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2009.02.03

「十二国記」と「キャラコさん」

以前、NHKで放送してたアニメの「十二国記」だけど、タマにしか観られなかったあたしには、ほとんど理解することができなかった。なかなか面白そうだったから、ちゃんと観てみたかったんだけど、原作を読んでないあたしとしては、「ケイのサイホのキリンがショクを起こしてタイカのカイキャクを連れて来た」なんて言われても、何のことだかチンプンカンプンだった。そしたら、去年の暮れから、ヤフー動画で「十二国記」の全45話が無料配信されたから、「おおっ!」って思って、それから少しずつ観て来た。常に節約を心がけてるあたしにとって、ヤフー動画やGyaOの、こうしたアニメや映画の無料配信は、ホントに嬉しいサービスだ。

それで、去年のうちは1日に1~2話ずつ観てたんだけど、今回の「十二国記」はぜんぶで45話もあるし、配信期間が今年の2月23日までだったから、がんばって観ないと間に合わないと思って、お正月には1日に何話も観たりして、1月の半ばには何とか40話までを観ることができた。それで、母さんの手術でしばらくお休みしてたけど、ゆうべ、ようやく自分の時間を持つことができたので、最後の5話を観て、ついに全45話を観終わった。とにかく、ものすごく面白かったし、感動して涙も出たし、ぜひ続きも作って欲しいと思った。

だから、今なら、「ケイのサイホのキリンがショクを起こしてタイカのカイキャクを連れて来た」なんて言われても、「慶」って国の「宰輔」って役職にある「麒麟」が、「蝕」っていう超常現象を起こして、「胎果」としてニポンに流された向こうの世界の人間を「海客」として連れ帰った‥‥ってことだってスグに分かるようになった。もちろん、観てない人には、こんなふうに書いてもチンプンカンプンだろうけど、興味のある人は、あと20日間は無料配信してるから、最後にリンクしとくので、1日に2~3話ずつ必死になって観れば最後まで観られると思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、まるでチンプンカンプンのままだと申し訳ないので、ものすごくフランク・ザッパに説明すると、この「十二国記」ってのは、タイトルの通り、12の国で成り立ってる架空の世界の物語だ。古代中国をモチーフにした12の国がある世界に、現代のニポンにいた女子高生が連れてかれちゃって、そのうちの1つの国の王になるっていうストーリーだ。これは、小野不由美さんの小説のシリーズ、「十二国記」を原作にしたアニメで、原作のほうが現在も未完なので、アニメのほうも戻って来ない伏線がある。

たとえば、それぞれの国に、その王を選ぶ「麒麟」てのがいる。ふだんは人間の姿だけど、白馬に角が生えたキリンビールのキリンみたいな姿に変身しちゃう。で、この「麒麟」は、それぞれの国に1人ずつ、ぜんぶで12人いるんだけど、1人だけ全身が黒い「黒麒麟」がいる。これは、何千年に一度しか現われないものすごく珍しい麒麟で、その国に素晴らしい繁栄をもたらすって言われてる。だけど、アニメだと、この黒麒麟は、現代のニポンに行ったまま高校生として生活してて、その話はそのままになってる。

だから、全45話を観終わっても、細かい部分には未完の雰囲気も残ってる。だけど、メインストーリーはミゴトに完結してるから、ちゃんと納得することができる。「エヴァンゲリオン」のような、安倍内閣や福田内閣のような、無責任に丸投げされたような感覚には陥らない。それに、長い旅の中で、主人公の陽子を始め、それぞれの登場人物がいろんな気づきによって成長してく過程もキチンと描かれてるから、なかなか深く入り込むことができる。

あたしは、12の国の地図の左上のハシッコにある「芳(ほう)」の国の王様の娘、「祥瓊(しょうけい)」のことが大好きになった。最初は、ゴーマンで自分勝手で最悪な娘だったのに、反逆軍に両親を殺されて追放されて、自分も殺されそうになったり、いろんな経験をしてくうちに、たくさんの気づきがあって、最後には素晴らしい女性になる。ものすごく美人だし、歌は上手だし、何よりも「人の心」が分かる女性へと成長した。

それで、あたしは、この「祥瓊」の声を誰がやってるのか気になって調べてみたら、桑島法子(くわしま ほうこ)さんていう声優だった。で、「法子」って書いて「のりこ」じゃなくて「ほうこ」って読むなんて珍しいな‥‥って思いつつプロフィールを見てたら、ナナナナナント! あたしが今世紀最高のアニメだと思ってる「電脳コイル」のイサコの声をやってた人だった!

‥‥そんなワケで、「電脳コイル」は、主人公の小此木優子(おこのぎ ゆうこ)と、敵対する天沢勇子(あまさわ ゆうこ)の2人の「ゆうこ」が登場する。そして、おんなじ名前だと分かりずらいってことで、優子のほうは「優しい子」だから「ヤサコ」、勇子のほうは「勇ましい子」だから「イサコ」ってニックネームで呼ばれるようになる。あたしは、この「勇子」って名前を見た時、すぐに「機動新撰組 萌えよ剣」の「近藤勇子」のことが頭に浮かんだんだけど、こっちのほうは、新撰組の「近藤勇」に「子」をつけただけで、深い意味もなく安直につけられた名前だ。だけど、「電脳コイル」の「勇子」のほうは、主人公の「優子」と、性格としても立ち位置としても対極にいるワケで、この名前に深い意味がある。

で、ちょっと昨日の日記の内容ともリンクしちゃうけど、あたしたちニポン人の名前って、おんなじ名前でも、どんな漢字をあてるかによって、大きく意味が違って来るし、人から見たイメージも違って来る。この「優子」と「勇子」がいい例で、耳で聞けばおんなじ「ゆうこ」なのに、文字で見るとずいぶんイメージが違って来る。他にも、「友子」とか「夕子」とか「悠子」とか「裕子」とか「由布子」とか「木綿子」とか、いろんな「ゆうこ」があるけど、それぞれ文字から受けるイメージが違う。

そして、ふつうは、女の子の名前に「勇」って漢字を使うことは少ないと思う。勇ましいとか強いとかってイメージの漢字は、男の子の名前に使うもので、女の子には、優しいとか美しいとかってイメージの漢字を使うことが多い。だから、全国の「ゆうこ」さんを調べれば、「優子」さんはたくさんいるだろうけど、「勇子」さんは少ないと思う。やっぱり、一般的な名前である「ゆうこ」でも、「勇子」って書く場合は、女の子が勇ましく悪者と戦う小説やアニメの世界のほうに多いんだと思う。

‥‥そんなワケで、あたしが「電脳コイル」で「勇子」って名前を見た時に、「機動新撰組 萌えよ剣」の「近藤勇子」と一緒に頭に浮かんだのが、大好きな小説、久生十蘭(ひさお じゅうらん)の「キャラコさん」だった。あまりにも素晴らしくてカッコ良くてステキな女性、キャラコさんの本名は、「石井剛子」と書いて「つよこ」と読む。この小説が書かれた戦前の昭和初期でも、ちょっと変わった名前だ。

でも、キャラコさん本人は、この名前をとても気に入ってる。それは、お父さまである退役陸軍少将の石井長六閣下が、「これからの女性は男のいいなりになるようなヘナヘナではいかん。竹のようにしなやかで、かつ、剛健な意志をもたねばならぬ」ってことで、「質実剛健」の「剛」をとって名づけてくれたからだ。だから、昨日の日記で言えば、この「剛子」って名前は、親の愛情や願いが込められた立派な名前ってことで、その思いがちゃんと子供にも届いてるってことになる。

退役陸軍少将のお父さまは、わずかな恩給だけで質素に暮らしてて、娘のキャラコさんも、小さな時から厳しく育てられた。そして、「絹ではいかんな。木綿のような女でなくてはいかん」っていうお父さまの考えから、下着も、肌ざわりのいい絹のシュミーズじゃなくて、貧乏くさいキャラコ(木綿)のシュミーズを着せられて育った。それを見た親戚の女の子たちに、「キャラコさん」ていうアダ名をつけられてからかわれたんだけど、キャラコさん本人は何とも思わない。それどころか、「垢じみた絹の下着(シュミーズ)をひきずりまわすよりは、サッパリとして、清潔なキャラコを着ている方がよっぽどましだと思っている」のだ。

そして、厳しくて優しいお父さまによって、立派な19才の女性に成長したキャラコさんが、いろんな事件に遭遇したりしつつも、持ち前の正義感と知恵と愛情で乗り越えて行く短編集が、この久生十蘭の「キャラコさん」だ。久生十蘭と言えば、「顎十郎捕物帳」も素晴らしい作品だけど、あたしは、この「キャラコさん」が大好きだ。最終回では、まだ世田谷が東京じゃなかったころの多摩川沿いのアバラ家に、臨月を迎えてたった1人で苦しんでる親友のために、自分のパーティーを抜け出して駆けつける。そして、パーティーに集まってた人たちをみんな呼び寄せて、その親友の出産を助けちゃう。あたしは、ものすごく感動して、涙が止まらなかった。

‥‥そんなワケで、今は図書館とかで探さないと読むことができない「キャラコさん」だけど、痒いとこに猫の手が届く「きっこの日記」としては、この「キャラコさん」もちゃんと最後に「青空文庫」をリンクしとく。だけど、全45話もあるアニメの「十二国記」を紹介して、全11話の「キャラコさん」も紹介しちゃった上に、「キャラコさん」のリンク先には、これまたメチャクチャ面白い「顎十郎捕物帳」の全24話もあるから、これらをぜんぶ完食するのは、ギャル曽根ちゃんでも難しいと思う。でも、テレビで宣伝を繰り返してるバカバカしい映画なんかをお金まで払って観に行くよりは、こうした無料のコンテンツで楽しんだほうが遥かに価値があると思うので、あたしが太鼓判を押す作品をタンノーしてみて欲しいと思う今日この頃なのだ。


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「十二国記」(無料配信は2月23日まで)
http://streaming.yahoo.co.jp/p/t/00173/v05925/


「キャラコさん」(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1224.html#sakuhin_list_1


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