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2008.12.01

ひっつき虫が教えてくれたこと

日向ぼっこをしながら、時折、体をペロペロとなめて毛づくろいをして、また気持ち良さそうに目を細める猫。見てるだけでもホノボノとしてくるし、猫が好きな人は、ちょっかいを出しちゃ悪いとは思いつつ、触らずにはいられない。あたしは、日向ぼっこしてる猫を抱いて、背中とかに顔をくっつけて、匂いをかぐのが大好きだ。お日さまの匂いって言うか、お日さまに当たった牧草の匂いみたいで、なんだか、マザー牧場かどこかに来てるみたいな気持ちになれるからだ。

毎日あくせくと働いてる人間からすると、公園とか塀の上とかで日向ぼっこしてる猫を見て、「うらやましいな~」なんて思ったこともあるだろう。だけど、人間から見たらダラダラと過ごしてるように見える猫の日向ぼっこだけど、アレって、生きてくためにものすごく大切なことなのだ。猫は、お日さまの紫外線を浴びることによって、体毛でビタミンDを作る。そして、体をペロペロとなめることによって、作られたビタミンDを体内に摂取してるのだ。ビタミンDは、健康な骨を作るために必要不可欠なビタミンだから、猫に日向ぼっこをさせないと、くる病や骨軟化症になっちゃうのだ。

だから、あたしは、自分にビタミンDが不足してるなって感じた時には、日向ぼっこしてる猫を抱いて、体をペロペロとなめさせてもらって、猫のビタミンDをオスソワケしてもらってる。猫には、それぞれの柄によってそれぞれの味があって、白黒ブチでも、マックスみたく黒い部分の多い子はアンコみたいな甘さだけど、もんじゃみたく白い部分の多い子はお砂糖みたいな甘さだ。マイケルみたいな茶トラはキャラメルみたいな甘さで、ぺぺロンチーノみたいなサバトラは、甘さの中にもちょっとビターなチョコみたいな苦味がある‥‥なんて書くと、本気にしちゃう人もいるかな? いくら猫が大好きなあたしでも、サスガに、猫の体はなめないよ(笑)‥‥って感じの今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、日向ぼっこしてる猫を触ったり、抱いたり、匂いをかいだりはするけど、いくらビタミンDが豊富だからって、サスガに、ペロペロとなめたりはしない。だけど、真っ黒のジジが丸くなって日向ぼっこしてると、おはぎみたいに見えるし、背中の白いもんじゃが丸くなって日向ぼっこしてると、大福みたいに見える。そして、茶トラのマイケルがだらしなく日向ぼっこしてると、まるで、お日さまの熱で溶けちゃったキャラメルみたいに見える。だから、ビタミンDがどうしたとか言う以前の問題として、ビジュアル的に美味しそうで、ナニゲになめてみたくなっちゃう。

で、昨日のこと、午前中のお仕事が終わって、夕方から別のお仕事に行くために、お昼すぎに一度帰って来たんだけど、駐車場に車を停めて降りたら、駐車場の奥のハシッコのタイヤが積んである上で、マイケルが日向ぼっこしてた。それで、あたしが様子を見に行ったら、「ウニャ」って言ってお腹を見せた。それまで背中を上にしてたから、今度はお腹を上にして、だらしなく足をダラ~ンとさせて、とっても気持ち良さそうだった。

それにしても、茶トラの猫が日向ぼっこしてると、溶けたキャラメルみたいって言っても、薄い茶色と白に近い色の細かいシマシマだから、普通のキャラメルじゃなくて、ミルクの混じったマーブル模様のキャラメルが溶けてるみたいに見えて、ホントになめてみたくなって来る。もちろん、ホントになめるワケには行かないから、あたしは、どんな味なのか想像してみることにした。「想像」って言うか「決めつけ」なんだけど、キャラメルは歯につくからあんまり好きじゃないあたしとしては、マイケルをなめた時の味は、子供のころから大好きな、明治のチェルシーのバタースカッチってことに決めつけてみた。

そう言えば、ずいぶん長いこと食べてないな、チェルシーのバタースカッチ。あたしは、子供のころ、チェルシーのバタースカッチと、味覚糖の純露が大好きだった。チェルシーのバタースカッチは、途中までは口の中で大切になめてるんだけど、ある程度まで薄くなってくると、もうガマンできなくなって、カリカリと食べちゃってた。純露は、ハチミツみたいな味のと紅茶の味のが混ざってて、紅茶の味のほうのをなめると、ちょっぴり大人の気分になれた。見た目も宝石みたいにキレイだから、なめながら何度も口から出して、お日さまにかざして眺めたりしてた‥‥って、そんなセンチメンタルは置いといて、問題はマイケルだ。

あたしが勝手に「チェルシーのバタースカッチ味」って決めつけちゃったマイケルは、そんなことなどお構いなしに、お腹を上にして無防備に日向ぼっこしてる。あたしが目の前にいるから、ヨケイに安心してるんだろう。それで、あたしは、マイケルの体をペロペロとなめる代わりに、チェルシーのバタースカッチ味を想像しながら、ふかふかのマイケルのお腹に顔を埋めて、匂いをかごうとした。そして、両手でマイケルのお腹の毛を触ったら、何だかチクチクした。あたしは、「あれ?」って思って、お腹の毛を手グシで梳かしてみたら、ナナナナナント!‥‥って驚くほどのことじゃないんだけど、イノコヅチがいっぱいくっついてたのだ。

‥‥そんなワケで、イノコヅチは、漢字だと「猪子槌」って書くんだけど、この「槌(つち)」は、指の節とか膝(ひざ)とか踵(かかと)とかが、金槌(かなづち)や木槌の頭の部分のように、ポコッと飛び出てる様子を表わしてる。つまり、ポコッと飛び出したイノシシの膝のことを指してる。正確には、イノシシの踵に当たる部分なんだけど、イノシシにしても猫にしても、実際にはつま先だけで歩いてて、人間の踵に当たる部分は、地面からずっと上にある。で、イノシシの場合は、その部分がポコッと飛び出してるってワケだ。イノコヅチは、茎に節があって、その節の部分が、イノシシの膝みたいにポコッと飛び出てる。それで、こんなアテ字をするようになった。ちなみに、原産国の中国では、この節が牛の膝小僧に似てるってことで、「牛膝(ごしつ)」って表記する。

ちょっと紛らわしいんだけど、イノコヅチは、大きく分けて、日向に生えてる「ヒナタイノコヅチ」と、日陰に生えてる「ヒカゲイノコヅチ」がある。そして、単に「イノコヅチ」って言った場合には、この両方のことを総称するんじゃなくて、日陰に生えてる「ヒカゲイノコヅチ」のことを指す。何でなのかは、あたしには分かんないので、日本イノコヅチ協会の理事長のアントニオ猪子さんにでも聞いて欲しい。

で、このイノコヅチは、穂先にビッシリと下向きに並んでる種に爪がついてるから、草むらを歩いてると、知らないうちにズボンとかスカートとか靴下とかに、いっぱいくっついてる。もちろん、猫や犬やタヌキやウサギなんかの体にもくっついて、遠くに運ばれて、子孫を増やす。ようするに、「動物散布」ってワケで、俗に言う「ひっつき虫」の一種だ。多摩川には、いろんな「ひっつき虫」が生えてるんだけど、特に多いのが、このイノコヅチと、ネコジャラシを巨大にしたみたいなチカラシバ、1~2cmの楕円形の種に先の曲がったトゲがいっぱいついてるオオオナモミの3種類だ。

オオオナモミは、子供のころ、投げっこした記憶がある人も多いと思う。まだ緑色の若いヤツは、トゲも柔らかくて威力が弱い。茶色くなってるヤツのほうが、トゲも堅くて相手のお洋服によくくっつくし、投げやすかった。つまり、子供のオモチャになったから、記憶してる人も多いってワケだ。だけど、あんまりオモチャにならないイノコヅチは、「イノコヅチだ」って認識されることが少ない。原っぱや土手で遊んで帰って来ると、ズボンやスカートにくっついてる「いろんな草の種の中のひとつ」って感じで、自分についてるを見つけたら、手で取ってそこらに捨てる‥‥ってだけの人が多いと思う。

でも、あたしの場合は、そうじゃなかった。1人遊びをすることが多かったあたしは、オオオナモミがいっぱいついてるサイコーの枯れ枝を見つけても、それを投げる相手がいなかった。だから、少しだけ採って、自分のセーターにつけて遊んでた。そして、そのうち、自分のセーターに絵を描くようになった。そうなって来ると、おんなじ形のオオオナモミだけじゃなくて、他の形のものも欲しくなる。たとえば、人の顔を作る場合には、目と鼻はオオオナモミでいいんだけど、眉と口を作るのに、もっと細くて小さい形の種が必要になって来る。それが、イノコヅチだった。

あたしは、オオオナモミの両目の上に、イノコヅチを2つか3つ並べて眉にしたんだけど、両目をウルトラマンみたいにつり上げて、眉もナナメにして、「怒ってる顔」を作ったり、その逆にして「悲しい顔」を作ったりした。そして、自分のセーターにつけたまま帰って来て、おばあちゃんに見せたりしてた。あとは、毛糸の帽子に、イノコヅチを並べて自分の名前を書いたりした記憶もある。30年近くも前のことなのに、猫のお腹についてたイノコヅチを見て、こんなことまで思い出しちゃうんだから、わずか1cmほどの植物の種だからって、自然てものをバカにはできない。スペースシャトルを飛ばす人間の科学力をもってしても、この1cmほどの植物の種を「無」から作り出すことはできないんだから。

自然の力がスゴイのは当たり前だけど、あたしが何よりも素晴らしいと思うのは、言葉もしゃべれなくて、お互いの意思の疎通ができない生き物同士が、ハチに蜜を吸わせる代わりに花粉を運んでもらうお花みたいに、みんな相互に助け合ってる点だ。木から落ちたドングリは、どんなにコロコロと転がったとしても、5mか10mくらい先にしか行かないだろう。そして、風に乗せて種を飛ばすタンポポだって、100mか200mがいいとこだろう。だけど、こうして、他の動物の体にくっつく種は、場合によっては何kmも先へと運ばれる。

そして、もっとスゴイのは、柿みたいに、鳥たちに食べられる果実の種だ。柿の実を食べた鳥は、何十kmも先まで飛んで行き、飛びながらフンをする。そして、そのフンと一緒に落ちた種が、そこから芽を出す。渡り鳥なんかに食べられたら、何百km、何千kmも遠くへと旅をする。こんなことを考えてると、天下りたちを潤すために、あたしたちの税金を使って、多くの生き物たちが暮らす山や森を破壊して、ムダな道路やダムを造り続ける自民党政治の愚かさが、一段と鮮明に見えて来る。

‥‥そんなワケで、話をクルリンパと戻すけど、マイケルのお腹についてたイノコヅチも、オオオナモミとおんなじで、最初は緑色だ。そして、他の「ひっつき虫」たちと一緒で、緑色のうちは、まだ熟してないって感じで、トゲが柔らかくて引っかかる力が弱いだけじゃなくて、茎や枝から種が落ちにくい。それでも、人間のズボンや猫の体にくっついたりするんだけど、もしもこの緑のイノコヅチがマイケルについてたら、あたしは、触る前に気づいただろう。だけど、昨日は、薄茶のマイケルの体に、薄茶のイノコヅチがついてたから、パッと見ただけじゃ分からなかったってワケだ。そして、マイケルのお腹のイノコヅチをひとつひとつ丁寧に取ったあたしは、足元の駐車場のアスファルトの上に捨てるのが忍びなくて、生えて来ないだろうとは思ったけど、何となく駐車場の周りの植え込みのとこに捨ててみた。だって、せっかくマイケルが運んで来てくれた命なんだから‥‥なんて思った今日この頃なのだ。


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