美容整形の落とし穴
今日、12日付のイギリスの「ザ・サン紙」で、マイケル・ジャクソンがまたまた鼻を整形して、そこから抗生物質の効かないMRSA(ブドウ球菌)に感染しちゃって、その菌が全身に広がって大変なことになってるって報じてる。記事では、すでに皮膚の一部が壊死してて、すぐに手術をしないとヤバいって書いてある。マスクとサングラスで顔を隠した写真も掲載されてるけど、マスクの横から覗いてる皮膚は、何だか赤いマダラになってて、ホントにヤバいみたいだ。ま、詳しくは、「Did Jacko get skin bug from nose job?(マイケルが鼻の整形で皮膚病の菌に感染したかも)」って記事を読んでもらうとして、もう、完全に病気だよね、あの人。
あたしは、別に美容整形を否定する気はないし、どっちかって言うと、あたし自身もプチ整形くらいならやってみたいと思ってる。鼻は低いし、目は離れてるし、口はデカいし、コンプレックスのカタマリだからだ。だけど、サスガに、マイケル・ジャクソンみたいに、まったくの別人の顔になりたいワケじゃない。今のままの顔で、鼻があと5mmだけ高かったらいいのに‥‥って思ってるレベルだ。そして、それは、あくまでも思ってるだけで、実際にやる気はない。たとえ、知り合いがタダでやってくれるって言っても、メスを使う美容整形はやっぱり恐い。あたしの場合は、メスを使わずに、ヒアルロン酸を注射するみたいなヤツで、それだけで何の副作用もなく鼻が高くなるんなら、やってみたいと思ってるだけだ。
だから、あたしの場合は、1に「無料」、2に「メスを使わない」、3に「絶対に副作用や後遺症がない」ってことが大前提で、できることなら、注射もしたくない。病気の治療のために注射をするのなら仕方ないけど、別に病気でもないのに注射をするなんて、いくら美しくなるためとは言え、どうしても気が引ける。やっぱり、豊胸サプリみたく、錠剤を飲むと鼻が高くなるってのが理想的だ。それも、「1錠飲むと1mm高くなる」っていうお薬なら、鏡を見ながら1錠ずつ飲んでって、「ここだ!」ってとこで飲むのをやめれば、あたしの希望する鼻の高さになると思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、昔はワリと美容整形に対しては肯定的だった。女性がキレイになりたいって思うのは普通の感覚だし、それこそマイケル・ジャクソンみたいなのは異常だけど、目を二重にしたり鼻を高くしたりってレベルなら、別にかまわないと思ってた。もちろん、「どんどんやるべきだ」とは思ってなかったけど、小さなコンプレックスが原因で、お仕事にも恋愛にも積極的になれなかった女性が、ちょっとした美容整形をしたことで自分に自信を持つことができて、生まれ変わったように明るく元気に生きられるようになるのなら、それはとってもいいことだと思ってた。
だけど、某女性誌にジャンジャン広告を出してる例の悪質な美容外科に引っかかって、最初の話と違う莫大な料金を請求された人たちや、クリニックの名前をチョコチョコと変えながら酷い手術を繰り返してる札つきの悪徳医師の餌食になって、取り返しのつかない傷やケロイドを負った人たちを何人も見て来たら、あたしの考えは変わった。あたしが美容整形に対しては肯定的だったのは、あくまでも、技術も高くて良心的なちゃんとした医者しかいないっていう前提の話であって、現状の酷さを知ったら、とてもじゃないけど、知り合いとかに美容整形を薦めることなんてできなくなった。だって、あたしが薦めたことによって、もしもその人がホントに美容整形をして、それで取り返しのつかないことにでもなったら、あたしは責任を取れないからだ。
もちろん、美容整形の医者だって、ちゃんとした医者のほうが遥かに多いと思う。だけど、病気やケガを治すための他の科目の医者と比べると、金儲けに走ってる悪質な医者の割合が一番多いのが、美容整形って科目だと思う。それは、術後にいろんな問題が起こって、個人的に訴訟を起こした件数はハンパじゃないからだ。それに、病気やケガを治すための病院なら、値段が高いほうが技術の高い治療を受けられるけど、美容整形の場合は、値段と技術とが比例してるとは一概には言えない。
その証拠が、今回のマイケル・ジャクソンのケースだ。いくら借金を背負ってるとは言え、仮にも天下のマイケル・ジャクソンなんだから、あたしたちが行くようなそこらの美容外科に行くワケはない。通常の何十倍もの金額が掛かるような、セレブ御用達のクリニックへ行き、名前の売れてる医者に執刀してもらったに決まってる。それなのに、抗生物質の効かないMRSAに感染しちゃって、その菌が全身に広がっちゃって、皮膚の一部が壊死しちゃったのだ。これが、通常の外科だったら、そこらの町医者でもアリエナイザーなミスだろう。
‥‥そんなワケで、あたしは、今回のマイケル・ジャクソンの記事を読んで、すぐに思い出したのが、ピート・バーンズのことだった。ピート・バーンズ率いる「デッド・オア・アライブ」は、80年代の中ごろからのバブル期に大ブレイクした。90年代の巨大ディスコで流行したユーロビートの走りで、世界的なヒットを連発した。そして、中性的な魅力で売ってたピート・バーンズは、奥さんもいたのに、バンドの男性メンバーとも愛し合ってて、奥さんと男性メンバーとの3人で暮らしてた。
ピート・バーンズの自伝によると、中学1年生くらいの時に、自宅の玄関を出たとこで大男にムリヤリに強姦されて、それから女性的な感覚が芽生えたそうだけど、ま、その辺のことは、今回は関係ない。とにかく、最初のころのピート・バーンズは、ちょっと女性的でも、基本的には男性で、形としては、「奥さんのいる男性が、同性のメンバーとも関係を持ってる」って感じだった。
だけど、年月が経つに従って、ピート・バーンズはどんどん女性化してって、より女性に近づくために、美容整形を繰り返すようになった。だけど、彼の場合は、体を女性に近づけたいんじゃなくて、顔を女性に近づけたかったみたいだ。だから、豊胸手術とかには興味はなくて、体は男性のままで、顔だけを女性に近づけてった。目も鼻も骨格も、何度も何度も手術を繰り返して、派手なドレスを着て、金髪や黒髪のウィッグをかぶり、濃いメークをして、その時その時の恋人である男性と腕を組んで歩いたりしてた。
そんなピート・バーンズが、ある時、もっとセクシーなクチビルになりたくて、いつもの美容外科を訪ねた。彼が目指したのは、ニポン人には考えられないような「オバケのQ太郎」のようなクチビルだった。そして、担当の医者が薦めたのは、まだ一般には使われてなかったナントカって薬品をクチビルに注入する方法だった。で、その薬品を注入してみたところ、しばらくは大きなクチビルになったんだけど、何週間かすると、元のクチビルに戻っちゃった。それで、ピート・バーンズは、またクリニックへ行った。そしたら、担当の医者は、もう一度その薬品を注入すると言う。
そして、また何週間かしたら元に戻っちゃったから、またその薬品を注入した。こんなことを何度か繰り返してたある日のこと、顔面のあまりの激痛で目が覚めたピート・バーンズは、鏡を見て、気を失いそうになった。そこに映ってたのは、とても人間とは思えない化け物の顔だったのだ。
ホントはクチビルの内側の部分に固定されなきゃいけない薬品だったのに、まだ一般化されてない段階で使用したために、最初の予定通りには行かず、下アゴのほうへ流れちゃってたのだ。そして、そんなことを何度も繰り返したもんだから、ピート・バーンズの口からアゴにかけて、異物である薬品が大量に広がってしまい、それが原因で、化け物みたいな顔になっちゃったのだ。
このピート・バーンズにしても、マイケル・ジャクソンと同じく、あたしたちが行くようなそこらの美容外科じゃなくて、それなりのレベルのとこに行き、名前の売れてる医者に大金を払って頼んだんだと思う。だけど、こんなことになっちゃったのだ。そして、何よりも気の毒なのが、このあとのことだ。これが、病気やケガの治療を受けた普通の科目の医者だったとしたら、完全に医者のミスになるから、その責任を問うことができる。だけど、美容整形の場合は、どんなことになろうとも、最初から「必要のない手術」をするワケだから、責任を問うことができない。もちろん、それぞれのケースによっていろいろと変わって来ると思うけど、ピート・バーンズの場合は、すべて自己責任てことになっちゃったのだ。
それで、彼は、何とか元の顔に戻るために、長く苦しい治療を開始したんだけど、そのために、自分の屋敷を売り払い、過去の楽曲の著作権まで売り払い、ほとんど一文無しみたいな状態になっちゃったのだ。だけど、濃いメークでゴマカセば、何とか人前に出られる程度まで回復したころに、この不幸な事件を面白がったテレビ局が、彼に番組出演の話を持ちかけて来た。彼は、まだ口が痛くて会話をするのもつらい状態だったけど、もうお金がほとんどなかったから、その話に飛びついて、出演料のために自分を見世物にした。そして、それからは、いろんなメディアからオファーが相次ぎ、彼は、一流のミュージシャンとしてじゃなく、「整形に失敗した有名人」として、人々の好奇の目に自分を晒すことで、お金を稼ぐようになった。
こんなふうに、メスを使わなくても、注射だけでも大変なことになるケースもあるのだ。今じゃ一般的なヒアルロン酸の注射にしたって、ヘタクソな医者にやられると、何日かしてから注射したラインがデコボコになって来て、何年間も治らなくなっちゃうのだ。事実、ヒアルロン酸による失敗例は数えきれないほど報告されてるのだ。
‥‥そんなワケで、あたしたち一般人が、20万円で目を二重にしたり、30万円で鼻を高くしたりなんてレベルじゃなくて、マイケル・ジャクソンしかり、ピート・バーンズしかり、世界的なトップスターたちが、セレブ御用達の高級クリニックへ行って、有名な美容外科医に何百万円も払って手術をしても、こんなケースもあるワケだ。だから、あたしは、自分の意思で美容整形をしようとする人に対して「やめたほうがいいよ」とは言わないけど、少なくとも、人に勧めたりはしない。女医タレントの西川史子は、「ブスは生きてる価値が無い!」とか「ブスは生きてる資格が無い!」とかってノタマッて、「女性に嫌われてる女性タレント・ワースト10」の常連メンバーの座を欲しいままにしてるけど、西川史子とは正反対に「すべての女性は胸を張って堂々と生きるべき」だと思ってるあたしは、あたしの技術を駆使して、美容整形なんか必要なくなるように、1人でも多くの女性を美しくして行こうと思ってる今日この頃なのだ。
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