40年後の人たちへ
今年のF1グランプリの最終戦、昨日のアブダビGPは、すでにジェンソン・バトンのワールドチャンプやブラウンGPのコンストラクターズチャンプが決まったあとだったから、レース的には消化試合ってワケで、たとえバトンがリタイヤして、ポイントで2位のベッテルが優勝しても、たとえブラウンGPの2台がポイント圏外で、ポイントで2位のレッドブルレーシングの2台がワンツーフィニッシュしても、これらの順位が入れ替わることはなかった。だから、レース的には、そんなにワクワクできるシチュエーションじゃなかったけど、それでも、シーズン最後に意地を見せて優勝したベッテルしかり、これまた意地で2位を守ったウェバーしかり‥‥って言うか、意地のワンツーを飾ったレッドブルの2台のRB5がカッコ良かったし、何位になってもワールドチャンプが決まってるバトンが、道端ジェシカ効果なのか、最後の最後まで熱いバトルを繰り広げてミゴトに3位の表彰台に上がったのもワンダホーだったし、無難の4位で表彰台を逃したバリチェロが、優勝チームのドライバーなのに、トータルでベッテルに勝てずに年間3位になったっていう、「よくがんばった!」っていう祝福の気持ちと「やっぱりバリチェロらしいな~」っていうトホホな気持ちが入り混じった千秋楽になった。
で、ホントなら、今シーズンを振り返りつつ、来シーズンの展望とかを書きまくりたいんだけど、今、リトル時間的に余裕がないのと、来シーズンのドライバーがまだ6人しか決まってない上に、今シーズン限りで撤退するチームあり、来シーズンから参戦するチームありで、もうハチャメチャな状態だ。だから、この辺のことは、もうちょっと時間が経過して、いろんな情報が入って来てから書きまくろうと思う。そんなことよりも、今回の最終戦、アブダビGPを観た多くの人は、SF映画の世界のような近未来的なサーキットにビックル一気飲みだったと思うし、あまりにもサーキットがカッコイイもんだから、逆に、F1マシンのカッコ悪さが際立っちゃって、なんだかクラシックカーのレースを観てるような気分になったと思う。あのサーキットだったら、もっと流線型の未来のマシンがレースをしたほうがシックリ来る。なんなら、ブリヂストンも撤退することだし、タイヤがなくて路面の10センチ上を浮かんで走る反重力マシンとかがレースしたほうが似合うと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、ピットから出てくとこも、何だか地下の秘密基地から発進してくみたいで、ヤタラと画期的なサーキットだったアブダビGPだけど、そんなことよりも、それ以前に「アブダビってどこよ?」って思った人も多かっただろう。少なくとも、イラクの場所も知らないのに自衛隊のイラク派遣に賛成した自民党の山本一太なんかは、アブダビの場所なんて絶対に知らないだろう‥‥って、サスガにイラクの場所くらいは知ってるあたしでも、アブダビの場所は知らなかった。アブダビを含む「アラブ首長国連邦」の場所は知ってたけど、その中のどこがアブダビなのかは、今回、地図を見て、初めて知ったってのが正直なとこだ。
正直ついでに言っちゃうと、あたしは、「アラブ首長国連邦」の7つの国のうち、知ってたのは、このアブダビと、あとはドバイだけだった。残りの5つの国、「シャールジャ」「アジュマーン」「フジャイラ」「ウンム・アル=カイワイン」「ラアス・アル=ハイマ」なんて、今回、初めて知った。そして、たぶん、明日には忘れると思う。だって、「シャルージャ」ならともかく、「シャールジャ」なんて言いにくいし、「フジャイラ」だって覚えにくい。さらには、「ウンム・アル=カイワイン」や「ラアス・アル=ハイマ」なんて、覚える覚えないの前の話として、この「・」と「=」を使った表記がニポン的にナジミがない。こんな表記、椿鬼奴姉さんのウイッグとメークが「キャサリン・ゼタ=ジョーンズのマネ」だってプロフィールに書いてあったのを見て以来だ。
ま、そんなことは置いといて、とにかく、この7つの国は、みんな「首長国」なワケで、ようするに、イスラム世界で言うところの「王様」みたいな人が頂点に君臨してる国々ってワケだ。つまり、正確に言えば、アブダビ首長国、ドバイ首長国、シャールジャ首長国‥‥ってワケで、それぞれの国にそれぞれの首長がいるんだけど、方向性がおんなじだから手を結んで「アラブ首長国連邦」になったってワケだ。そして、トヨタの「こども店長」ならぬ大阪府の「こども知事」が、1人で大騒ぎしてる「道州制」ってのも、これに近いノリだ。この狭いニポンを「北海道」「東北州」「関東州」‥‥みたいに小分けして、それぞれの自治権を大きくする。つまり、国が一括してモノゴトを決めるんじゃなくて、経済にしても、法律にしても、それぞれの道や州が好き勝手に決められるようになるってワケだ。
ようするに、小さな国が集まった「ニポン連邦」って感じになるワケで、極端な話、「北海道ではマリファナが解禁」なんてこともアリエールなんだから、悪い面だけじゃなくて、いい面もそれなりにある。ただ、あたしが何よりも危惧してるのは、「九州」のことだ。「中国地方」は「中国州」になるんだし、「四国」は「四国州」になるんだから問題ないけど、「九州」は「九州州」になっちゃうワケで、これは大問題だ。ある意味、「ウンム・アル=カイワイン」や「ラアス・アル=ハイマ」よりも紛らわしい(笑)
‥‥そんなワケで、話をクルリンパと戻すと、「アラブ首長国連邦」の7つの国のうち、あたしに限らず、ほとんどの人が名前くらいは聞いたことがあるのが、やっぱり、ドバイだろう。砂漠の真ん中に近未来的な高層ビルを林立させたり、海をどんどん埋め立てて何億円もするリゾートアイランドを造ったりと、石油にモノを言わせて、今の地球が直面してる危機とは正反対の発狂的な開発を加速させて来て、とうとう巨大な自転車操業に陥っちゃったオナジミの国だ。40年後に石油が枯渇したら、石油によって繁栄した時代の人類の愚かさを象徴する遺跡になっちゃうかも知れないし、あるいは、リゾートを主軸にした何らかの生き残り策を考えてるのかも知れないけど、どっちにしても、ファーイーストの島国で暮らしてるあたしには、想像を絶する国であることに変わりない。
で、1万5000円の温泉旅館にも、なかなか泊まることができないあたしとしては、何億円もする中東のリゾートのことなんて想像もできないワケだけど、そんなあたしでも1つだけ言えることは、世界中のどんなセレブでも、飛行機に乗ってドバイに行くってことだ。そう、40年後に石油が枯渇したら、飛行機も飛べなくなるってワケで、石油が枯渇するまでに石油を使わない飛行機を開発しない限り、どんなにお金を持ってるセレブでも、ドバイには行けなくなっちゃう。つまり、こうした海外の高級リゾートが、それだけをメインにして生き残って行くためには、飛行機にしても船にしても、石油に頼らない乗り物が開発されない限り、衰退してくしかないってワケだ。
たとえば、電気で動く飛行機を作るとしたら、現在の技術だと、1人乗りとか2人乗りの小型機なら何とかなるけど、とても巨大な旅客機なんて作れない。大型機を飛ばすだけの電力を得るには、ものすごい量のバッテリーが必要で、必要なだけのバッテリーを積むと、今度はその重さで飛べなくなっちゃう。そして、容量が小さくても大きな電力が得られるバッテリーを開発すると、莫大なレアメタルが必要なため、現在の旅客機の数百倍の開発費が掛かるために、とても採算が取れないのだ。だけど、こうしたレジャーや観光はいいとしても、石油が枯渇して飛行機や船が使えなくなると、輸入や輸出などの貿易で困っちゃう。他の国々と地続きの大陸に住んでる人たちはともかくとして、周りが海に囲まれた島国のニポンに住んでるあたしたちは困っちゃう。
‥‥そんなワケで、あたしは、石油が枯渇しても何とかなりそうな乗り物を考えてみたんだけど、パッと思いついたのが、空なら飛行船、海ならヨットだった。飛行船やヨットなら、ソーラーバッテリーのパワーくらいで何とか前進すると思うし、ナニゲにエコな感じもする。ただ、飛行船て、風船の部分は激しく巨大なのに、人が乗れる部分てちっちゃいんだよね。だから、何トンもの荷物を運ぶのなんてムリだと思うし、ヨットにしたって、船室は狭いから、たいして荷物なんか積めないと思う。両方とも、基本的には「少人数で旅行するための乗り物」であって、たくさんの荷物を運ぶためのものじゃない。
つまり、あたしたち人類が、石油が枯渇する40年後よりも先も、現代と同レベルの生活をしてこうって思ってるのなら、それまでに石油に頼らない飛行機や船を開発しなきゃなんないワケだ。そして、もう1つの選択肢は、バイオエタノールの恒久的な確保だろう。今みたく、貴重な森林を伐採してまでバイオエタノールのためのトウモロコシ畑やサトウキビ畑を作るんじゃなくて、何らかの方法で、地球を傷つけずに必要量のバイオエタノールを確保できるようになれば、あとは飛行機用や船舶用のアルコールエンジンの開発だけで済むから、今よりも飛行機や船の規模は小さくなっても、とりあえずは、しばらくは持つと思う。
だけど、バイオエタノールにしたって、それを燃やすことによってエンジンを回してるんだから、地球温暖化には悪影響しかない。バイオエタノールがエコだなんて言うのは、原料になる植物を育てる過程で二酸化炭素を吸って酸素を出すから、あとから燃料になって燃えても、そのぶんと相殺できる‥‥なんていう、人間の都合だけで考えられた机上の空論であって、先進国の都合で考えられた「排出量取引」とおんなじくらいウサン臭い屁理屈だ。だいたいからして、バイオエタノールなんてものは、地球のために考えられたんじゃなくて、もともとは、枯渇する石油の代用品として考えられたものだ。原料の植物が育つ過程で二酸化炭素を吸うなんてのは、バイオエタノールをエコ的に肯定させるための方便でしかない。ホントに地球のこと、未来のことを考えてるのなら、何かを燃やして動力を得るシステムのエンジンなんて、すべて法律で禁止するのがスジだろう。
それなのに、実際にやってることは、5000ccで445馬力もあるV8エンジンを積んでる最高級車にまで「エコカー減税」なんてものを適用しちゃってるんだから、本気でバカ丸出しだ。新政権が、「エコカー減税」や「エコポイント」を当面は継続するにしても、ホントに地球のことを考えてるのなら、こうした自民党政権時代の負の遺産は今すぐにでも見直して、「エコカー減税」を適用するのはハイブリッド車と軽自動車だけにすべきなのだ。
‥‥そんなワケで、今から40年後には、あたしはギリギリで生きてるかもしれないけど、ニポンに限らず、今の政治家の中で大きな権力を持ってる人たちの多くは、みんな死んでるだろう。そして、ニポンにしても、よその国にしても、そうした40年後には死んでる政治家たちが、今の地球のことを決めてるワケだ。これは、あまりにも他人事な話で、いくら口先で「未来のため」「子供たちのため」だなんて言われても、おいそれと信用するワケには行かない。だって、誰がどう考えたって「百害あって一利なし」のムダなダムの建設を中止にするだけでも、スパッと決められずにウダウダと時間が掛かってるし、挙句の果てには、地球自体が絶滅危惧惑星になっちゃってるこんな時に、かけがえのない海を埋め立てて原発なんかを造ろうとしてる中国電力なんかを野放しにしてるからだ。あたしは、ダムなんかよりも先に、未来の人たちに顔向けができない原発建設こそを今すぐに中止すべきだと思う今日この頃なのだ。
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