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2008.10.26

本物の馬鹿

オトトイの「関西縦断ブログ旅」で、大阪をダッシュで素通りして奈良へ入った早希ちゃんが、通過ポイントの奈良公園に行って、シカたちに鹿せんべいをあげたんだけど、そこで、スカートをくわえて引っぱるシカに向かって、アスカのモノマネで「あんたバカァ?」って言ったの、めっちゃ笑った! ナニゲに言ったんだと思うけど、考えようによっちゃ、「鹿」に向かって「馬鹿」って、それなりにディープだと思う。ついでに、大阪でも、あのカン違い府知事に向かって「あんたバカァ?」って言ってやれば良かったのに(笑)

ちなみに、この「馬鹿」ってのは、他にも「莫迦」とか「馬稼」とか「破家」とか書くけど、これらはすべてアテ字で、もともとは梵語(サンスクリット語)で「愚」を意味する「moha」が語源だ。さらに、ちなみに、あたしのメル友の石川喬司先生は、あまりにも競馬が好きで、手塚治虫さんと星新一さんから「馬家(ばか)」っていう名誉あるアダ名をつけられちゃったんだけど、どうせなら、「馬で稼ぐ」って書く「馬稼」のほうが良かったかもしれない‥‥なんてことも織り込みつつ、この「馬鹿」の反対は「利口」だけど、こっちはレッキとしたニポン語だ。

だけど、この「利口」って言葉は、もともとは読んで字のごとく、「口が利く」、つまり、「弁舌に長けている」って意味だった。もちろん、弁舌に長けてる人は頭がいいと思うし、アベシンゾーやフロッピー麻生みたく、マトモなニポン語もしゃべれない上に、中学生レベルの漢字も読めないようなのは、どう見たって「利口」じゃなくて「馬鹿」のほうに入るから、このままの意味でも良かった。だけど、長い年月の間に、この「弁舌に長けている」って意味の「利口」と、「生まれつき頭がいい」って意味の「利根(りこん)」とが混じっちゃって、頭のいいことを「利口」って言うようになった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、今日から「釣りバカ日誌19 ようこそ!鈴木建設御一行様」の劇場公開がスタートしたワケだけど、この「釣りバカ日誌」の「バカ」にしても、「空手バカ一代」の「バカ」にしても、悪い意味の「バカ」じゃない。ひとつのモノゴトに夢中になってる人を表わす言葉として使われてて、一般的には、良い意味として解釈されてる。逆に、「利口」のほうは、ホメ言葉として使われるよりも、悪い意味で使われることのほうが多い。普通に「利口」っ言うと、「頭がいい人」ってよりも、「ずる賢い人」とか「要領よく立ち回る人」とかってニュアンスがあるから、「あなたは利口ですね」なんてホメると、相手はムカッとしたりする。

たとえば、武者小路実篤の「真理先生」には、周りから「馬鹿一」って呼ばれてバカにされてる「石かき先生」が出て来る。これは、画家を目指してるクセに、馬鹿のひとつ覚えで「石」の絵しか描けないからだ。つまり、この時点での「馬鹿」は、悪い意味で使われてる。そして、真理先生と出会い、世の中の真理の片鱗に触れたことによって、パッと開眼して、素晴らしい裸婦像まで描けるようになっちゃう。だけど、真理先生と出会ったことは、開眼のキッカケに過ぎず、素晴らしい絵が描けるようになったのは、それまでに、いくら周りからバカにされようとも、誰も目を向けないような単なる「石」だけをただひたすらに描き続けてたからこそ、それだけの画力が備わってたってワケだ。

だから、周りはバカにする意味で「馬鹿」って言葉を使ってたのに、バカにされてた石かき先生は、実際には、そこにいた誰よりも、後の自分に対しての「貯金」をしてたってワケで、ホントにバカだったのは、石かき先生のことをバカにしてた周りの人たちだったってワケだ。そう考えると、たとえバカにする意味で使ったとしても、この「ひとつのモノゴトに夢中になってる人」を指す場合の「馬鹿」は、内容的には悪い意味じゃなくなって来る。

‥‥そんなワケで、「ずる賢い人」とか「要領よく立ち回る人」とかってニュアンスで使うと「利口」は悪い意味になるし、「ひとつのモノゴトに夢中になってる人」ってニュアンスで使うと「馬鹿」はいい意味になる。だけど、ここで、人間の資質や性格や精神面のことは抜きにして、純粋に「知能」のことだけで比較してみると、やっぱり、「利口」のほうが「馬鹿」よりも利口ってことになる。だって、魚釣りばかりしてる人よりも、空手ばかりしてる人よりも、石の絵ばかり描いてる人よりも、どう考えても、ずる賢くて要領よく立ち回ってる人のほうが、頭がいいと思うからだ。

いつまで経っても無くならない「振り込め詐欺」を例にあげれば、騙したほうが「利口」で、騙されたほうが「馬鹿」ってことになる。そして、騙した「利口」のほうが、騙された「馬鹿」よりも知能が高かったってことになる。だけど、人間の資質や性格や精神面も見れば、騙した「利口」のほうは、今すぐに射殺したほうがいいレベルの人間のクズで、騙された「馬鹿」のほうは、文字通り馬鹿正直なお人好しってことになる。だから、「人」としてどちらが上かって言えば、比べるまでもなく「馬鹿」のほうが上ってことになる。そして、その人の人生としても、振り込め詐欺なんかをやるようなクズは、絶対にロクな人生を送れないだろうし、騙されたほうの人たちは、一時的には酷い目に遭ったけど、きっと多くの人から愛される素晴らしい人生を送ることだろう。

こうした例を見ると、「利口」って言葉も「馬鹿」って言葉も、いい意味で使おうと悪い意味で使おうと、こと「知能」に関しては、やっぱり「利口」のほうが「馬鹿」よりも上って感じで、根本的な意味合いは変わらないように思えて来る。だけど、「利口」も「馬鹿」も、もともとが「人がら」だの「人間性」だのを抜きにした「知能」のレベルを表わす言葉なんだから、それで何も問題はない。だからこそ、あえて悪い意味で「利口」って言葉を使ったり、あえていい意味で「馬鹿」って言葉を使ったりするパターンが派生したんだと思うし。

すでに飽きられ始めてる「おバカタレント」にしても、「頭は悪いけど人はいい」ってのを売り物にしてるワケで、バカな上に性格まで悪かったら人気なんか出るワケがない。だから、ホントは性格がねじ曲がってるかもしれないけど、テレビに出る時だけは「正直でいい人」を演じてる。そして、こんなキャラを演じられるんだから、ホントは頭もそれほどバカじゃないんだろう。ちゃんと公私の区別をつけて、キャラを演じ分けてて、誰も見てないとこでは、ファンの女の子をカタッパシから食ってたりする。そして、妊娠させて、中絶を強要して、お金で口封じをしてたりする。ま、誰とは言わないけど。

結局は、こうした「作られたキャラ」に騙されて、バカバカしいCDだの写真集だのを買わされてるファンこそが本物の「馬鹿」ってワケで、「おバカタレント」は「騙す側の人間」なんだから、ホントは「おバカ」なんかじゃなくて「利口」ってワケだ。振り込め詐欺の犯人が「利口」なら、騙された被害者は「馬鹿」ってワケだし、マルチ商法のリーダーが「利口」なら、騙されてる会員たちは「馬鹿」ってワケだし、池田大作や周りの幹部たちが「利口」なら、騙されてる洗脳信者たちは「馬鹿」ってワケだし、自民党や官僚どもが「利口」なら、騙されて自民党なんかに投票してる有権者は「馬鹿」ってワケだ。そして、これらの例に共通するのは、「馬鹿」から「利口」へと莫大なお金が流れてるってことだ。

‥‥そんなワケで、ヒトクチに「馬鹿」って言っても、こうした一部のずる賢い「利口」たちを儲けさせるための働きアリみたいな「馬鹿」もいれば、釣りバカや空手バカ、そして、石かき先生みたいな、とってもステキな「馬鹿」もいる。つまり、知能のレベルはおんなじくらいの「馬鹿」でも、誰かに騙されて利用されてる「本物の馬鹿」と、純粋にひとつのことに打ち込んで素晴らしい人生を送ってる「本物の馬鹿」がいるってワケだ。そして、両方とも「本物の馬鹿」だけど、「馬鹿」の意味が違うように、この「本物」って言葉の意味も、それぞれ違う今日この頃なのだ。


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