アラサーとアラフォーの間で
2~3年くらい前から、アパレル業界で、30才前後の女性のことを「アラサー」って呼ぶようになった。これは「around 30(アラウンドサーティー)」の略なんだけど、あたしは、なんか「アラエッサッサ~♪」みたいで、聞くたびに「ププッ」って吹き出しそうになっちゃって、とてもじゃないけど自分じゃおかしくて使えなかった。ナンでもカンでも略すりゃいいってもんでもないし、ニポン式の略って、略したことによって、トタンにアホみたいになっちゃうパターンが多いからだ。
だけど、こんなにアホみたいな語感の言葉でも、一応は「業界用語」ってことで、一般の人の中には、進んで使いたがる人もいた。それで、だんだんと流行するようになって来た。そしたら、今度は、40才前後の女性のことを「アラフォー」って呼ぶようになっちゃって、シマイにゃ「Around 40~注文の多いオンナたち~」っていうドラマまで作られちゃった。ワリと好きな天海祐希さんが主演だったし、天海さんが演じる精神科医がつとめてる病院の副院長役で松尾貴史さんも出てたから、2~3回は観てみたけど、もともとテレビドラマが苦手なあたしなので、続けて観ることはできなかった。
で、この「アラサー」とか「アラフォー」ってのは、言葉そのものはアホっぽいけど、すごく便利な言葉だと思う。だって、ニポンの場合は、もともとは「20代」「30代」「40代」‥‥ってふうな区切り方しかなかったから、28才くらいからアセリ始めて、29才になると「ヤバイ!」って思ったし、あたしはまだだけど、きっと38才くらいになると、またアセリ始めて、39才になると、また「ヤバイ!」って思うハズだった。ようするに、29才と30才との間、39才と40才との間に大きな「大台に乗る時の壁」があって、29才とか39才とかのうちは「まだ20代だ」「まだ30代だ」って思えてたのが、この壁を超えたトタンに、「ついに30代に突入だよ」とか、「とうとう40代になっちゃったよ」とかって思わなきゃなんなかった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、厳密に言うと、「アラサー」ってのは「28~32才」で、「アラフォー」ってのは「38~42才」を指す。でも、これは「絶対」じゃなくて「だいたい」だから、27才とか33才でも「アラサー」って言っても大丈夫だ。「絶対」なのは「女性を指す言葉」ってことだけで、性別が女性であれば、年齢のほうはプラスマイナス1~2才くらいズレてもOKなのだ。だから、36才とか37才とかの女性が「私は30代前半よ」ってサバを読むのとおんなじ感じで、35才のあたしが「あたしはアラサーなのよん。アラエッサッサ~♪」って言っても許される。たぶん(笑)
ま、こうした使い方は反則だけど、マジメな話としても、28~32才を「アラサー」、38~42才を「アラフォー」って呼ぶことになって、それまでの「大台に乗る時の壁」が、まるでベルリンの壁のようにガラガラと音を立てて崩れ去ったのだ。楽譜で言うと、1小節目を「20代」、2小節目を「30代」に見立てたとして、この1小節目の最後の音符と2小節目の最初の音符とを「タイ」で結んだ場合の「タイ」が、この「アラサー」なのだ。この「タイ」がなければ、1小節目は最後の音符でキチンと切れて、2小節目は新たに始まるけど、この「タイ」があることによって、ソコハカとなくなめらかにつながって、小節の境目が分からなくなる。ハッと気づいた時には、すでに次の小節に入ってるってワケだ。
たとえば、あたしが40才になった時に、今までの「20代」「30代」「40代」って区切り方だと、「とうとう40代になっちゃったよ」って思わなきゃなんなかった。だけど、こっちの方式なら、すでに30代後半から「アラフォー」に入ってるワケだから、40代を迎える心構えができてるワケだ。さらには、40才どころか、41才になっても42才になっても、「あたしって、まだ30代後半の女性たちとおんなじワクの中にいるんだ」って思うことができる。なんてワンダホーで都合のいい括り方なんだろう。
でも、この「around 30」とか「around 40」ってのは、あくまでも「30前後」とか「40前後」っていう「大まかな数」の意味でしかなくて、「人間の年齢」に限定した言葉じゃないし、ましてや「女性の年齢」のことじゃない。たとえば、「Around 30 students」って言えば「30人前後の生徒」って意味で「人数」のことになるし、「Around 40 books」って言えば「40冊前後の本」って意味で「本の数」になる。そして、ニポンの「アラサー」が指す「30才前後の女性」って意味なら、正しくは「Women of around 30 years old」とか「Around 30 years old women」て言わなきゃ伝わらない。
もちろん、相手から「How old are you?」って聞かれた場合なら、それ対して「Around 30」って答えただけでも通じるけど、これは、「本は何冊くらい必要なの?」って聞かれた時でも、「猫は何匹くらいいたの?」って聞かれた時でも、すべて「Around 30」で、「30冊前後」とか「30匹前後」ってふうに意味が通じる。ようするに、それが「何か」ってことをお互いに認識した上での会話だからだ。
つまり、何の脈絡もなしに、突然、「あたしはAround 30なの」って言っても、いったい何が「30前後」なのか、まったく分からないってワケだ。今までに付き合って来た男の数が「30人前後」なのか、今月の残業時間が「30時間前後」なのか、作れるカクテルの種類が「30種前後」なのか、まったく分からない。自分の年齢を言いたいのなら、「I am around 30 years old」って言わなきゃ伝わらない。そして、これにしたって、相手と向かい合って会話してれば、相手はあたしのことを女性だって認識してるからいいけど、もしもメールとかの場合なら、「I am a woman of around 30 years old」って、わざわざ「女性」だってことも言わなきゃ伝わらない。
‥‥そんなワケで、ここまで書いて来て、今さら言うのもアレなんだけど、あたしとしては、この「Around 30」って言い方よりも、「about 30」って言い方のほうが、年齢の場合にはシックリと来る。「Around 30」が「30前後」って意味なのに対して、「about 30」は「だいたい30」って意味だけど、英語圏の人に年齢を聞かれて、もしもハッキリと答えたくない場合には、あたしなら、「I'm about 30」って答えると思う。
なんて言えばいいのかな?‥‥ニュアンスの問題なんだけど、「Around 30」だと、範囲を示す表現だから、シチュエーションとか言い方にもよるけど、自分の年齢を言う場合には適さない。相手から年齢を聞かれた時に、「あたしはAround 30という年齢のグループの属してます」って意味あいになっちゃうから、ちょっと失礼な感じの表現になっちゃう。なんか、もったいぶってて、相手に対して「どうよ!」ってニュアンスになっちゃう感じで、「上から目線」の感覚なのだ。
それに比べて、「about 30」の場合は、「だいたい30才くらいよ」って意味だから、質問をした相手を不愉快にさせることなく、あたしのほうも遠慮がちにお茶を濁すことができて、ニポン人的な奥ゆかしさみたいなニュアンスもある。だから、あたしの好みなのだ。もちろん、これは、あたしが自分の年齢を「30才前後」とか「30才くらい」って言う時のニュアンスであって、本の数だの猫の数だのを言う時には、どっちでも似たようなもんだ。だから、これは、ニポンで今「アラサー」って言ってる「30才前後の女性」を指す場合に限られるニュアンスってことになる。
つまり、「Around 30」って表現は、最初にアパレル業界で使われ始めた時みたいに、商品開発をする上でのターゲットに対する「ある年齢層」って意味で使うべき表現だってことだ。「シニア層をターゲットにした英会話教室」とか、「貧困層をターゲットにした新ビジネス」とか、こんな感じに使う表現であって、28~32才の女性が、自分のことを「あたしはAround 30だから」ってふうに使うと、リトルおかしい。
‥‥そんなワケで、女性が自分のことを指して使う場合には、意味としても「Around 30」より「about 30」のほうが正確ってことになるけど、あたし的には、略語としても、「アラサー」よりも「アバサー」、「アラフォー」よりも「アバフォー」のほうがシックリと来る。それは、語感としてのアホっぽさが、若干、改善される気がするからだ。
「アラサー」は、最初に書いたように、なんか「アラエッサッサ~♪」みたいでバカ丸出しって感じだけど、「アバサー」にすれば、「バ」の濁音による重量感によって「軽さ」が解消される。その上に、スウェーデンの「アブ・ガルシア」社のベイトリール、「アンバサダー」にも似てるから、重いしバックラッシュしやすいし飛距離も出ないけど、味わいのあるバス・フィッシングが楽しめそうな感じもする。
そして、「アラフォー」の場合も、「ラフォー」の部分が「ラフォーレ原宿」を連想させるから、40才前後の女性には「落ち着かない」みたいな「軽さ」がある。だけど、「アバフォー」にすれば、「バフォー」って部分に重量感があるし、Charと石田長生のスーパーギターユニット、「BAHO(バホー)」にも似てるし、何度も繰り返して使ってるうちに、ジョジョに奇妙に「バオー来訪者」みたいな感じもして来る。
もちろん、これらの理由は、ぜんぶ今思いつきで書いただけの「アトヅケの理由」なんだけど、とにかく、耳で聞いた時の語感が、「アラサー」よりも「アバサー」、「アラフォー」よりも「アバフォー」のほうがイイことは間違いない。だけど、「アラサー」や「アラフォー」は、すでに一般的に使われてる流行語だから、ここであたしだけが「アバサー」とか「アバフォー」とかって連呼してみたとこで、周りからは「はぁ?」って言われちゃうことウケアイだし、ヘタしたら「流行語を間違って使ってる恥ずかしいヤツ」ってことにされちゃう危険性も大だ。
‥‥そんなワケで、せっかく思いついた「アバサー」と「アバフォー」なんだけど、すでに市民権を得てる「アラサー」や「アラフォー」の代わりに使うことはできないから、ここはひとつ、何かの固有名詞として利用してみようと思う。たとえば、30才前後の女性を48人集めたアイドルグループを作って、その名前を「ABS 48(アーバーサー・フォーティーエイト)」にするとか。あと、40才前後の女性2人、男性2人の4人組のボーカルユニットを作って、その名前を「ABBA 4(アバフォー)」にするとか。もちろんデビュー曲は、「ダンシング・クイーン」だ‥‥って、こんなことしか思いつかない自分の脳みその衰えに、そろそろ年齢的に「アラフォー」の影が近づいて来た恐怖を感じてる今日この頃なのだ(笑)
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