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2008.12.29

アメリカの都合で決まる善と悪

27日、イスラエル軍は、パレスチナのガザ地区に大規模な空爆を行なった。東京23区の半分ほどの面積のガザ地区に、80機もの戦闘機や攻撃用ヘリを動員した総攻撃は、200ヶ所以上の地点を次々と攻撃して、現在確認されてるだけでも、270人以上もの人が殺され、800人以上もの人が負傷してる。イスラエルの攻撃による1日の犠牲者数としては、1980年代の第1次インティファーダ以降で最多と見られてる。空爆を受けたガザ地区の様子は、映像でもご紹介したけど、あまりにも酷すぎる。それもこれも、すべては、イラク戦争と同様に、アメリカ発の大量殺人なのだ。

だけど、ニポンはアメリカの飼い犬なので、これほど大変な大事件もほとんど報道しないし、報道する場合でも、イスラエル側に立った偏向的な報道しかしない。一番分かりやすい例が、イスラエルとハマスに対する表現の違いだ。どの新聞も、「イスラエル政府は、ガザ地区を支配するイスラム過激派ハマスを空爆した」なんて書き方をする。何も知らない人がこうした記事を読めば、イスラエルのほうは「政府」なんだからちゃんとしてて、ハマスのほうは武力でガザ地区を支配してる「過激派」なんだって思っちゃうだろう。

ニポンのマスコミは、他にも、ハマスに対しては、「イスラム原理主義の武装勢力」だの何だのって、何も知らない人たちに悪い印象を与える表現を使いまくってるけど、その最たるものが、「テロリスト」って言葉だ。ちゃんと選挙をして、大多数の国民から支持されて政権についたハマスなのに、よりによってそれを「テロリスト」だなんて、デタラメにもホドがある。だけど、殺人鬼のブッシュは、アメリカの敵をすべて「テロリスト」って呼ぶ。だから、石油利権のためにイスラエル側についたブッシュは、当り前のようにハマスを「テロリスト」って呼んだ。

そして、それに右へ倣えなのが、ニポン政府と、ニポン政府の広報機関であるマスコミってワケだ。だから、新聞やテレビの偏向報道を鵜呑みにしてるようなバカは、未だに、「ガザ地区を支配してるハマスという恐ろしいテロ集団をやっつけてくれる正義の味方がイスラエル軍」だなんて思い込んでる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、アメリカが味方してるほうを「正義」、そうじゃないほうを「悪」っていう図式で偏向報道し続けてるニポンのマスコミも、この「テロ」って言葉を都合よく使い続けてる。あたしたちがよく耳にする「自爆テロ」って言葉にしても、もともとは「Suicide bombing」、つまり、「自爆攻撃」って言葉なのだ。だけど、これを「自爆テロ」ってふうに婉曲させて訳すことによって、「自爆テロを起こすのはテロリストだ」ってイメージを植えつけてる。

コイズミのバカは「テロには屈しない」って連呼してたし、アベのバカも「テロとの戦い」って連呼してたけど、イラクの旧フセイン政権にしたって、今回のハマスにしたって、ちゃんとした政権政党であって、決して「テロリスト」なんかじゃない。ニポンで言えば、自民党とおんなじ立場の政党だ。だけど、自分の敵をすべて「テロリスト」って呼んで悪いイメージを植えつけようとするのは、知能の低いブッシュの十八番で、それにシッポを振ってついてったのが、コイズミやアベっていうクルクルパーどもだったってワケだ。

ブッシュが相手のことを「テロリスト」とか「独裁者」とかって呼ぶのは、全世界に悪いイメージを植えつけて、自分の行なってる大量殺人を正当化しようとするための方便でしかない。現に、イラクでは、大義名分の「大量破壊兵器」なんてどこにもなかった上に、戦争を起こしたことで、イラクの情勢はフセイン政権下よりも遥かに悪化した。イラクの人たちの気持ちは、ブッシュの顔面に投げつけられた靴がすべてを物語っているだろう。イラクの人たちにとっては、ブッシュこそが「テロリスト」であり、アメリカこそが「大量破壊兵器」だったってワケだ。

それでも、ブッシュは、未だに「独裁者フセインの手からイラク国民を解放したのは私だ」って自画自賛してる。そして、何よりも信じられないのが、去年の8月22日にミズーリ州カンザスシティーで行なわれた退役軍人団体の年次総会での演説だ。ここで、ブッシュは、次のようにノタマッてるのだ。

「今日のテロとの戦いも、過去の第二次世界大戦と同じく、イデオロギー的な戦いである。アルカイダによる同時多発テロは、1940年代の旧日本軍による真珠湾への奇襲攻撃や東アジアの植民地支配と同じ、アメリカに対するテロ行為だ。日本の軍国主義者や北朝鮮及びベトナムの共産主義者は、自分たちの理想の国を作るためにはアメリカが邪魔だった。そのため彼らテロリスト集団は、我々アメリカ人を殺したのだ。しかし、我々が日本に勝ち、日本を立派な民主主義国家へと導いたように、イラクやアフガニスタンのテロリスト集団も叩き潰し、立派な民主主義国家へと導くことが理想であり国益である」

ようするに、ブッシュは、太平洋戦争の時のニポンのことも「テロリスト」だって言ってて、アルカイダと一緒だって言ってるのだ。そして、ニポンの真珠湾攻撃は、同時多発テロとおんなじ「テロ行為」だって言ってる。ま、相手を「悪」にして自分を「正義」にするのは、どの戦争でもおんなじだし、当時は、ニポンもアメリカのことを「鬼畜米英」とか言ってたんだから、お互い様って部分もあるけど、それにしても、時代背景がまったく違うのに、60年以上も前の戦争と現代のテロ行為とを同一視されたらシャレにならない。

‥‥そんなワケで、話をイスラエル軍の空爆に戻すけど、何も知らない人たちのために、どうしてこんなに酷い事態に至ったのかってことをフランク・ザッパに説明すると、今回の空爆を受けたガザ地区ってのは、地図上ではパレスチナ自治区の一部だし、報道とかでも「パレスチナのガザ地区は~」って言われてるけど、現実にはイスラエル軍の占領下にある。ガザ地区と周辺の地域をつなぐ道路などは、すべてイスラエル軍によって封鎖されてて、ガザ地区にいる人たちは他の地域に出ることができない。そして、イスラエル軍は、外部からガザ地区への食糧や燃料や医薬品などの搬入もすべてストップさせて、ガザ地区の人たちを「兵糧攻め」にして来た。だから、このガザ地区にいる約150万人の人たちは、「陸の孤島」にいるような感じなのだ。

で、最初からぜんぶ書いてたら何万文字あっても終わらないので、今回の空爆への流れだけにするけど、まず、何よりの大前提は、ニポンのマスコミの偏向報道によって大きな被害を受けてるハマスの誤解を解くことだ。さっきも書いたけど、ハマスってのは、テロリスト集団なんかじゃなくて、ちゃんとした政党なのだ。2004年12月から行なわれたパレスチナの地方議会選挙では、過半数以上の議席を獲得してるし、2006年1月の評議会選挙でも圧勝して、ハマスのイスマイル・ハニーヤ代表が首相になったのだ。

もちろん、何十年間も戦争状態にある国だから、政権政党って言っても、ニポンとはまったく状況が違う。ニポンみたいに、国会で居眠りしてる議員が何人もいたり、総理大臣が国民のことをホッポリ出して自分だけ11日間もお正月休みをとっちゃうようなノホホンとした政党とは違う。武力行使は当然だし、戦争大国のアメリカをバックにつけて、大量の兵器にモノを言わせてやりたい放題のイスラエルに対しては、微力な武器で応戦するために、自爆攻撃も辞さない場合がほとんどだ。

だけど、ホントは、どっちの国も戦争なんかしたくない。毎日のように、何の罪もない子供や女性が次々と殺されてくなんて、誰だって望まない。だけど、どうしても石油利権を死守したいブッシュが、イスラエルを焚きつけて、戦争を続けて来たってワケだ。アメリカ製の武器もいっぱい売れるしね。イラクとおんなじだよ。そのために、ブッシュは、政権政党であるハマスのことを「テロリスト」と呼び、全世界に向けて捏造した「正義と悪」の図式をアピールして来た。自分のやってる大量殺人を正当化するための方便としてだ。

でも、こんなことを続けてたら、あまりにも酷いことになっちゃうからって、今年の6月に、エジプトが仲介して、半年間の停戦が合意された。だけど、この停戦中も、イスラエル軍はガザ地区の包囲を緩めなかった。微量の食料や燃料や医薬品を運び込むことは許可してたけど、それはとても必要最低限の量には届かなかった。ようするに、形だけは停戦に合意したポーズをとりつつも、実際には「兵糧攻め」を続けてたってワケだ。

そして、イスラエル政府は、先月からすべての検問所を完全封鎖して、食料や燃料の搬入を全面禁止にした。イスラエル政府は、国連による人道的な食糧配給までもストップさせたのだ。ガザ地区に住む150万人のうち、半数以上の80万人が難民だって言われてるけど、この難民たちは、みんな国連から配給される食糧で生活してたのだ。それで、ガザ地区の人たちを守ってるハマスは、備蓄してた食糧を難民たちへ配ったりしたんだけど、これもアッと言う間に底をつき、11月の半ばからは、ほとんどの人たちが飢餓に苦しむ状況が続いてる。その上、ガザ地区の火力発電所の燃料の搬入もストップされてるから、広い地域でずっと停電が続いてる。

‥‥そんなワケで、こんな状況の中、6月に結んだ停戦の期限、12月19日がやって来た。もちろん、さらに停戦が延長されれば一番いいんだけど、ハマスにしてみれば、こんな「兵糧攻め」を受けながらの停戦なんかじゃ、戦争をしてるのと変わらない。それ以前の問題として、今回の停戦を受け入れる条件として、「ガザ地区に対する道路封鎖の解除」があったのに、イスラエル側はそれを守らなかったのだ。だから、ハマスとしては、当然の要求としての「封鎖解除」を訴えるために、停戦の期限が切れた19日から、イスラエル側へロケット弾を撃ち込んだ。そして、それに対する報復攻撃が、今回の大規模な空爆だったってワケだ。

ものすごくザクッとした説明だけど、これで、この問題をまったく知らなかった人にも、全体的な雰囲気が伝わったと思う。もともとが戦争なんだから、どっちが正しくてどっちが悪い‥‥なんてことはない。そんなこと言い出したら水かけ論になっちゃうし、どっちにも悪い部分はある。ただ、ひとつだけ言えるのは、イスラエルの人たちにしても、ガザ地区の人たちにしても、民間人たちは誰ひとり戦争なんて望んでないってことだ。戦争をしたがってるのは、イスラエルの軍隊だけで、これは、頭のおかしいナントカ幕僚長やアベシンゾーと同レベルの人殺しが好きなキチガイどもだからだ。そうじゃなかったら、子供たちがたくさんいることが分かってる建物に爆弾を落とすことなどできるワケがない。

で、今回の空爆にしても、最初にロケット弾を撃ち込んだのはハマスのほうで、イスラエル側はそれに対する報復って形をとってる。だから、いくら「兵糧攻め」を受けてたとしても、最初にロケット弾を撃ち込んだハマスのほうが悪いって見方もある。だけど、イスラエルとハマスとの兵力の差は歴然だ。少ない物資で作ったハンドメイドのロケット弾を撃ち込むのが精一杯のハマスと、最新鋭の戦闘機や戦車をタップリと持ってる上に、アメリカのバックアップで200発もの核弾頭ミサイルまで隠し持ってるイスラエル軍とじゃ、最初から勝負は見えてる。

今までも、イスラエル人が1人殺されるのに対して、パレスチナ人は40~50人殺されて来たけど、今回も、ハマスのロケット弾で殺されたイスラエル人が1人なのに対して、その報復攻撃によるパレスチナ側の死者は270人を超えてるのだ。もちろん、人の命の重さは、人数とは関係ない。1人なら良くて、270人だから悪いってことじゃない。だけど、とにかく今までイスラエル軍がやって来たことは、あまりにも酷すぎるのだ。

今から6年近く前の2003年3月16日、ボランティアとしてガザ地区を訪れてたアメリカの女子大生、レイチェル・コーリーさん(当時23才)は、ガザ地区の国境近くの民家を破壊し続けるイスラエル軍のブルドーザーの前に立ちはだかって、民家を守ろうとした。でも、ブルドーザーは停まらずに、そのままレイチェルさんを轢き殺した。レイチェルさんは、パレスチナの人たちが置かれてる酷い状況を知り、少しでも役に立ちたいとガザ地区へやって来て、貧しい子供たちとの交流など、平和のために尽力して来た素晴らしい女性だった。これも、書くと長くなっちゃうから、興味のある人は「レイチェル・コーリー」で検索して、自分で知って欲しい。

わずか23才の女子大生が、自らの命を投げ出してまで抗議したのは、自分の国であるアメリカが、何の罪もないパレスチナの子供たちを苦しめ続けてること、殺し続けてることに耐えられなかったからだろう。あたしたちの税金も、その一部が、イラクやパレスチナの子供たちを殺すために使われ続けてるけど、それでもアメリカの人殺しに加担し続けてる自民党やナンミョー党などを支持してる大バカがいる現状を見ると、漢字も読めない総理大臣が登場するバックボーンが見えて来るってもんだ。

‥‥そんなワケで、非力なロケット弾で1人を殺された報復として、大規模な空爆で数百人単位の大量殺戮を続けてるイスラエル軍だけど、そのうちの何%かの爆弾や銃弾は、あたしたちの税金が迂回して買い与えたものだ。そして、こうした異常とも思える大規模な空爆が行なわれてるのは、この戦争を裏で操って来たアメリカの事情があるからだ。ブッシュは、完全にイスラエル側に立って、自分の石油利権を守るためにイスラエルをバックアップし続けて来たけど、年が明けて1月になれば、アメリカの大統領はオバマに代わっちゃう。オバマは、今年の6月、票集めのためにイスラエル寄りの発言をしたけど、イラクからの完全撤退を明言してるように、ブッシュと比べたら遥かにマトモな人間だから、あまりにもアカラサマなイスラエル支持はしなくなると予想される。だから、イスラエルとしては、よく分かんないオバマなんかに代わっちゃう前に、できるだけハマスを叩いとこうって作戦なんだろう。今なら、いくら末期とは言え、一応はブッシュ政権下なんだから、あくまでもハマスは「過激なテロリスト集団」であり、イスラエル軍は「正義の味方」って図式なんだから‥‥なんて思う今日この頃なのだ。


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