ミチコの体温
今、あたしが楽しみにしてる「続きもの」のテレビ番組は、1番目がアニメの「ミチコとハッチン」で、2番目が稲垣早希ちゃんの「四国一周ブログ旅」だ。あたしが昔から好きな「ちびまる子ちゃん」とか「釣りロマンを求めて」とか「秘湯ロマン」とかは、毎週が単発の内容だから、ウッカリ録画を忘れても、次の放送を観ることができる。だけど、「ミチコとハッチン」や「四国一周ブログ旅」みたいな「続きもの」は、1回でも抜けちゃうとお話が続かなくなっちゃうから、シッカリと順番に観てかなきゃなんない。
で、「四国一周ブログ旅」は、もともと東京では放送してないから、あたしはリアルタイムで観ることはできない。毎週木曜日の深夜の放送が終わって、翌日にどこかの親切な人がホニャララにホニャララしてくれた映像で楽しんでる。だから、忙しくて観られない時があっても、あとからマトメて観ることができる。実際、「四国一周ブログ旅」がスタートした時期は、母さんの手術の時期と重なってたから、あたしは、あとから何週間ぶんもマトメて観た。だから、いつでも安心して順番通りに観ることができるので、そんなにコマメにチェキしなくても済む。
でも、「ミチコとハッチン」のほうは、ちゃんと東京で放送してるから、なかなか大変だ。たとえば、先週の放送を録画してて、まだ観てないうちに今週の水曜日がやってきちゃった上に、あたしが帰って来たのが、深夜の放送時間ギリギリだったりすると、先週の録画を観てからその日の放送を観ることができなくなる。それで、あたしは自宅にいるのに、あえて放送時間にお風呂に入って、その日の放送を録画して、お風呂から上がってから、先週のぶんとその日のぶんとを連続で観なくちゃなんない。
ま、「観なくちゃなんない」って言うか、大好きな「ミチコとハッチン」を2週間ぶんも楽しめるんだから、あたしにとっては何よりも楽しい「お酒タイム」ってワケで、それはそれでウキウキしちゃうんだけど、その感情とは別に、あたしの場合、あまりにも「ミチコとハッチン」が好き過ぎて、どうしてもリアルタイムで観たいっていう感情もあるワケな今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしが1番の楽しみにしてる「ミチコとハッチン」は、深夜枠だからジンジャエールなんだろうけど、放送が一定してない。こないだは、一晩に2本も続けて放送したから、あたしは思わぬボーナスをもらったみたいに嬉しかったのに、今週はお休みだったのだ。水曜日、ものすごく楽しみにして帰って来たのに、録画しながら観ようと思って番組表を見たら、くだらないサッカーか何かになってて、「ミチコとハッチン」の文字がどこにもない。それで、あたしは、念のために、深夜まで起きてて、テレビをつけてみたんだけど、やっぱりサッカーが始まっちゃったから、思いっきりガッカリした。
ようするに、規定のクール内に全話を収めるために、サッカーとかゴルフとかで潰れる時のぶんを他の週に回して「2本立て」にしてるんだと思うけど、これって、「サムライチャンプルー」の時もおんなじだったみたいだ。「サムライチャンプルー」は、あたしはリアルタイムでは観てなくて、こんなに面白いアニメがあることすら知らなかった。あたしは、パチンコの「サムライチャンプルー」があまりにも面白くて、それで原作のアニメを観てみようと思って、あとからマトメて観た。だから、どんな形で放送されてたのか分からないんだけど、テレビを録画した映像を観てると、タマに、その回の最後に「今夜はもう1本あるよ」的なテロップが入ることに気づいた。だから、おんなじだったんだと思う。
あたしの場合、アニメに関しては、ぜんぜんマニアとかじゃないから、声優が誰なのかとか、誰が制作してるのかとか、そういう裏方のことにはまったく興味がない。アニメなんて、観て面白けりゃいいだけで、どこの誰が作ったものでも構わないと思ってる。だから、エヴァンゲリオンの綾波レイの声優が林原めぐみって人だってことも、1週間くらい前に初めて知ったし、それも、パチンコの新台に関する情報を集めてた過程でのことだった。そして、その林原めぐみって人が、声優の中じゃすごく有名な人だってことも、あとから知った。
で、こんなあたしなのに、今回の「ミチコとハッチン」だけは特別で、いろんな裏方の情報にも興味が湧いてる。最初、観始めた時には、主人公のミチコの声をやってる人が、あまりにもセリフが棒読みで酷すぎるから、いったい誰がやってんだろう?って思って、そういう興味から調べてみた。そしたら、真木よう子っていう女優さんで、声優としてはシロートだった。だけど、これが、あまりにもワンダホーな人選で、最初こそ「棒読みで酷すぎる」って思ってたのに、続けて観てるうちに、ジョジョに奇妙に馴染んで来て、今や、その棒読みによるブッキラボーさこそが、ミチコ・マランドロのキャラを不動のものにしてるほどの味わいになってるのだ。
‥‥そんなワケで、「ミチコとハッチン」は、真木よう子のアフレコぶりも素晴らしいけど、何より素晴らしいのが、いろんなシーンに見え隠れしてるホントの「女」の姿だ。今までのアニメに出て来る女性って、どれもみんな男の目線で作られたキャラばかりで、女のあたしから見ると、「アホか?」ってのが多かった。ようするに、現実にはいないような、男にとって理想的な女性ばかりが登場してた。お嬢様キャラにしても、優等生キャラにしても、妹キャラにしても、悪女にしても、ツンデレにしても、何デレにしても、すべては男にとっての「萌え」の対象として作られたもので、あまりにも非現実的だった。
あたしの場合は、美女が好きだから、もしかすると男に近い目線で女性キャラを見ちゃうとこもあるのかもしれないけど、それでも、あたしのメガネにかなう女性キャラは、ものすごく少なかった。それに、アニメに出て来る美女って、体つきも、男にとって理想的な体つきをしてて、それは別にいいんだけど、あまりにも現実離れしてるから、あたしは、「本物の女の裸を見たことない人が描いてるのかな?」って感じることも多かった。
あたしは、特にオッパイの形に違和感を感じてた。お洋服を着てる時なら、寄せたり上げたりするブラをつけたり、何枚もパッドを入れたりして、どんなふうにも胸を作ることができる。だけど、ノーブラで着る薄手のドレスだったり、パッドを入れることのできない三角ビキニだったり、ましてや全裸だったりする女性キャラの胸が、まったく垂れてなくて、前にボーンと突き出してるのだ。豊胸手術をしたニューハーフ以外には、こんなこと現実的にはアリエナイザーだ。どんなにオッパイの大きな女性でも、ブラをつけなければ地球の引力によって下に垂れるし、仰向けに寝れば平たくなる。仰向けに寝ても真上にボーンと突き出したままなのは、手術で異物を詰め込んでる偽オッパイだけだ。
それなのに、古くは「ルパン三世」の峰不二子のオッパイとか、完全にノーブラで薄手のドレスを着てるのに、まったく垂れてなくて、前にボーンと突き出してる。こんなに不自然なことはない。もちろん、所詮はマンガやアニメなんだから、何でもアリの世界なんだけど、女性の立場からこういうキャラを見ると、ぜんぜんセクシーに見えないし、それどころか「まるで豊胸手術をしたみたいなオッパイだな」って思えちゃうのだ。
だけど、「ミチコとハッチン」のミチコのオッパイは、ものすごく自然だ。いつでもノーブラで、露出度の高いファッションのミチコは、体のラインもよく分かるんだけど、実際の女性がノーブラで似たようなファッションをした時とおんなじに、オッパイがちゃんと垂れてる。もちろん、若くて美人でセクシーなミチコだから、垂れてるって言っても、ビミョ~に垂れてるだけだ。だけど、見せブラっぽいファッションの時は、それなりに寄せて上がってて、ノーブラになるとビミョ~に垂れて‥‥っていう細かい描き分けが、あまりにも素晴らしい。お洋服を着てても、水着になっても、裸になっても、いつでもどこでも前にボーンて突き出してる他のアニメの不自然なオッパイとは違って、ミチコのオッパイからは、ちゃんと体温が伝わって来るのだ。
‥‥そんなワケで、脱獄不可能って言われてる監獄要塞を脱獄して、自分の道を真っ直ぐに突き進むワイルドで恐いもの知らずのミチコだけど、5話までは爆走し続けて来たのに、6話の「雨におちるモノトーン」で、突然、「女」になっちゃった。それまでは、ギャングでも警察でも男なんかみんなぶっ飛ばして来たのに、この6話で、大きな川だか湖だかの中の小島みたいなとこにあるゲストハウスに泊まってる時に、他の小島で美容院をやってる女がいて、その女のヒモみたいな男からチョッカイを出されたミチコは、目がトロ~ンてしちゃって、セックスしちゃう。
セックスのシーンはなくて、その前後のシーンだけから、セックスしたってことを感じさせる演出なんだけど、この男の前で「女」になるミチコが、もう、たまんないほど可愛かった。細かいことを言うと、ハッチンを連れて旅をしてるミチコ的には、子連れのシングルマザーがカレシとセックスするような状況だから、この男が来る前に、ハッチンにお買い物に行かせる。そして、ハッチンの留守中にセックスするワケだけど、それをウスウスと感じちゃったハッチンの表情や、それからの行動とかも、ホントによく練られてた。
いつもは強がってる女性が、男と2人の時だけに見せる物憂い表情や仕草、そして、小さな子供に対する自分勝手な配慮。さらには、自然なオッパイ。あまりにも「女」って生き物のことを分かり過ぎてる上に、それを丁寧に表現してる。それで、あたしは、この6話を観たとこで、初めて「いったいどんな人が作ってるんだろう?」って思って、それまではザッとしか見てなかった公式サイトをキチンと見てみたら、山本沙代さんて言う女性が監督だった。
で、アニメのマニアなら、知ってて当然の人なんだろうけど、あたしは知らなかったから、どんな人なのか調べてみた。そしたら、「サムライチャンプルー」でも何話か演出や絵コンテを担当してて、その次の「Ergo Proxy」にも参加してて、今回の「ミチコとハッチン」で監督デビューした人だってことが分かった。だから、あたしの少ないアニメの知識で言うと、これらの作品を制作してる「マングローブ」って会社の人なんだと思う、たぶん。
それで、いろいろと調べてるうちに分かったんだけど、この山本沙代さんて、ものすごい美女だった。その上、まだ30代前半の若い人で、この辺のことも、あたし的にはサイコーだった。だって、あたしは、子供のころから、キレイなお姫様とかが出て来る少女マンガに夢中になって、「こんなにステキな絵を描く人って、きっとものすごい美人なんだろうな」って勝手に思い込んでて、それなのに、あとからそのマンガ家の写真を見ると、必ず、絵とは正反対の人たちばっかで、ものすごくガッカリしてたからだ。
もちろん、作者の容貌と作品とは関係ないんだけど、子供心って、そんなもんでしょ? マンガだけじゃなくて、小説でも何でも、好きな作品に対しては、「どんな人が書いてるのかな?」って思うし、あとから写真を見て、それがステキな人だったら嬉しくなるし、想像してたイメージと大幅に違う人だとガッカリしちゃう。だから、あたしは、大好きな「ミチコとハッチン」を作ってる人が、ものすごい美女だったってことに感激して、教師生活25年‥‥じゃなくて、ヘアメーク生活15年にして、初めて「作品も作者もステキ」っていうケースと出会えたってワケだ。
‥‥そんなワケで、山本沙代さんについてネットで調べてたら、「海ノ藻屑」さんていうアニメ関連のブログの去年の10月22日のエントリー、「「ミチコとハッチン」で山本沙代監督がしたい事~既存の女性像を破壊する~」に辿り着いた。やっぱ、アニメを専門にしてる人のブログは、あたしには目からウロコの情報があふれてた。で、このエントリーには、「アニメーションノート」と「オトナアニメ」っていう雑誌に掲載されてた山本沙代さんのインタビュー記事が引用されてるんだけど、こんな雑誌があること自体を知らなかったあたしとしては、あまりにもアリガタイザーだった。
「海ノ藻屑」のtokigawaさん、どうもありがとうございました♪‥‥って、勝手にお礼を言ってみつつ、このインタビューの引用を読んで、あたしは、あまりにもあたしが感じてたことと一致してたから、久しぶりにビックル一気飲みしちゃった。詳しくは「海ノ藻屑」さんのエントリーを読んでもらうとして、ここでは引用の一部を引用させてもらうけど、こんなことが書いてあったのだ。
「「これは男の人が観たら引くだろうな」というような男をくいものにして生きているしたたかで強い女がでてきたり・・・私の好みがでていますね(笑)。デザインでいうとミチコのノーブラ感。アニメによく出てくるお尻みたいな記号的な胸ではなく垂れている自然な感じ・・・」
おおっ!やっぱり女性だけあって、今までのアニメの変なオッパイに不自然さを感じてて、そういう細かいとこにも、ちゃんとコダワリを持って制作してたんだ!そして、「アニメで何を表現したいか?」の問いには、こんなふうに答えてる。
「今は女ですね。自分が感じた女のマヌケさや女同士の友情とも恋愛ともつかない微妙な関係描きたくて、アニメを作っています。たぶん、「ミチコとハッチン」の見どころも、そのへんになっていくと思います。」
おおっ!やっぱりミチコを始めとした女性キャラがシビレちゃうほど生き生きと描かれてるのは、「女」を表現したいって思って制作してたからなんだ!あたしがミチコに体温を感じたのは、単に男が男の目線で作った非現実的な女性キャラとは一線を画してるってだけじゃなくて、女にしか分からない女の本音の部分が散りばめられてるからなんだけど、それこそが山本沙代さんの一番描きたかったとこなんだ!そして、もう1つの雑誌のインタビューでは、このアニメの「見どころ」について、こんなふうに答えてる。
「ハッチンの成長が物語にとって重要な要素になってくるので、そのあたりはぜひ注目してみて下さい。あと、ロクでもない男ばっかり出てくるのも見どころですね(笑)。ホントに、クズ野郎ばっか!(笑)」
おおっ!やっぱりクズ野郎どもも「見どころ」の1つだったのか!あたしが最初に「ミチコとハッチン」に惹かれたのは、出て来る男がドイツもコイツもサイテーのクズ野郎ばかりで、そいつらをミチコが次々とぶっ飛ばしちゃう爽快感だった。だけど、ずっと観て来たら、そんなクズ野郎の1人に惚れてるミチコもマヌケだし、それこそが「女の性」だし、まるで自分を見てるような気がして来た。書籍版の「きっこの日記 R」を読んでくださった人なら、あたしがどんな男性遍歴をたどって来たのがご存知だと思うけど、あたしが付き合って来たのは、それこそ「ミチコとハッチン」に登場するようなサイテーのクズ野郎ばかりだった。
クズ野郎だって分かってても好きになっちゃって、好きになるとクズ野郎だって認めたくなくて、女友達がその男のことを悪く言うと、激しくムカついたりもする。だけど、その女友達の言葉が事実だってことも、親切で言ってくれてることも分かってるから、あたしはものすごいジレンマに陥る。そして、その男のことをクズ野郎なんかじゃないって思い込もうとしたり、あたしがちゃんとした男にしてやろうって思ったり、ナンダカンダとメンドクサイ葛藤が始まるんだけど、あたしがそうして悩んでる最中にも、その男はあたしが悩んでることなんかお構いなしに、他の女とセックスしてたりする。
で、あたしは、その男が浮気してることを分かってるのに、それを指摘して別れ話に発展するのが恐いから、ひたすらガマンし続ける。だけど、女友達にはイイカッコして、「浮気の1つや2つくらい別に気にしてないわ。だって男なんてそんな生き物でしょ?」なんて言ってみたりする。そして、その言葉は、女友達に対しての見栄だけじゃなくて、自分自身に対しても「そう思い込もう」として言ってるワケで、それは自分がラクになりたいからだ。「あ~メンドクサイ!」って思っても、それが「女の性」なんだから仕方ない。
‥‥そんなワケで、こんな「女の性」や「女の本音」をミゴトに描いてくれてる「ミチコとハッチン」は、「サムライチャンプルー」とおんなじで、「何かの目的のために旅を続けてる」っていう本線のストーリーはずっと続いてくんだけど、毎回毎回の演出が日替わりランチみたくなってる。ミチコが暴れまくる回もあれば、ミチコが「女」を見せる回もあれば、ハッチンの淡く切ない恋心を描いた回もあれば、2人の友情とも愛情ともつかない関係性に胸がジーンとしちゃう回もあって、ホントに飽きさせない。次はいったいどんなふうに楽しませてくれるんだろう?って、観終わるたびに来週が楽しみになる。だから、数々のクズ野郎にボロボロにされて、実際の恋愛に臆病になってるキッコ・マランドロとしては、毎週水曜日の「ミチコとハッチン」で、疑似恋愛を楽しみ続けてく今日この頃なのだ。
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