« 常盤橋の織田無道 | トップページ | 森田健作氏が今になって自民党を離党 »

2009.07.04

人の死で飯を食う人々

2日前に、ネットニュースのタイトルインデックスを見てたら、芸能欄に「マイケルの後見人にD・ロス」ってのがあった。あたしは、「デヴィッド・リー・ロス」のことだと思って、何でデイヴがマイケル・ジャクソンの後見人になったの?‥‥って、一瞬、思ったんだけど、マイケル・ジャクソンとヴァン・ヘイレンて、無関係じゃない。マイケル・ジャクソンの「ビート・イット」で、エディーがド派手なリードギターを弾いてるからだ。

だけど、アレって、リズムギターを弾いたTOTOのスティーヴ・ルカサーが、ちゃんと契約してちゃんとギャラをもらったのに対して、気のいいエディーは、タダで弾いちゃったんだよね。それで、そのことを聞いたデイヴは、カンカンになってエディーに文句を言ったんだよね‥‥ってことは、デイヴはマイケル・ジャクソンのことを良くは思ってなかったワケで、そんなマイケル・ジャクソンが、デイヴを後見人にしたなんて、その後、和解でもしたのかな?‥‥なんて思いつつ、その記事をひらいて読んでみたら、何のことはない。「D・ロス」って、「ダイアナ・ロス」のことだったワケで、あたしは、時間のロスをしたワケだ(笑)

正直に言うけど、あたしは、マイケル・ジャクソンの音楽って、どこがいいんだかサッパリ分からない。ジャクソン5やジャクソンズの時のファンクやダンスミュージックなら、普通にその良さが分かるんだけど、ソロになってからの「フー!」とか「ホー!」とか叫んでる「スリラー」とかの一連の楽曲って、ファンの人たちには申し訳ないけど、あたしには、大ゲサな歌謡曲にしか聴こえない。PVのダンスも、別に突出して上手だとも思えないし、あたしにとっては、「自分の容姿に異常なほどのコンプレックスを持った大金持ち」ってだけの存在だった。さらに言えば、「アメリカの郷ひろみ」って感じでしか見てなかった。

でも、ニポンの世の中の反応は違った。マイケル・ジャクソンが亡くなったトタンに、いろんなテレビのワイドショーのコメンテーターたちが、いっせいに、マイケル・ジャクソンの功績を讃え出し、マイケル・ジャクソンがいかに偉大なアーティストだったのかを口々にノタマイ出し、数少ないマイケル・ジャクソンに関する知識に尾ヒレをつけてしゃべり出した。そして、どの曲が好きだったのかと聞かれると、10人が10人とも「スリラー」って答えてた。あたしは、そんな異様な光景を見て、「コイツら、スリラーしか知らないんじゃないの?」って思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、サッカーのニポン代表がワールドカップに出場した時に、昨日までサッカーの「サ」の字も口にしなかった人たちが、突然、何百人も何千人も、お揃いのブルーのユニフォームを着て、「ニッポン!ニッポン!」って発狂し始めた時のことを思い出した。昨日まで、マイケル・ジャクソンの「マ」の字も口にしなかった人たちが、「僕も大ファンでした!」「私も大好きでした!」って競い合うように言い始めて、まるで、マイケル・ジャクソンを称賛すれば自分の株が上がるとでも思ってるかのような、あまりにも見え見えの茶番劇が始まった。

そして、「大ファン」だの「大きな影響を受けた」だのって言ってる人たちが、誰1人として、あたしが知らないような楽曲のタイトルとか、あたしが知らないようなエピソードとかを話さない。みんな、申し合わせたかのように、「初めてスリラーの映像を見た時は衝撃を受けました」って言って、「好きな曲は?」って聞かれると、やっぱり「スリラー」って答えてた。あたしは、「なんじゃコイツら?」って思った。

あたしは、好きなミュージャンはいっぱいいるけど、その1人1人に関して、「何か話せ」って言われれば、軽く2~3時間は話すことができる。「何か書け」って言われれば、最低でも1万文字以上は書けるし、中でも大好きなミュージャンに関してなら、本1冊ぶんくらいは書くことができる。その中には、小林克也さんや渋谷陽一さんでも知らないようなエピソードもいっぱいある。たとえば、開演前のリハの時に潜り混んでケータイ番号を渡したら、ライブ後に電話が掛かって来て、宿泊先のホテルに突撃して、一緒にホニャララを吸った時のエピソードとか、面白い話がいくつかある。

たとえば、忌野清志郎さんに関してだって、あたしは、何度かお会いしたことがあるし、いつくかのエピソードがある。だけど、亡くなったばかりの時期に、こういうことを書くのって、ものすごくいやらしい。清志郎さんの死を自分のアピールのために利用してるみたいで、ものすごくあさましい。何よりも、亡くなった清志郎さんに対しても失礼だし、それ以前に、あたしは、悲しくて悲しくて、とてもそんな気分になれない。だから、5年後か10年後か分からないけど、清志郎さんのことを笑って話せるような時期が来た時に、そうしたことを書くつもりだ。

亡くなった相手に対して、ホントに深い思いを持ってたら、たとえ一方通行の「一ファン」だったとしても、普通は饒舌にはなれないハズだ。それなのに、テレビのワイドショーのコメンテーターたちの、何と饒舌なことか‥‥って、今、ここの部分を書いてて、ふと、「ジェットストリーム」の「遠い地平線が消えて、深々とした夜の闇に心を休める時、遥か雲海の上を音もなく流れ去る気流は、たゆみない宇宙の営みを告げています。満天の星をいただく、果てしない光の海を豊かに流れゆく風に心を開けば、きらめく星座の物語も聞こえてくる、夜の静寂のなんと饒舌なことでしょうか」を思い出しちゃったよ。

ま、それは置いといて、今回のマイケル・ジャクソンの死は、あまりにも悲しすぎた。それは、ロクにマイケル・ジャクソンの楽曲も知らないような、こんな極東の島国のアホワイドショーのコメンテーターふぜいが、「ボクも!」「ワタシも!」ってシャシャリ出て来て、自分の株を上げるために、マイケル・ジャクソンの死を利用してるからだ。そして、ほとんど皆無に等しい知識を駆使して、自分をマイケル・ジャクソンの大ファンだったと偽ってでも自分をアピールしたいガツガツしたコメンテーターや芸能人たちとは違って、あたしが見た中で、唯一、真摯な対応をしてたのが、テレビ朝日の「スーパーモーニング」での鳥越俊太郎さんだった。

ガン首そろえたコメンテーターたちが、マイケル・ジャクソンを好きじゃないあたしよりも少ない知識で、「ファンでした」「大好きでした」「影響を受けました」って大ウソをついてる中、鳥越俊太郎さんだけは、「僕の場合は、マイケル・ジャクソンって、よく知らないんです。それよりも、前日に亡くなったファラ・フォーセットのほうが‥‥僕の時代はファラ・フォーセット・メジャーズって言ったんですけどね、彼女の死のほうが衝撃でした」って、本音で話してた。

鳥越俊太郎さんは、スマップの草なぎが発狂した時も、「誰も見てない公園で全裸になったのなら公然わいせつ罪にならないじゃないか」とかってトンチンカンなことを言ってたし、ふだんもナニゲにズレたことを言ってるけど、今回のマイケル・ジャクソンの死亡のニュースに関してだけは、どの局のどのコメンテーターよりも、正直に本音を語ってたと思う。ウソつきコメンテーターたちの饒舌ぶりにヘキエキとしてたあたしには、正直な鳥越さんの言葉が、まるで一服の三ツ矢サイダーのように爽やかに感じられた。

‥‥そんなワケで、どれほど最低な人間だって、どんな凶悪犯だって、その人が亡くなったら、決して悪くは言わないのが、ニポンを始めとした多くの国の一般常識だ。だから、どんなにマイケル・ジャクソンのことが嫌いだった人でも、やっぱり、今は悪く言うべき時期じゃない。だけど、ファンでもなかった人たちが、「待ってました!」とばかりに、ファンのフリをして薄っぺらなコメントを繰り返してる現状を見てると、悪口を言うことよりも、さらに卑しく思えて来る。

マイケル・ジャクソンのことが嫌いで嫌いでガマンできなかった人が、マイケル・ジャクソンが亡くなった時に喜びを表現することは、人の道には反した行為であっても、自分の心にはウソをついてない。だけど、マイケル・ジャクソンになんかぜんぜん興味のなかった人が、昨日までマイケル・ジャクソンの「マ」の字も口にしなかった人たちが、ここぞとばかりにニワカファンになりきって、マイケル・ジャクソンの死を利用して自分を良く見せようとする茶番は、人の道にも反してる上に、自分の心にもウソをついてることになる。だから、悪口を言う人よりも、さらに下ってことになる。

で、こんなことを書いてたら、ナニゲにデジャブ感が漂って来たので、ザクッと過去ログを調べてみたら、ちょうど1年前、赤塚不二夫さんが亡くなった時も、あたしは、おんなじようなことを書いてた。去年の8月4日の日記、「これでいいのだ!」に、ロクに赤塚マンガも読んでないようなワイドショーのコメンテーターたちが、ボクもワタシも「ニャロメが好きでした」って言ってるのを見て、ものすごく不快だったってことを書いてた。

ま、ワイドショーのコメンテーターなんていう芸者商売は、どんなことを聞かれてもソツなく答えるのが仕事なんだから、観てもいない映画の感想を聞かれても、まるで昨日観て来たかのように答えなきゃなんないもんなんだろうけど、あまりにも頭の悪い顔ぶれが揃ってるから、観てないことがバレバレなのだ。赤塚不二夫のマンガしかり、マイケル・ジャクソンの音楽しかり、マトモに読んだことも聴いたこともないことがバレバレのコメンテーターたちが、バカのひとつ覚えの「ニャロメ」や「スリラー」を連呼して、自分のボロが出ないように右へならえのコメントをバトンタッチして行き、1ミリの厚さもない薄っぺらな話だけで放送時間を食い尽くしてく。

挙句の果てには、フロッピー麻生なんかにまで、マイケル・ジャクソンの死についてコメントを求める始末。フロッピー麻生の肩を持つワケじゃないけど、なんでもかんでもコメントを求めりゃいいってもんじゃない。どうせ、またなんかズレまくったことでも言ってくれることを期待して聞きに行ったんだろうけど、ハタ坊だジョー‥‥じゃなくて、シシドジョー‥‥じゃなくて、オダギリジョー‥‥じゃなくて、アンノジョー、フロッピー麻生は、「なかなかリズム感のあった人だったと記憶してます」だなんて、まったく知らないことが丸出しの大バカなコメントを炸裂させてた。

‥‥そんなワケで、ゆうべのTOKYO FMの「やまだひさしのラジアンリミテッド」で、そのまんま東が総理大臣になろうとした前代未聞のギャグを踏まえて、「もしもあなたが総裁選に立候補するなら、どんなマニフェストを掲げるか?」ってお題を出したんだけど、そしたら、「マンガやアニメを実写版の映画にするの禁止」ってのを始めとして、国民の多くが賛同しそうなワンダホーな投稿がたくさんあった。それで、あたしは、思わず「知ったかぶりするコメンテーターはワイドショーに出るの禁止」ってマニフェストを投稿したくなっちゃった。それほど、あたしは、今のワイドショーのコメンテーターたちの質の低さにウンザリしてる今日この頃なのだ。


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いしま~す♪
   ↓
人気ブログランキングへ

|

« 常盤橋の織田無道 | トップページ | 森田健作氏が今になって自民党を離党 »