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2009.03.17

バカを見るのは消費者だけ

1週間ほど前、ケータイの受信状態が良くなるとか、劣化した電池を再生するっとかって謳い文句で販売してたケータイに貼る銅板のシールが、こうした謳い文句に根拠がないとして、公正取引委員会から排除命令を出された。排除命令を受けたのは、吉本興業の子会社の吉本倶楽部と、ナスカ、カクダイ、森友通商の計4社で、商品名は「バリ5」「バリ5 タカアンドトシ・ライオンバージョン」「復活くん」の3つだった。ちなみに、これらの商品には、「世界28カ国特許取得済」っていうウソの表示までしてあったそうだ。そして、今度は、今日、寝る時に鼻の穴にはさむと、イビキが軽減するって謳い文句で販売されてた鼻クリップに、やっぱり謳い文句に根拠がないとして、公正取引委員会が、これらの商品の排除命令を出した。排除命令を受けたのは、ピップの「いびきクリップ」と、キートロンの「磁力クリップ」っていう商品だ。

 

で、あたしが驚いたのは、吉本興業にしても、ピップにしても、それなりに大きな企業だってことだ。聞いたこともないテキトーな会社なら、こうしたイカサマ商売はいくらでもやってるだろうけど、仮にもナントカ1部上場みたいなキチンとした企業がこうした商品を売るなんて、なんだかなぁ~って感じがした。だって、買ったほうの人たちだって、聞いたこともない怪しげなメーカー名だったら、買わなかったと思うからだ。吉本興業の子会社の名前が入ってて、タカアンドトシのライオンの絵が描いてあるから信用して買ったって人も多いだろうし、鼻クリップのほうだって、エレキバンで有名なピップの商品だからこそ、信用して買った人たちも多かったと思う。

 

そして、ケータイのシールのほうは、合計で約45万個も売れて、約9億円もの売り上げがあり、鼻クリップのほうも、約25万個も売れて、約3億8000万円ものの売り上げがあった。それなのに、「これからは売っちゃいけません」っていうだけで、今までに売ったものに対しては、何のオトガメもなしなのだ。これって変じゃない? だって、効果のないものを「効果がある」ってウソをついて売ってたんだから、まるで詐欺みたいな話なワケで、一番の被害者は謳い文句に騙されて買っちゃった人たちでしょ? そしたら、普通に考えたら、買った人たち全員にお金を返さなきゃおかしいと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?

 

 

‥‥そんなワケで、こうした問題って、食品の産地偽装とおんなじだと思う。中国産のウナギを宮崎産だって偽って売ったり、韓国産の青海苔を四万十川産だって偽って売ったり、手の込んだものになると、北朝鮮産のアサリを中国産に偽装して輸入した上に、それを有明産だって偽って売ってたりする。そして、こうした産地偽装が摘発されると、農林水産省はJAS法に基づいて「改善命令」を出すだけだ。ようするに、今回のケータイのシールや鼻クリップとおんなじで、「これからは売っちゃいけません」てだけで、実際には何のオトガメもなしってワケだ。

 

そして、それまで悪徳企業に騙されて産地偽装食品を買わされてた全国の消費者は、みんな泣き寝入りだ。一番の被害者はあたしたち消費者なのに、消費者には何のフォローもない。たとえば、スーパーに並んでるウナギの蒲焼きの場合なら、こうした騒ぎになる前までは、大きくて立派な蒲焼きが、宮崎産だの四万十産だの静岡産だのって好き勝手なことを書いて、1000円以下の安い値段でズラーッと並んでた。そして、その棚のスミッコのほうに少しだけ、中国産て書かれてるものが、半額の500円くらいで並んでた。

 

だけど、ウナギの産地偽装が社会問題になり、数多くの加工会社や問屋が摘発されたら、アッと言う間にスーパーの棚からウナギの蒲焼きが消えちゃって、わずかに残ってるのは、今までの半分くらいのちっちゃい蒲焼きばかりで、それが1300円も1500円もしてる。もちろん、これは、国産のシールを貼られて売られてるものだけど、今の状態が真実の姿なら、今まで何十年間もスーパーで売られて来た「大きくて安い国産のウナギ」は、すべて輸入モノの産地偽装ウナギだったってことになる。

 

あたしは、年に1回か2回くらいしかウナギは食べられないけど、だからこそ、国産の安全なものを食べたくて、中国産の2倍ものお金を払って、1000円のほうのウナギを買って来た。それなのに、そのウナギが、隣りに並んでた500円の中国産とおんなじものだったのなら、今のでヨケイに払ったお金を全額返して欲しいし、危険な中国産のウナギを食べさせられたことに対する損害賠償もしたいくらいの気持ちになる。百歩ゆずって、健康にまったく害がないって立証できるのなら、ヨケイに払ったお金の返還だけでガマンするけど、中国産のウナギからは、基準値の3倍から5倍にあたる有機塩素系殺虫剤「ジコホール」が検出されてるのだ。

 

何のために「基準値」なんてものを設けてるのかって言えば、それは、その数値以下なら人体に害はないってことなワケで、逆に言えば、その数値以上なら人体に害があるってワケだ。でも、たぶん、こうした数値って、食品の「消費期限」とおんなじように、ある程度の余裕を持って決められてると思う。消費期限が3月15日までの牛乳にしたって、3月15日の深夜0時を過ぎて、日付が16日になった瞬間に飲めなくなるワケじゃない。口を開けて半分くらい飲んでた牛乳なら、多少は神経質になっちゃうけど、まだ口を開けてない牛乳なら、1日か2日くらい過ぎても平気で飲んじゃう。

 

これは、食品の種類によっても差があるもので、たいていの人は、牛乳やタマゴの消費期限には敏感だけど、チーズやバターや納豆には鈍感だと思う。納豆なんて、最初から腐ってるみたいなもんだから‥‥って言うと納豆会社の人に怒られちゃうけど、こうした発酵食品の場合は、何日か消費期限を過ぎても、腐るっていうよりも「発酵が進む」って感じがするから、牛乳やタマゴほど神経質にはならない。

 

こないだなんか、消費期限を1週間も過ぎちゃった納豆を食べたけど、上のほうの豆が黒っぽくなって固くなってたけど、気合いを入れて混ぜたら、普通に食べられた。もっとスゴイのは、ちょっと前に、お味噌汁の具が何もなかったから、「なんかないかな?」って思って冷蔵庫の奥のほうを見たら、いつ買ったのか記憶にないような「お麩」が見つかった。ほとんど使ってて、お味噌汁1回ぶんくらいしか残ってなくて、袋を見てみたら、「08.12.28」って書いてあった。そう、去年の暮れだ。だけど、これは、「消費期限」じゃなくて「賞味期限」だった。つまり、「食べられなくなる」ってことじゃなくて、「おいしくなくなる」って意味だ。

 

それに、お麩なんて、カラカラに乾燥してる非常食みたいなもんだし、冷蔵庫に入れてたんだから、さらに完璧に乾燥してて、腐ってるワケがない。そう思って、あたしは、賞味期限を3ヶ月も過ぎてるお麩でお味噌汁を作ってみたんだけど、普通に美味しく食べることができたし、別にお腹も痛くならなかった。それで、ホッとしたあたしは、「ふぅ‥‥」って安堵の溜息をついた。お麩だけに(笑)‥‥なんてのも織り込みつつ、話をクルリンパと戻すと、こうした乾物の「賞味期限」とは違って、牛乳やタマゴなどの「消費期限」は、ある程度の余裕を持たせつつも、ワリとシビアに設定されてると思う。それは、食べた人の健康に害が生じる恐れがあるからだ。

 

そして、これとおんなじに、いろんな食品に使われてる農薬や殺虫剤や添加物だって、すべて人体に害のあるモノだ。だから、それぞれに対して、細かい規定量や基準値が決められてるワケで、安全性を考えれば、絶対にある程度の余裕が設けられてるハズだ。言うなれば、自動車のハンドルやクラッチの「遊び」みたいなもんだ。だから、たとえば、Aっていう農薬は「1.0 ppm以下」って基準値が決められてたとすれば、1.0 ppmまでは食べても何ともないのに、1.1 ppmを超えた瞬間にバタッと倒れちゃうようなことはないだろう。それぞれの農薬や殺虫剤の危険度によっても差があると思うけど、シロートのあたしが想像するのは、「基準値の1.5倍から2倍くらいまでは大丈夫だろう」っていう漠然としたイメージしかない。これは、昨日までの消費期限のものを「1日か2日くらい過ぎても大丈夫だろう」って感覚とおんなじだ。

 

だけど、食品に対する農薬や殺虫剤の基準値は、実際には、もっともっと厳しく設定されてる。2008年9月12日の日記、「食の安全」より「食の安心」でも取り上げたけど、ニポンにおける食品衛生法の農薬や殺虫剤の基準値は、「この量を摂取したら人間に害がある」って量を100倍にしたものなのだ。つまり、フランク・ザッパに言っちゃえば、法で定められてる基準値の100倍の量を摂取しない限り、人体に害はないってことになる。もちろん、90倍でも80倍でも具合が悪くなることもあるだろうけど、少なくとも、3倍や5倍くらいじゃ何ともないってことになる。

 

‥‥そんなワケで、こうした厳しい設定で基準値が決められてるのなら、有機塩素系殺虫剤「ジコホール」が基準値の3倍から5倍検出された中国産のウナギを食べても、何も問題はないってことになる。でも、ホントにそうなのか、真実は誰にも分からないのだ。だって、食品衛生法で農薬や殺虫剤の基準値を決める時の基本になる「この量を摂取したら人間に害がある」って量は、人体実験して計測してるワケじゃなくて、モルモットとかハツカネズミとかで実験した結果を人間の平均体重に換算して弾き出してるだけの思いっきりアバウトなものだからだ。

 

体重が20グラムのハツカネズミが、1粒食べたら死んじゃった薬があったとしたら、体重が60キロの人間は、体重がハツカネズミの3000倍だから、この薬は「3000粒」を危険な量ってことにする。そして、その100分の1、つまり、「30粒」を安全な量って決めてるワケだ。確かに、体重だけで計算したらこうなるけど、あたしたち人間は、巨大なハツカネズミじゃない。いろんな神経だの組織だのもネズミとは違ってるハズだし、果たして、こんなテキトーな計算でいいんだろうか?

 

たとえば、農水省と自民党と三笠フーズがグルになって、西日本を中心に垂れ流してた汚染米の場合は、農薬のメタミドホスの他に、地球上でもっとも強い発ガン性物質だって言われてるアフラトキシンB1にもタップリと汚染されてた。だからこそ「事故米」として流通をストップさせたってのに、こともあろうに、農水省の中の人間が、三笠フーズへ情報を流して、グルになって食用として流通させてたワケだ。そして、そのパイプ役になってたのが、三笠フーズの社長と何十年もの付き合いがある自民党の議員だったワケだ。まさに、自民党政権における政官業の癒着の構図が生んだ国家的犯罪ってワケで、これも、耐震偽装事件の時とおんなじに、民間企業にだけ罪をかぶせて、自民党の議員も農水省の官僚も誰ひとり逮捕されなかった。

 

で、このメタミドホスの場合は、あまりにも危険な農薬だから、モルモットやハツカネズミじゃなくて、もっと体の大きな「犬」を使って実験する。ようするに、犬にメタミドホスを少しずつ投与してって、どれだけ与えたら死ぬかを調べるワケだ。そして、何匹もの犬を殺して、その平均値を出して、それを人間の平均体重に換算してから、さらに100倍にする。これが、「0.01ppm以下」っていうメタミドホスの基準値だ。そして、フロッピー麻生に任命された当時の農水大臣、太田セイウチは、幼稚園や老人ホームの給食にまで、この汚染米が使われてたことに対して、「人体に影響がないことは自信を持って申し上げられる。 だからあんまりじたばた騒いでいない」ってノタマッたんだよね。

 

国が「食用としては危険すぎて流通できない」って判断して排除したお米が「事故米」なのに、そんなもんを自民党と官僚と悪徳企業とがグルになって、私利私欲のために10年以上にも渡って流通させといて、それが小さな子供やお年寄りの口にまで入ってたことが発覚したら、謝罪する前に「人体に影響がないことは自信を持って申し上げられる」とは、いったいぜんたいナニゴトだよ。アジのヒラキでも、これほどのヒラキナオリは見たことがないよ。つーか、そんだけ自信があるんなら、何の罪もない犬を動物実験で何匹も殺さないで、お前が自ら人体実験をして、安全だってことを証明してくれよ。脳みその小ささに反比例して、ムダにバカデカイ図体をしてんだから、朝、昼、晩とドンブリに3杯ずつ、地球上でもっとも強い発ガン性物質のアフラトキシンB1がタップリ入った猛毒米をずっと食べ続けて、いつまで生きてられるか見せてくれよ。

 

‥‥そんなワケで、こうした食品の問題にしても、今回のケータイのシールだの鼻クリップだのの問題にしても、仮に、悪徳企業側が逮捕されて罰を受けたとしたって、騙されてこうした食品や商品を買わされた消費者には何のフォローもない。全国の肝臓ガンの発生率を調べると、三笠フーズの汚染米が流通してた地域だけが突出してるけど、こうした因果関係だって、絶対に解明されるワケもないし、政府は解明する気もない。だって、もしもこんな因果関係が解明されちゃったら、国が滅びるほどの賠償問題に発展しちゃうからだ。だから、結局、あたしたち消費者は、バカバカしいケータイのシールや鼻クリップを騙されて買わされても、体に害のある偽装食品を食べさせられても、さらには、それが原因で殺されても、なんにも文句は言えず、泣き寝入りするしかないってワケだ。だって、この国に自民党なんかが居座ってるうちは、すべてが政官業の癒着によって牛耳られてるワケで、政権交代する以外には、この悪の構図をぶち壊す方法はないと思う今日この頃なのだ。

 

 

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