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2009.08.29

政権交代は先進国の証

世界中の議会制民主主義国の中で、半世紀以上に渡って一度も政権交代をしてない時代遅れの国なんて、このニポンだけだ。たとえば、二大政党制の元祖のイギリスを見てみると、1950年からの約60年間だけを見てみても、労働党と保守党とで7回もの政権交代が繰り返されて来た。アメリカにしても、1950年から民主党と共和党が8回もの政権交代を繰り返して来て、こないだの民主党のオバマ大統領の誕生で、9回目の政権交代を実現させたってワケだ。わずか60年弱の間に、7回も9回も政権交代を繰り返してるんだから、1つの政党が政権の座にいるのは、平均すると約8年てことになる。

それが、ニポンの場合は、1955年に自民党が誕生して以来、1993年までの40年近くも自民党の独裁政権が続き、わずかな非自民政権をはさんで、その後は自民党を中心にした連立政権が続いて来た。だけど、この「わずかな非自民政権」にしたって、リクルート事件や東京佐川急便事件を始めとした自民党議員の悪事の数々が発覚したことによって、自民党が自業自得で内部から崩壊して、その時にイチ早く自民党を飛び出した議員たちが新党を作り、それで非自民政権が誕生したんだから、今で言えば、自民党を飛び出した渡辺善美の「みんなの党」が政権をとったみたいなもんだ。だから、いくら「非自民政権」て言っても、昨日まで自民党にいたような政治家が総理大臣になったってことだ。

そして、そんな非自民政権も1年も持たずに自滅して、あとは皆さん、ご存知の通り、議席を減らして単独政権を続ける力を失った自民党は、もう、なりふりかまってられなくなった。政治思想的に正反対だった社会党と連立を組んでみたり、渡辺善美の親父のミッチー(渡辺美智雄)を担ぐために作られた自由党と連立を組んでみたり、挙句の果てにはカルト教団のナンミョ~なんかと連立を組んでみたりって、もう完全に恥も外聞もかなぐり捨てて、「政権の座さえ死守できれば!」って目的だけで邁進して来た。それは、どんなに悪どい手段を使おうとも、政権与党の座にいなかったら、今まで築き上げて来た「政官財癒着のウハウハの構図」で甘い汁が吸えなくなっちゃうからだ。そして、これこそが、自民党が半世紀以上もニポンの政権の座に居座り続けて来たホントの理由だってワケな今日この頃、皆さん、明日のために冷蔵庫にビールを冷やしてありますか?


‥‥そんなワケで、イギリスにしても、アメリカにしても、その他の多くの議会制民主主義国にしても、平均すると5~10年ごとに政権交代を繰り返してる。国民がA党を選び、A党が政権の座についても、次の総選挙までの政治が悪ければ、国民は今度はB党に投票する。そして、B党が国民から政権を任される。これが、イギリスやアメリカを始めとした世界中の議会制民主主義国の政治であり選挙なのだ。だから、A党にしてもB党にしても、国民のために一生懸命に政治をやる。政権をとったほうの政党は、次の選挙でも国民から選んでもらえるように必死にがんばるし、政権を失ったほうの政党も、次こそ返り咲こうと選挙までの期間を必死にがんばる。これこそが、健全な政治の姿、健全な国家の姿なのだ。

ニポンの自民党みたいに、長期政権の上にアグラをかき、国民そっちのけで官僚や天下りと税金を山分けなんかしてたら、ソッコーで次の選挙で落とされちゃう。それが、ホントの議会制民主主義国の姿だ。だけど、自民党の広報機関であるマスコミの洗脳報道を鵜呑みにして、自分で考えることを放棄しちゃったニポン人の多くは、どんなに自民党が好き放題のことをやり続けて来ても、「怒る」ってことを忘れさせられて来た。それが、この国の投票率の低さだ。有権者の約半分が、「どうせ政治なんて誰がやってもおんなじだし」とか、「どうせ俺の一票くらいじゃ何も変わらないし」って思い込むように、この国の国民は洗脳されて来たのだ。

これは、支持率が30%しかない自民党が、政権与党の座を死守するために、マスコミを使って国民の政治離れを加速させて来たことが原因だ。特に最近は、多くの人たちが自民党の術中にハマって、「個人主義」の餌食になっちゃってる。家族と一緒に食事をしたり、家族と一緒にテレビを観たり、こうした「当たり前」だったハズの生活が、ここ20年で大きく変わって来た。家族と一緒に暮らしてても、1人1人が別々に食事をして、それぞれの部屋のテレビで別々の番組を観る。これが、自民党が水面下で推し進めて来た「個人主義の拡大」であり、コイズミ改革の主軸だった「規制緩和」との相乗効果で、ニポン中に「自分さえ良けりゃいい」って考える人たちを増殖させたのだ。

こうした人たちは、当然、政治にも興味はないし選挙にも行かない。そして、選挙に行かない有権者が増えれば、それこそ自民党の思うツボだ。支持率が30%しかない自民党でも、投票率が50%しかなければ、実質的には支持率60%ってことになり、過半数以上を確保できるから、楽勝で政権の座に居座り続けられるのだ。そのため、自民党が何よりも恐れてたことは、政治や選挙に興味のない残りの50%の人たちが、政治に目覚めちゃうことだった。だから、自民党は、「規制緩和」による競争社会を作り、他人を蹴落としても「自分さえ良けりゃいい」って考える国民を増殖させつつ、フロッピー麻生が先頭に立って全国の市町村合併を強行して、全国の投票所の数を何千も減らし、お年寄りは1人じゃ投票に行けないようにしたのだ。

‥‥そんなワケで、最近ますます女っぷりに磨きが掛かって来たセクシーティーチャー、「カナダ de 日本語」のミニーちゃんも28日のエントリーで取り上げてるけど、なりふりかまってらんない自民党は、とうとうスマップまで利用して、オカカエの「産経新聞」の一面に、トンデモ記事を出したそうだ。「幸せな国のつくり方」とかってタイトルで、どこのゴーストライターが書いたのか知らないけど、まるでスマップのメンバーが語りかけてるかのように装って、「みんな、いいときはいいんです。でも、うまくいかなくなると、誰かのせいにしたくなる。」だの、「だから、景気のいいときの首相はいまだに人気があって、悪いときの首相は人気がイマイチ、なのかもしれません。」だの、「みんな、日本をよくしたい!って頑張っているんだろうと思います。なかなかうまくいかないことも、裏目に出てしまうこともあるでしょう。自分たちで選んだ人なのですから、ちょっと大目に見て、応援することも必要なのかな、とも思うんです。」だのって呆れ返ることが書いてあるそうだ。

兵庫のおじさんじゃなくても「ア~ホ~か~?」って言いたくなっちゃうほどの幼稚な作文だけど、こんなこと言ってるから、世界中の先進国から「ニポンの政治は時代遅れだ」って言われちゃうんだよね。2008年9月28日の日記、「政権交代による政治の浄化」の中に詳しく書いてるけど、わざわざ過去ログを読むのもアレだし‥‥って人のために、カンジンの部分を以下、再掲するので、前に読んだ人も、もう一度、読んでみて欲しい。


(前略)
去年(注・2007年)、11年ぶりに政権交代が実現したオーストラリアは、ものすごい好景気だった。2004年、2005年、2006年と、当時のジョン・ハワード首相ひきいる自由党と国民党の保守連合政権の政策によって、株価は毎年20%ずつ急上昇し続けてた。1996年までの労働党政権下では10%もあった失業率が、保守連合が政権をとってからは急激に改善されて、わずか4%にまで減少した。労働条件もニポンより遥かに良くなり、国が定める2006年度の最低賃金は、時給1300円と、ニポンの2倍近い。株価が毎年20%ずつ上昇してる好景気で、失業率も半分以下に改善されたんだから、もしもこれがニポンだったら、国民の8割以上がこの政権を支持するだろう。

だけど、こんな好景気にも関わらず、オーストラリアの有権者たちは、ハワード首相ひきいる保守連合政権に「NO!」を突きつけたのだ。それは、オーストラリアの人たちが、現在の好景気よりも、労働党のケビン・ラッド党首が掲げた「イラク駐留オーストラリア軍の早期完全撤退」と「地球温暖化に対する京都議定書の批准」のほうを選択したからだ。もちろん、これだけじゃなくて、経済発展を重視したハワード首相が、コイズミ並みの知能でヤタラと公営事業の民営化を推進したことによって、国民の間に所得格差が広がったことなども原因だ。だけど、今回の政権交代の主軸になったのは、オーストラリアの有権者の多くが、目先の景気よりも、イラク侵攻や地球の温暖化について訴え続けたラッド党首の考え方こそを「未来のためだ」って判断したからだろう。

今年の春までオーストラリアに住んでたお友達に聞いたら、オーストラリアの人たちって、学生からお年寄りまで多くの人たちが、政治にすごく興味を持ってて、「自分の1票がこの国を動かしてる」って意識がとても強いそうだ。だから、たとえ、今が好景気であっても、常に未来のことを考えてて、「このままじゃいけない」って思えば、すぐに支持政党を変えるそうだ。だから、そうした国民性もあって、現在の好景気よりも、未来の子供たちのために、「地球温暖化に対しては京都議定書の規定を早期に実現する」って言ってるラッド氏のほうを支持したんだと思う。
(後略)


‥‥そんなワケで、コレを読めば分かるように、これほどの好景気だったのにも関わらず、オーストラリアの有権者たちは、当時の政権与党に「NO!」を突きつけたのだ。自民党によるスマップの作文には、「だから、景気のいいときの首相はいまだに人気があって、悪いときの首相は人気がイマイチ、なのかもしれません。」だの、「みんな、日本をよくしたい!って頑張っているんだろうと思います。なかなかうまくいかないことも、裏目に出てしまうこともあるでしょう。自分たちで選んだ人なのですから、ちょっと大目に見て、応援することも必要なのかな、とも思うんです。」だのって、ぬるま湯みたいなことが書いてあるけど、政権与党がアイドル歌手を利用してこんなことを国民に懇願するなんて、完全に政治の世界基準から置いてけぼりを食らってる状態だ。

政権与党ががんばって、毎年20%ずつ株価が上昇し、最低時給1300円を実現し、失業率も半分以下に改善したのに、それでも「戦争反対」と「地球環境」を訴えた野党を支持したオーストラリアの人たち。つまり、オーストラリアの人たちにとっては、政権与党が景気を良くするのなんて、魚屋さんが魚を売るのとおんなじ「職業上の当たり前のこと」であって、その上で、さらに世界平和のことや地球環境のことを考えるのが政権与党の仕事だって思ってるワケだ。ぬるま湯みたいな自民党とは雲泥の差だろう。

そして、このオーストラリアの政権交代では、これだけの功績を残したハワード首相までもが、自分の議席を失っちゃったのだ。フロッピー麻生が議席を失うのなら誰もが理解できるだろうけど、これほどの仕事をした首相でさえも、アメリカのイラク戦争に加担したってだけの理由で、国民から議席を剥奪されたのだ。あたしは、これこそが、ホントの議会制民主主義だと思うし、国民主権の国家の姿だと思った。そして、この政権交代の時に、多くのオーストラリアの人たちは、「保守連合政権が11年も続くとは思ってなかった」って言ったそうだ。わずか11年のことを「11年も」って表現してるのを見れば分かるように、政治的先進国にとっては、1つの政党や連合が10年以上も政権を握ってることは「長い」って感覚なのだ。1つの政党が長く政権の座に居座ってれば、そこには必ず企業や官僚との癒着が生まれるし、二世、三世なんていう世襲議員がはびこってくれば、その癒着はさらに深いものになる。その極みが、今の麻生政権てワケだ。

あたしは、「政権交代による政治の浄化」の中でタップリと書いたけど、「政権交代」の最大のメリットは、「政治の浄化」に他ならない。政権与党の政治家と企業や官僚との癒着を断ち切り、税金がちゃんと国民のために使われるっていう「当たり前のシステム」を作るために必要なのが、この「政治の浄化」なのだ。そして、逆に言えば、「政権交代」が行なわれてない国は、「政治の腐敗」が進んでくだけだ。これまでの自公政権がやって来たことを見れば、それは誰の目にも明らかだろう。

‥‥そんなワケで、世界中の議会制民主主義国では、ハンザツに‥‥じゃなくて、ヒンパンに「政権交代」が行なわれてて、1つの政党が企業や官僚と癒着しないように国民が監視してるってワケだ。ここ3年だけを見ても、3年前にはスウェーデンで政権交代が行なわれたし、2年前には、さっき紹介したオーストラリアに続いて、お隣りの韓国でも10年ぶりの政権交代が行なわれた。そして、去年は、保守派の共和党を破って民主党のオバマ大統領が誕生し、アメリカでも政権交代が行なわれたけど、この他にも、4月には南米のパラグアイが、9月にはスロベニアが政権交代を果たしてる。そして、あたしが何よりもビックル一気飲みだったのが、この去年のパラグアイの政権交代だった。

パラグアイは、右派のコロラド党が61年間にも及ぶ長期政権を続けてて、世界最長の独裁政権として不名誉なギネス記録を更新中だった。そして、このニポンが、パラグアイに次ぐ世界2位だった。だけど、国民の80%が最低賃金にも満たない収入で貧困生活を余儀なくされてるパラグアイで、それでも国民から搾取し続けて来たコロラド党に対して、国民たちの堪忍袋の緒が切れたのだ。長年、貧困層を助けるための活動を続けて来たカトリック教会の司教、フェルナンド・ルゴさんは、「これ以上、コロラド党の独裁が続いたら多くの人たちが死んでしまう。右派による独裁を終わらせ、必ず政権交代をしなければならない」っていう気持ちから立ち上がり、弱小だった左派政党や社会団体と力を合わせて「愛国同盟」っていう協議体を組織した。そして、自分が大統領選に立候補したのだ。

もちろん、ニポンと違って危険な南米の国だから、立候補したトタンに、ルゴさんは右派与党の刺客から命を狙われるようになった。ニポンの刺客は単なる対立候補のことだけど、パラグアイの刺客はピストルやナイフを手にして命を狙って来る本物の刺客なのだ。それでも、多くの貧困層から支持されたルゴさんは、ニポンの自民党並みの卑劣な妨害工作にも負けずに、41%もの高得票を得て、大統領に選ばれた。そして、61年間も続いて来たコロラド党による右派政権に終止符が打たれ、歴史的な政権交代が実現し、国民のための左派政権が誕生したのだ。

‥‥そんなワケで、この去年のパラグアイの政権交代によって、世界最長の独裁政権ていう不名誉なギネス記録には、それまで2位だったニポンが繰り上がって1位になった。そして、これで、ホントに、世界中の議会制民主主義国の中で、未だかつて一度も政権交代を実現してない化石みたいな政治的後進国は、名実ともに、このニポンだけってことになったのだ。先進国のすべてのメディアが、今、ニポンの政権交代を歓迎するニュースを報じまくってるのは、「これでようやくニポンも先進国の仲間入りをする」っていう見方をしてるからだ。だから、これで、政権交代が成し遂げられなかったら、世界中から笑い者になるのは、あたしたちニポンの有権者ってことになる。そして、政権交代が成し遂げられたとしても、それはただ単に、やっとニポンも世界基準のスタートラインに立てたってだけで、大事なのはその先のことだ。たとえ民主党が景気を良くしてくれたとしても、アメリカの戦争に加担したり、平和憲法を踏みにじるようなことをしたり、非核三原則を法令化しなかったり、環境問題にちゃんと取り組まなかったら、オーストラリアの有権者たちのように、あたしたちは4年後の選挙で、今度は民主党に「NO!」を突きつけなきゃなんない。だからこそ、あたしは、そうならないためのブレーキ役として、「比例区は社民党」って決めてる今日この頃なのだ。


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