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2009.03.28

磯谷利恵さんのお母さまからのメッセージ

3月18日に判決が出た「闇サイト殺人」の被害者、磯谷利恵さんのお母さま、富美子さんから、今日、皆さんへのメッセージが届いたので、以下、ご紹介する。


「きっこの日記」の読者の皆様へ

 署名活動では、「きっこの日記」を通じて多くの皆様にご協力いただき有難うございます。お陰さまで判決までに32万名様余の署名を頂くことができました。心より感謝しお礼申し上げます。

 事件後1年7ヶ月ほど経った3月18日に下された判決は、神田、堀被告死刑、川岸被告無期懲役という、私共の願いに今一歩届かないものでした。
 死刑と無期懲役を分けたのは、川岸被告の「自首」です。判決文では、刑事責任は二人と比較して、優るとも劣らないと述べています。

 今回の川岸被告の判決に、一番納得していないのは、被害者である娘だと思います。川岸被告が、闇サイトを通じて人を集わなければ、今回の事件は起きていません。それに、包丁で脅されて暗証番号を言わされた直後の、恐怖の極みにいる娘を二度にわたり強姦しようとしました。幸いに未遂で終わりましたが、絶対に許せるものではありません。

 この事件の首謀者である川岸被告の、「死刑になりたくない」という自首が認められ彼の願いは叶いました。反対に私共の願いは叶いませんでした。判決直後の取材に対して、「自首が認められて良かった。誰のお陰で事件が解決したのかと言いたかった。」「ばれなければ悪いことは駄目だと思わない。」等と豪語しています。

 このような被告を、何十年か後に社会に戻せば、また被害者を増やすことになります。それは絶対に阻止しなければなりません。
 神田、堀被告の弁護士は、死刑判決を不服として控訴しました。私も検察に川岸被告を控訴していただき、最後まで闘いたいと思います。犯した犯罪内容のみで、彼等を裁いていただきたいと願います。

 最後に皆様にお願いがあります。結審まで長い闘いになると思われます。少しでも風化を防ぐ為に、署名活動は継続することにしました。お一人でも多くのご協力を宜しくお願い致します。

平成21年3月27日

磯谷富美子


‥‥そんなワケで、今日は「いかがお過ごしですか?」はナシにしてくけど、18日の判決を聞いて、あたしも、悔しくて悔しくて涙が出た。これじゃあ利恵さんが浮かばれないと思った。そして、3人の鬼畜にたったひとつの宝を無惨に奪われながら、これまで気を張ってがんばって来たお母さまのお気持ちを思うと、ホントに悔しくて、お気の毒で、涙が止まらなかった。やっぱり、この国の法律は、被害者よりも加害者を救済するための法律なんだってことがよく分かり、血も涙もない人非人どもが平然と裁判官をやってるこの国の司法の現実に、寒気すら覚えた。

2007年8月、初めてこの事件のニュースを聞いた時、あたしは、その残虐さに恐ろしくなった。そして、それから次々と続報が入って来る中で、殺された利恵さんがお母さまと2人の母子家庭だったことや、利恵さんの人柄、お母さまの人柄を知り、とても他人事とは思えなくなった。利恵さんは当時31才で、あたしと同世代で、お母さまも、あたしの母さんと同世代だ。だから、もしもあたしが利恵さんのように殺されたとしたら、あたしの母さんはいったいどうなってしまうのか‥‥それを思うと、利恵さんの無念はもちろんのこと、あたしは、利恵さんのお母さまのことがお気の毒で、何度泣いたか覚えてないほどだ。

事件から2ヶ月後の2007年10月に、利恵さんのお母さまからいただいたメッセージは、とても大きな反響を呼び、あたしもボロボロと大泣きした。今でも、読み返すたびに涙が止まらなくなる。それなのに、こんなに酷い凶悪殺人を犯しても、自首さえすれば死刑にならないなんて、これほどデタラメな判決を聞いて、あたしは、開いた口が塞がらなかった。

今回は、近藤宏子っていう女性の裁判長だったから、男性の裁判長よりは多少でも「人の心」が分かると思って期待してたのに、ご多分にもれず、所詮はすべて他人事だった。事件の残虐さや被害者遺族の心情など無関係に、「3人を無期懲役にしたら世論に攻撃される。でも3人を死刑にしても世論に攻撃される。だから間をとって2人を死刑で1人を無期懲役」っていうソロバンずくの商人みたいな判決で、こうした結論ありきの上で、誰を無期懲役にするか、その理由はどうするかってことは、すべてアトヅケだった。それが「川岸の自首」ってワケだ。

これが、一見、理屈が通ってるようで、実は事件の根本すら分かってないデタラメな判決だってことは、お母さまのメッセージを見ても分かるだろう。いくら自首したとは言え、闇サイトに書き込みをして仲間を募った「主犯」である川岸が死刑をまぬがれられたなんて、これほど理屈の通らないことはない。川岸がいなければ、川岸が闇サイトに書き込みをしなければ、こんな事件は起こらなかったのだ。利恵さんとお母さまは、今でも幸せに暮らしてたのだ。こうした状況から考えれば、逆に、川岸1人が死刑で、他の2人が無期懲役ってほうが、まだスジが通ってる。

それなのに、いくら自首したとは言え、「主犯」である川岸を無期懲役にするなんて、これじゃあまるでアメリカの裁判の「司法取引」とおんなじだ。あたしは、この「司法取引」ってのは、ワイロとおんなじだと思ってる。だって、取り調べの段階で、警察や検察が欲しがってる情報を提供する見返りとして、自分の刑を軽くしてもらうだなんて、司法の場で、こんな西松建設と自民党議員みたいなことが堂々とまかり通ってるなんて、あたしには信じられない。

18日の判決で、近藤宏子裁判長は、「3人がそれぞれ楽をして金儲けをしようと行なったもので、動機に酌量の余地がないことは明白」とした上で、「被害者の命ごいに耳を貸すことなく犯行を遂げた。無慈悲かつ残虐であり戦慄を覚える」と非難したけど、その一方で、川岸の自首については、「事件の解決、次の犯行阻止の大きな要素と認められる」って言って評価したのだ。そして、お母さまのメッセージにもあるように、川岸本人も判決後の取材に対して、「自首が認められて良かった。誰のお陰で事件が解決したのかと言いたかった」ってノタマッてるのだ。

だけど、死刑の判決を受けた神田と堀に続いて、無期懲役の判決を受けた川岸も、24日付で、この判決を不服として、名古屋地裁に控訴した。つまり、命が助かっただけじゃ不服で、もっと刑を軽くしろって言ってるワケだ。どこまで腐りきったクズ野郎なんだろう。まあ、判決前のテレビの取材にも、ふてぶてして態度で、「被害者と遺族にはお気の毒様としか言いようがない」「過去の判例を見ても1人しか殺していない自分たちは死刑にはならない」「無期懲役になって何年後かにシャバに出たら同じことをしてやる」などの言葉を繰り返してて、未だに謝罪の言葉はない。

たとえば、自らの罪を反省して、きちんと謝罪をしていれば、たとえそれが死刑になりたくないためのポーズだったとしても、弁護士の指導による演技だったとしても、こうした態度を見た裁判官が、情状面を考慮して無期懲役にするってケースは理解できる。だけど、今回の場合は、誰1人、反省も謝罪もしてなくて、法廷では怒鳴り合って罪のなすり合いまで演じた上に、主犯の川岸に至っては、「無期懲役になって何年後かにシャバに出たら同じことをしてやる」とまで言ってるのだ。それを「自首したから」ってだけの理由でホイホイと無期懲役にするなんて、まるでガキの使いのような判決だ。

‥‥そんなワケで、あたしの母さんも、利恵さんのお母さまとおんなじで、パソコンができない。時々、あたしが、ノートパソコンの画面を見せてあげたりはしてるけど、自分で起動させたりインターネットにつないだりなんてできない。だけど、もしもあたしが利恵さんのように殺されたら、きっと、必死になってパソコンを覚えて、犯人を極刑にするための署名サイトを立ち上げたと思う。事件のことを訴えるチラシを作り、署名用紙を作り、毎日のように駅前に立ち、署名を募ったと思う。そして、そんな努力をしてる母さんの姿を想像すると、あたしは、あたしと母さんの幸せを奪った鬼畜どもに対して、たとえ極刑になったとしても、それでも絶対に許せないっていう憎しみが湧いて来る。

利恵さんのお母さまが、これまでの1年7ヶ月、どんな思いでがんばって来たのか、それは、「人の心」があれば誰にでも分かるように、利恵さんの無念を晴らすことに他ならない。お母さまの唯一の望みは、自分の宝である利恵さんを返して欲しいってことだ。だけど、それは、叶わないことなのだ。つまり、この3人の鬼畜は、わずかなお金を奪うために、何の罪もない無関係な人間の命を奪い、被害者とご遺族の人生をメチャクチャにしたという「取り返しのつかないこと」をしたワケだ。「取り返しのつかないこと」をしたんだから、命という「取り返しのつかないこと」で償うのは当然だろう。

たとえ3人の鬼畜が死刑になったとしても、それでも利恵さんは帰って来ない。だけど、何よりも大切な利恵さんを奪われてしまったお母さまとしては、せめてもの願いが、「命を奪ったのだから命で償って欲しい」ってことなのだ。お母さまの望んでる極刑とは、この「せめてもの願い」なのだ。それなのに、この「せめてもの願い」すら叶わないなんて、これほど酷い判決があるだろうか。

今回、無期懲役の判決を受けた川岸は、2008年11月7日の第6回公判の法廷で、神田と堀に対して、「こうやってガン首並べとるのは、お前らが悪いんじゃ!」と怒鳴り散らし、神田から睨みつけられると、「ガンをつけとんな!」と恫喝した。自分から仲間を募り、わずかなお金を奪うために何の罪もない利恵さんを惨殺し、死刑が恐くて自首した挙句に、法廷では自分の仲間を怒鳴り散らす男。そして、テレビの取材に対しては、ニヤニヤと笑いながら「何年後かにシャバに出たら同じことをしてやる」とまで言い放った男。さらには、無期懲役の判決すら不服として控訴した男。これが、川岸健治という人間のクズであり、今回の事件の「主犯」なのだ。でも、近藤宏子裁判長は、こんなクズが自分の命惜しさに自首したことを高く評価したのだ。

‥‥そんなワケで、あたしは、こんなデタラメな判決は、とうてい納得できない。仮に、川岸健治が深く反省してて、謝罪の言葉を述べてたとしても、それでも心情的には許せない。だけど、そうした反省の姿勢や謝罪の言葉から、裁判長が無期懲役の判決を下したのなら、まだ多少は納得できる。でも、川岸の場合は、未だにヒトコトも謝罪の言葉を口にしてないどころか、利恵さんやお母さまを侮辱する言葉を繰り返してる上に、「何年後かにシャバに出たら同じことをしてやる」とまで断言してるのだ。あたしは、これこそが、裁判でよく使われる「更生の可能性はゼロ」ってやつじゃないの?って思う。それなのに、世論が恐くて中途半端な判決でお茶を濁した近藤宏子裁判長は、完全に「裁判官失格」だと思う今日この頃なのだ。


「磯谷利恵さんの署名サイト」
http://www2.odn.ne.jp/rie_isogai/


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