パブリックコメント断念を狙った膨大な準備書/名護市
「パブリックコメント断念を狙った膨大な準備書/名護市」(世田谷通信)
米海軍普天間飛行場の移設問題に関して、沖縄防衛局は1日、移設予定地であるキャンプシュワブ沿岸部(名護市辺野古)で実施していた環境影響評価(環境アセスメント)の調査結果をまとめた準備書を県に提出した。この準備書は2日からの平日、県庁、名護市役所、沖縄防衛局報道室等で閲覧することができ、住民らはパブリックコメントを寄せることができるが、今回の準備書は5400ページにも及ぶ膨大な量で、住民が平日に仕事を休んで出かけて行っても1日で閲覧することは不可能である。通常の準備書が200~400ページであることから、住民らは「パブリックコメントの締切の15日までに読めないように、わざと膨大なページ数の準備書を作ったとしか思えない」と憤慨している。準備書では大浦湾の西側と海上に建設を予定していた作業ヤードをサンゴや生態系への影響を考慮して位置を変更するとしているが、滑走路に関しては当初の計画のままである。仲井真弘多沖縄県知事は「滑走路は可能な限り沖合へ移動して欲しい」と準備書の内容に否定的だが、そもそも住民らの訴えは「滑走路の移動」ではなく「移設計画の白紙撤回」である。名護市における1996年の住民投票でも「辺野古に基地はいらない」という総意を示しており、住民の手の届かないところで「滑走路の位置の問題」にすりかえられてしまうことを懸念する声も多い。また「海外ではパブリックコメントによって計画を白紙に戻すゼロオプションが認められているが、日本ではゼロオプションは認められていない。たとえ全住民が計画に反対するコメントを寄せても、国はその声を無視して計画を強行することができる。ようするに今回のアセス調査も準備書の提出もパブリックコメントの募集も、すべては『基地建設ありき』の大前提に立った形だけのものだ」との声も出ている。世界中で環境問題が最重要視されている今、時代に逆行した基地建設は抜本的見直しが必要であろう。(2009年4月2日)
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