだ。2本とも、すごく面白くて、やっぱり時代劇は古いものに限るって再確認した。それで、あとから知ったんだけど、1作目の「次郎長富士」のほうには、次郎長の子分の28人衆の1人、大瀬半五郎の役で、あの品川隆二も出てたのだ。近衛十四郎の「花山大吉」や「月影兵庫」の素浪人シリーズで「焼津の半次」をやってた名バイプイヤーの品川隆二だ‥‥ってことで、2本の映画を観終わったあたしは、一升瓶の泡盛が3分の1くらいなくなってて、映画の中の石松とおんなじくらい酔っぱらってて、気づいた時には翌朝だった。

‥‥そんなワケで、清水次郎長の映画と言えば、この「次郎長富士」よりも、マキノ雅弘監督の「次郎長三国志」のシリーズのほうが有名みたいだ。あたしは、今まで両方とも観てなくて、今回初めて「次郎長富士」のほうだけを観たから、まだどっちがいいとか悪いとかは言えないけど、映画史的なことで言うと、マキノ雅弘監督の「次郎長三国志」のほうが、先に制作されたこともあって、次郎長映画の代表格って位置づけで、あたしが観た「次郎長富士」のほうは、あとから豪華キャストで制作された特別バージョンて感じみたいだ。

ただ、まだ作品を観てないあたしが、データ上からだけで言うと、マキノ雅弘監督と東宝との確執から、未完のままシリーズを終えた「次郎長三国志」よりも、キチンとストーリーが完結してる「次郎長富士」のほうが、お酒を飲みながらのんびりと楽しむのには向いてるように思う。ちなみに、「次郎長富士」のほうは、すでに名前が通るようになってからの次郎長を描いてて、ようするに「美味しいとこ取り」って感じなのに対して、「次郎長三国志」のほうは、次郎長が子分を作ってく過程から詳細に描かれてるみたいだから、きっと本格的なんだと思う。それから、「次郎長富士」のほうは、次郎長個人のことよりも、清水一家全体のことをメインに描いてたんだけど、「次郎長三国志」のほうは、シリーズが長いこともあって、小堀明男扮する次郎長と、若山セツ子扮するお蝶とのラブストーリーなんかも散りばめてあるそうだ。

で、半世紀の時を超えて、マキノ雅弘監督の甥っ子の津川雅彦が、「マキノ雅彦」って名前で監督して、中井貴一が次郎長を、鈴木京香がお蝶を演じて、21世紀の「次郎長三国志」が制作された。今月の20日に公開されるみたいなんだけど、どうなんだろう? あたしには、中井貴一の次郎長なんて、どうしても想像できない。「男の中の男の次郎長を演じるのが、あの、ひ弱なイメージの中井貴一なの?」って感じがする。

キャラ的なことだけじゃなくて、実際の次郎長が清水一家を構えたのって20代の前半だし、お蝶と結婚したのも20代後半だ。映画のあらすじには、「駆け出しの侠客・次郎長(中井)は、新婚の妻・お蝶(鈴木)を置いて子分たちと渡世修行に出かける。旅を重ねるうちに、次郎長の男っぷりに惚れた者たちが次々に仲間に加わり、やがて駿河・遠江・三河の東海道の三国に、次郎長の名を轟かせるようになった。」って書いてあるから、やっぱり、次郎長が20代後半で、お蝶が20代前半のころのことを映画にしたワケだ。それなのに、その2人を演じてるのが、46才の中井貴一と40才の鈴木京香だなんて、いくら2人とも若作りだとは言え、ちょっとムリがありすぎるように思う。

まあ、観てない映画に想像だけでツッコミを入れるのは反則なんだけど、猫並みの嗅覚を持ったあたしには、ナニゲに、松平健の「遠山の金さん」や里見浩太朗の「水戸黄門」みたいな匂いがプンプンと感じられる。あたし的には、おんなじオジサンやオバサンが演じるにしても、本木雅弘と宮沢りえとかだったら、まだ納得できるんだけど、う~ん、やっぱりどうしても想像できないや。

‥‥そんなワケで、もしかしたら、ものすごくワンダホーな作品かも知れないし、今の時点じゃ何も言えないけど、最近の時代劇は、テレビも最低なら映画も最低で、ジャニタレなんかに主役をさせるような自滅作品まで作られてるくらいだから、時代劇ファンの多くが、新作に最初っから期待してないのもジンジャエールだろう。あたしが知る限り、劇場で公開された時代劇で、心から「良かった」って感じられたのは、市川崑監督、役所広司主演で、2000年に公開された「どら平太」が最後だ。その後、2002年に公開された「たそがれ清兵衞」は、あたしの期待にはほど遠かったし、以降、ただの1作品も、あたしが「良かった」って感じられた時代劇はない。それどころか、どんどん酷くなってくだけだ。だから、あたしは、これからも、古い作品を中心に楽しんで行こうと思う今日この頃なのだ。


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※2本とも10月1日まで無料配信してるので、観てみたくなった人は、お酒でも飲みながらゆっくりと楽しんでくださいね♪

「次郎長富士」
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0056762/

「続・次郎長富士」
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0056763/

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