« ジュラ紀の小石 | トップページ | WEB限定アニメ »

2008.11.17

前頭葉の幻想

あたしは、トイレットペーパーは12個入り、箱ティッシュは5個入りを買ってる。これは、たいていの人がそうだと思うけど、こうした消耗品には、できるだけお金をかけたくないからだ。で、あたしの場合は、トイレットペーパーをダブルからシングルに変えて、ずいぶん長持ちするようになったんだけど、どんなに長持ちするようになったって、半年も1年も持つワケはない。トイレットペーパーは、5日から1週間で1個、1ヶ月に6個くらい使うので、だいたい2ヶ月で12個入りがなくなる。そして、箱ティッシュは、10日から2週間で1箱がなくなる。これは、毎晩の美白パックに2枚ずつ使ってるのが大きいと思うんだけど、結果、だいたい2ヶ月で5個入りがなくなる。つまり、トイレットペーパーも箱ティッシュも、両方とも2ヶ月くらいでなくなるワケだ。

あたしは、トイレットペーパーも箱ティッシュも、バス停で10個くらい先の遠くのスーパーに買いに行ってる。地元のスーパーだと、両方とも360円とかのトンデモな値段で、遠くのスーパーなら180~240円の間だからだ。それで、以前は車で行ってたから、両方を一緒に買って来ることができたんだけど、今は遠くのスーパーにも、ガソリン節約のためにフェラーリF2004(ママチャリ)で行くことにしたから、両方を一緒に買って来ることができなくなった。一度、自転車で来てることを忘れて、いつもの感覚で両方買っちゃったら、帰り道が大変だったのだ。

それで、今は、一度に片方しか買ってこれなくなったんだけど、ここが難しいとこなのだ。たとえば、トイレットペーパーが3個残ってて、箱ティッシュがラスト1個を下ろしたとこなら、どう考えても箱ティッシュのほうを買って来る。だけど、トイレットペーパーが残り2個で、箱ティッシュが残り1個だったりすると、あたしは「う~ん‥‥」ってことになっちゃう。でも、バス停で10個くらい先のスーパーまで自転車で行くのは、思ったよりも大変なことで、ここでモタモタしてたら、トイレットペーパーと箱ティッシュとが同時になくなるっていう最悪のパターンになっちゃうから、キビキビと判断して、どっちかを先に買ってこないといけない今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、トイレットペーパーも箱ティッシュも、おトイレの中に置いてる。おトイレの中の高い位置にツッパリ棒で固定できるツッパリ棚を作って、その上にヤンキー座りさせてる。そして、そこから使い続けて、なくなりかけたら買いに行って補充してる。これって、あたしは「普通」だと思ってる。だけど、あたしとおんなじ1人暮らしのスタイリストのお部屋に行った時のこと、その人のおトイレには最初から立派な棚があったんだけど、そこには、信じられないほど大量のトイレットペーパーがビッシリと並んでた。あたしとおんなじ12個入りのが5パック、ズラリと並べられてた上に、その隙間という隙間すべてに、バラにしたトイレットペーパーが何個も何個も詰め込まれてたのだ。その数、ザッと100個。

5人も6人もいる家庭ならともかく、1Kのマンションに1人暮らしなのに、それはものすごい量だった。3日で1個使ったとしても、約1年ぶんだ。それも、たまたま誰かからもらった‥‥とかなら分かるんだけど、そうじゃなくて、ぜんぶ自分で買ってるそうだ。何でかっていうと、その人は、ちびまる子ちゃんの山根くんみたいに胃腸が弱くて、月に1~2回は必ずお腹を壊すそうだ。それで、常にたくさんのトイレットペーパーを用意しとかないと、不安になっちゃうからだって言ってた。

普通に考えたら、どんなにお腹を壊したとしても、一度でトイレットペーパーを1本使いきることなんてアリエナイザーなんだから、あたしとおんなじに12個入りのを用意しとくだけで十分だと思うし、念のためってことを考えたって、「12個入り×2」で十分だと思う。だけど、その人が言うには、最初はそうだったのに、いつも「夜中に突然お腹が痛くなって、そんな時に限ってトイレットペーパーが足りなくなったらどうしよう?」っていう不安を抱えて生活してたら、それがだんだん強迫観念みたくなってきちゃって、「12個入り×2」が「12個入り×3」になり、「12個入り×4」になり、「12個入り×5」になり‥‥ってなっちゃったそうだ。そして、今では、「おトイレの棚の上がトイレットペーパーでビッシリと埋まってないと安心できない」ってふうになっちゃったそうだ。

だから、いくつか消費して隙間ができると、すぐに12個入りのを買って来て、袋を破って、その隙間に1個ずつ押しこんでくんだって。そしたら、バラになってるやつから使うんだうから、棚の上のもともと袋に入ってる12個入りのは、何ヶ月もずっとそのままってことじゃん。まあ、食べ物じゃないから問題ないと思うけど、古いものから先に使いたいあたし的には、なんだかな~って感じがする。でも、その人が言うには、おトイレの棚上がトイレットペーパーでビッシリと埋まってる状態を確認することによって、心も体もホッとできて、お腹が痛くなることが回避できるそうだ。逆に、いくつか消費して隙間ができてる状態を見ると、また何とも言えない不安がわいて来て、お腹がキュ~ッて痛くなり始めちゃうそうだ。

つまり、この異常とも思える大量のトイレットペーパーは、予備としての物理的な役割よりも、精神的な役割のほうが大きいってことだ。それなら、無数のトイレットペーパーがビッシリと並んでる絵の壁紙でも貼っとけばいいように思うんだけど、それじゃあダメなんだろうね。でも、この、「予備を持ってると安心できる」っていう精神状態って、あたしにもよく分かる。テレビゲームを例にすると分かりやすいと思うけど、スーパーマリオだって、1人死んでも、あと何人かがいるって分かってるから、ワリと落ち着いてゲームを楽しむことができるのだ。あれが、最初から1人しかいなくて、一度死んだらすべてが終わりって思ったら、ドキドキしすぎちゃってゲームを楽しめなくなっちゃう。

そして、そう思ってゲームをすると、イージーミスをしやすくなる。ようするに、精神的に余裕のない「崖っぷち状態」に追い詰められてるから、分かりきってる簡単な場所とかで死んじゃったりするのだ。だから、逆に、階段のとこで亀を踏んでクレジットを増やせば、すごく落ち着いてゲームを続けられるようになって、結果、1人あたりで進めるステージも長くなるのだ。

‥‥そんなワケで、あたしは、この「予備を持ってると安心できる」「予備を持ってないと不安になる」って精神状態は、人間だけの特色だと思ってる。猫でも犬でも、ご飯をあげると、お腹がいっぱいなった時点で、それ以上は欲しがらない。お皿にご飯が残ってても、それを次にお腹が減った時のために、どこかに仕舞っておこうなんて考えない。今、満腹なら、それでいいのだ。人間以外の動物は、未来のことを考えるための「前頭葉」が発達してないから、「今」を生きるための精神構造なり行動原理なりで生活してるのだ。

だけど、進化の過程で前頭葉が発達しちゃった人間は、明日のことを心配するようになった。それどころか、自分が生きてるかどうかもサダカじゃない5年後や10年後のことまで心配するようになっちゃった。これが、「予備を持ってると安心できる」「準備しておくと安心できる」っていう人間だけの特殊な精神状態を形成したんだと思う。だから、誰よりも前頭葉が発達してそうなフクダちゃんは、このまま総理大臣のイスになんか座ってたら、ますます自分の立場がヤバくなるって考えて、トットと放り出しちゃったのだ。

そして、その予想通りに、フクダちゃんが政権を放棄したトタンに、汚染米の問題からリーマンブラザーズの破綻に至るまで、とても「他人ゴト」じゃ済まされないような大問題が連発したってワケだ。フクダちゃん、ダテに広いオデコをしてたワケじゃないんだね。最後まで自分のことは客観的に見られなかったけど、近い将来に起こることを予測して、いち早く自分だけ安全な場所に逃げちゃうなんて、人一倍大きな前頭葉のなせるワザとしか言いようがない。

逆に、「狭い」ことを「猫の額(ひたい)」なんて言うように、前頭葉が発達してなくて額の狭い動物たちは、「今」がすべてだから、明日のことなんてどうでもいい。だから、必要以上のものは欲しがらないし、将来のために何かを貯め込もうとも思わない。「予備」を持たず、「準備」もせずにいても、まったく不安に駆られることもない。トイレットペーパーなら、今使うぶんだけあれば、それでOKなのだ。だから、棚を埋め尽くすほどのトイレットペーパーを持ってないと不安だっていう精神状態なんて、人間以外の動物たちには絶対に理解できないことなのだ。

フランク・ザッパに言うと、数えきれないほどの生き物たちを絶滅させて来たのも、地球の環境をメチャクチャにしちゃったのも、すべては「人間の欲望」が原因だ。そして、この「人間の欲望」ってのは、この前頭葉の発達による「予備を持ってないと安心できない」って精神状態から派生したものなのだ。たとえば、誰かに襲われるかもしれない危険な場所に自分がいた場合、何も持ってないよりは、鉄パイプとか金属バットとかを持ってたほうが安心できるし、ピストルを持ってればもっと安心できるだろう。

そして、そのピストルも、弾が1発だけしか入ってないよりも、6発入ってたほうが安心できるハズだ。さらには、ポケットに6発入りのカートリッジを持ってれば、もっと安心できる。これが、「予備を持ってると安心できる」であり、「予備を持ってないと不安になる」っていう人間だけの感覚だ。そして、こうした「人間が安心するための予備」ってものが、個人のレベルでは「お金」になり、国のレベルでは「武力」になり、常に必要以上のものを持とうとする人間のサガによって、個人のレベルでも国のレベルでも、人間は人間以外のものを破壊して来たってワケだ。

お金は、必要なぶんだけあればいいハズだ。今のニポンの東京で、個人が普通のレベルの生活をするとしたら、あたしなら、5000万円あれば一生暮らせる。人によっては、1億円とか言う人もいるかもしれないけど、それだって、普通に働いてれば稼げる金額だし、家賃や物価の安い地方に行けば、こんな大金は必要ない。それなのに、人間の欲望には際限がなくて、個人が何十億円ものお金を集めようとする。それも、こういう考えの人って、汗水たらして働くことが大嫌いで、楽して儲けることに目がないヤツラが多い。だから、ズルいことをして、他人を騙して、使いきれないほどのお金を集めようとする。きっと、「予備を持ってないと安心できない」って気持ちが病的に強い人たちなんだと思うけど、こういう人たちにとってのお金って、棚を埋め尽くしたトイレットペーパーのようなもんなんだろう。

‥‥そんなワケで、犬は土を掘って骨を埋めておいたりするし、鳥のモズも「モズの早贄(はやにえ)」なんて言って、捕まえたカエルやバッタなんかを木の枝に刺しておいたりする。これらは、一説には、何日後かにお腹が減った時のための準備だって言われてる。だけど、実際には、犬は自分が骨を埋めたことなんか忘れちゃうし、モズの早贄も忘れ去られて、カエルやバッタはそのまま干乾びてく。あたしは専門家じゃないから、難しいことは分かんないけど、もしかしたら、こうした動物の習性ってのは、小さな小さな前頭葉の奥にある「予備を持ってないと不安になる」って潜在意識の名残りなんじゃないかって思う。

つまり、ホントに何日後かにお腹が減った時に食べようと思ってやってるワケじゃなくて、こうした行動をすることによって、何だか分からないけど心の奥のほうでモヤモヤしてる原因不明の不安感を解消できるから、理由は分からないけど暫定的にやってみてる‥‥って感じがするのだ。犬にしても鳥にしても、人間みたいに脳みそで考えて行動するよりも、動物的本能や潜在意識によって行動することのほうが主だと思うから、自分じゃ理由が分からないのにシッポを振ってたり‥‥ってこともあるんだと思う。そして、犬が骨を埋めるのも、モズが捕まえたカエルやバッタを木の枝に刺すのも、自分じゃ理由が分からないのにやってる行動なんだと思う。

こんなふうに仮定すると、あたしたち人間の限りない欲望の源泉になってる「不安感」なんてものは、所詮は、突然変異的に発生した前頭葉の奇形による「つかみどころのない幻想」であって、それは、他の動物たちの「共生」を基本原理にした進化の流れを完全に無視したものである‥‥ってことになる。数えきれないほどいる地球上の生き物の中で、たった1種類の人間ていう生き物の脳みそが変なふうになっちゃって、何よりも大切な「今」のことを後回しに考えるようになっちゃったために、かけがえのない地球を破壊し続けて来て、もう崖っぷちに立たされてる今になっても、まだ「つかみどころのない幻想」のほうを優先してるってことになる。

‥‥そんなワケで、あたしたち人間は、スーパーマリオの残り人数がゼロの「精神的な崖っぷち」に異常なほど不安を感じて、その不安から逃れるために、必要以上のモノを持とうとして来た。そして、森林を伐採し続け、海を埋め立て続け、川を堰き止め続け、地面に穴を掘り続け、大気を汚染し続けて来た。その結果、とうとう地球が「物理的な崖っぷち」になっちゃった。それなのに、まだ気づかない。こないだ、何かのテレビで知ったんだけど、世界中の60億人の人間をすべて1ヶ所に集めて、ギューギュー詰めに立たせると、ちょうど淡路島に収まるって言ってた。地球儀で見ると、淡路島なんて針の先みたいなもんなのに、そこに収まっちゃうほどの人間が、この広大な地球をすべて破壊しようとしてるんだから、今さらだけど、人間の精神的な弱さには恐怖を感じる。そして、この状況を回避するためには、世界中の人たちが精神的な不安に打ち勝って、必要最低限のモノだけ生活するようにならなきゃいけないのに、こんな時に環境のことよりも金融のことなんかを優先して、世界に10兆円もバラ撒こうとしてる大バカがこの国の総理大臣なんだから、あまりにもお粗末な話だと思う今日この頃なのだ。


★ 今日も最後まで読んでくれてありがと~♪
★ 1日1回、応援のクリックをお願いしま~す!
   ↓   ↓
■人気blogランキング■

|

« ジュラ紀の小石 | トップページ | WEB限定アニメ »