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2009.09.09

「スカート男子」のススメ

ニポンでは‥‥っていうか、ニポンの東京の原宿とかのごく一部の特殊な地域では、最近、男なのにスカートを履いて歩いてる「スカート男子」ってのを見かける。今日、お仕事で表参道ヒルズに行ったんだけど、表参道とウラハラとで2人も見かけた。男がスカートを履くっていうと、今までは、首からバグパイプを提げたスコットランドの人か、女装が趣味の人が、あとは大川興業の阿曽山大噴火さんくらいだったけど、最近は、バグパイプを吹かない上に、女装の趣味もない一般のニポン人の男性が、ファッションの一環としてスカートを履いてるのだ。

ま、ほとんどは黒系のロングスカートだし、トップスは普通の男性ファッションだから、女装とは完全に一線を画してるし、遠目に見るとコートを引きずって歩いてる「だらしないファッションの男」って感じで、それほどは目立たない。正直言って、女性モノのピチピチのレギンスを履いて歩いてる「レギンス男子」のキモさに比べたら、「スカート男子」のほうが遥かに不快感は感じないし、あたし的にはOKだ。前から「スカート男子」が歩いて来ても、単に「ふ~ん」って思うだけで、ちょっと変わったファッションをしてる人にいちいちツッコミを入れてたら、原宿や青山は歩けない。

だいだいからして、ファッションの多様性を楽しむ上で考えれば、女性はスカートもパンツもOKなのに、男性はパンツしかダメってこと自体が、男性にとっては大きなハンデだと思う。だから、そうした意味で言えば、男がスカートを履いたって別に構わないと思う。それに、周りの人たちに不快感を与えるかどうかってことだけで言えば、すでに絶滅危惧種に指定されてる渋谷センター街の「ヤマンバ」や「汚ギャル」にしても、一部のアホ雑誌の影響で増殖しつつある「キャバ嬢ファッション」にしても、少なくともあたしには不快感のカタマリでしかない。

遠く離れたとこにいるぶんには構わないんだけど、電車の中やお店の中で近くにいたりすると、「ヤマンバ」や「汚ギャル」は生臭いし、「キャバ嬢ファッション」は安物の香水臭いからだ。たとえ高級な香水だとしても、多量にふりかけてるから、安っぽくて下品な匂いになっちゃう。だから、匂いに敏感なあたしとしては、誰がどんなファッションをするのも構わないんだけど、匂いが臭いのたけはカンベンして欲しいと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、別に潔癖症ってワケじゃないけど、人として最低限の清潔さだけは保っててくれないと、ファッション以前の問題として、お近づきにはなりたくない。逆に言えば、ちゃんとお風呂に入って、ちゃんと髪も洗って、ちゃんとお洗濯したものを着てるんなら、別に男がスカートを履いてようが女装してようがぜんぜん構わないってことだ。だって、ファッションは個人個人の自由だし、いくら周りの人たちからクスクスと笑われても、それでも本人がいいと思って着てるんなら、他人がとやかく言うことじゃないと思うからだ。

だけど、あたしがこんなことを言えるのも、このニポンに住んでるからなのだ。昨日の9月7日、アフリカ大陸にあるイスラム国家のスーダンでは、「女性なのにズボンを履いた」って理由で、1人の女性が逮捕されて収監された。そう、イスラム法(シャリア)では、女性がズボンを履くと「わいせつ罪」で逮捕されちゃうのだ。何でズボンを履くと「わいせつ罪」になっちゃうのかっていうと、イスラム法では、女性が外を歩く時に男性を誘惑するようなカッコをすることが厳しく制限されてる。イスラム女性が、みんな「へジャブ」っていう大きなスカーフを頭からかぶり、髪も顔も隠して目だけ覗かせてるのも、「女性は外を歩く時には髪や顔を男性に見せちゃいけない」っていう法律があるからだ。

で、ニポン的には、ズボンよりもスカートのほうが女性度をアピールできるって思うだろうし、初めてのデートの時には99%の女性がスカートやワンピを着てくと思うけど、イスラム国家の場合には、「女性は体のラインが分かる服装をしちゃいけない」ってことになってるのだ。イスラム的には、女性のヒップやフトモモのラインがハッキリ分かるズボンは、極めて男性を惹きつけるファッションてワケで、「わいせつ罪」で逮捕されちゃうのだ。実際、イスラムの女性は、大きな布で全身を覆う「チャドル」や「ブルカ」などの服装をしてるから、髪や顔だけじゃなくて、体のラインもぜんぜん分からない。

つまり、イスラム的には、「女性はスカートがOKでズボンがNG」ってことじゃなくて、どんなファッションであれ、女性の体のラインが分かるような服装で外を歩いたら、すべてNGってことなのだ。だから、イスラムの女性が、今、渋谷や原宿にいる女の子たちみたいなファッションで歩いたら、全員その場で逮捕されちゃうってことになる。で、逮捕されたらどうなるのかって言うと、そりゃあもちろん、イスラム名物の「ムチ打ちの刑」だ。ついこないだも、マレーシアで、イスラム教徒のカルティカ・サリ・デウィ・シュカーノさんていう32才の女性が、「ビールを飲んだ」って理由で逮捕されて、罰金5000リンギ(約13万円)とムチ打ち6回の判決を受けたばっかりだ。

ちなみに、カルティカさんは、8月の下旬にムチ打ちの刑を受けるために身柄を拘束されて、女子刑務所へ移送されたんだけど、ナンダカンダがあって、一時的に開放されたそうだ。マレーシアは、完全なイスラム国家じゃなくて、人口の6割程度がイスラム教徒の国なので、イスラム教徒じゃない4割の国民は、お酒を飲んでも罰せられない。そうした背景もあるため、「ビールを飲んだくらいで女性をムチ打ちの刑にするなんて酷過ぎる」って世論もあった上に、ちょうどこの時、イスラムの一大イベントの「ラマダン(断食月)」だったため、「ラマダン中の刑の執行は不適切だ」ってことになったらしい。

だから、今後、日を改めて刑が執行されるのか、はたまた、このままナシクズシ的にチャラになっちゃうのかは「神のみぞ知る」ってワケだけど、ビールを飲んだくらいでムチ打ちなんか食らうんなら、全世界が注目してたG7の会見で泥酔して醜態を晒した中川昭一なんか、もしもイスラム教徒だったら、その場で射殺されてたかもしれない。そのほうが、ニポンの国益のためにも良かったと思うけど(笑)

‥‥そんなワケで、話はクルリンパと戻って、ズボンを履いてただけで逮捕されちゃったスーダンの女性だけど、この人は、ルブナ・アフマド・フセインさんていう地元の新聞にもコラムを書いてるジャーナリストで、国連のスーダン派遣団に所属してる。7月3日、ルブナさんが、スーダンの首都のハルツームのお店で食事をしてたら、突然、そこに警官隊が突入して来て、ルブナさんを含む13人の女性を「ズボンを履いてる」って理由で逮捕したのだ。もちろん、この13人は、それぞれ別々のお客さんで、わざわざみんなで「ズボンを履いて食事に行こう!」だなんて危険なチャレンジをしてたワケじゃない。たまたま、その店に居合わせた女性たちだったのだ。

つまり、この状況から推測すれば、イスラム教徒であっても、多くの女性は、ふだんは動きやすいズボンを履いて生活してるってワケで、いくらイスラム法に「女性はズボンを履いちゃダメ」って書いてあるからって、こんなことで実際に逮捕するのはマレなことなのだ。で、この時に逮捕された13人の女性のうち、10人は自分の罪を認めて「ムチ打ち10回」の刑を受けたんだけど、ルブナさんを含めた3人の女性は、勇敢にも、この時代遅れの悪法に対して、裁判で争う道を選んだのだ。

もともと、何でイスラム圏では女性の外出時の服装に厳しい決まりがあるのかっていうと、預言者ムハンマドが、「男性は意思が弱く自分の性欲を抑えることができないから、女性は近親者以外には自分の肌を見せてはいけない」とかって言ったことがルーツになってる。つまり、この教えに基づけば、女性が外出時に隠さなきゃなんないのは、「体のライン」じゃなくて「肌」ってことになる。それなら、ズボンだろうが全身タイツだろうが着ぐるみだろうが、肌さえ見せなきゃ何を着たって自由ってことになる。

実際、ハルツームのお店で食事中に、突然、逮捕されちゃった13人の女性たちは、みんな熱心なイスラム教徒だったから、ちゃんと頭には「へジャブ」をかぶって髪や顔を隠してたのだ。そして、預言者ムハンマドの教えに従って、上半身も下半身もどこも肌が見えないように洋服を着てたのだ。それなのに、「体のラインが分かるズボンを履いちゃダメ」だなんて理由で逮捕されて、罰金とムチ打ちの刑だなんて、納得できないのも当然だろう。

だけど、警察と裁判所の命令に素直に従った10人の女性たちが「ムチ打ち10回」で済んだのに対して、権力に逆らって裁判で戦うことを宣言したルブナさんたち3人の女性は、大幅に刑をアップさせられちゃって、裁判に負けて有罪になったら、最高で「ムチ打ち40回」の刑を受ける可能性もあるという。ニポンの裁判の判例で考えれば、同時に同罪で逮捕された10人の女性が、すでに罪を認めて刑を執行されてるんだから、残りの3人を無罪にすることはアリエナイザーだ。そんなことをしたら、すでに刑を執行しちゃった10人に対しても、損害賠償とかが生じちゃうから、検察と裁判所は意地でも有罪にするだろう。

だけど、21世紀になっても、こんなトンチンカンな法律がある上に、その刑も「ムチ打ち」だの「石打ち」だのって、まるで紀元前みたいな国のことだから、アバウトな部分がマウンテンだ。時代遅れの悪法と戦う決意をしたルブナさんたちに対して、国の内外から多くの女性たちが支持を表明して、ジョジョに奇妙に国際的に注目されて来たら、スーダンの政府は困惑し始めちゃった。古くからのイスラム法を重んじて女性に厳しい刑を執行するか、それともここで思い切った判断をして、国際社会へアピールするか、それが問題だ‥‥って流れになっちゃったのだ。

‥‥そんなワケで、あたしは、イスラム法ってトンデモな法律だと思ってる。イスラム圏にはイスラム圏の歴史があり、その歴史を本や映像からしか知らないヨソモノのあたしが言うのは失礼だとは思うけど、それでもあえて言わせてもらうと、あまりにも女性に対する法律が厳し過ぎるからだ。その最たる例が、5年前の2004年8月15日に、イスラム法によって裁かれて、わずか16才で死刑になったイランの少女、アテファ・サハーラちゃんの問題だ。

アテファちゃんは、13才の時に、友人たちに誘われてパーティーに出席した。そして、そこで、ボーイフレンドの1人と車の中で話をしてたら、そこにイスラムの「道徳警察」がやって来て、「車の中に男性と一緒にいた」って理由で逮捕された。そして、「ムチ打ち100回」の刑を受けた上に、刑務所に入れられた。ハッキリと書いとくけど、アテファちゃんは、カーセックスをしてたワケでもなく、ボーイフレンドに体を触らせたりキスをしたりしてたワケでもなく、ただ単に「話しをしてた」だけなのだ。

そして、刑務所から出たアテファちゃんは、彼女のことを溺愛してるお父さんと仲良く暮らしてたんだけど、ある日のこと、近所に住んでるアリ・ダラビっていう51才のオッサンにレイプされたのだ。まだ少女だったアテファちゃんは、レイプされたことを家族に言うことができず、1人でずっと胸の奥にしまってた。そしたら、このアリ・ダラビっていうオッサンは、そこにつけ込んで、アテファちゃんのことを二度、三度とレイプし続けたのだ。そして、それは、イスラムの道徳警察の知るところとなった。

51才の妻帯者のオッサンが、16才の少女を何度もレイプしたんだから、普通に考えたら、逮捕されるのはオッサンのほうだろう。だけど、完全に「男性優位」なイスラムの法廷では、裁判官は、アリ・ダラビの嘘の証言ばかりを採用して、アテファちゃんの証言には耳も貸さなかった。何よりも、アテファちゃんには前科があったから、最初から「アテファちゃんのほうがアリ・ダラビを誘惑したんじゃないのか」って流れの偏向的な裁判だったのだ。これこそが、「女性が肌を出して男性を誘惑するのは罪」「レイプされるのは女性のほうに問題がある」っていうイスラムならではの感覚で、自民党の低能どもにも共通してる感覚だ。

自民党の恥知らず、太田セイウチは、今から7年前の総務庁長官だった時に、早稲田大学の「スーパーフリー」の集団レイプ事件に対して、「レイプする人はまだ元気があっていい」って言い放ったことでオナジミだ。そして、当時、内閣官房長官だったフクダちゃんは、この太田セイウチの暴言について意見を求められたら、鼻の下をいつもの2倍くらい伸ばして、「だけど女性にも、いかにも『レイプをしてくれ』っていうのがいるじゃない。そこらへんを歩けば、挑発的な格好をしているのがいっぱいいるでしょ?世の中には男が半分いるってことを知らないんじゃないかなあ?ボクだって誘惑されちゃうよ。そこらへん歩いてごらんなさいよ。そういう格好している方が悪いんだよ」ってノタマッたのだ。こんな感覚の大バカが、その後、総理大臣になり、たった1年で政権を丸投げし、記者に向かって「あなたとは違うんです!」って逆ギレしたんだから、サスガ、自民党にはワンダホーな人材がマウンテンだ。

‥‥そんなワケで、アテファちゃんの裁判だけど、自分の証言をまったく聞いてくれない裁判の進行に、アテファちゃんは焦り始めてた。アリ・ダラビの証言、「彼女のほうから私を誘惑して来た」「彼女は最初から服を着ていなかった」などは採用されるのに、アテファちゃんの証言、「口を押さえられて身動き取れなくされた」「無理やりに服を脱がされてレイプされた」などはすべて却下され続けた。それで、取り乱したアテファちゃんは、裁判長に向かって、思わず髪と顔を覆っていた「へジャブ」を取って大声を上げてしまった。自分の訴えを聞いてもらうために、思わずやってしまった行動だった。だけど、これが、決定打になってしまったのだ。ここまで何度も書いて来たように、イスラム法では、近親者以外に髪や顔を見せることはご法度な上に、ここは神聖な法廷だったのだ。そして、これで、アテファちゃんの死刑が確定してしまった。

イスラム法では、基本的に、「殺人」と「麻薬の密輸入」と「不倫(婚外交渉)」の3つが死刑の対象になってる。だけど、あまりにも若い人を死刑にするのは、国際的にも人道的に問題があるってことで、イラン政府は、一応は「18才以下は死刑にしない」っていう条約に署名をしてる。だけど、ここが、政府よりも宗教の力が強いイスラム国家の問題で、いくら政府が外交的に「18才以下は死刑にしない」って取り決めをしてたって、イスラム法の関係者たちは、そんなことは関係ないのだ。

結局、わずか16才のアテファちゃんは、レイプの被害者なのにも関わらず、2004年8月15日に、広場のクレーン車から提げられたロープに首を吊るされ、公開処刑されてしまったのだ。だけど、アテファちゃんは、16才で独身なんだから、たとえ誰かとセックスをしたって「不倫」にはならない。そこで、イランの裁判所は、アテファちゃんの罪状を「不倫」にするためと、「18才以下は死刑にしない」って条約をクリアするために、アテファちゃんのことを「22才の既婚女性」として死刑を執行したのだ。ようするに、国家ぐるみの殺人をしたってことだ。一方、再三に渡ってアテファちゃんをレイプし続けた上に、法廷で大ウソをつき、彼女を死刑にした張本人のアリ・ダラビは、「ムチ打ち95回」の刑だけで済み、今も女房子供と楽しく暮らしてるのだ。

‥‥そんなワケで、あんまりこの話は出したくないんだけど、沖縄で14才の少女がアメリカ兵にレイプされた時にも、「そんな時間(夜8時)に外をウロウロしてる少女のほうが悪い」とか、「どうせ少女のほうが自分から米兵を誘惑したんだろう」とか、まるで鬼畜のような暴言を吐いた人非人どもがいた。こういう人間のクズどもは、自民党の太田セイウチやフクダちゃんと一緒に、トットとイランやスーダンに移住して欲しいと思う。そして、お望み通りの時代遅れの男尊女卑の世界で、タップリと大バカぶりを発揮して、好きなように余生をまっとうして欲しい。それがイヤなら、明日からスカートを履いて、「スカート男子」として生活することをオススメする。こういう無神経なバカ男どもでも、スカートを履いて生活すれば、少しは女性の気持ちが分かるようになると思う今日この頃なのだ。


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