不発弾の上で暮らす人たち
今日、14日の午前8時20分ころ、沖縄県糸満市小波蔵(こはぐら)の工事現場で、第二次大戦中の不発弾の爆発事故が起こった。現場の道路に水道管を埋めるため、建設会社の作業員が掘削作業をしてたところ、地下1m付近に埋まってた不発弾に重機の掘削用ドリルが当たり、その衝撃で大爆発が起こり、重機を操作してた「東信興建」の古波蔵 ( こはぐら ) 純さん(25才)が重傷を負った。
古波蔵 さんは、南風原町の県立南部医療センターに運ばれて、搬入時には意識があったそうだけど、爆風で体の前面にヤケドを負っていて、特に顔面を中心に胸から上の損傷が激しく、集中治療室で治療してる。担当した救命救急の神山佳之医師によると、「傷の程度はかなり酷く予断を許さない状況」とのことだ。ちなみに、現場の住所が「小波蔵(こはぐら)」で、ケガをした人が「古波蔵 ( こはぐら ) さん」で、ちょっと間違えちゃいそうだけど、沖縄には多い名前だ。何とかがんばって、助かって欲しい。
爆発はものすごかったようで、「ドーン!」という爆音と同時に地響きのような揺れが起こり、半径100m以上に土砂や爆弾の金属片などが飛び散り、現場には直径5m、深さ1.5mの大きな穴が開いた。付近に駐車してた工事関係車両などの窓は吹き飛び、現場から30mほどの場所にある老人ホーム「沖縄偕生園」では、爆風と飛び散った金属片などで窓ガラス104枚が割れ、割れたガラス片で75才の男性入所者が足に軽傷を負った。事故当時は、ちょうど朝ご飯の時間で、入居者全員が食堂に集まってたから良かったけど、もしも全員が自室にいる時間帯だったら、多くのお年寄りが大ケガをしてたとこで、ヘタしたら死者も出てただろう。
一歩間違ったら何人もの犠牲者が出てた大きな事故だから、「琉球新報」では「電子号外」も出たほどだけど、中央での扱いはいつもの通りで、新聞もテレビも簡単に触れただけだった。唯一、NHKのお昼のニュースで、少し詳しく5分ほど報じたけど、それでも今回の事故についての内容を伝えただけで、過去の不発弾による事故や、沖縄の不発弾の現状にはまったく触れなかった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、こうした危険なことに関しては、常に「たら・れば」で考えなきゃダメだと思ってる。ふだん、車の運転をしてる時でも、停車中のバスの右側を通る時なんかは、「もしも子供が飛び出して来たら」って考えて、必ず徐行するようにしてる。だから、今回の爆発事故の場合も、事故後であっても、「もしもお年寄りたちが自室にいる時間帯だったら」ってことを想像してみることも重要だと思う。
だって、1974年3月には、那覇市の聖マタイ幼稚園の前の道路に雨水管を埋める工事をしてて、そこで旧日本軍が埋めた対戦車地雷が爆発して、幼稚園にいた園児の妹を含む4人が死亡、34人が重軽傷を負い、46棟もの家屋が全半壊したのだ。この時も、たまたま「ひな祭り」の準備で、すべての園児が奥の部屋に集まってたから、お庭のブランコで遊んでた園児の妹だけが被害に遭ったけど、もしも他の日だったら、たくさんの園児がお庭で遊んでたのだ。
地雷って言うと、カンボジアとかの地雷を思い浮かべる人が多いと思う。子供たちが地雷を踏んで、足を失ったりしてるヤツだ。でも、アレは、歩兵の進行を食い止めるための「対人地雷」であって、沖縄に埋まってる「対戦車地雷」は、この1974年の事故の被害状況を見れば分かるように、火薬の量も爆発力もケタが違う。そして、この事故にしても、もしも幼稚園がお休みの日だったり、夜だったりすれば、少なくとも園児たちは死なずに済んだのだ。今回の老人ホームのお年寄りたちにしても、35年前の幼稚園の園児たちにしても、たまたま食事の時間だったり、たまたま「ひな祭り」の準備をしてたことで生死を分けてるのだ。
沖縄では、復帰後、こうした不発弾や地雷による事故が11件も起こってて、何人もの人が死亡してる。それなのに、未だにこうした事故が起こるのは、単純明快な話で、国による対応、対策が不十分だからだ。63年前の沖縄戦で、日米両軍が使用した爆弾、砲弾、地雷は、20万トン以上で、そのうち2%にあたる約4000トンが、不発の状態で地下に埋没したままになってた。そして、現在でも、未処理のまま埋没してる不発弾や地雷は、推定で約2500トンも放置されてるのだ。
ちなみに、2007年度の沖縄の不発弾処理の実績は、781件、25.4トンで、復帰後からの累計は、3万24件、1757.9トンが処理されたことになってる。ようするに、1年あたり25トンの割合で処理してるってことで、あと2500トンの不発弾が完全に処理されるのは、今のスピードなら100年後ってワケだ。で、どうしてこんなに時間が掛かるのか?‥‥ってことだけど、もちろん、人手の問題とかもあるけど、何よりもネックになってるのが、無責任な国による予算の問題だ。
こうした不発弾を処理するための対策は、費用の9割を内閣府が補助する「不発弾等処理交付金」と、費用の5割を総務省が補助する「不発弾処理事業」の2つがある。だけど、1つの不発弾を処理するためには、事前の調査、住民への広報、住民の避難、交通規制、掘削工事、自衛隊への撤去要請、処理後の補修工事など、莫大な費用が掛かる。だから、たとえ9割を国が負担してくれたとしても、小さな市町村には大きな財政負担が生じる。そのため、積極的には不発弾の調査をすることができないってワケだ。だって、ヤミクモに調査して、いくつもの不発弾が見つかっちゃったら、ぜんぶ処理するしかないワケで、そんなことにでもなったら、その自治体が破産しちゃうからだ。
それで、沖縄では、何十年も前から、「不発弾の処理費用は全額を国が負担して欲しい」って要望を続けて来た。でも、都合の悪いことは何でも「先送り」するのが十八番の自民党は、この沖縄の要望を長年ずっと先送りし続けて来た。普通に考えたら、国が勝手に始めた戦争で使われた爆弾なんだし、地雷に至っては旧日本軍が埋めたものなんだから、すべて国の責任で処理するのがスジだろう。それなのに、たとえ一部でもそこに住んでる人たちに負担させるなんて、あまりにも無責任な話だ。
去年、ようやく国は重い腰を上げて、今年の予算からは、不発弾処理に伴う土嚢(どのう)や防護壁設置などに掛かる費用だけは国が全額負担することになったんだけど、これにもおかしな裏があって、「公共工事の場合のみ」っていう線引きがなされてるのだ。ようするに、民間の建設会社とかがマンションを建てたりする時に不発弾が見つかったりすると、これまで通り、その自治体に負担が生じるワケで、これも政官業の癒着の上にふんぞり返ってる自民党政権ならではのやり方ってワケだ。自民党の議員と癒着してる業者が、ワイロを渡して公共事業を斡旋してもらった時だけ、不発弾の処理に掛かる費用を国が全額持つだなんて、あまりにも分かりやすい構図ってワケだ。
‥‥そんなワケで、現在、内閣府が沖縄の不発弾処理にどれくらいの予算を割り当ててるのかって言うと、年間で約4億4000万円だ。このお金をあたしにくれるんなら、それは「ものすごい大金」だけど、沖縄の不発弾処理の予算としては、「たったの4億4000万円」てことになる。そして、国がこれだけの予算しか出さないから、沖縄の不発弾は、すべてを処理するまでに、あと100年も掛かるってワケだ。戦後60年が過ぎても、未だに不発弾の事故で亡くなる人や重傷を負う人が出てるってのに、国は、これっぽっちの予算しか出さずに、あと80年も沖縄の人たちに「不安な生活」を押しつけようとしてるのだ。
ちなみに、辺野古で平和の座り込みをしてる人たちを脅して排除するために、去年、国がつぎ込んだ予算は、軽く50億円を超える。たとえば、ジュゴンのエサ場やサンゴの産卵地域を守るために、カヌーやゴムボートで海上の座り込みを続けてる人たちを威嚇するために、国は、48億円もの税金を投入して、11隻の巡視艇と、3隻の小型船と、30隻のゴムボートを購入したのだ。そして、こともあろうに、これらの船をアメリカ軍のキャンプ・シュワブの中に停泊させて、そこから出動させてるのだ。不発弾を処理するためには4億4000万円しか出さないのに、辺野古の平和と自然を守る自国民を脅して排除するためには、その10倍以上の48億円をポンと出す政府って、いったい何のための、誰のための政府なんだろう?
そして、さらに言わせてもらえば、グアムにアメリカ兵たちの高級住宅を作るために、政府は3000億円もポンと出すそうだけど、どうしてそこまでやらなきゃなんないの? 百歩ゆずって、沖縄の不発弾がゼロになり、辺野古の海が守られて、高江のヘリパットも白紙に戻り、東京ドーム1700個ぶんの「北部訓練場」が沖縄に返還されて、それからアメリカのためにお金を出してやるんなら少しは納得できるけど、これほど沖縄の人たちが苦しんでるのに、それをホッタラカシにしたまま、アメリカの人殺しには湯水のごとくお金を出し続けるなんて、モノゴトの優先順位がデタラメすぎるよ、まったく。
それも、あたしたちの税金でグアムに作るアメリカ兵たちの高級住宅って、すごくおかしな話になってるんだよね。2008年1月24日の日記、「語るに落ちた自民党」に詳しく書いてるけど、グアムにあるアメリカの建設会社に建てさせれば、ぜんぶで600億円で済むって試算が出てるのに、ニポンの政府はそれを断って、わざわざニポンの建設会社にグアムまで材料や建設機器を運ばせて、それで建てさせるんだってさ。だから、3000億円なんていう、アメリカ側の試算の5倍もの法外な予算が必要なんだってさ。皆さん、どう思う?
高卒のあたしの脳みそだと、アメリカに600億円くれてやって、グアムにあるアメリカの建設会社に建てさせて、余った2400億円をニポン人のために使ったほうが遥かにいいと思うんだけど、そうすると政府にとって何か都合の悪いことでもあるのかな? もしかすると、自民党の森派とベッタリ癒着してるニポンの大手建設会社にオイシイ仕事を回すために、何が何でもグアムの建設会社なんかには渡せない仕事ってことなのかな?
たとえば、不発弾の処理に掛かる費用は、年間に4億4000万円なんだから、不発弾がゼロになるまでの100年間で440億円掛かるってワケだ。だから、7~800億円もあれば、自治体には1円も負担させずに、すべての不発弾を処理することができるだろう。そして、2400億円も浮いてるんだから、それでもまだ1600億円も残ってる。そしたら、このお金で、辺野古や高江の自然を守り、沖縄から基地がなくなってもみんなが暮らして行けるような基盤を作ることは十分に可能だ。それなのに、不発弾の上で暮らしてる自国民のことよりも、殺人鬼のアメリカ兵どものことを優先してるなんて、ニポンの政府って、トンチンカンにも保土ヶ谷バイパスだ。
‥‥そんなワケで、沖縄の人たちの命を守るための「不発弾処理の費用」には、年間に4億円ちょっとの予算も出し惜しみして、その一部を地元の人たちに負担までさせてるクセに、辺野古の平和を願ってるオジィやオバァたち、やんばるの貴重な自然を守ってる高江の人たちを脅すための「嫌がらせの費用」には、その10倍以上の50億円なんて予算をポンと出しちゃうのが、売国奴軍団の自民党政権てワケだ。そして、自分たちと癒着してる企業や官僚や天下りどもを潤すためには、2400億円ものムダ遣いも何とも思わないってワケだ。国民の税金が、まったく国民の望む形で使われてない上に、さらには、国民を苦しめるために使われてるなんて、それもこれもすべては、霞が関と癒着してる自民党政権の独裁が原因なのだ。だからこそ、国民の7割以上が反対してる2兆円ものバラ撒きを平然と強行採決しちゃうワケで、こんな腐りきった政府の支持率が未だに10%台もあることが、あたしは何よりも信じられない今日この頃なのだ。
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