沖縄の美術展と写真展に政府の圧力
「沖縄の美術展と写真展に政府の圧力」(世田谷通信)
沖縄県立博物館・美術館で開催中の展覧会「アトミックサンシャインの中へin沖縄-日本国平和憲法第九条下における戦後美術」(主催・文化の杜共同企業体)で、昭和天皇の写真を用いた大浦信行氏の作品が、県教育委員会や県立博物館・美術館などからの要請で展示から外されていたことが分かった。この作品を展示させないと決定した沖縄県教育委員会の金武正八郎教育長は「教育的観点から配慮をお願いしただけで検閲ではない」とコメントしているが、大浦氏側は「この作品の展示に固執するなら展覧会自体の開催を認めないと言われ、やむなく出品を取り止めたのであって、出品取りやめは本意ではない。日本全体が天皇表現に関してタブー視するようになったという体質そのものが大きな問題だ」とコメントしている。この問題に対し、多くの有識者から「公権力が表現の自由を制限することは許されない」との声が上がっており、東大名誉教授の憲法学者、奥平康弘氏は「専門家が展示すべきだと判断したものを芸術に詳しくない公権力者が政治的判断で公開しなかったとすれば、表現の自由の重大な侵害だ」としている。一方、同館で2月中旬から開催されている「石川文洋写真展 戦争と人間」でも作品の一部が館長の指示で展示から外されていたことが分かった。同写真展では報道カメラマンの石川文洋氏がベトナム戦争を撮影した50枚の作品を展示しているが、その中で米兵がちぎれた遺体を手にしてたたずむ「飛び散った体」が展示から外されていた。石川氏には事前の連絡などいっさいなく、写真展の初日に突然、電話連絡で作品を外したことを知らされたという。(2009年4月14日)
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