祝島というニポンの宝
リトル古い話でキョーシュクなんだけど、2005年1月16日の日記、「島国に生まれて」に詳しく書いたように、ニポンは島国で、北海道、本州、四国、九州っていうデッカイ4つの島だけじゃなくて、ぜんぶで6852もの島がある。だけど、このうち、無人島が6000以上もあって、年間を通じて人が住んでる島は、わずか260しかない。そして、漁業や農業のために、1年のうち何ヶ月かだけ人が渡る「季節有人島」てのが200くらいあるんだけど、それを足しても、人が住んでる島は500以下だ。つまり、7000近くもの島がありながら、人が住んでる島はそのうちのわずか7%ほどで、とっても貴重なのだ。
で、わずか260しかない有人島のうちの1つ、「祝島(いわいしま)」って島が、瀬戸内海の西のはずれにある。都道府県で言うと山口県で、一周が12キロほどのハート型の可愛らしい島だ。500人ほどの人たちが住んでるんだけど、若い人たちは都会へと出てっちゃって、65才以上のお年寄りが7割を占めてる。でも、みんな元気で、漁業や農業で生活してる‥‥って聞くと、豊かな自然に囲まれた島で、オジィやオバァたちが穏やかに暮らしてると思うだろうけど、現実はそうじゃない。後世に残すべき、この国のかけがえのない自然をカタッパシから破壊し続けて来た自民党の魔の手が、この祝島にも及んでるのだ。官僚と土建屋と暴力団ていう「人の命よりも金儲けを優先する人間のクズども」とベッタリ癒着した自民党が推し進めて来た原発建設が、この祝島のオジィやオバァたちを苦しめてるのだ。
祝島は、周防灘と伊予灘の境の島で、この立地によって、瀬戸内海屈指の漁場とされてる。四季を通じて、アジ、タイ、タコ、サヨリ、カレイ、ヒラメ、ハマチ、甲イカ、メバル、タチウオを始めとして、素晴らしい海の幸が水揚げされてる上に、世界最小のクジラ、天然記念物の「スナメリ」が住む貴重な海だ。それなのに、この国の政府は、今とはまったく状況が違った30年近くも前に立案された原発計画をゴリ押しして、この、かけがえのない漁場を持つ祝島の対岸、わずか4キロ先の海を埋め立てて、そこに危険極まりない原発を建設しようとしてるのだ。当然、祝島のオジィやオバァたちは、全員が大反対した。先祖代々受け継いで来た大切な海に、放射性物質を垂れ流す原発なんて造られたら、もう、漁ができなくなっちゃうと思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、祝島の住民は、9割以上が原発に反対してるんだけど、国民のことよりも金儲けが大事なアベシンゾー率いる原発利権ヤクザどもは、そんなことお構いなしに、住民の声を無視して、この計画を強引に推し進めて来た。そして、今も、座り込みを続けるオジィやオバァたちを暴力で脅しながら、ムリヤリに建設に着手しようとしてる。昨日、「祝島島民の会」から、こんなメールが届いたので、ここで紹介する。
【祝島島民の会からの呼びかけとお願い】
瀬戸内に残された豊かな海が、今、原発のために埋め立てられようとしています。1982年に山口県の上関町に原発建設計画が持ち上がってから、地元住民は賛否の対立に苦しんできました。28年たった今でも未だに続いています。そして原発予定地の対岸わずか3.5kmに浮かぶ祝島では、住民の9割が計画に反対し続けてきました。原発建設予定地周辺は豊かな漁場であると同時に、小型の鯨のスナメリが群れをなして泳ぎ、天然記念物のカンムリウミスズメの生息が確認されるなど、希少な動植物の宝庫でもあります。
しかし、昨年、山口県は、原子炉設置許可申請すら出されていない状況にもかかわらず海の埋め立ての許可を出してしまいました。そして今、中国電力は原発建設予定地の目前に住む祝島の島民に対する説明も対話もないまま、海の埋め立てと原発の建設を強行しようとしています。
私たちは自分たち自身の命や生活を守るために、生活の糧である美しい海や豊かな自然を守るために、中国電力の埋め立ての強行に抗議しています。祝島島民の会では9月10日から12日までの3日間、埋め立て工事の先鞭となる大型浮標(ブイ)の搬出を阻止するため、平生町の田名埠頭で阻止行動を続けてきました。この3日間で、延べ80隻以上の漁船、陸上からも500人以上の人たちが阻止行動に参加しました。そしてまた本日(9月14日)も、海上では漁船約30隻が、陸上では県内外から応援に駆けつけてくれた人たちも含め100人以上が阻止行動を行っています。
今回の埋め立て工事の強行に対して、祝島島民は、地元の反対の声を無視して埋め立ての許可を出した山口県と、その許可をたてに反対意見を「一部の声」として力で押しつぶそうとし、祝島をはじめとした地元住民の27年以上に及ぶ思いを理解しようとする態度すら見せない中国電力に対しての怒りや憤りを強く感じています。山口県は埋め立ての許可を出す際に、中国電力に対して地元住民や県民の理解を得る努力を尽くすことを要請してますが、それが果たされていないことは現地の状況をみれば明らかです。全国の皆さん、どうか山口県や中国電力に対して「地元住民の理解を得ていない埋め立て工事は中止するべきだ」という抗議の声を届けてください。疑問があれば問い合わせをして彼らの姿勢を質してください。そしてこの呼びかけを多くの方々につないでください。どうかご協力をお願いします。
「祝島島民の会」では、ホームページ(http://shimabito.net/)やブログ(http://blog.shimabito.net/)も開設していますが、多くの島民が阻止行動に参加しているため、リアルタイムで現地の様子をお伝えできません。現地の状況は、RadioActive(http://radio-active.cocolog-nifty.com/blog/)に特に詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。
2009/9/14 祝島島民の会
‥‥そんなワケで、群馬県の八ッ場ダムしかり、高尾山のトンネル工事しかり、ニポン全国には、何十年も前に立てられた守銭奴どもの建設計画に苦しめられてる人たちが数え切れないほどいる。計画が立てられた当初とは、世の中の状況がまったく違うのに、それでも、莫大な利権に群がる悪徳政治家や悪徳企業などの守銭奴どもによって、すでに必要のなくなった公共工事が強行され、かけがえのない自然が破壊されようとしてる。
美しかった瀬戸内海も、今では広範囲に渡って環境破壊が進み、かつては瀬戸内海全域に分布してた「スナメリ」も、今は祝島の周りにしか生息してない。それなのに、30年も前の計画を推し進めて、かけがえのない海を埋め立てて原発を造ろうだなんて、完全に札束で目がくらんだ大バカどもだ。そして、世界中の先進国が脱原発へと進んでる中で、こうしたニポンの時代遅れの計画は、政権交代が実現した今だからこそ、駆け込み乗車的に強行されようとしてるのだ。
あたしは、まだ赤ちゃんだったから分からないけど、今から35年前に、NHKの「鳩子の海」っていう連続ドラマの舞台になったのが、この祝島の海だそうだ。もしも、この海に原発が造られたら、祝島のオジィやオバァたちは、毎日、放射性廃棄物を海へ垂れ流す原発を眺めながら暮らさなきゃならないワケだし、その海で獲れたお魚や貝や海藻を食べて暮らさなきゃならないワケだ。こんなこと、絶対に許されない。あたしたち大人が、次の世代の子供たちに手渡すべきものは、奇形魚の泳ぐ放射能に汚染された海じゃなくて、豊かで美しい「鳩子の海」なのだ。
あたしは、2007年4月6日の日記、「大人のみなさんへ」で、今から17年前の1992年6月11日、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連の「地球サミット」で、世界中の大人たちへ訴えた、カナダの12才の少女、セヴァン・スズキのスピーチの全文を紹介した。いつ読んでも、涙が止まらなくなるスピーチだけど、その一部をここに再掲する。
「大人のみなさんへ」 セヴァン・スズキ
(前略)
今日、わたしが話すことは、すべて嘘のない本心の言葉です。なぜなら、わたしたちが環境問題に取り組んでいるのは、わたしたち自身の未来のためだからです。わたしたち子供が、自分たちの未来を失うということは、あなたがた大人が、選挙で負けたり、株で損をしたりすることとは次元が違う問題なのです。わたしがこれから話すことは、あなたがた大人が死んだあとも、この地球で生きて行かなくてはならないわたしたち子供のためなのです。世界中の飢えに苦しむ子供たちの泣き叫ぶ声は、あなたがた大人の耳には届きません。どこにも行くところがなく、次々と絶滅して行く数え切れないほどの生き物たちのことも同じです。だから、世界中の子供たちや生き物たちに代わって、わたしが話すのです。
わたしは、外に出てお日様にあたるのが恐いのです。それは、オゾン層に穴が開いているからです。わたしは、息をするのも恐いのです。それは、空気中にどれほど危険な化学物質が混じっているか分からないからです。わたしは、お父さんと一緒に、よくバンクーバーへ魚釣りに行っていました。でも、数年前に、全身がガンに冒されている魚を見てからは、魚釣りも恐くてできなくなってしまいました。今、毎日のように、多くの動物や植物が絶滅しています。そして、一度絶滅してしまった生き物は、二度と戻っては来ないのです。
(中略)
あなたがた大人は、オゾン層に開いた穴をどうやってふさぐのか知らないでしょう。死んだ川に、どうやってサケを呼び戻すのか知らないでしょう。絶滅した動物をどうやって生きかえらせるのか知らないでしょう。そして、砂漠になってしまった場所に、どうやって緑の森をよみがえらせるのか知らないでしょう。だから、お願いです。大人のみなさん、どうやって直すのか分からないものをこれ以上壊し続けるのはやめてください。
(中略)
わたしは、まだ子供ですが、それでも知っています。世界中の国の大人たちが戦争に使っているお金をぜんぶ平和のために使えば、環境や飢餓の問題のために使えば、この地球が、どんなに素晴らしい星になるかということを。小学校で、いや、幼稚園でさえ、あなたがた大人は、わたしたち子供に、「世の中ではこうしなさい」といろいろなことを教えてくれます。たとえば、「人と争ったりケンカをしてはいけません」「ものごとは話し合いで解決しなさい」「他人の気持ちを尊重しなさい」「自分が散らかしたら自分でかたずけなさい」「生き物をいじめたり傷つけてはいけません」「何でもみんなで分かち合いなさい」、そして、「欲ばってはいけません」と。それなら、なぜ、あなたがた大人は、わたしたち子供に「するな」と言うことを 自分たちはしているのですか?
(後略)
‥‥そんなワケで、あたしは、群馬県の八ッ場ダムの利権に群がる大人たちにも、高尾山のトンネル工事の利権に群がる大人たちにも、そして、祝島の原発の利権に群がる大人たちにも、この12才の少女の言葉を聞かせてやりたいと思ってる。金儲けのために平然と自然を破壊する大人たちって、自分自身のやってることが恥ずかしくないんだろうか? こうした自然破壊に関与してる大人たちが、もしも子供を持った親なら、自分の子供の顔をまっすぐに見られるだろうか? 何百年、何千年も前から、ずっと大切に受け継がれて来たかけがえのない海や山なのに、それを自分の代でメチャクチャに破壊して、美しい海や山の代わりに放射能に汚染されたコンクリートのカタマリを自分の子供や孫たちに残すだなんて、これほど愚かなことが他にあるだろうか?
祝島の歴史は古く、1300年前に編集された「万葉集」には、「伊波比島(いはひしま)」って表記で登場してる。中学校の歴史の授業の時に、居眠りしてた人も、早弁してた人も、「遣隋使(けんずいし)」とか「遣唐使(けんとうし)」とかの名前くらいは覚えてると思う。中国の「隋」に派遣した使節が「遣隋使」で、「隋」が滅びて「唐」になってから派遣した使節が「遣唐使」だ。そして、「遣隋使」や「遣唐使」よりも名前的にはマイナーだけど、「新羅(しらぎ)」が朝鮮半島を統一したあとに、ニポンから派遣した使節が「遣新羅使(けんしらぎし)」だ。
ニポンから朝鮮半島へ船で渡るんだから、今の山口県から出航するのがベターなワケで、そうすると、最後に寄港するのが祝島ってことになる。波の高い周防灘では、この祝島が、航行の安全を守る神霊の住む島として大切にされて来たのだ。そのため、朝鮮半島へ渡る「遣新羅使」たちも、この祝島を歌に詠み、自分を思いを残してる。「万葉集」の巻第十五には、「遣新羅使の歌」として、次の3首が選ばれてる。
筑紫道(つくしぢ)の可太(かだ)の大島しましくも見ねば恋しき妹を置きて来ぬ
家人(いへびと)は帰り早来(はやこ)と伊波比島(いはひしま)斎(いは)ひ待つらむ旅ゆくわれを
草枕(くさまくら)旅ゆく人を伊波比島 幾代(いくよ)経(ふ)るまで斎(いは)ひ来にけむ
1首目の「可太の大島」ってのは、山口県大島郡の周防大島(屋代島)のことで、「筑紫への航海で周防大島を過ぎる時に、都に置いて来た愛しい妻への思いを馳せてる」って意味の歌だ。2首目は、「家で待っている妻は、旅を行く私に、早く帰って来て欲しいと伊波比島の名前のように祝って待っているだろう」って意味の歌だ。3首目の「草枕」ってのは、草を束ねて作るアウトドア的な枕のことで、転じて「旅」を暗喩する言葉だ。この場合は、「旅」に掛かる枕詞として使われてる。「旅人を祝うという伊波比島よ。あなたはこれまでにどれほど多くの旅人を祝って来たのだろうか」って意味の歌だ。
1300年以上も前から、行き交う船の航海の安全を祈って来た歴史ある祝島だけど、現代においては、そうした文化や伝統だけじゃなくて、天然記念物の「スナメリ」や、生きた化石と呼ばれている「ナメクジウオ」など、絶滅の危機に瀕した生き物たちの最後の楽園として、後世へ伝えるべき貴重な宝としての意味も大きい。それなのに、この国の守銭奴どもは、こんなに貴重な海を埋め立てて、原発なんかを造ろうとしてる。それも、沖縄の辺野古でのアセス調査とおんなじに、「結論ありき」で作られたデタラメな調査結果を大義名分にして、時代錯誤の原発計画なんかを推し進めて来たのだ。
「原発は地球温暖化対策に適したクリーンエネルギーだ」なんて言うのは、原発利権に群がってる一部の守銭奴どもの大ウソで、大気中や海へと放射性廃棄物を垂れ流すことが「クリーン」であるハズがない。だからこそ、世界中のほとんどの先進国が、原発を「時代錯誤の悪しきシロモノ」として、脱原発の方向へと進んでるのだ。だけど、未だに原発利権が根強いニポンだけは、こんなに狭い国土の中に55基もの原発を林立させ、連日のようにアチコチの原発で事故が相次ぎ、毎日のように放射性廃棄物を垂れ流し続けてる上に、まだ新しい原発を造ろうとしてるのだ。それも、かけがえのない海を埋め立ててまで‥‥。
新しい政権与党の民主党は、原発に関して、マニフェストの中で「原子力利用については、安全を第一としつつ、エネルギーの安定供給の観点もふまえ、国民の理解と信頼を得ながら着実に取り組みます。」って言ってる。ようするに、「推進」の立場なワケで、ここは「原発反対」の姿勢を貫いて来たオムライス党とは大きく隔たりがある部分だ。ま、企業からの献金をガッポリと受け取って来た民主党と、1円たりとも企業献金を受け取らない清廉潔白なオムライス党とじゃ、「誰のために政治をやるのか」っていう出発点が違うんだから、「企業のための政治を目指す民主党」と「国民のための政治を目指すオムライス党」との意見が違うのは当然だ。だけど、民主党は、原発の「推進」を掲げつつも、自民党との違いを鮮明にするために、マニフェストにこんな文言を織り込んでる。
「国が国民に対して原子力政策に関する説明を徹底して行うとともに、関連施設の立地自治体および住民の十分な理解を得るため、国と自治体との間で十分な協議が行われる法的枠組みをつくります。」
‥‥そんなワケで、現場で原発の建設に反対して座り込みを続けてるのは、祝島の漁師さんたちと支援者たち200人ほどだけど、この原発に反対する署名は、山口県内だけでも10万人以上も集まってる。「祝島島民の会」では、この10万人を超える署名に、全国から寄せられた署名を合わせて、10月2日に経済産業省へ提出する予定だという。これほど反対の声があるってことは、民主党のマニフェストにある「住民の十分な理解」はまったく得られてないってワケだし、デタラメなアセス調査の結果を掲げて建設を強行してるってことは、民主党のマニフェストにある「国と自治体との間で十分な協議」が行なわれてないってワケだ。だから、「公約を守る」ってことや、「政治を官僚の手から国民の手に取り戻す」ってことを謳ってる新政権は、この「上関原発計画」を白紙に戻すことこそが、まずは公約実現の第一歩だと思う今日この頃なのだ。
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「祝島のオジィやオバァたちの命の叫び」
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