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2009.06.04

性別という違和感

お仕事から帰って来て、アレをしたりコレをしたりソレをしたりして、ようやくホッとして、さて日記でも書くかな‥‥って思って、パソコンの電源を入れて、日記を書く前にメールをチェキしてみたら、今日はいつも以上にたくさんの読者メールが届いてた。それで、「どうしたんだろう?」って思って読み始めたら、ほとんどがおんなじ内容のツッコミだった。ちゃんと数えてないけど、日記のほうとブログのほうとで、完全に100通以上は届いてる。で、一番早くツッコミを入れてくださった人のメールを代表として紹介させていただく。


お名前:ヒヨコ隊長
コメント:きっこさん、おばんです!初めてのメールがつっこみで申し訳ありませんが、今日の日記に「ヒヨコが生まれない夢精卵なら食べてもいいってことにしちゃおうかな?」って書いてますけど、これって「無精卵」の変換ミスですね。よりによって「夢精」だなんて、自分はもう10年以上ご無沙汰です(笑)


のわ~~~! マジですか~~~!ってワケで、急いで見てみたら、ホントに「夢精卵」て書いてあった! で、終わりのほうにも「夢精卵」て書いてあって、合計で2回も「夢精」をしちゃってた!(笑)‥‥つーか、あたしのパソコン、「むせいらん」て打って変換すると、一発目に「夢精卵」が出るよ‥‥トホホ‥‥。

とにかく、ヒヨコ隊長さんを始め、ものすごい数の皆さん、こんなイカ臭い間違いにツッコミを入れてくだって、ホントにありがとうございました。先ほど、ピュピュッと直しました‥‥ってワケで、何で気づかなかったのかを考えてみたんだけど、あたしは、以前、タマゴを食べてたころ、あんまり安いタマゴは飼料や添加物が怖いから、10個で150円とかのじゃなくて、6個で200円から250円くらいのを買ってた。「ヨード卵・光」は6個で300円もするから、ちょっと手が出なくて、あたしが良く買ってたのは、6個で200円前後の「宝夢卵(ホームラン)」てタマゴだった。

そう! タマゴを買わなくなってずいぶん経つけど、あたしの脳裏には、この「宝夢卵」ていう文字が刷り込まれてたのだ! だから「夢精卵」て文字にも違和感を覚えなくて、そのまま打ち込んじゃったんだと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、おんなじ「無」の文字の変換ミスだったとしても、「六精卵」や「務精卵」や「武精卵」や「牟精卵」や「霧精卵」だったとしたら、あたしは、一瞬で「間違いだ!」って気づいてただろう。それは、見覚えのない文字の組み合わせだから、見た瞬間に違和感を覚えるからだ。だけど、今回の「夢精卵」だけは、何度も何度も目にして来た「宝夢卵」て文字がシッカリと記憶されてたから、ぜんぜん違和感を覚えずに、スンナリと「これでオッケー!」って判断しちゃったんだと思う。

で、この「違和感」てものは、ものすごく不思議な感覚だと思う。視覚や聴覚を始めとした人間の五感とは違って、その次の「第六感」の部類に入る感覚だと思う。別の言葉で言うと、「直感」とか、「動物的なカン」とか、そういった部類の、科学的には証明しにくい感覚だと思う。今回の変換ミスの場合は、あたしは、自分で打った文字を目で見てる。それで、「間違えてない」って判断したんだから、一見、「視覚」によるものだと思っちゃう。

だけど、たとえば、こんな例はどうだろう。思春期のころに、学校から帰って来て、自分のお部屋に入ると、入った瞬間に「何かが違う!」って感じる。机の上も、棚の上も、ベッドの上も、何ひとつ変化してないのに、どうしても「何かが違う!」って感じちゃう。それで、自分の留守中に、親が勝手にお部屋に入って、机の引き出しの中だの日記だのを見たんじゃないかってピンと来る。そして、ダダダーッとお母さんのとこに飛んでって、「ママ!あたしの部屋に入ったでしょ!」なんて怒鳴っちゃう。お母さんは、最初はトボケてるんだけど、子供のあまりの怒り具合に、仕方なくお部屋に入ったことを認めて、「お前のことが心配だったから‥‥」なんて謝る。

自分の部屋に誰かが入ったとか、自分の仕事場のデスクを誰かが使ったとか、状況は違っても、こういうことって、目で見た上では何ひとつ変化してないのに、ピンと来たことがある人は多いと思う。これって、何でピンと来るのかって言えば、「違和感」を覚えるからだ。いつもの自分のお部屋なのに、いつもの自分のデスクなのに、何ひとつ変化してないのに、ナゼだかいつもとは違うような、ナゼだか自分の場所じゃないみたいな、何とも不思議な感覚がするのだ。

たとえば、いつも必ず机の引き出しの一番奥に仕舞ってた秘密の日記が、机の上にドーンと出てたら、どんなに鈍感な人でも、「あれ?」って思うだろう。そして、家族でも恋人でも誰かと同居してる人なら、その同居人のことを疑うだろう。ものすごく神経質な人で、テレビのリモコン、ビデオのリモコン、DVDのリモコン、エアコンのリモコンをテーブルの上にキチンと「自分の決めた順番」に並べとかないと気が済まないような人なら、その順番が違ってただけでもすぐに気づくだろう。

でも、これらは、「視覚」にる気づきなのだ。目で見て、いつもとは違ってる部分を発見して、それで、「自分の留守中に誰かが入ったんだ!」って推測するワケだ。だから、これは、「違和感」とは違う。キチンと「ナゼそう思ったのか」を説明できるケースなのだ。一方、「違和感」を覚えて「自分の留守中に誰かが入ったのかも?」って感じたケースになると、キチンと「ナゼそう思ったのか」を説明することはできない。どこを見ても何も変化はないし、何の確証もない。ただ、「そんな気がする」ってだけなのだ。だけど、これが、単なる思い過ごしや被害妄想とかじゃなくて、結果的には当たってるのだ。

覚醒剤でもやってれば、誰も入ってないのに「自分の留守中に誰かが入ったんだ!」って思い込んだり、道路の反対側に停まってる車を「自分の命を狙ってる殺し屋だ!」って思い込んだり、あまりにもお気の毒さまなんだけど、マトモな人なら、こんなことはない。そして、全国の9割以上のマトモな人たちが、自分のお部屋に戻った時とかに「あれ?」って感じるいつもと違う感覚。これが「違和感」なのだ。

‥‥そんなワケで、人間の性別ってのは、生まれて来る前から決まってる。そして、たいていの場合は、肉体的な性別と精神的な性別が合致してるんだけど、何万人に1人って割合で、肉体的な性別と精神的な性別が違ってる人が生まれる。一般的に「性同一性障害」って呼ばれてるもので、アメリカの精神医学学会の調査によると、男性の体に生まれたのに女性の心を持ってる「MtF」が3万人に1人、女性の体に生まれたのに男性の心を持ってる「FtM」が10万人に1人だそうだ。

で、こうした人たちは、幼稚園の時だったり、小学校の時だったり、中学校の時だったり、それぞれ気づく年齢が違うと思うけど、どこかで、自分の肉体の性別に「違和感」を覚えるのだ。たとえば、あたしのお友達のオナベは、小学校の時までは、親からも先生からもクラスメートからも「男まさりの活発な女の子」って見られてたそうだ。女の子っぽいヒラヒラしたブラウスやスカートが嫌いで、いつでも男の子みたいなトレーナーやズボンだったのも、いつでもショートカットにしてたのも、単に「そういうスタイルが好み」なんだと思われてたそうだ。

そして、ふだんは本人もほとんど意識してなかったんだけど、唯一、耐えられなかったのが、高学年になってからの夏のプールの時間だったそうだ。胸もほんのりと膨らみ始めて来てたし、当然のことながら、女の子用のスクール水着を着なきゃなんないワケで、これが耐えられなかったそうだ。そして、他の運動は大好きだったのに、プールの授業だけは、ナンダカンダとウソをついてズル休みしてたそうだ。

だけど、まだ、ふだんの服装が自由だったから、小学校時代は何とかなった。問題なのは、中学校だった。その区域の中学校は、男の子は詰襟の学生服、女の子はセーラー服だったのだ。結局、その人は、どうしてもスカートを履くことが耐えられなくて、中学の3年間、スカートの下にジャージを履いて過ごしたそうだけど、それでも言葉で説明できないほど辛かったって言ってた。肉体的な性別と精神的な性別が合致してる人たちには分かりにくいことだと思うけど、あなたが男性なら、一番多感な中学校の3年間、ずっとセーラー服を着て、女装して過ごさなきゃなんなかったって想像して欲しい。これとおんなじことなのだ。

人間の心の性別は、生まれる前から決まってるんだから、どんなことをしても、絶対にこれを変えることはできない。肉体は女性に生まれても、心が男性に生まれちゃったら、その人は自分の肉体にずっと「違和感」を覚えながら生きてかなきゃなんないワケで、心の性別を変えることができない以上、肉体の性別のほうを少しでも心の性別に近づけるように、ホルモン療法や性別適合手術をするしか方法はないのだ。

‥‥そんなワケで、今から40年ほど前の1965年のこと、カナダのマニトバ州で暮らすライマー夫妻に、待望の赤ちゃんが生まれた。男の子の一卵性双生児で、お兄ちゃんは「ブルース」、弟は「ブライアン」て名づけられた。2人とも元気いっぱいで、何の病気もせずに、たくさんオッパイを飲んで、スクスクと育って行った。だけど、生後6ヶ月を迎えたころから、2人とも、オシッコをするたびに痛がって泣くようになった。それで、お医者さまに診てもらったら、オチンチンの皮がホーケーで、それが痛みの原因だって言われちゃった。

で、お医者さまと相談した結果、2人は、オチンチンの皮をチョン切る手術を受けることになった。ニポン人にはナジミがないけど、世界の国々には「割礼(かつれい)」って言って、子供のうちにオチンチンの皮をチョン切ったり、尿道を切って広げたり、女の子の場合なら、クリキントンを切り取ったり、まわりのピラピラを切り取ったり、酷いのになると、糸で縫って開かなくしちゃうなんてのもある。だから、この2人の場合も、そんなに特別なことじゃなかった。ライマー夫妻は、お医者さまに言われた通りに、2ヶ月後、2人を病院に連れてった。

そして、まずはお兄ちゃんから‥‥ってワケで、ブルース君が先に手術を受けたんだけど、これが、メスとかで切るんじゃなくて、電気で焼き切る器具を使ったのだ。まだ生後8ヶ月の赤ちゃんなんだから、オチンチンなんてエンピツの先っちょくらいなのに、それを大きな器具でバチッと挟んだもんだから、皮だけじゃなくて、オチンチンの本体も大部分が焼けちゃったのだ。こりゃあ大変てことで、弟のブライアン君の手術は中止になり、とにかくブルース君をどうにかしなきゃなんない。だけど、もう、オチンチンはほとんど残ってない。

それで、この手術を担当した医師があれこれと走り回って、1人の性科学の権威の先生を連れて来る。それが、ジョン・マネー博士だった。マネー博士は、ブルース君のオチンチンの様子を見て、「これはもう男性としての人生は送れない。残った部分も切り取り、タマタマも摘出して、女性として育てるしかない。それが本人のためだ」って言ったのだ。医学のことなんか何も分からないライマー夫妻としては、権威だっていう大先生の言う通りにするしか道はないワケで、結局、ブルース君が1才10ヶ月になった時に、残ってたオチンチンとタマタマを取る手術をさせられて、名前も「ブレンダ」に変えられて、女の子として育てられたのだ。

ブルース君、改め、ブレンダちゃんは、成長にともなって、マネー博士から女性ホルモンを投与され、髪も、服装も、すべて女性として育てられた。そして、ある程度の年齢になったら、今度は女性器を作る手術を受けることになってた。だけど、これは、あまりにも酷い、悪魔の所業だったのだ。このマネー博士は、「人間の性別は生物学的に決まるものではなく、生まれてからの環境によって決められるものである」っていう自論を唱えてた人で、ブルース君は、この自論を立証するための実験材料として利用されてたのだ。

ブルース君とブライアン君は、一卵性双生児なんだから、お母さんのお腹の中にいた時から、ずっとおんなじ条件下で成長して来た。だから、そのうちの1人だけに性転換手術を施して、子供のころから女性として育てて、それでブルース君本人も自分のことを女性だって認識するようになれば、男性だと認識してるブライアン君と対比させることによって、マネー博士の自論が立証されるってスンポ―だったのだ。そして、博士は、この論文を発表して、世界的な権威になろうってモクロんでたのだ。

‥‥そんなワケで、オチンチンとタマタマを取られちゃって、女性ホルモンまで投与されちゃって、モノゴコロついた時から「ブレンダちゃん」ていう女の子として育てられて来たのに、それでも、ブルース君の心は、男の子のままだった。小学校では、女の子たちとは遊ばすに、男の子たちと男の子の遊びをした。髪を伸ばすことも、スカートを履くことも嫌がり、周りからは変な目で見られた。オチンチンとタマタマを取られちゃってるんだから、思春期を迎えても男性ホルモンは分泌されないワケだし、その上、幼いころから女性ホルモンを投与されて来たのに、それでも、生まれる前から決まってた「男の子」っていう性別こそがホントの自分だって感じてて、女の子の姿をしてる自分に「違和感」を覚えてたのだ。

つまり、「人間の性別は生物学的に決まるものではなく、生まれてからの環境によって決められるものである」っていうマネー博士の自論は間違ってたってワケだ。そして、14才になったブルース君は、もう自分の心にウソをついて生きることが耐えられなくなり、マネー博士の勧めた性転換手術も拒み、これからは男性として生きて行くって宣言しちゃう。そして、髪を切り、スカートを脱ぎ、男の子の服を着て、ブレンダって名前も捨てて、この時から「デイヴィッド」って名乗るようになる。

‥‥そんなワケで、ぜんぶ書いてると大変なので、この辺でサクッとマトメるけど、ようやく自分のホントの性別に戻れたブルース君の人生は、あまりにも悲しいものだった。マネー博士が自分の名誉のために推し進めた人体実験によって、ブルース君の一家の生活はメチャクチャになり、弟のブライアン君は自殺した。そして、それを追うように、2004年の5月5日、まさに「男の子の節句」の日に、ブルース君は、自らの人生に猟銃で終止符を打ったのだ。38才、あまりにも若すぎる最後だった。ブルース君の生涯を思うと、人間は弱い生き物だから、「違和感」を引きずったまま生きてくことはできないんだ‥‥って思いがした。あたし自身、今の自分に「違和感」は覚えてないから、こうした問題に対して、どこか他人事みたいな部分もあったけど、やっぱり、マイノリティーのための「きっこの日記」としては、すべての人たちが「違和感」を引きずらないで済む世の中へ向かって、ジョジョに奇妙に進んでこうと思った今日この頃なのだ。


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