地球のカレンダー
あたしが欠かさずに観てるNHK教育テレビの「高校講座・地学」だけど、おんなじ放送を観続けて、もう3年目になるので、宇宙のことも、地球のことも、もうずいぶん理解して来た。で、毎年、今の時期は、人気のあった回をランダムに放送してたりするので、あたしも完全にリラックスモードで楽しんでるんだけど、ゆうべの深夜は、あたしが「高校講座・地学」を好きになったキッカケの回、第12回の「野外観察に出かけよう」だった。これは、第11回までの第1編で宇宙のことを勉強して、続いての第2編で地球のことを勉強する最初の回だ。
お茶目で可愛い安達修子先生と、ご存知、平野麻樹子ちゃんとの天然風味のやりとりがサイコーで、番組のサイトでもダイジェスト版は観られるんだけど、面白いポイントがずいぶんカットされちゃってるから、やっぱり、ちゃんとした放送のほうが何倍も楽しむことができる。
で、あたしは、焼酎のお湯割りの梅干し入りを飲みながら観てたんだけど、その流れで、次の「理科総合AB」も観た。こっちも、ちょうど「理科総合B」の第12回の「海で始まった生命」、ようするに、生物の回の1回目だった。こっちも何度か観てたけど、相変わらず挙動不審な小林裕光先生に、小沢一郎をもシノぐ岩手県パワー全開の高松知美ちゃんが貪欲な食いつきを連発してて、なかなか楽しかった。レポーターの中里真美ちゃんとのやりとりも、まだ台本棒読み感がマンマンのギクシャクぶりが微笑ましかった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、この「高校講座」では、「地学」の場合は、スタジオもロケも平野麻樹子ちゃんが1人でこなしてるんだけど、「理科総合」の場合は、スタジオが高松知美ちゃんで、「A」のロケが武田あかりちゃん、「B」のロケが中里真美ちゃんていうキャスティングになってる。だから、「理科総合」の場合は、野外や研究所や博物館にロケに行った武田あかりちゃんや中里真美ちゃんが「現場に行って答えを調べて来た人」になるワケで、スタジオにいる先生も「答えを知ってる人」なワケだから、スタジオでお留守番をしてた高松知美ちゃんだけが「答えを知らない人」って図式でのコント‥‥じゃなくて、展開になるのが黄金のパターンだ。
たとえば、「理科総合B」なら、先生と一緒に海へ微生物の採集に行った中里真美ちゃんが、得体のしれない不気味なモノを持ち帰って来る。で、先生も真美ちゃんも、それが何なのか分かってるけど、スタジオでお留守番してた高松知美ちゃんだけは分からない。もちろん、事前に台本を読んでるワケだし、スタッフからもちゃんと指導させてるんだから、ホントは何なのかは分かってる。ここでは、あくまでも、台本に沿って「何だか分からない演技」をしてるワケなんだけど、もったいぶる先生と、答えを聞いて大ゲサに驚いて見せる高松知美ちゃんとのワザトラシーやりとりがサイコーなのだ。
ゆうべの「理科総合B」は、3回に渡って「地球上に生物が登場してから現在まで」を勉強する第1回なんだけど、放送の冒頭で、シャーレに入れた「乾燥した岩海苔」みたいなモノが登場する。で、コレが何なのかは、台本を読んでる上に、事前に実験もしてる高松知美ちゃんは、当然知ってるワケだけど、本番では生まれて初めて見たような顔をして、「これはいったい何ですか~?」ってやるワケだ。そして、あとから、この岩海苔みたいなのが、酸素がなくても生きられる原始生物の「シアノバクテリア」の中の「陸性のもの」ってことを教えてもらい、水槽に入れて光をあてて光合成をさせるってワケだ。
‥‥そんなワケで、あまりにも楽しい高松知美ちゃんのリアクション芸なんだけど、次回の「理科総合B」では、両生類とかが誕生したとこに入るから、もっと面白いことになる。ナナナナナント! 高松知美ちゃんと中里真美ちゃんが、小林裕光先生に言われてサンショウウオのモノマネをさせられちゃうのだ! これは、今から30年くらい前に、タモリがイグアナのモノマネをしたのにも匹敵するほどの衝撃映像なので、皆さん、お見逃しなく!‥‥ってのも織り込みつつ、次の次の放送では、多細胞生物が誕生して、あたしの大好きなワオキツネザルとかも紹介されつつ、人類が誕生したとこまでが総括される。
そして、この3回の放送でのすごく興味深いこととして、小林裕光先生が、地球が誕生してから現在までを「1年間のカレンダー」に見立てた「地球カレンダー」ってのを紹介してくれる。ようするに、46億年前に地球が誕生した日を「1月1日の午前0時」として、現在を「12月31の午後11時59分」として、この1年間のカレンダーに、地球で起こった生物の誕生などを書き込んでくってものだ。で、痒いとこに猫の手が届く「きっこの日記」としては、もちろん、簡単にマトメて紹介しちゃう。
「地球カレンダー」(フランク・ザッパ版)
1月1日 地球誕生(46億年前)
3月初め 最初の生命が誕生(38億年前)
6月初め シアノバクテリアなどのラン藻類が出現(27億年前)
7月中旬 真核生物(細胞に核を持つ生物)が出現(21億年前)
9月下旬 多細胞生物が出現(11億年前)
12月1日 生物が陸上へ進出(4億年前)
12月中旬 恐竜や哺乳類が出現(2億年前)
12月26日 恐竜が絶滅(6500万年前)
12月31日 人類が誕生(500万年前)
‥‥そんなワケで、この「地球カレンダー」を見れば分かるように、1月1日に地球が誕生したと仮定すると、3月の初めに最初の生命が誕生してから、11月の終わりまでは、すべての生命は「海の中」だけにしかいなかったのだ。そして、1年も終わりを迎える12月になって、初めて植物が陸上へと進出して来たのだ。そして、植物に続いて、サンショウウオみたいな生物が、水中でも陸上でも呼吸できる両生類へと進化して、陸上へと進出して来たってワケだ。
それからは、陸上でいろんな植物や動物が誕生して、12月の中旬には、恐竜や哺乳類が誕生した。だけど、6500万年前の中生代と新生代の境の「KT境界」では、直径が10kmもある巨大な隕石が地球に激突して、舞い上がった粉塵が何ヶ月間も太陽の光をさえぎっちゃって、恐竜を始め、いろんな生物が絶滅しちゃった。多くの生物が短期間に絶滅することを「大絶滅」って言うんだけど、この6500万年前の「大絶滅」の前にも、2億5000万年前の古生代と中生代の境の「PT境界」で、海の生物の95%が絶滅した「大絶滅」があった。
こうした「大絶滅」は、地球上に多細胞生物が誕生してから今までに5回あったって言われてるんだけど、それでも、わずかに生き残った生物たちが、お互いに助け合って、何とか命のバトンをつなげて来た。蜜を吸わせてもらう代わりに、その花の花粉を運ぶ昆虫たち。果実を食べさせてもらう代わりに、その果実の種をフンと一緒に遠くへ落とす鳥たち。一見、弱肉強食に見える食物連鎖にしても、すべては命のバトンを未来へとつなぐために「輪」になってるのだ。
だけど、今、地球は、6回目の「大絶滅」を迎えてる。そして、現在の「大絶滅」が、過去の5回と大きく違ってる点は、その「原因」なのだ。過去の5回が、すべて自然が原因だったのに対して、現在の「大絶滅」の原因は、間違いなく「人間」が原因なのだ。そして、その規模は、6500万年前の「大絶滅」をも超えるもので、毎年、4万種もの生き物が絶滅し続けてる。1年間に4万種ってことは、1日に110種ずつ、1時間に4~5種ずつ、この地球上から生物が滅び続けてるってことになる。ちなみに、人間が地球上に現われる前の世界では、生物が自然に絶滅する割合は、だいたい「1000年に1種」だったそうだ。
‥‥そんなワケで、現在、地球上には、約150万種の生物が確認されてるけど、まだ人間が発見してない種がこの何倍かはいるだろうって言われてる。だから、この約150万種がすべてってワケじゃないけど、それでも、毎年4万種ずつ絶滅してるんだから、このまま人間が何の対策もしなければ、10年で40万種、20年で80万種‥‥って絶滅してって、40年後の2050年には、地球上のほとんどの生物がいなくなるってことになる。
でも、これは、あくまでも「1年間に4万種」っていうスピードで進んでったらの話だ。近年の生物の絶滅のスピードを見てみると、100年前の1900年までは「4年に1種」しか絶滅してなかったし、1900年から1960年までも「1年に1種」しか絶滅してない。それが、1960年を過ぎると、突然、「1年に1000種」になり、1970年を過ぎると「1年に1万種」になり、1980年を過ぎて、とうとう「1年に4万種」になったのだ。つまり、このまま行けば、「1年に5万種」になったり「1年に10万種」になったりする可能性もあるワケで、そしたら、もっと早くにすべての生物が絶滅することになる。
それから、「1年間に4万種ってことは、1日に110種ずつ、1時間に4~5種ずつ、この地球上から生物が滅び続けてるってことになる」って書いたけど、この内わけを見ると、何よりも大きいのが「熱帯雨林の伐採」で、これが原因で絶滅してる生物は、1年間に2万7000種、1日に74種に上る。そして、残りの1万3000種が、乱開発や地球温暖化、大気汚染や海洋汚染によるものだ。つまり、熱帯雨林の伐採をやめれば、生物の絶滅のスピードを一気に3分の1にできるんだけど、これは「バイオ燃料」の源料のトウモロコシやサトウキビを植えるための伐採だから、アメリカ主導の自動車社会が続いてる以上、やめさせることはできないだろう。
‥‥そんなワケで、ここで、もう一度、さっきの「地球カレンダー」を見て欲しいんだけど、1月1日に地球が誕生してからの1年間のうち、12月30日までの364日は、氷河期が訪れようとも、大規模な地殻変動があろうとも、巨大な隕石が地球に激突しようとも、生き残ったわずかな生物たちが力を合わせて、何とかがんばって美しい地球を守り続けて来たってことが分かると思う。そして、最後の12月31日になって、突然現れた人間が、たった1日で、この地球をメチャクチャにしちゃったってことが分かると思う。
だけど、その人間にしても、地球上に誕生した500万年前から、ずっと自然破壊を繰り返した来たワケじゃない。さっきの「生物の絶滅のスピードの変遷」を見れば分かるように、現在のように「1年間に4万種」なんて速さで生物を滅ぼすようになったのは、たった30年前からなのだ。そこで、今度は、人間が誕生した12月31日のことを時間割りにして見てみようと思う。
「地球カレンダーの12月31日の出来事」(きっこ版)
午前0時 人類が誕生(500万年前)
午後2時 ヒト属(ホモ属)が誕生(200万年前)
午後4時 ホモ・ハピリスが石器を使い始める(150万年前)
午後11時 ホモ・サピエンスが誕生(25万年前)
午後11時55分 縄文時代(1万6000年前)
午後11時59分57秒 明治時代(150年前)
午後11時59分58秒 ドイツで世界初のガソリン自動車が誕生(120年前)
午後11時59分59秒 第二次世界大戦(60年前)
午後11時59分59秒30 人類によって年間4万種の生物が絶滅するようになる(30年前)
皆さん、これ、どう思う? 「地球カレンダー」の1月1日に地球が誕生して、12月30日までナニゴトもなく平和に過ぎて来たどころか、12月31日の夜の11時55分過ぎまでは、人間もこれと言って他の生物に迷惑はかけてなかったんだよ。そして、あと1秒か2秒で今年も終わって新年を迎えるっていうギリギリのとこで、まるで発狂したかのように自然を破壊し始めて、わずか1秒でこの地球をメチャクチャにしちゃったんだよ。
あたしたちは、あたしたちの時計で生活してるから気づかないけど、1000年に1種しか生物が絶滅しなかった恐竜の時代の時計で見てみると、あたしたち現代の人間て、一瞬のうちに地球をボロボロにしちゃう恐ろしい病原菌みたいな存在なんだよね。それも、自分たちが生きてくために必要な最低限の殺生をしてるワケじゃなくて、自分たちが「便利な生活」や「ゼイタクな生活」をするための不必要な殺生をしてるんだよね。自動車の燃料を作るための熱帯雨林の伐採しかり、娯楽施設を建設するための沖縄の泡瀬干潟の埋め立てしかり、人殺しの訓練のための高江のヘリパット計画しかり、高尾山を貫くムダなトンネル工事しかり、すべては一部の人間が自分たちのフトコロを潤すための自然破壊なんだよね。
‥‥そんなワケで、6500万年前の「大絶滅」の時には、恐竜などの大型動物の他にも、たくさんの生物が絶滅した。全生物の約7割が絶滅したって言われてるけど、何ヶ月間も太陽の光がさえぎられてたんだから、海洋生物も大きな被害を受けた。そして、この時、美しいサンゴも大被害を受けた。だけど、サンゴは絶滅をまぬがれて、ほんのわずか生き残った種が、それから長い年月をかけて、また復活することができたのだ。この時に、サンゴが元の状態に戻るためにかかった時間は、およそ200万年だ。
そして、現在の世界規模の海洋汚染も、サンゴに大きな打撃を与えてる。世界遺産にも指定されてる世界最大のサンゴ礁、オーストラリアのグレートバリアリーフでも、ものすごいスピードでサンゴの「白化現象」が進んでて、過去400年で最悪の事態になってる。これは、隣接するクイーンズランドの沿岸部での熱帯雨林の伐採が最大の原因だって言われてる。これも、もちろん、熱帯雨林を伐採して、広大なサトウキビ畑にしてるワケで、これは人間が食べるためじゃなくて、バイオ燃料の原料として栽培してるワケだ。そして、短期間に大きくさせるために、大量の化学肥料をぶち撒いてるんだけど、この多くが雨によって海へと流れ出し、海水を酸性に変えてしまい、サンゴを殺し続けてるのだ。
去年の7月に「ワイアード誌」に発表された「CO2 Pollution Could Erase Coral Reefs (CO2の汚染がサンゴ礁を消滅させる)」って記事では、人間が排出し続けてるCO2による海水の酸性化について取り上げてる。そして、この記事の中で、スタンフォード大学の気象学者のケン・カルデイラ博士は、「私たちが現在行なっているCO2の排出と同じくらい極端な例を見ようと思ったら、6500万年前の恐竜が絶滅した時代へ戻らないとならない。6500万年前の酸性化の時には、サンゴ礁が元の姿を取り戻すまでに200万年もかかった。サイエンス誌に発表された論文には『今すぐにCO2の排出量を厳しく規制すべき』だと書かれているが、そうしなければグレートバリアリーフなどのサンゴ礁はすべて死滅し、元の姿を取り戻すまでには何百万年もかかるだろう」って言ってる。ようするに、現在のサンゴ礁が破壊され続けてる状況は、6500万年前の「大絶滅」の時とおんなじだって言ってるワケだ。
それなのに、タダでさえ世界中のサンゴ礁が絶滅の危機に瀕してる時だって言うのに、遥か昔のバブルの時の計画をゴリ押しして、かけがえのないサンゴ礁の上にコンクリートを流し込んで埋め立てちゃうなんて、それも、利用する計画も何も立ってないのにどんどん工事を始めちゃうなんて、もはやキチガイとしか言いようがない。ようするに、入居者の予定がゼロなのに巨大なオフィスビルを建てるのとおんなじで、所詮は政治家と土建屋とが癒着して、自然を破壊して小銭を稼ごうとしてるだけなんだよね。目先の小銭に目がくらんだ守銭奴どもには、自分たちが犯してる自然破壊行為が、地球にとっても人間にとっても、決して取り返しがつかない愚行だってことが1ピコグラムも理解できないんだろう。
これは、去年の3月13日の日記、「虔十の心」で呼びかけをした「国交省による高尾山の破壊計画」とおんなじで、あまりにも時代に逆行してる。一部の守銭奴どもが甘い汁を吸うために、何十年も前の計画をゴリ押しして、住民の声を無視して、かけがえのない自然を破壊して、多くの生物を絶滅させるなんて、あたしが大統領だったら懲役200万年の実刑にして、自分たちが破壊した自然が再生するまで重労働させてやるのに。
‥‥そんなワケで、沖縄の泡瀬干潟の埋め立てに関しては、以前も紹介した「リーフチェッカーさめの日記」を見て欲しいんだけど、数日前、何かのニュース番組を観てたら、ちょうど、さめさんがインタビューに答えてるとこだった。埋め立てをゴリ押しする行政が、反対派を黙らせるために、サンゴを別の場所に移植して形だけ取り繕ったんだけど、しばらく前に、さめさんが移植されたサンゴの様子を観に行ったら、どれも死にかけてたそうだ。その映像も放送してたけど、どのサンゴも白化してて、ホントに酷い状況だった。この泡瀬干潟にしろ、辺野古の海にしろ、高江のヘリパットにしろ、どうしてこの国の政府は、こんなに酷いことばかり続けてるんだろう? だって、さっきの「地球カレンダー」を見れば分かるように、1年間の最後の12月31日の夜の11時59分59秒のところにいるあたしたちには、「少しでも美しいままの自然を次の世代へ手渡す」っていうことこそが、何よりも優先すべき使命のハズなのに‥‥。そして、これこそが、人類が笑顔で新年を迎えられる唯一の選択肢なのに‥‥って思う今日この頃なのだ。
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