靴を投げた英雄
今朝の「世田谷通信」で、ブッシュに靴を投げたイラク人の記者のことを取り上げて、「きっこのブログ」のほうにはYOU TUBEの映像もアップしたけど、何だか知らないうちに、この話題があちこちで盛り上がってるみたいだ。あたしがこのニュースを耳にして、すぐにYOU TUBEで映像を探してアップした時点では、この映像のアクセス数は、まだ1万8000くらいだった。だけど、あたしがアップしてから20時間くらい経過した今、もう一度見てみたら、ナナナナナント! 43万アクセスになってたのだ!
さらには、これとおんなじ映像も何本がアップされてるし、別のテレビ局のものも何本かアップされてるから、ぜんぶを合わせたら何百万アクセスもしてると思う。それに、これは、YOU TUBEだけの話だから、他の動画サイトも入れれば、ヘタすると、たった1日で何千万人もの人たちがこの映像を観たのかもしれない。そして、ニポンのテレビでも報じられたように、他の国のテレビでも報じられたと思うから、そういうのも合計すると、きっと、世界中で何億人もの人たちが、靴を投げつけられるブッシュの映像を観たんだと思う。
だから、とてもその人数を調べることはできないけど、仮に全世界で10億人の人が観たとしたら、たぶん、そのうちの9億9999万9997人くらいは、ブッシュが靴を避けた瞬間に、「チェッ!」って思っただろう。あの映像を観る限り、靴はなかなかのスピードが出てたし、山なりとかじゃじゃなくて、ブッシュの顔に向かって一直線に飛んでたから、アレがあのまま顔面にヒットしてれば、いくらツラの皮がぶ厚いブッシュでも、少しは人の痛みが分かったと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、たった1日で世界のヒーローになっちゃったあの記者は、ムンタゼル・ザイディさん、29才だ。エジプトのカイロを拠点にしてるイラクのテレビ局、「アルバグダディヤ」の記者で、バグダッド大学を卒業したエリートだ。ザイディさんは、アメリカ兵に2回も拘束されたこともあって、もともとアメリカ兵やブッシュには強い反感を持ってたそうだ。だから、今回のことも、突発的に行なったんじゃなくて、以前から「チャンスがあればやってやろう」って思ってたそうだ。
それで、あたしは、たまたま他に投げるものがなくて、仕方なく自分の靴を投げたんだと思ってたら、そうじゃなくて、イラクでは、「靴で相手を踏みつける」ってことが、相手を侮辱する最大の行為なんだって。だから、ザイディさんは、他に投げるものがなかったワケじゃなくて、最初から靴を投げつける作戦だったんだって。つまり、ブッシュにケガをさせることが目的だったんじゃなくて、あくまでも「侮辱すること」が目的だったってことになる。そうすると、もちろん顔面にヒットしたほうが世界中の人たちはスッキリしただろうけど、イラクの習慣的に考えれば、たとえ当たらなくても、「靴を投げつけた」って行為自体に大きな意味があったんだから、アレで「成功」だったんだと思う。
どっちにしろ、ケガをさせようとか殺してやろうとか思ってたのなら、あんなにユルユルの記者会見場なんだから、効果のある武器を持ち込むことも可能だったと思う。銃器のタグイがムリだとしても、十分に殺傷力のあるスポーツパチンコとかなら楽勝で持ち込めたと思うから、それをしなかったことが、やっぱり「侮辱すること」を目的としてたってことの証明になる。ようするに、生タマゴや完熟トマトを投げつけたりするのと一緒の感覚なんだろう。
ただ、ブッシュのすぐ隣りにいたのはイラクのマリキ首相だったんだから、ちょっとコントロールが悪くてマリキ首相のほうに飛んでたら、大変なことになってたような気もする。だから、そうとうコントロールには自信があったんだと思うし、もしかしたら、毎日、靴を投げる練習をしてたのかもしれない。だって、最初から両手に靴を持ってたならともかく、自分の履いてた靴を脱いで投げたのに、片方を投げてからもう片方を投げるまでにそんなに時間が掛かってない。だから、ザイディさんは、自分の履いてる靴をパッと脱いで投げる練習を「いつか巡って来るチャンス」のために、日々、繰り返してたのかもしれない。
で、このザイディさんは、当然のことながら、今は警察に拘留されてるんだけど、他国の首脳に対する侮辱罪に問われると、最低でも禁固2年の実刑になっちゃうそうだ。でも、ザイディさんの勤めてるテレビ局、「アルバグダディヤ」は、謝罪をするどころか、ザイディさんを擁護してる。「アルバグダディヤ」は、ザイディさんがブッシュに向かって靴を投げた行為を「アメリカがイラク国民に約束した民主主義と表現の自由にあたる」として、何の罪にもならないっていう公式見解を出して、即時釈放を要求してるのだ。
テレビ局の同僚によると、ザイディさんは、旧フセイン政権下では、フセインのことを憎んでたそうだ。それは、自分の家族がフセイン政権の武力警察に拘束されたことがあったからだ。だけど、そのフセインを倒しに来たハズのアメリカ兵が、今度はフセインに代わって何の罪もない一般市民を殺しまくり、女性から少年までレイプしまくり、家財道具を奪いまくり、家に火をつけてまわるようになった。そして、そうしたアメリカ兵たちの酷い行為を取材しようとしたら、ザイディさんはアメリカ兵に捕まり、2回にも渡って拘束されたそうだ。それで、ザイディさんは、アメリカ兵やブッシュを憎むようになったそうだ。
‥‥そんなワケで、「イラクには大量破壊兵器がある」っていうデマを大義名分にして、2003年3月に始めたブッシュのイラク攻撃によって、イラクの人たちは10万人以上も殺された。でも、これは、あくまでもアメリカ側が主張してる人数であって、イラク側は「100万人」も殺されたって主張してるし、第三国による試算でも「65万人」て数字が出てるんだから、「最低でも10万人以上」って考えるのが妥当だろう。それから、アメリカ兵の死者は約4000人、従軍関係者の死者は約1000人、そして、ニポンの自衛隊の死者は2007年の時点で35人だ。
大ウソつきのコイズミは、「自衛隊は1人の犠牲者も出なかった」って断言したし、フロッピー麻生も、「自衛隊は2年半の間に1人の犠牲者もなく人道復興支援をやり遂げてくれた。野球で言えばノーヒットノーランぐらいすごいことだ」ってズレまくったことをノタマッてたけど、野党が調査したところ、陸上自衛隊員が14人、航空自衛隊員が1人、海上自衛隊員が20人、合計で35人もの自衛隊員が亡くなってて、政府がこの事実をインペイしてたってことが発覚した。そして、去年の11月、国会での野党の厳しい追及に対して、とうとう自民党はこの事実を認めたってワケだ。
ま、現地の人たちからは、アメリカ兵とおんなじに憎まれ続けてるニポンの自衛隊員だけど、実際にはイラクを復興するために現地に行ってたんじゃなくて、自衛隊を軍隊にするための第一歩として、「国際協力」の名のもとに海外でもムリヤリに活動させて、憲法の解釈を変えさせることが目的だったんだから、現地の人たちに憎まれるのは当然だ。そして、これで自衛隊を軍隊にするため既成事実は十分に作れたんだから、それが、たった35人の犠牲で済んだってことは、この国を再び戦争のできる「美しい国」にしたがってる自民党のクルクルパーどもにとっては、安い買い物だとでも思ってんだろう。
その上、バカなニポン国民を騙すために、ニポン国内では、イラクの人たちに自衛隊員が飲料水を配ってるようなヤラセの映像ばかりを流し続けて、「自衛隊はイラクの人たちから感謝されてます」なんてやってたんだから、開いた口がふさがらない。劣化ウラン弾の粉塵によって遺伝子に異常を起こした陸上自衛隊員たちには口封じをして、武装した他国兵たちをピストン輸送し続けて、完全に戦争に加担してた航空自衛隊員たちには特別ボーナスを与えて、数えきれないほどのイラクの人たちを虐殺する手伝いをしておきながら‥‥って、頭に血がのぼって、どんどんダッフンしてきちゃったから、ここらで話をクルリンパと戻すけど、その前に、最後にひとつだけ言っておきたいことがある。
それは、あのブッシュでさえも、イラクに大量破壊兵器がなかったことを認めて、イラク侵攻は間違いだったって謝罪したのに、そのブッシュの片棒を担いて、85%もの国民の「反対!」の声を無視して自衛隊をイラクに派遣したコイズミは、未だにヒトコトも謝罪してないってことだ。当初、コイズミは、ブッシュのデタラメを鵜呑みにして、「イラクには大量破壊兵器がある。フセインのような独裁者がこうした兵器を使えば、何万人、何十万人もの命がおびやかされる。これを放置することはできない」って言って、アメリカに追従した。
だけど、結局、大量破壊兵器なんかどこにもなく、言い出しっぺのブッシュは、それを認めて謝罪した。それなのに、何でコイズミは謝罪しないの? イラクでは、未だに殺され続けてる人たち、苦しんでる子供たちが数えきれないほどいるってのに、コイズミの口からはイラクの「イ」の字も出て来なくなった。コイズミにとっては、イラク戦争ってもう過去のものなの? もしもそうだとしたら、これほど無責任なことはない。イラクのほうに向かって、切腹してお詫びしろ!
‥‥そんなワケで、コイズミのセリフを借りれば、「何万人、何十万人もの命がおびやかされる」ものが大量破壊兵器なんだから、イラクの人たちにとっては、アメリカとそれに追従した国こそが、本当の意味での「大量破壊兵器」だったってワケだ。それでも、まだニポン政府の広報に洗脳されてるニポン人の中には、「独裁者のフセインがいなくなったんだから良かったじゃん」なんて思ってる人がいるかもしれない。だけど、それは大きな間違いだ。今のイラクは、フセイン政権の時よりも遥かに悪化してるのだ。
たとえば、子供たちの学力ひとつを見ても、それはよく分かる。フセイン政権下では、ほとんどの子供が学校に通うことができてて、全国の子供のうち9割以上が母国語の読み書きができた。だけど、今は、学校に通える子供は2~3人に1人しかいなくて、全国の半数以上の子供が、まったく読み書きができなくなった。5人に1人は、自分の名前すら書けないのだ。その上、アメリカ軍の使用した劣化ウラン弾の粉塵によって、数えきれないほどの子供たちが、先天性の奇形、ガン、白血病に苦しんでる。これが、ブッシュやコイズミが犯した大罪なのだ。
殺された一般市民にしても、戦闘中の誤爆とかで亡くなったのなら「戦死者」ってことになるけど、そうしたケースばかりじゃない。ケダモノのようなアメリカ兵が、突然、ライフルを持って自宅に押し入って来て、男性はその場で射殺され、女性はレイプされてから射殺されたのだ。中には、変質者にレイプされてから射殺された少年もたくさんいる。そして、何の罪もない民間人を一家皆殺しにした挙句に、金目のものを強奪し、家に火を放ち、ジープに飛び乗って、ゲラゲラと笑いながらキャンプへ戻って行く。それが、アメリカ兵だ。
だけど、こんなことをいくら書き続けても、漠然としたことばかりじゃ信用しない人もいると思って、あたしは、ホントは胸が苦しくなるから書きたくなかったんだけど、今年の3月24日の日記、「ハディーサの悲劇とマハムディヤの悲劇」に、イラクで起こったアメリカ兵による酷い事件を2つ紹介した。詳しくは過去ログを読んでもらうとして、ここでは、以下、その事件の状況の部分だけを再掲する。
長期の駐留でストレスが溜まってたポール・コルテス軍曹、ジェス・スピールマン1等兵、ブライアン・ハワード上等兵、ジェームズ・バーカー特技下士官、スティーブン・グリーン元1等兵の5人は、この日、非番だったため、制服を私服に着替えて、昼間から酒を飲んでた。そして、酔いも回って来たころ、前日に検問所で目をつけておいたイラク人の女性をレイプするために、その女性の家へと軍用車を走らせた。5人は、いっせいに女性宅を襲撃し、この14才の少女だけを部屋に残し、残りの家族、お父さんとお母さんと5才の妹をバスルームに閉じ込めた。そして、首謀者のスティーブン・グリーンは、この家に護身用として置いてあった銃、カラシニコフを手に取り、バスルームの3人を射殺した。あとから死体を検視した報告によると、「蜂の巣のように撃たれていた」そうだ。そして、3人を殺してから、14才の少女を全員でレイプし、この少女の頭を何発も撃ち抜いて殺し、家の中の目ぼしいものを盗んだ挙句に、灯油をまいて火をつけたのだ。あたしは、この殺害現場の部屋の映像を見たけど、少女がレイプされたあとに撃ち殺された場所の壁には、脳みそが飛び散った跡のようなシミがあった。
‥‥これが、イラクの現実だ。そして、こうしたアメリカ兵たちを次々と運び込んでるのが、ニポンの航空自衛隊なのだ。自分がイラク人だったら、当然、アメリカ兵を憎むだろう。そして、こんな鬼畜どもを次々と運び込んで来るニポンの自衛隊も、同じように憎むだろう。それなのに、ニポンのテレビに流れる映像は、政府が作ったヤラセの映像ばかりで、「自衛隊はイラクの人たちから感謝されてます」と来たもんだ。
もちろん、何千人も何万人も駐留してるアメリカ兵が、全員こうした鬼畜のワケはない。こうしたヤツラは、わずか数%だろう。だけど、今まで集めたデータによると、少なくとも数十のグループがいることは確かだ。そして、このコルテス軍曹のグループのように、摘発されて軍事会議にかけられるのはマレで、99%の事件は表沙汰にはならない。発覚しないものも多いし、たとえ発覚したところで、上官がモミ消すからだ。ナゼなら、上官もグルになってる場合がほとんどだからだ。
3月29日の日記、「イラク帰還兵の願い」には、そうした上官の悪質さを紹介した。アメリカ陸軍の衛生兵としてイラクへ派遣されてたジョー・ウィラーさんは、帰国してから、次のように証言としてる。
「輸送の任務中は、上官から『近づいて来る人間は無差別に射殺しろ』と命令された」
「何のためらいもなくイラクの民間人を射殺する兵士がたくさんいたが、こうした兵士たちに対して、上官は、イラク人を殺した褒美として『4日間の特別休暇』を与えていた」
これらは、すべて民間人なのだ。何の罪もないイラクの民間人を無差別に射殺しろと、上官から命令されてたと言うのだ。そして、それに対するご褒美までがある。こんな狂った世界に身を置いていれば、さっきのコルテス軍曹のグループのように、休みの日に昼間から酒を飲んで、現地人をレイプしに行くようなヤツラが出て来るのも当然の流れだ。そして、ジョー・ウィラーさんは、次のようにも証言してる。
「銃撃戦の最中に逃げ遅れた女性をレイプする兵士がいた」
目の前では銃撃戦が行なわれてて、自分もアメリカ側の兵士として戦ってたのに、逃げ遅れて建物の影に隠れてた現地女性を見つけたトタンに、その女性をレイプしたと言うのだ。そして、もしもレイプのあとに射殺したとしても、銃撃戦に巻き込まれて死んだことにするんだろう。これが、アメリカ兵だ。これが、イラクの現実だ。そして、その大将が、ブッシュなのだ。そんな鬼畜の親玉が目の前に現われたら、イラク人であれば、誰でも靴くらい投げつけるだろう。
‥‥そんなワケで、あたしは、ブッシュに靴を投げつけたザイディさんは、サスガ、大学を出てるエリートだけあって、とっても紳士的な人なんだと思う。だから、どんなに憎い相手であっても、靴を投げつけるっていう安全な行為で自らの意思をアピールしたんだと思う。普通の感覚のイラク人だったら、自分の国にこれだけ酷いことをした鬼畜どもの親玉を目の前にしたんだから、マシンガンで蜂の巣にしてるか、手溜弾で木端微塵にしてるとこだったと思う。だからこそ、この紳士的なザイディさんは、一夜にしてイラクの英雄になっちゃって、翌日には、バグダッドやナジャフで、ザイディさんの釈放を求める数千人規模のデモが行なわれたのだ。だから、ブッシュの共同正犯であるコイズミも、いつまでもコソコソと逃げてまわってばかりいないで、政界を引退する前に、一度、イラクに行って来るべきだと思う。そして、自分自身が「安全な非戦闘地域」だって断言したサマワを歩いてみろ!‥‥って言いたい今日この頃なのだ。
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