ブラジャー狂想曲
10月1日、アメリカのハーバード大学のサンダースシアターで、ノーベル賞にギャグのエッセンスをプラスした「イグノーベル賞」の受賞式が行なわれた。ニポン人は、パンダのウンコの中から生ゴミを分解するバクテリアを発見した北里大学の田口文章名誉教授と、おんなじチームで研究してた北里大学大学院の2人の中国人が「生物学賞」を受賞した。田口教授は、パンダが消化の悪いササの葉を主食にしてることから、パンダの体には消化を助ける何らかの秘密があるんじゃないかって考えたそうだ。それで、パンダのウンコを生ゴミに混ぜたところ、通常の2倍の速さで生ゴミが分解されたために、パンダの消化器官に特別のバクテリアがいることを発見したそうだ。このバクテリアを使えば、台所から出た生ゴミを90%も削減できるそうで、環境問題的にも、なかなかパンダフルな発見だと思う。
それで、今回の「イグノーベル賞」の受賞者一覧を見てみたら、他にも、楽しい受賞者がメジロ押しだった。「獣医学賞」を受賞したのは、イギリスのニューキャッスル大学のキャサリン・ダグラスさんとピーター・ローリンソンさんで、「名なしの乳牛よりも名前をつけた乳牛のほうがミルクを多く出す」っていう研究が評価された。「平和賞」を受賞したのは、スイスのベルン大学のステファン・ボーリガーさんたちのグループで、「中身の入ったビール瓶と空っぽのビール瓶では、どちらのほうが人の頭を殴るのに適してるか」っていう研究だ。
他にも、「妊婦はお腹が大きくなっても、どうしてバランスを崩して転ばないのか」ってことを研究したシンシナティー大学のキャサリン・ウィットカムさんたちのグループが「物理学賞」を受賞したり、お酒のテキーラからダイヤモンドを作り出すことに成功したメキシコ国立自治大学のハビエル・モラレスさんたちのグループが「化学賞」を受賞した。でも、こうして簡単な内容だけを聞くと、いかにもふざけて研究してたみたいに感じるけど、パンダのウンコの研究は10年間も続けて来たそうだし、このテキーラからダイヤモンドを作り出したのなんか、13年間も続けて来たマジメな研究なのだ。この研究グループは、エタノールと水とが4対6の割合の液体が人工ダイヤモンドの原料として最適だってことを発見して、試しに度数が40度のテキーラを使ってみたところ、ミゴトにダイヤモンドが出来ちゃった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、他にも、「医学賞」とか「数学賞」とか、いくつかの賞があるんだけど、あたしが一番ウケたのが、「文学賞」を受賞したアイルランド警察だ。ここ数年の「ユーロ」の広まりを見ても分かるように、ヨーロッパは統合されつつあるから、東ヨーロッパの旧共産圏の人たちは、仕事がある西ヨーロッパの国々へと出稼ぎに行くようになった。そんな流れで、アイルランドにも、ポーランドの人たちがたくさん出稼ぎに行くようになった。で、あたしは詳しくは知らないんだけど、統合されつつあるヨーロッパは国際免許とか関係ないみたいで、アイルランドに出稼ぎに来てるポーランド人が、車の運転をしてて交通違反で捕まったら、ポーランドの免許証をおまわりさんに見せるそうだ。
だけど、アイルランドは、アイルランド語と英語が公用語だから、おまわりさんたちは、ポーランド語で書かれてる免許証が読めない。でも、書いてあることは読めなくても、ポーランド語だってアイルランド語や英語とおんなじアルファベットなんだし、免許証のレイアウトなんてどこの国でも似たようなもんだから、パッと見た感じで、名前とか住所とかは分かる。それで、アイルランドのおまわりさんたちは、ポーランド語が読めないのに、ポーランド人のドライバーを取り締まってたワケだ。
そしたら、ある日のこと、ものすごく悪質なポーランド人のドライバーが浮上した。その名は、「Prawo Jazdy (プラヴォ・ヤズディ)」って言って、アイルランド警察の交通課のパソコンには、コイツの起こした駐車違反からスピード違反に至るまで、50回もの違反のデータが累積されてたのだ。だけど、コイツは、ものすごい頭脳犯なのか、すべての違反キップに書かれてる住所が違う上に、一度も裁判所の呼び出しに出て来ない。だから、コイツは、アイルランド全土で、50回もの交通違反を繰り返して来たのに、ただの一度も有罪になってなかったのだ。
それで、アイルランド警察は、ついに本腰を入れて捜査することになった‥‥と思ったのもトコノマ、あるおまわりさんがポーランド語の辞書で調べてみたら、この「Prawo Jazdy」ってのは、ポーランド語で「運転免許証」って意味だったのだ! つまり、ポーランド語を読めないアイルランドのおまわりさんたちは、交通違反をしたポーランド人たちの免許証を見て、免許証の上部に太い字で書かれてた「Prawo Jazdy (運転免許証)」って言葉をそのポーランド人の名前だとカン違いして、それをそのまま違反キップに書き写してたってワケだ。
‥‥そんなワケで、今回の「イグノーベル賞」の「文学賞」は、この、思わずヒザカックンを食らっちゃったような実話によって、アイルランド警察のおまわりさんたちが受賞したってワケだ。だけど、世界中からイヤなニュースばかりが聞こえて来る殺伐とした現代において、まるで、映画「ポリスアカデミー」を地で行くような出来事と、それを表彰しちゃうっていうシャレ心は、乾燥気味のお肌に潤いを与えてくれるワンダホーさがキラキラしてると思う。そして、あたしが、もう1つ、内角高めのツボにストライクだったのが、アメリカはイリノイ州のシカゴに住むエレナ・ボドナーさん、ラファエル・リーさん、サンドラ・マリヤンさんの3人の女性が受賞した「公衆衛生賞」だ。
これは、ニポンでもニュースになったから、知ってる人も多いと思うけど、彼女たちは、緊急時にガスマスクに変身しちゃうブラジャーを作って、特許をとったのだ。ブラジャーのカップの部分が、ガスを通さない特殊な素材で出来てるので、緊急時には、自分のブラを外して鼻と口にかぶせるってワケだ。その上、このブラは、後ろにも前にもホックがある。普通のブラは後ろがホックだし、フロントホックのブラは後ろはつながってる。だけど、このブラは、前後の両方にホックがあるので、完全に2つに分かれる。だから、片方は自分が使い、もう片方は近くにいる人に渡すことができるのだ。
たとえば、夫婦で一緒に出掛けた時に、デパートやレストランで火災が起こったりしたら、奥さんのほうが自分のブラを外して、2つにして、片方をダンナさんに渡すってワケだ。マクラのとこでリンクしといた受賞者一覧には、壇上でこのブラマスクを装着してる人たちの写真があるけど、ブラのカップが完璧に鼻と口をカバーしてるだけじゃなくて、ブラのストラップがうまいことマスクを固定するバンドとして役立ってる。ホントに、よく考えられてると思う。
最近は、豚インフルエンザの流行で、高性能なマスクがいろいろと発売されてるし、それこそ、ブラのカップみたいな立体的なマスクをしてても、そんなに目立ったりはしない。あたしとしては、こうしたタイプのマスクって、昔の暴走族とか、昔のパンクバンドのベーシストとかがつけてた「防塵マスク」を思い出しちゃうんだけど、ファッション的にも、なかなか面白いアイテムだと思う。たとえば、湘爆(湘南爆走族)の桜井君なんかは、素顔は目が細くてやさしそうな顔で、5人の中で一番おとなしそうな顔なのに、キャッツアイに防塵マスクっていういつもの装備を身につけると、トタンにヤンキー丸出しの風貌になっちゃう。
「幽遊白書」でも、ナントカ武道会で、幽助たちが最後に戦った戸愚呂チームの中に、防塵マスクみたいなデザインのフェイスカバーをつけてたヤツがいた。飛影か蔵馬のどっちかが戦って、途中で「本気を出す」とかで、ヨロイと一緒にこのフェイスカバーも外したんだけど、ビジュアル的には、つけてた時のほうが強そうに見えた。つまり、こうした防塵マスクタイプのものに限らず、普通の四角いマスクにしても、サングラスと同様で、「表情を隠す」って効果があるため、見るものに恐怖心を感じさせる効果があるってワケだ。
‥‥そんなワケで、今回、「公衆衛生賞」を受賞したブラマスクは、あくまでも「緊急時に命を守るため」っていう大前提で作られたものだから、見る人をたちを恐がらせる必要もなければ、カッコ良く見せる必要もない。重要なのは、見た目なんかじゃなくて、人体に有毒なガスや煙をできる限り防ぐってことと、簡単に素早く装着できるってことだろう。だけど、そうは言っても、さっきの受賞者一覧のとこの写真を見ると、中央の男性が装着してるのは、黒いブラだからおかしくないけど、両端の男性が装着してるのは、ピンクのカップに黒いレースのフチ取りがあしらってあるセクシーなブラだから、パッと見たら、変質者に見えちゃう(笑)
見る人たちを威嚇する必要もないし、オシャレに見えなくたってかまわない。だけど、男性にとっては、変質者に見えちゃうのはマズイと思う。ピンクのセクシーなブラを顔面に装着してるなんて、ベランダから盗んだ女性のパンティーを頭にかぶって小踊りしてる変質者と大差ないからだ。それで、あたしは、どんなブラだったら、マスクとして顔面に装着してても変質者に見えないか、自分のブラで実験してみた。ま、「実験」て言っても、いくつかのブラのカップの部分を鼻と口にあてて、鏡で見てみただけなんだけど。
で、まずは、夏場に大活躍したモールドカップ(シームレスカップ)のブラを鼻と口にあててみたんだけど、見た目がどうこう言う前に、すぐに息が苦しくなった。そう、モールドカップは、ほとんど空気を通さないのだ。ただ、見た目としては、モールドカップはまん丸なので、クマさんのぬいぐるみみたいな、マンガみたいな感じになって、変質者って感じにはならなかった。モールドカップは、Tシャツとかのアウターに響かないように、カップ部分には、レースとか刺繍とかの飾りはまったくない。だから、カップの部分だけを見ると、そんなに下着っぽく感じないのだ。
でも、現実的にガスマスクとして利用するとしたら、形がまん丸なので、フチの部分を両手でギュッと顔に押しつけないと、隙間からガスが入っちゃう。だから、たとえ空気の通る素材で作ったとしても、形状的に向いてないと思う。やっぱり、ひし形の防塵マスクっぽくなるのは、普通の3/4カップのブラだ。男性でも、知ってる人は知ってると思うけど、ブラのカップは、フルカップ、3/4カップ、ハーフカップの3つが基本だ。そして、平均的なサイズのもので考えると、フルカップだと、鼻と口だけじゃなくて目まで覆っちゃうし、ハーフカップだと、半月型だから形状的に向いてない。この中だと、3/4カップが、面積的にも形状的にも一番向いてると思う。
‥‥そんなワケで、カンジンの「どんなブラなら男性が顔に装着しても変質者っぽくならないか」ってことに関しては、女性のあたしが実験してみた結果なので、実際にはリトル違うかもしれない。だけど、少なくとも、「どんなブラなら顔に装着した場合に下着っぽく見えないか」ってことに関しては、小学校の高学年とか中学1年生とかの女の子が生まれて初めてつける、初心者用の白いブラがいいと思った。もちろん、あたしは、そんなのは持ってないけど、白の3/4カップのブラを鼻と口にあててみたら、遠め目には、インフルエンザ用のマスクみたいな感じだったのだ。
でも、あたしのは、ちゃんとした大人の女性用のものだから、ヒトクチで白って言っても、それなりにゴージャスなレースや刺繍をほどこしてあるし、近くで見たらブラだってバレバレだ。子供が初めてつける白いブラにも、カップ全体に刺繍がしてあったり、カップの下のフチの部分がビミョ~なレース風味になってたりはするんだけど、そこは大人と子供の違いで、大人のブラのレースや刺繍がセクシーなのに対して、子供のブラのは可愛らしい‥‥なんてことを書いてたら、小学6年生の春休みに、母さんが「きみこもそろそろブラジャーをしなくちゃね」って言って、渋谷の東急東横店に連れてかれて、初めてのブラを買ってもらった時のことを思い出しちゃった。
売り場のお姉さんが、試着室に一緒に入って来て、つけ方を教えてくれたんだ。手を後ろに回してホックをとめることができなかったあたしに、お姉さんは、前でホックをとめてから、クルリンパって後ろに回して、最後にストラップに腕を通す方式を教えてくれたんだよね。あの時は、恥ずかしいのが半分と、大人の仲間入りができるみたいなドキドキ感が半分で、すごく複雑な気分だった。ただ、学校に行くと、男子たちが、「女子の中で誰と誰と誰がブラジャーをしてる」っていう当てっこ遊びをしてたから、そのターゲットにされるのが一番イヤだった‥‥なんて、思い出話もちりばめつつ先へと進むけど、ガスマスクとして利用する上に、男性が顔に装着しても恥ずかしくないブラって言うと、簡単に言えば、「ブラっぽくないブラ」ってことになる。
つまり、セクシーなレースや刺繍なんかは、当然、ご法度だし、色だって、ピンクやパープルなんかはマズイってことだ。女性の下着をイメージさせるレースや刺繍、ハートやリボンなんかの飾りはいっさい使わずに、色も、白、黒、紺‥‥みたいな単色で、ジミじゃなけゃダメだ。だけど、そうなって来ると、今度は、そんなブラをつける女性のほうがイヤになっちゃう。だいたいからして、「緊急時にはガスマスクとしても使えるブラ」ってことなんだから、そのブラを買って身につけてても、一度もガスマスクとしては使う機会がない女性のほうが遥かに多いハズだ。それに、万が一、ガスマスクとして使うことがあったとしても、ブラとして使った時間と、ガスマスクとして使った時間を比較したら、1000対1とか、10000対1とかだと思う。
ガスマスクとして使う人がいたとしても、このブラを買って、朝から晩までつけてても、ナニゴトもない日が延々と続いて行き、何百日後とか何千日後とかに、たまたま入ったレストランで火災が起こり、そこで逃げ出すまでの5分間だけガスマスクとして使った‥‥って感じになると思う。だって、あたしは、小学6年生の時に「ブラジャーデビュー」してから、今日まで25年間、四半世紀もブラをつけて来たけど、一度もガスマスクが必要な場面に出くわしたことなんてない。「ど根性ガエル」の町田先生フレーバーで言わせてもらうと、「ブラジャー生活25年、一度も有毒ガスに出くわしたことはない!」ってワケだ。
ようするに、このブラは、ガスマスクなんじゃなくて、「万が一の時にはガスマスクにもなるけど本質的にはブラ」ってワケで、使用時間として考えれば、ブラとして使用してるほうが遥かに長いのだ。つまり、「備えあれば憂いなし」の精神なワケで、どっちかって言えば、ガスマスクとして使う機会に恵まれなかったほうがラッキーって考えるべきなんだと思う。そして、そう考えると、ジミな色でレースも刺繍もない淡白なブラなんて、つけたくないって思うのが女性の心理だ。誰に見せるワケじゃなくても、セクシーな下着をつけるのは女性の楽しみの1つだし、万が一の時のために、その楽しみをガマンするなんてバカバカしい。だけど、万が一の時に、死ぬのはイヤだ。
‥‥そんなワケで、こうした葛藤の中であたしが考えついたのは、その名も「リバーシブル救命ブラ」だ。ふだんはセクシーでステキなブラなのに、万が一の時には、カップの部分をポコッと裏返しにすると、無地のガスマスクになるってスンポーだ。そして、ブラのカップにほどこされてた美しいレースや刺繍も、それが鼻や口にあたる側に来ることで、有毒ガスを防ぐための濾過装置として機能するってスンポーだ。どうだ!まいったか!‥‥ってワケで、これなら、男性が装着しても変質者っぽくならないし、すべての面においてパーフェクトだと思う。さらに言えば、何が起こるか分からない世の中なんだから、すべてのメーカーのすべてのブラに、この機能を加えることを義務づければ、いつどこで天災や人災やテロが起こっても、多くの人たちの命が助かると思う。ただ、そうなった場合でも、男性たちが1つだけ注意しなきゃなんないのは、肩を出したファッションなのに、ヤタラと胸の谷間をアピールしてる女性のブラだけには頼らないほうがいいってことだ。そういう女性たちは、絶対にシリコン製のヌーブラをしてるから、そんなもんを鼻と口にあてちゃった日にゃあ、どんなに有毒ガスを防げても、アッという間に窒息して死んじゃうと思う今日この頃なのだ。
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