ちっちゃなツボ
豚インフルエンザ明けの昨日のお仕事は、あたしの住んでる億ション(ウソ)から、あたしの愛車のフェラーリ360モデナ(ウソ)で、10分ほどのチョー近場のスタジオ(ホント)だった。だから、お昼‥‥っていうか、午後2時ころだったんだけど、お昼休みを兼ねた1時間半くらいの空き時間ができたから、一度、お家に帰って来た。それで、朝、作ったおにぎりを食べながら、ナニゲにテレビをつけたら、「特攻野郎Aチーム」の映画をやってたから、途中からでストーリーは分かんないけど、そのまま観てた。
そしたら、ゲストなのか、プロレスラーのハルク・ホーガンが出てて、Aチームの仲間っていうか、Aチームの味方の立場みたいな感じだった。何かの役を演じてるんじゃなくて、「プロレスラーのハルク・ホーガン」ていう、そのまんまの役だった。それで、Aチームのメンバーとホーガンとが話してる中で、コングが飛行機に乗るのが苦手だっていういつもの話から、「無敵のヒーローのホーガンだって、何か1つくらい苦手なものがあるんじゃないの?」的なことをクレイジー・モンキーが聞いた‥‥ってワケで、ここから先は、会話形式でどうぞ♪
ホーガン 「俺様には恐いものなんてねえ!」
モンキー 「そんなことないだろ?誰にだって1つや2つくらい苦手なものがあるハズだぜ!」
ホーガン 「いいや!俺様は無敵だ!」
モンキー 「それなら、たとえば、ヘビとかどうよ? ニョロニョロのヘビは苦手だろ?」
ホーガン 「そんなもん『ヘ』でもなけりゃ『ビ』でねえ!」
‥‥ってワケで、このやりとりがポンポンとリズムよく繰り広げられたんだけど、あたしは、最後のホーガンのセリフの「そんなもん『ヘ』でも」までは、「そんなもん屁でもねえ!」って言うもんだと思って聞いてた。だから、「『ヘ』でもなけりゃ『ビ』でねえ!」ってオチを聞いて、あたしは、久しぶりに、ププッて噴き出しちゃって、それからしばらく笑いが止まらなくなっちゃった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしには、こうした「ちっちゃなツボ」があって、そのツボをピンポイントで突かれると、笑いが止まらなくなっちゃう。今回の「特攻野郎Aチーム」の場合でも、いろんなメンバーが順番にポンポンとやりとりしてる中での一瞬のことで、ほとんどの人は立ち止まらずに聞き流しちゃう部分だったと思う。だけど、あたしの場合は、この「『ヘ』でもなけりゃ『ビ』でねえ!」ってオチがツボだっただけじゃなくて、ププッて噴き出して笑い始めてから、脳内では、いろんなプラスアルファの笑いのツボが増殖してく。
たとえば、吹き替えの人の「『ヘ』でもなけりゃ『ビ』でねえ!」って言い方が、ナニゲに「おめえに食わせるタンメンはねえ!」に似てたもんだから、大きくてマッチョなハルク・ホーガンが、次長課長の河本のモノマネをしてるようにも思えちゃって、そのことも、おかしさを倍増させる要因になっちゃう。そして、「オリジナルは英語なんだから、ヘビはスネークなんだし、『屁でもない』なんて言い回しもニポンのものだから、そしたら、この映画をオリジナルで観たらぜんぜん違う会話をしてるワケだ。それをわざわざニポン人向けの掛け合いに作り直したってことは、こんなくだらないことのために、どこかの誰かが苦労してるワケだ」って思っちゃって、これまた、おかしさを倍増させる要因になっちゃう。
そして、ひとしきり笑い続けたあたしが、ようやく落ち着いたころには、もう、映画はずっと先へ進んでて、ストーリーはぜんぜん分からなくなってる。これが、いつものパターンだ。学生時代、授業中に先生が言ったナニゲないヒトコトがツボだったり、社会人になってから、会議中に誰かが言ったナニゲないヒトコトがツボだったりすると、あたしは、サスガに声を出して笑うのだけは必死にガマンするけど、下を向いて「クックックックッ‥‥」ってこらえることになる。そして、ようやく落ち着いたころには、授業も会議もずっと先へ進んでて、今、いったい何の話をしてるのか、チンプンカンプンになっちゃうのだ。
それもこれも、すべては、あたし特有の「ちっちゃなツボ」のセイで、普通の人がいちいち立ち止まらないようなちっちゃなことが、あたしの場合は、激しく強力な笑いのツボになってるからだ。たとえば、ギューギュー詰めの満員電車に乗った時に、あたしの目の前にサラリーマンのオジサンが後ろ向きに立ってて、ちょうどあたしの目の高さがオジサンの首のとこだったとする。で、あんまりキョロキョロするワケにも行かないから、そのまま、見る気もなくオジサンの首のあたりに漠然と目をやってると、首の左側のとこに大きなホクロを発見!
もちろん、それだけなら何でもないんだけど、こともあろうに、そのホクロから2センチくらい毛が1本生えてて、それも、まっすぐならともかく、S字に曲がってて、さらには、頭上から吹いて来る弱冷房の微風が、ちょうどオジサンの首のあたりに当たってて、そのホクロから生えてるS字の毛が、ものすごくビミョ~に、ピロロロロ~~ピロロロロ~~って小刻みに揺れてたりした日にゃあ、もうダメだ。
それも、この車両だけでも何十人も乗ってるのに、このピロロロロ~~に気づいてるのは、わずか30センチの至近距離で観察してるあたしだけなのだ。ヘタすると、オジサン本人ですら、自分の首のホクロからS字の毛が生えてることに気づいてないかもしれないし、もしもS字の毛が生えてることには気づいてたとしても、それが微風でピロロロロ~~って揺れてることには気づいてないだろうし、ましてや、そのピロロロロ~~が、真後ろにいるあたしの「ちっちゃいツボ」を突きまくってるだなんて、絶対に気づいてるワケがない。この、「たくさんの人がいるのに、この面白いことに気づいてるのがあたしだけ」っていうシチュエーションも、あたしのおかしさを増幅させる状況的なツボになっちゃうのだ。
あたしの「ちっちゃなツボ」は、見ず知らずのオジサンのホクロの毛によって、ケンシロウが経絡秘孔を突くよりも正確に、ピンポイントで突かれちゃったワケで、あたしは、ププッて噴き出してから、目的の駅に到着するまで、ずっと下を向いて「クックックックッ‥‥」って必死にこらえることになる。だけど、あたしの様子がおかしいことに気づいた周りの人たちが、「痴漢にでも遭ってるんじゃないか?」的な雰囲気で、あたしのことをチラチラと見始める。そのうち、周りの人たちの視線に気づいたオジサンは、何かあったのかとあたしのほうを振り向く。その瞬間、オジサンのホッペにも大きなホクロがあって、そのホクロからも1本の毛が生えてることを発見!
これだけでも最終兵器なのに、さらには、30センチの至近距離でガン見しちゃってるあたしには、その毛の先が枝毛になってフタマタに分かれてることまでハッキリと確認しちゃって、もう完全に、ジ・エンドだ。最初のププッを何とか必死に「クックックックッ‥‥」ってこらえ続けて来たあたしも、この強敵には手も足も出ない。今までガマンして来たぶんもマトメて噴き出しちゃって、もう笑いが止まらない。あたしは、キョトンとしてるオジサンの両肩をガシッとつかんで、力いっぱい前後に揺すりながら、いつまでも笑い続け、そのうち、いつものパターンでゲホゲホと咳き込んで、貧血みたいになってしゃがみ込んじゃう。
驚いたオジサンは、あたしのことを心配して「大丈夫ですか?」なんて声をかけてくれたのに、その瞬間、オジサンから漂って来る加齢臭に、若干のカレー臭が混じってることに気づいたあたしは、笑いすぎて苦しんでる最中なのにも関わらず、「このオジサンてば、朝からカレーなんか食べて来たんだ!」って思っちゃうし、「てことは、きっとゆうべの残りだ!」って思っちゃって、ゆうべカレーだったのに、今朝も温め直したカレーを食べて出勤するオジサンに昭和の侘しさを感じつつ、心の中で「カレー臭 昭和も遠くなりにけり」なんてパロディ句を詠んじゃったりして、この侘しさが、さらにあたしの笑いのツボを刺激する。
本来なら、切なさや叙情につながるような外的イメージまで、すべてが「笑い」の増幅装置として機能しちゃってるんだから、こうなったら、あたしは完全に「笑いのスパイラル」の渦中にいるワケで、ここから抜け出るのは至難のワザだ。「鋼の錬金術師」で、グラトニーのお腹の中の空間に取り込まれちゃったエドワード・エルリックとリンが、敵のエンヴィーにまで協力してもらわないと脱出できなかったくらい、モトの世界に戻るのは難しい。そして、これほど大変な状況に陥っちゃうのに、そのヒキガネを引くのは、20年も前の映画のニポン語版の中の「『ヘ』でもなけりゃ『ビ』でねえ!」ってセリフだったり、見知らぬオジサンの首のホクロから生えてた、わずか2センチの毛だったりするワケだ。
だからこその「ちっちゃなツボ」ってワケで、その費用対効果は絶大だ。たった1本のわずか2センチの毛が、あたしを何時間も笑い転げさせる威力を持ってるんだから、モトも取れないどころか、どんどん赤字がふくらんでくだけのムダな箱モノや道路やダムを造り続けて来た自民党とは正反対だ。「井上和香のスキップ」しかり、「蛭子能収の思い出し笑い」しかり、「藤岡弘のドリップコーヒー」しかり、あたしの大爆笑のツボを直撃してくれた名作は数々あるけど、それもこれも、すべてはこうした「ちっちゃなツボ」が原点なワケで、それが大きくなったのがこれらの名作なのだ。
‥‥そんなワケで、普通の人なら、別に気にもしないで通リ過ぎてくか、おかしくてもちょっと噴き出す程度ですぐに収まっちゃうようなことでも、あたしの場合は、苦しくてその場にしゃがみ込むくらい笑いが止まらなくなることが多い。今日も、朝、猫たちにご飯をあげた時のこと、ご飯を食べ終わったマイケルが、しばらく手や肩のあたりを舐めてたんだけど、そのうち本格的に体を舐め始めて、しまいには、加藤茶の「ちょっとだけよ~♪」みたいに片足をピンと真上に上げて、お腹とかオチンチンとかを舐め始めちゃった。だけど、マイケルは、猫たちの中で一番大きくて太ってるから、そのポーズをしてるのが厳しいみたいで、よく見ると、ピンと上げた足の先が小刻みにプルプルと震えてたのだ。それでも、どうしても気が済むまでお腹やオチンチンを舐めたいみたいで、足がつりそうなくらいプルプルしながらも、必死にそのポーズで舐め続けてるもんだから、あたしは、ププッて噴き出しちゃって、それからしばらく笑いが止まらなくなっちゃった今日この頃なのだ(笑)
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