「お」のつく話
今週、ずっと、気分が悪くなるほど繰り返し繰り返しテレビで流されてた、そのまんま東のアホ映像だけど、あれ、いったい何なの?
「ワタクシを、次期総裁候補として、自民党さんは、選挙を、お戦いになる、お覚悟は、おありですか?」
あたしは、もともと、そのまんま東なんかに理知的な発言なんて1ピコグラムも期待してないけど、いくら何でも、「お戦いになる、お覚悟は、おありですか?」って、何じゃこれ? 早口ことばじゃあるまいし、「オタタカイニナルオカクゴハオアリデスカ」って何だよ? テレビでは、発言の翌日に、インタビューに答えて、あえて一語一語をくぎって、ゆっくりとしゃべってるバージョンも放送してて、それが、「お戦いになる、お覚悟は、おありですか?」ってやつだ。
だけど、最初に自民党の古賀誠が面会に行った時のバージョンは、こんなふうにくぎってなくて、いつものコーフン気味の早口で、「お戦いになるお覚悟はおありですか?」って、畳み込むようにしゃべってた。これを聞いた時、あたしは、「お戦い」のとこが、「オタタタタタタ‥‥」ってなっちゃいそうな感じに聞こえて、思わず、「北斗の拳」のケンシロウの連打が頭をよぎっちゃった。
ま、ふだん、丁寧な言葉なんて使ったこともない人間が、急に丁寧な言葉を使おうとして変なふうになっちゃった典型的な例だと思うけど、それにしても、ニポン語もマトモにしゃべれないほどのバカが、よくもまあ「次期総裁候補」にしろだなんて、こんなセリフを口にできたもんだ‥‥って、そうだ! 今の自民党の総裁も「ニポン語もマトモにしゃべれないほどのバカ」だったんだ! あんなバカでもつとまるんなら、タレント知事でもお笑い芸人でも、どんなバカでも自民党の総裁くらい簡単になれちゃうと思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、すでに海面に舳先が見えてるだけの沈没船の船長なんかに、今からなりたいと思うようなのはヨホドのバカだと思うけど、泣いても笑っても、あと2~3ヶ月のうちに自民党丸は完全に沈没しちゃうんだから、あたし的には「果報は寝て待て」って気分になってる。だから、自民党が総裁選を前倒しして看板を掛け替えようが、フロッピー麻生が最後の最後まで居座っていようが、別にどっちでも構わない。今さら何をしたって、すでに国民の8割は自民党に「NO!」を突きつけてるんだから、何をやっても「ムダなアガキ」でしかない。
そんなことよりも、あたしが気になるのは、やっぱり、フロッピー麻生しかり、そのまんま東しかり、森田健作しかり、ロクにニポン語もしゃべれないほどのバカが、総理大臣になったり県知事になったりできるっていう、この国の「1億総バカ化時代」に対する不安だ。20日、都議選の自民党候補者のとこを回ったフロッピー麻生が、文京区の中屋文孝の応援で、「必勝を期して」って言うべきとこを「惜敗を期して」って言い間違えたのだって、その言葉の前後もすべて、一語一句、フロッピー麻生がしゃべった通りに書くと、こうなる。
「今回は、必ず、惜敗を期して、再び勝って、そして、必勝を、やってやらしてもらって」
マスコミは「惜敗を期して」の部分しか取り上げなかったけど、その前後も支離滅裂だ。小学生だって、もっとマトモにしゃべれるだろうし、ヘタしたら幼稚園児のほうがマシだろう。ここまで来ると、もう、バカとかアホとかってレベルじゃなくて、完全に病気としか思えない。実際に聞いてない人は、YOU TUBEとかで「惜敗を期して」で検索すれば映像が観られるから、この国の総理大臣のあまりにも知能の低いニポン語を聞いてみて欲しい。
そのまんま東にしても、「お戦いになる、お覚悟は、おありですか?」だなんて、ここまで「お」をつけたいんなら、いっそのこと、「お自民党さんは、お選挙を、お戦いになる、お覚悟は、おありですか?」って言えば良かったのに。そうすれば、ギャグだってことで通るから、少なくとも、自分の無知を晒さずに済んだのに。ま、そうした知恵がないからこそ、こんなにもヘンテコなニポン語をしゃべるんだと思うけど、宮崎をどげんかする前に、お前のおかしなニポン語をどげんかしろよ!‥‥って思った。
‥‥そんなワケで、あたしが小学校3年生の時に、クラスにお金持ちの女子がいて、どういう流れだったのかは覚えてないんだけど、その子の家に、お母さんと一緒に何人かの同級生が集まるっていうイベントがあった。あたしの通ってた小学校は、3年生になる時と5年生になる時にクラス替えがあったから、今になって思えば、たぶん、3年生になって、新しいクラスになったばかりの時に、何人かの親子を招いて、仲良くなろうっていうコンタンの集まりだったんだと思う。
で、いつもなら日曜日も働いてた母さんは、その日がタマタマお休みだったのか、それとも、あたしのためにお休みを取ってくれたのか、とにかく、一緒にその子の家へ行けることになった。呼ばれたのは、あたしを含めて女子が3人か4人くらい、男子が2人か3人くらいの5~6組の親子で、おんなじ班てワケでもないし、席が近いワケでもないし、何を根拠にした人選だったのかも分からない。とにかく、白くて大きなお家だったことと、大きくて毛がフサフサの犬がいたことと、芝生のお庭に白い石像みたいなのがあったことと、ものすごく美味しいケーキを食べたことと、母さんがヨソイキのオシャレをしてたことと、親たちは親たちで話しをしてて、あたしたちは何かのボードゲームをやってたこととかを断片的に覚えてるくらいだ。つまり、あたしは、その日のことをほとんど覚えてない。ただ、帰り道に、母さんが言ったことが、ずっと記憶に残ってるのだ。
「●●さんのお母さんたらね、『お紅茶にします?おコーヒーにします?』って聞くのよ。『お紅茶』はいいとしても、『おコーヒー』はないわよね。『おコーヒー』だなんて、母さん、おかしくて吹き出しそうになっちゃったけど、誰も笑わないから、ずっとガマンしてたのよ」
あたしの母さんは、江戸っ子で口の悪いとこがあるから、「なんでもかんでも『お』をつけりゃいいってもんじゃないわよね」って言って、●●さん家でガマンしてたぶん、ゲラゲラと笑い出した。そして、我が家では、それからしばらくは、何にでも「お」をつけて話すのが流行っちゃった。晩ご飯のおかずが「サンマの塩焼き」なら、あたしが「今夜はおサンマの塩焼きでございますわね」なんて言って、母さんとおばあちゃんがゲラゲラと笑う‥‥ってパターンが続いた。
そして、この、何にでも「お」をつける遊びも自然消滅して、もう完全に忘れてた1年後、4年生の夏休みのこと、渋谷区のハカライなのか東京都のハカライなのかは分からないけど、学校の行事とは別に、母子家庭の親子なら格安の料金で参加できる林間学校みたいなのがあって、あたしは、母さんに、軽井沢に連れてってもらった。泊ったのは、4組の親子が1部屋のロッジみたいなとこだったんだけど、バーベキューをしたりして楽しかった。それで、2日目のお昼に、何て名前のホテルだか覚えてないんだけど、軽井沢では歴史があって有名だっていうホテルに行って、そこのプールで泳いだ。
たぶん、これも、何かのハカライで、特別にプールを使えるようになってたんだと思うけど、ヤタラとアブが多くて、ものすごく恐かったことを覚えてる。泳いでると、水面から出てる頭に向かって、親指くらいの大きさの巨大なアブが、ブーン!っていう大きな羽音を立てながら襲い掛かって来るのだ。それで、アブが来るたびに、水の中に潜って避難するんだけど、息が苦しくなって来て、ブハ~!って顔を出すと、また遠くからあたしに向かって巨大なアブがブーン!って襲って来る。他にも泳いでる子供は何人もいたんだけど、アブも何匹もいたから、ほとんどがマンツーマン‥‥ていうか、マンツーアブの状態だった。
ま、この話はダッフンなんだけど、あまりのアブ攻撃に耐えられなくなったあたしたちは、1時間もしないで早々にプールから上がることにした。そのあと、みんなで、そのホテルのレストランで、お昼ご飯を食べた。メニューは、「和定食」と「洋定食」のどっちかを選ぶんだけど、「和」のほうはニジマスの塩焼きで、「洋」のほうはニジマスのムニエルで、どっちもニジマスだった。それで、母さんは「和」、あたしは「洋」を食べた。これも、今になって考えると、歴史のある有名なホテルで、メニューが「和定食」と「洋定食」の2つしかないなんてことはアリエナイザーだから、たぶん、プールで遊べるのと、このお昼ご飯とがセットになってる、何かのハカライだったんだと思う。
そして、ようやく話は問題の部分に突入するんだけど、お昼ご飯を食べたあとに、このホテルの中を見学するっていうイベントがあった。ここは、天皇陛下も利用してるとかってホテルで、ロビーとか廊下とかの一部に、天皇陛下の写真とか、資料みたいなものが展示してあったりしたのだ。それで、あたしは、そんなもんにぜんぜん興味はなかったんだけど、とにかくホテルの中はクーラーが効いてて涼しかったから、文句を言わずに母さんたちに着いてった。
それで、ホテルの人が、「こちらがナントカ天皇がお泊りになったお部屋でございます」とかって説明してくんだけど、男の子たちはカブトムシやクワガタを採りに行きたくてウズウズしてるし、あたしはホテルに来る途中にチラッと見えた「ソフトクリーム」の看板が気になってたし、退屈な説明なんて耳に入らない。だけど、あまりにも突然に、その瞬間がやって来たのだ。ある部屋に案内されて、壁に展示されてた何枚かの写真を見る気もなく見てたら、その中の1枚に目が止まった。それは、「おぼっちゃまくん」みたいなカッコをした5才くらいのガキが、横を向いてコーヒー牛乳を飲んでる写真で、その写真には、こんな説明文が添えられてたのだ。
「お元気でおすこやかな浩宮さまは、おコーヒー牛乳をお飲みほしあそばせました」
この説明文を目にした瞬間、あたしの脳裏には、1年前の何にでも「お」をつけて母さんとゲラゲラと笑ってた時のことが走馬灯のように蘇った。あたしは、すでに何メートルか先に行ってた母さんを呼んで来て、この写真を指さして教えた。母さんは、最初、「何なの?」って顔をしてあたしのことを見てたけど、この説明文を読んだトタン、「ププッ!」って噴き出して、それから、「あっはっはっはっは~!」って大笑いを始めちゃった。
あたしは、ホテルの人がマジメに説明しながら案内してるし、全体的にシーンとしてる場だったから、それまでは笑っちゃマズイと思ってガマンしてた。でも、母さんが笑い出したことによって、あたしの中のブレーキが解除されたみたいで、あたしも笑いが止まらなくなった。それで、親子でゲラゲラと笑ってたら、ホテルの人や他の子の親たちも戻って来ちゃって、「どうしたんですか?」なんて聞かれて、大変なことになっちゃった。マサカ、浩宮の写真の説明文を見て爆笑してるなんて言えないから、母さんは笑いながら困ってた。竹中直人は「笑いながら怒る人」だけど、あたしの母さんは「笑いながら困る人」だった(笑)
‥‥そんなワケで、あたしは、今でも、皇室関係のテレビを見てると、笑いが止まらなくなる。それは、出演者たちのヤタラと「お」をつけるヘンテコなニポン語があたしのツボだからだ。いくら皇室の人間とは言え、生まれたばかりの赤ちゃんだの、ようやく立てるようになった幼児だのに対して、あまりにも敬語を使いすぎてて、まるでギャグみたいに感じるからだ。子供でも皇室の人間なんだから、名前に「様」をつけて呼ぶくらいはギリギリセーフだとしても、いい年こいたオッサンたちが、ガン首そろえて、5才のガキに対して「おコーヒー牛乳をお飲みほしあそばせました」だなんて、「バッカじゃないの?」って思っちゃう。
犬が飲もうと、一般人が飲もうと、天皇が飲もうと、「コーヒー牛乳」は「コーヒー牛乳」だ。偉い人が飲む時だけ「おコーヒー牛乳」って言わなきゃなんないなんて、そんなヘンテコな話は聞いたこともない。それに、もしも、偉い人が飲む時だけ「おコーヒー牛乳」って言わなきゃなんないのなら、「フルーツ牛乳」も「おフルーツ牛乳」って言わなきゃなんなくなる。「コーヒー牛乳」にだけ「お」をつけて、他の飲み物には「お」をつけないってのは一貫性がないからだ。他にも、「おウイスキー」とか、「おブランデー」とか、「おコカコーラ」とか、「おファンタ」とか、すべての飲み物に「お」をつけなきゃならないなんて、おビックルを一気飲みしちゃうよ、まったく(笑)
さらには、飲み物だけに「お」をつけて、食べ物には「お」をつけない‥‥ってのもおかしい。だから、天皇がサンマの塩焼きを食べた時には、それこそ「おサンマの塩焼き」って言わなきゃいけなくなる。他にも、「おビーフステーキ」とか、「おカレーライス」とか、「おラーメン」とか、「お牛丼」とか、「おピザ」とか、「お麻婆豆腐」とか、「おゴーヤーチャンプルー」とか、「お冷奴」とか、「お豚肉のしょうが焼き」とか、「おブリ大根」とか、死ぬまでやってろ!‥‥って思う。
それに、一般人が飲む時は「コーヒー牛乳」なのに、皇室の人間が飲む時だけ「おコーヒー牛乳」になるってことは、ようするに、皇室の人間は一般人と違う、皇室の人間は一般人よりも偉いってことを言いたいワケだ。それなら、あたしたち一般人も「お」をつけて呼んでるもの、たとえば、「お味噌汁」とかの場合は、あたしたちとおんなじに「お味噌汁」って言ったら、皇室の人間だけを特別視してることにはならないから、さらに「お」をつけて、「おお味噌汁」って言わなきゃいけなくなる‥‥ってワケで、「お味噌汁」のことを「おみおつけ」とも言うけど、これは、漢字で書くと「御御御付け」で、すでに「お」が3つもついてる。これは、もともとは、お味噌汁だけを指す言葉じゃなくて、食事に添えられるお吸い物類の総称で、「御付け」って言葉だった。ご飯とおかずの本膳があって、それに付けられるって意味だ。
で、これは、最初は将軍家とかだけで使われてた言葉だったから、お女中さんたちが食事を運ぶ相手は、天皇まで行かなくても、庶民よりは遥かに偉い将軍とかだった。そのため、もともと「お」がついてる「御付け」なのに、それだけじゃ失礼にあたるってことで、対「偉い人」用の丁寧語の接頭語、「大御(おおみ)」をつけるべきだってことになった。これは、今でも、「大御所(おおごしょ)」なんて言葉が残ってるように、「お」の上に「大」がついてる最高の丁寧語なのだ。だけど、毎日のことなのに、いちいち「おおみおつけ」「おおみおつけ」なんて言ってるのも大変なので、ここはひとつ、リトル短くしちゃえってことで、「大御」を短縮した形の「御御(おみ)」をつけることにした。そして、「御付け」が、「御御御付け」になったってワケなのだ。
つまり、もともと「お」がついてるものに、さらに「お」をつけても、別に間違いじゃないワケだ。ただし、その場合は、1つだけ「お」をつけるんじゃなくて、「おおみ」をつけるか、その短縮形の「おみ」をつけるのが決まりってワケだ。だから、皇室の人間が飲む場合、「コーヒー牛乳」を「おコーヒー牛乳」って言わなきゃなんないのなら、もともと「お」がついてる「お汁粉」とかの場合は、「おおみお汁粉」とか「おみお汁粉」とか言わなきゃいけなくなる。ま、ホントにこんなこと言ったら、「おコーヒー牛乳」とおんなじに、アホだと思われちゃうだろうけど。
‥‥そんなワケで、あたしの母さんが言ってるように、なんでもかんでも「お」をつけりゃいいってもんじゃない。モノゴトには「程度」ってものがあって、ナニゴトもやりすぎは逆効果にしかならない。「コーヒー牛乳」にまで「お」をつけてたら、言われた相手は「尊敬されてる」って思うんじゃなくて「小バカにされてる」って思うだろう。今回のそのまんま東のアホ発言にしたって、発言の内容が荒唐無稽だっただけじゃなくて、ワザと「お」を多用して自民党のことを小バカにしてるみたいに聞こえたからこそ、多くの人たちの反感を買ったのだ。おんなじ内容のことでも、もっと普通のニポン語で話してたら、笑い者にはなっても、反感は買わなかっただろう。ま、あんなおバカには、今さら何を言ったところで、どうせお気づきあそばせないだろうけど‥‥なんて思った今日この頃なのだ。
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