温暖化地獄は昆虫天国
あたしは、節約のためにも、多摩川の土手に食糧を探しに行くことが多い。春には、ツクシをいっぱい摘んで来て、バター炒めにしたり佃煮にしたりするし、ノビルは、お味噌をつけて食べる。ヨモギ摘みにも行くし、冬はセリを摘みに行って、ゴマ和えにしたりゴマ油で炒めて食べたりする。夏から秋にかけては、大葉(青ジソ)を摘んで来て、お素麺や冷奴の薬味に使ってるし、秋には野バラの実(ローズヒップ)も摘みに行って、手作りのローズヒップティーを楽しんでる。
10日くらい前に多摩川に行った時には、大葉にお花が咲いてた。だから、そろそろ実がついてると思って、昨日の早朝、シソの実を摘みに行って来た。予想通り、旅館の夕食のお刺身についてるみたいなシソの実がいっぱいついてたから、美味しそうなとこを選んで、タップリと摘んで来た。もちろん、来年のために、2割ほどは残して来た。
で、これをザルに乗せて、1日くらい影干しして、生乾きの状態になったら、手でしごいて実を取る。そして、お醤油とニポン酒を半々に合わせて、火にかけてアルコールを飛ばした漬け汁をジャムとかの空瓶に半分くらい入れて、そこに目いっぱいシソの実を入れる。フタをして、瓶を振って、シソの実ぜんぶに漬け汁をかけて、冷蔵庫に入れとく。そして、タマに瓶を振って、漬け汁に浸ってないとこのシソの実にも漬け汁をかけてやるようにしてると、不思議なことに、瓶の中のシソの実の嵩(かさ)が、ジョジョに奇妙に減って行き、数時間もすると、ぜんぶが漬け汁に浸るようになる。これで、2日くらい冷蔵庫に入れとけば出来上がりだ。
炊き立てのご飯に乗せても美味しいし、それにお茶をかければ美味しいお茶漬けになるし、ご飯に混ぜておにぎりにしても美味しいし、冷奴の上に乗せても美味しいし、和風チャーハンの仕上げにパラパラと混ぜてもアクセントになるし、パスタにも使えるし、福神漬けの代わりにカレーの横にチョコンと置いてもいいし、そうそう、カレーで思い出したけど、前に、カレー味のチャーハンを作った時に、このシソの実のお醤油漬けを仕上げにパラパラっと混ぜたら、ものすごく美味しかった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしの冷蔵庫の中には、今、「お楽しみの小瓶」が入ってるワケで、明日かアサッテには、美味しいシソの実を食べることができるってワケだ。だから、シソの実に関しては、すべてコンプリートされてるワケで、何ひとつ問題はない。問題なのは、10日前に、シソのお花を見た時のことだ。ケータイで決定的な写真を撮って来たから、「きっこのブログ」のほうにアップする予定だけど、ナナナナナント! シソのお花に、ヒョウモンチョウが来てたのだ!
東京生まれで東京育ちのあたしとしては、子供のころから、身の周りで目にするチョウチョって言えば、何と言ってもモンシロチョウだった。そして、モンシロチョウが10匹か20匹に対して、1匹くらいの割合でモンキチョウを目にしてた。ちなみに、チョウチョは「1頭」「2頭」って数えるのが正しいそうだけど、どうしても馴染めないから、あえて「1匹」「2匹」って書かせてもらってる。
で、このモンシロチョウとモンキチョウの他に目にするのは、アゲハチョウだ。モンシロチョウをトヨタのカローラとすれば、アゲハチョウはセルシオって感じで、子供的には目が輝く。そして、普通のアゲハチョウの他にも、真黒なカラスアゲハと、美しいアオスジアゲハを目にすることがあった。目撃する割合としては、普通のアゲハチョウを10とすると、カラスアゲハが6くらいで、アオスジアゲハは1か2くらいだった。だから、アオスジアゲハを見つけた時には、「おおっ!」って感じだった。
そして、あとは、ちっちゃなシジミチョウだ。シジミチョウは、シロツメクサとかの低い草の上をギリギリに飛ぶから、他のチョウチョと違って、子供でも下を向いて探さなきゃなんなかった。男の子たちには人気のなかったシジミチョウだけど、あたしは、可愛くて大好きだった。可愛いイヌフグリの上を飛んでる可愛いシジミチョウを上から見下ろしてると、なんか、自分がガリバーになったみたいな気持ちになって、すごく楽しかったことを覚えてる。
‥‥そんなワケで、ヒトクチに東京って言っても、奥多摩のほうに行けば自然がいっぱいあるし、珍しいチョウチョもたくさんいると思う。だけど、あたしの生まれた渋谷とか、今住んでる世田谷とかだと、チョウチョはこれくらいしか見たことがなかった。もちろん、他にもいるんだろうけど、小学校の花壇にやって来るチョウチョとか、多摩川の河川敷にやって来るチョウチョって言えば、やっぱり、これくらいしかいなかった。そして、その割合は、あたしの目撃頻度で言うと、モンシロチョウを100として、モンキチョウが10、アゲハチョウが5、カラスアゲハが3、アオスジアゲハが1、シジミチョウが30くらいの感じだった。
だけど、ここ数年、あたしが子供のころには一度も見たことのなかった、不思議なオレンジ色のチョウチョをよく見かけるようになって来た。モンシロチョウよりもひとまわり大きくて、目立つオレンジ色で、黒い斑点もあるから、すごく目につく。それで、気になったから図鑑で調べてみたら、ヒョウモンチョウっていうチョウチョだった。これは、動物の豹みたいな模様だから、「豹紋」て意味だ。で、図鑑には、「本州、四国、九州、沖縄に分布」って書かれてるから、あたしの住んでる世田谷区にいても不思議じゃないんだけど、とにかく、子供のころにはまったく見かけなかった種類のチョウチョが、ここ5年か10年で急に目にするようになって来たから、「変だな?」って思ってた。
東京でも、それこそ奥多摩のほうとか、もっと内陸部に行けば、昔からヒョウモンチョウがいたんだと思う。だけど、あたしの住んでる世田谷区のニコタマは、東京の中でも、世田谷区の中でも、海からの風の影響を強く受ける地域だ。たとえば、その日の天気予報で「東京23区は雨」って言ってて、新宿も渋谷もどこも雨が降ってても、ニコタマを始めとした多摩川沿いの一部の地域だけは、川を上って来る海風の影響で、雨が降らなかったりもする。だから、スズキとかボラとかカレイとかの海のお魚が上って来ることはあっても、山のほうの生き物が下りて来ることはなかった。
それなのに、10年くらい前から、タマに見かけるようになったヒョウモンチョウは、毎年少しずつ増え始めて、去年くらいからは、とうとうモンシロチョウに迫るイキオイになって来たのだ。さっき、「モンシロチョウを100として、モンキチョウが10、アゲハチョウが5‥‥」って書いたのは、まだヒョウモンチョウが来る前のことで、今は、モンシロチョウを100とすると、ヒョウモンチョウは20から40くらいの感じなのだ。そして、あたしが何よりも危惧してるのは、このヒョウモンチョウが増えて来たことによって、もともといたモンシロチョウが激減してるのだ。
あたしは、チョウチョを研究してる専門家ってワケじゃないし、ちゃんとした個体調査をしてるワケじゃないし、ただ単に「毎年、多摩川のおんなじ場所を見て来た」ってだけのことだから、ものすごくアバウトなんだけど、ここ10年で、目にするモンシロチョウの数は、半分か、それ以下になった。以前は、春から秋まで、いつ河川敷に行っても、あっちにもこっちにもたくさんのモンシロチョウが飛んでて、その中にチラホラとモンキチョウもいた。だけど、最近は、ホントに少なくなった。そして、そのぶん、ヒョウモンチョウが増えて来たのだ。
‥‥そんなワケで、あたしが、シソのお花にヒョウモンチョウが来てたことを「ナナナナナント!」って驚いたのは、「とうとうここまで来たか」って気持ちからの「悲しい驚き」だったのだ。だって、あたしが大葉を採りに行く場所は、毎年おんなじ場所で、秋口のお花が咲く時季になれば、必ずモンシロチョウが来てたからだ。去年も、オトトシも、その前も、モンシロチョウが来てた。他の場所にはヒョウモンチョウが飛んでても、この大葉が数株まとまって生えてる「きっこ専用プチ群落」には、いつでもモンシロチョウが来てた。言うなれば、この場所は、あたしとモンシロチョウたちだけの秘密の花園だったってワケだ。
それなのに、今年は、とうとうこの秘密の場所にまで、第19使徒の「ヒョウモンチョウ」が襲来してきちゃったのだ。だけど、こんな時に頼りになる弐号機のアスカは、「関西縦断ブログ旅」の最中でネルフを留守にしちゃってるし、もうどうしようもない。そして、何でこんなにあたしが悩んでるのかって言えば、それは、ヒョウモンチョウが来たことによって、モンシロチョウが追い出されちゃったからだ。あたし的には、他の種類のチョウチョが来たって、ぜんぜん構わない。今までのモンシロチョウたちと仲良くしてくれるんなら、何も問題はない。だけど、モンシロチョウよりひとまわり大きいヒョウモンチョウは、派手なアニマル柄の羽根をバタつかせて、モンシロチョウたちを追い払っちゃって、我がもの顔でシソのお花を独り占めしてたのだ。
ヒョウモンチョウは、もともとニポンにいるチョウチョだと思うから、西洋タンポポが関東タンポポから土手を奪ったこととか、アメリカザリガニがヤマトザリガニから多摩川を奪ったこととはリトル違うと思う。だけど、何らかの原因で、それまではいなかった種類のチョウチョがやって来て、どんどんと勢力を拡大して来て、それまでいたチョウチョを追い出して居座るなんて、まるで先住民族のインディオを殺してアメリカ大陸に居座ったアングロサクソンどもと変わらない横暴さを感じる。
だいたいからして、ヒョウモンチョウは、態度がデカいのがムカつく。シソのお花にとまったモンシロチョウは、あたしがケータイで写真を撮ろうとすると、すぐに飛んでっちゃて、なかなか撮ることができなかったのに、ヒョウモンチョウの場合は、10cmくらいの近さまでケータイを近づけても、まったく動じることもなく、平然と蜜を吸い続けてるのだ。だから、オカゲ様で、いつもよりキレイな写真が撮れちゃったよ(笑)
それで、オトトイ、図書館に行っていろいろと調べてみたら、あたしが撮影したヒョウモンチョウは、「ツマグロヒョウモンのオス」だってことが分かった。そして、もともとは南方系のチョウチョだったのに、地球温暖化が原因で、全国に広まって来たってことも分かった。他にも、ヒョウモンチョウの幼虫が、パンジーなどの園芸種の植物を好んで食べることから、そうした園芸種に卵や幼虫がついたまま、遠い地方へと運ばれたケースも多いそうだ。だけど、それでも、地球温暖化が加速してるからこそ運ばれた地域で増殖してるワケで、やっぱり、一番の原因は地球温暖化なのだ。
‥‥そんなワケで、あたしが子供のころって、東京の渋谷とか世田谷で見られるセミって、アブラゼミがほとんどだった。そして、タマに、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ツクツクボウシなんかの声も聞こえたし、もっとタマにヒグラシの声を聞くくらいだった。だけど、最近は、東京にいるハズのないクマゼミの声が「シャーシャー」ってよく聞こえる。最初は、木の上に勝俣州和でもいるのかと思ったけど、これも地球温暖化が原因で、南のほうにしかいなかったクマゼミが、どんどん北上して来たってワケだ。それで、ネットでも調べてみたら、4年前の2004年の新聞に、「南国の昆虫、続々と東京に/温暖化の影響で北上か」っていう記事があった。この記事によると、昆虫写真家の海野和男さんていう人が、東京の真ん中の北の丸公園で、南にしかいないハズのナガサキアゲハを見つけたって書いてあった。 だから、この調子で行くと、そのうち、図鑑でしか見たことのないような南国のカラフルな昆虫たちが、東京の真ん中でも普通に見られるようになるかもしれない。そしたら、全般的に虫が苦手なあたしでも、少しは虫に慣れそうな気がする今日この頃なのだ。
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