戦車が大統領府へ突入/マダガスカル
「戦車が大統領府へ突入/マダガスカル」(世田谷通信)
アフリカ南東部の島国、マダガスカル共和国で続いているラベロマナナ大統領(59)への退陣を要求する市民の抗議行動は、16日、ついに軍の戦車などが首都アンタナナリボ中心部の大統領府へ突入し、国軍兵士らが大統領府を占拠した。大統領は約10キロ離れた大統領宮殿に逃げ、現在は側近に護衛されているが、大統領宮殿の制圧も時間の問題と思われる。ラベロマナナ大統領が2002年に政権に就いて以来、マダガスカルは観光を中心とした経済成長を続けて来たが、大統領が国民の声に耳を傾けず、貧困問題にまったく取り組まないことから、国民の多くが現政権に不満を持っていた。2006年にラベロマナナ大統領が再選された時には、選挙中に銃撃や手りゅう弾による攻撃なども行なわれ、多くの国民が巻き添えになった。今回の抗議行動は、昨年12月に首都アンタナナリボのラジョエリナ市長(34)が運営する放送局がラチラカ前大統領のインタビューを放映したところ、これに憤慨したラベロマナナ大統領が放送局を強制的に閉鎖してしまったことが発端だ。怒った市民らが数千人単位の抗議デモを繰り返すようになり、警官隊との衝突で、これまでに120人以上の市民が死亡している。市民だけでなく軍も味方につけたラジョエリナ市長は、自らを「新しい国家指導者」と宣言し、大統領の即時辞任を訴えたが、大統領はこれを拒否。大統領は15日、国民投票の実施を提案したが、ラジョエリナ氏が拒否し、今回の軍の大統領府突入に発展した。独自の生態系を持ち、アニメ映画などでも人気のあるマダガスカルだが、実際には激しい事態が続いている。国民の声に耳を傾けない指導者によって混乱が続いているのは日本だけではないようだ。(2009年3月17日)
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