味の無人島化計画
「お肉は食べないけどお魚は食べる」っていうヘナチョコベジタリアンをやってると、「魚肉は肉じゃないのか?」っていうツッコミを入れられる。それもこれも、「ベジタリアン」ていう言葉にムリがあるんだと思う。だって、「ベジタリアン」て名乗っちゃうと、頭に「ヘナチョコ」をつけようが「テキトー」をつけようが、どうしても「ベジタブルしか食べない人」ってイメージが強くなっちゃうからだ。だから、ホントは、食べるほうのものを言うんじゃなくて、「牛や豚や鶏を始めとしたお肉だけを食べない人」って言葉があればいいんだけど、そんな言葉はなさそうだし、仮にあったとしても、一般的じゃないだろうから、そんな言葉を使ったところで誰にも伝わらない。
それに、あたしの場合は、お魚は食べるけど、お魚の中でもメチル水銀の量がハンパじゃないマグロとかカジキとかキンメダイとかは食べないことにしてる。そして、動物関係は食べないことにしてるけど、牛乳は飲むし、バターやチーズとかの乳製品も食べるから、この辺のラインが曖昧だ。でも、牛乳や乳製品は、ダイレクトに動物を殺すワケじゃないから、「動物を殺すのがかわいそうだからお肉は食べない」っていうあたしの考え方には反してない。
それで、あたしが、ずっと悩み続けてるのが、タマゴだ。タマゴは「ヒヨコの素」なんだから、食べたら動物を殺すことになる。でも、そこらのスーパーで売られてる無精卵なら、メンドリが温めたってヒヨコは生まれないんだから、人間が食べても動物を殺すことにはならない。もちろん、10個200円以下で売られてるようなタマゴは、いくら無精卵でも、あまりにも劣悪な環境と危険な飼料で飼われてる鶏のタマゴだから論外だけど、1個50円以上の無精卵なら、それなりの環境と飼料で飼われてる健康な鶏のタマゴだから、月に1回か2回くらいなら食べてもいいかな?‥‥って思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしの場合、どうしてこんなにタマゴのことで悩んでるのかって言えば、前から「きっこの日記」を読んでくれてる人は知ってると思うけど、タルタルソースが使えなくて困ってるからだ。あたしの大好物の1つにシャケフライがあるんだけど、このシャケフライの食べ方としては、全体に少しだけハチ公ソースをかけてから、その上にタルタルソースをタップリと乗せて、ハシッコからガブッとかじりつく。そうすると、ハチ公ソースの酸味とタルタルソースの甘味との何とも言えない和音の中から、サクッとした衣とジューシーなシャケの身が出て来て、口の中いっぱいに味覚のパラダイス銀河がローラースケートで広がってく。そして、まだ口の中にシャケフライが残ってるうちに、ホカホカのご飯を口に入れると、「あ~~幸せ~~♪」ってことになるのだ。
もちろん、この食べ方は、シャケフライに限らず、白身魚フライでもエビフライでもアジフライでもイワシフライでも美味しいんだけど、あたしの場合は、タルタルソースを使う定番のカキフライには使わない。カキフライの時は、ハチ公ソースとカラシだけで食べる。何でかって言うと、せっかくのコクのあるカキの味が、タルタルソースのコクで打ち消されちゃうからだ。ま、その辺のことはどうでもいいんだけど、とにかく、タマゴを食べちゃダメってことにすると、タルタルソースが使えなくなって、その結果、こうしたお魚のフライを食べる時に、あたしのベストの形での食べ方ができなくなるってワケだ。
この辺までは、前にも書いたことがあるかもしれない部分で、お肉を食べないようにした初期のころから悩んでた部分だ。そして、今の悩みは、仮に「健康な鶏の無精卵なら食べてもいい」ってことにした場合に、どうするのかってことだ。だって、あたしのタルタルソースって、市販のマヨネーズを使って作るから、いくら健康な鶏の無精卵を使ったとしても、マヨネーズのほうに使われてるタマゴが、劣悪な環境と危険な飼料で飼われてる鶏のタマゴの可能性が大きいからだ。
ちなみに、あたしのタルタルソースは、ユデタマゴを作って、白身を細かく刻んで、黄身はパラパラにして、あとはピクルスやタマネギも細かく刻んで、パセリもあったら細かくして、これらを市販のマヨネーズで和えるって感じだ。あとは、その時の気分で、黒コショウを入れてみたり、余ってたドレッシングを入れてみたりって感じで、極めてテキトーだ。だから、この方式で作るとなると、市販のマヨネーズに使われてるタマゴに問題が生じてきちゃって、いくら健康的なタマゴでユデタマゴを作っても、意味がなくなっちゃう。だからって、マヨネーズの部分から自分で作るなんて、そんなヒマとお金を持て余してるセレブ奥さまみたいなことなんてやってらんない。
で、ここまで書いて来てようやく気づいたのは、ようするに、あたしって、タルタルソースがどうしたとかってことが問題なんじゃなくて、「市販のマヨネーズを食べてもいいのかどうか」ってことが問題だったんだ。そして、そんな根本的なことに気づかなかったのは、あたしが、ほとんどマヨネーズを使わない食生活をしてたからなのだ。あたしがマヨネーズを使うのって、タルタルソースを作る時の他は、スルメを食べる時くらいだからだ。スルメを炙って細く割いたら、全体にお醤油をかけて、頭の三角のとこにマヨネーズをニュルニュルっと出して、そこに一味唐辛子をドバッとかける。そして、この一味マヨをスルメで混ぜ混ぜしながら食べると、いくらでもお酒が飲めちゃうのだ。
‥‥そんなワケで、こうして考えると、あたしにとって必要な調味料って、一番必要なAクラスがお醤油、お味噌、お塩、お砂糖の4つで、次に必要なBクラスがソースとケチャップの2つで、マヨネーズは大して必要ないCクラスってことになる。実際、お醤油やお味噌がなくなったら翌日から困るけど、ソースやケチャップがなくなっても1週間くらいは困らないし、マヨネーズはずっとなくても困らない。シャケフライやスルメを食べる時に、マヨネーズがないと物足りなくなるけど、絶対に必要ってほどでもないからだ。
そして、Bクラスのソースとケチャップにしても、お肉やタマゴを普通に食べてたころとは違って来た。ソースはお魚のフライを食べる時に使うけど、ケチャップはほとんど使わなくなった。ケチャップって、オムレツやオムライスとかのタマゴ料理に使うのがメインだったから、タマゴを食べなくなったら、必然的にケチャップも使わなくなったのだ。
それで、あたしがどんな食生活をしてるのかって言うと、前にも何度が献立表を書いたけど、9割以上を和食が占めてる。たとえば、朝はダイコンのお味噌汁とご飯と納豆とタクアン、お昼は梅干しと昆布のおにぎりとお茶、夜はダイコンのお味噌汁とご飯とメザシとキンピラゴボウ‥‥って感じだ。週に一度くらいは、お昼にお蕎麦を食べたりもするけど、それでも使ってる調味料は、お醤油とお味噌とお塩だけで、ソースやケチャップやマヨネーズは皆無だ。
で、こんな食生活を続けてると、やっぱりタマには洋食とか中華とかを食べたくなって来る‥‥って言うか、お醤油とお味噌とお塩以外の調味料を使ったものを食べたくなって来る。それで、ここんとこ、焼酎のお湯割りの梅干し入りばっか飲んでたから、ゆうべは、久しぶりに洋風にお酒を飲んでみることにした。ウイスキーのお湯割りを飲みながら、何か洋風のオツマミを食べようってことにしたのだ。だけど、ザッと調べても、洋風のオツマミの材料になりそうなのはジャガイモくらいしか見当たらない。そこで、あたしは、ただ単にジャガイモを細く切って、フライパンで炒めて、ポテトフライみたいなジャガイモ炒めを作ることにした。
中くらいのジャガイモ3個を1cm角の棒状に切って、キャノーラ油を少しだけ入れたフライパンで、細火でジックリと炒めて行った。焦げないように、全部に平均的に火が通るように、そして、シナッとしないでカリッとなるように、つきっきりで何度もコマメにフライパンを振ってた。そして、すごくイイ感じにカリッとできたから、仕上げにお塩をすごく軽く振って、黒コショウを全体に振った。それで、お小皿にケチャップを出して、チョコチョコとつけながら食べるって方式だ。
炒めたジャガイモにケチャップをつけて食べるなんて、話だけ聞くと芸がないと思われちゃうし、その味も簡単に想像できちゃうと思うけど、これが、信じられないくらい美味しかったのだ。あまりにも美味しくて、大きなお皿にマウンテンなジャガイモを食べながら、ウイスキーのお湯割りを6杯も飲んじゃった。それで、何でこんなに美味しかったのかって言うと、ジックリと時間をかけて理想的な状態になるまで炒めたこともあるけど、もう1つの理由は、何ヶ月もずっと、お醤油とお味噌とお塩の味付けのものばかり食べ続けて来たから、久しぶりのケチャップの味に感動しちゃったからだ。
‥‥そんなワケで、あたしは、この経験から、あることがひらめいた。それは、「味の無人島化計画」とでも名づけるべき作戦なんだけど、ふだん使う調味料に関してだけ、「もしもここが無人島だったら」って仮定して生活するって作戦だ。ここが無人島なら、手に入る調味料は海水から作るお塩だけだ。そう、何を食べるにしても、味つけはお塩しか使っちゃいけないことにするのだ。そうすると、お味噌汁は潮汁になるだけだけど、納豆やメザシにはお醤油が使えない。お野菜で煮物を作るにしても、すべて塩味だけだ。でも、お昼のおにぎりに関しては、もともと塩味だから問題ない。
そして、1週間なら1週間て期間を決めて、この「味の無人島化計画」を遂行する。そうすると、つらい1週間が終わったあとに、お味噌汁を作って飲んでも、お醤油を垂らした納豆をご飯にかけて食べても、あまりの美味しさに大感動できるってワケだ。どう?アホみたい?(笑)
でも、こんなにアホみたいな実験でも、いいこともある。それは、お醤油にしてもお味噌にしても、一定期間、口にしないことで、知らず知らずのうちに舌がマヒしちゃって、日常的につい多めに使ってたものが、いったんリセットできるってことだ。あたしは、オムレツにしてもオムライスにしても、ケチャップをいっぱいかけてた。それこそ、タマゴの全面が赤くなるほどかけてた。だけど、今回、すごく久しぶりにケチャップを使ってみたら、ジャガイモの先にほんのちょっぴりつけるだけで、十分に美味しさを感じることができたのだ。以前、ファーストフードとかにも普通に行ってたころは、ポテトフライにはベットリとケチャップをつけて食べたのに、今回は、ものすごく少しで味を楽しむことができたのだ。
ようするに、何の制約もなく生活してると、こうした調味料って、だんだんと多めに使うようになっちゃうってワケだ。お醤油が好きな人なら、ちゃんと味のついてるものにまで、さらにお醤油をかけちゃう人がいる。漫才師の宮川大助花子の大助も、2年前に脳出血で倒れるまでは、何にでもお醤油をドバドバかけちゃってたそうだ。それで、今は、ものすごく塩分に気をつけた生活をしてる。だから、あたしの考えた「味の無人島化計画」を定期的に遂行すれば、使えなかった調味料に対する感激度が増すだけじゃなくて、知らず知らずのうちにマヒしてた味覚を回復することもできて、結果、体のためにもいいってことになるのだ。
‥‥そんなワケで、「無人島」とか言いつつも、サスガに毎回がお塩だけじゃ飽きちゃうから、お塩だけのパターンの他に、お醤油だけのパターン、お味噌だけのパターン‥‥って、毎回、使っていい調味料を変えてくほうがいいと思う。それに、こうしないと、お塩に関する味覚をリセットできないからだ。ただ、このパターンにすると、ソースだけの時とか、ケチャップだけの時が、想像しただけでもキツイような気がする。だって、あたしが一番多く食べてるオカズって、メザシと納豆なんだから、ケチャップをかけたメザシなら、ギリギリで「にがみばしったイタリアン」てことでお茶を濁すとしても、サスガに、ソースを入れた納豆は、あまりにもアバンギャルドでヌーベルバーグで前衛的だと思う今日この頃なのだ(笑)
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