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2009.11.19

シーラカンスの憂鬱

大人になっても可愛いチワワやトイプードルやミニチュアダックスなら、赤ちゃんの時も可愛くて当然だけど、大人になると恐ろしいツラガマエになる土佐犬やドーベルマンとかでも、赤ちゃんの時はとっても可愛い。あたしの苦手な昆虫にしても、大きなカマキリなんて絶対に触れないほど怖いけど、タマゴから孵ったばかりのちっちゃいカマキリの赤ちゃんなら、手のひらに乗せられるほど可愛い。これとおんなじで、どんなに凶暴な猛獣でも、赤ちゃんのころならとっても可愛いワケだし、どんなに凶悪な顔をした暴力団員でも、どんなに冷酷な顔をした殺人犯でも、赤ちゃんのころは可愛かったワケだ。だから、あんなに不気味な姿をしたシーラカンスでも、赤ちゃんのころは可愛かったハズだ‥‥って想像できたワケで、今回、福島県の水族館、「ふくしま海洋科学館」(アクアマリンふくしま)が撮影に成功したシーラカンスの赤ちゃんの映像を見たら、あまりにも可愛くて、思わず水槽で飼いたくなっちゃったほどだった。

発表されたのが3日前の16日だから、もうテレビや新聞やネットで映像や写真を見た人も多いと思うけど、「31.5cm」っていう説明がなければ、周りに大きさを比較するものがないから、5cmか10cmくらいかも?って思っちゃうほど可愛いかった。成魚のシーラカンスと比べて、全体的にヒレが大きくて、顔もあどけなくて、他のお魚の幼魚とおんなじだった。特に尾ビレなんて、成魚になるとほとんど分からなくなる中央部のモッコリがハッキリしてて、トランプのクラブの形で可愛かった。目だけは、大人のシーラカンスとおんなじで、白く光ってて気味悪かったけど、これは、太陽の光がまったく届かない水深150m以上の場所で撮影してるからで、照明を反射してるんだから仕方ない。もっと浅場の自然光の下で撮影すれば、目も黒くて不気味じゃなかったと思う。

とにかく、あたしは、生まれたばかりの子鹿が、必死に立ち上がって、プルプルと小刻みに震えながらお母さんのほうへ行こうとするのとかを見てると、もう、たまんないほど感動しちゃうタイプだから、今回のシーラカンスの赤ちゃんが、まだうまく自力で泳ぐことができなくて、岩肌に体を横たえながらも、たくさんあるヒレを戸惑いながら動かしてる映像を観て、思わず胸がキュンとしちゃった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、シーラカンスの赤ちゃんの映像を観て、あたしがキュンとしちゃったのは、シーラカンスが卵を産む「卵生」じゃなくて、お母さんのお腹の中で卵を孵化させて、お腹の中である程度、赤ちゃんを成長させて、それから産む「卵胎生」だってこともある。おんなじお魚でも、メスがそこらに卵を産み、そこにオスがやって来て精子をピュピュッとかけて、それで受精して孵化すると、赤ちゃんが可愛いことには変わりないけど、お母さんと赤ちゃんとのつながりは希薄になっちゃう。だから、見てるほうとしては、「生まれた!」っていう感動もイマイチだ。

だけど、たとえば、マンタ(オニイトマキエイ)みたいに、お腹を大きくしたお母さんマンタが、苦しそうに裏向きになったりして泳いでて、だんだんに「その時」が近づいて来て、お尻からちっちゃな赤ちゃんマンタが飛び出すと、「おおっ!」っていう感動がある。「こんなにちっちゃいのに、お母さんとおんなじ形をしてて‥‥」って思うだけで、ナゼだかウルウルしてきちゃう‥‥って言っても、マンタの赤ちゃんて、生まれた時点で、すでに50kgくらいあって、あたしより重いんだけど(笑)

で、31.5cmもある今回のシーラカンスの赤ちゃんが、どうして「生まれたばかり」だって判断されたのかって言うと、アフリカの南東にあるモザンビークで、1991年に捕獲されたメスのシーラカンスの胎内に、約30cmの赤ちゃんが確認されているからだ。細かいことを言うと、アフリカのシーラカンスとインドネシアのシーラカンスは別の種類で、見た目で言うと、アフリカのほうが全体的に黒っぽくて、インドネシアのほうはカラフルだ。だけど、最初のシーラカンスが誕生した約4億年前のデボン紀からは、ものすごい種類のシーラカンスが枝分かれした。マダイみたいに体高が高くて平べったいもの、アンコウみたいにズングリしてるもの、全長が4mもある巨大なもの、海じゃなくて川や湖に住む淡水性のものなど、いろんなシーラカンスが誕生してった。

そして、これらのシーラカンスたちが、気が遠くなるほどの長い年月の間に、何らかの原因で絶滅したり、淘汰されたりして来て、今から数千万年前には、ある1種類のシーラカンスだけが生き残った。で、今から1000万年くらい前に、この生き残ったシーラカンスが、現在のアフリカのコロモ周辺に住む種族と、インドネシアのスラウェシ周辺に住む種族とに枝分かれして、今日に至る‥‥って感じなのだ。だから、アフリカのシーラカンスもインドネシアのシーラカンスも、形や大きさや習性はほとんどおんなじで、色と模様がビミョ~に違うくらいなのだ。

‥‥そんなワケで、シーラカンスの卵って、直径が2~3cmで、ピンポン玉のひとまわり小さいくらいの大きさなんだけど、シーラカンスとおんなじくらいの大きさのお魚、サケの場合は、卵はイクラだ。シーラカンスよりも大きくなるチョウザメは、卵はキャビアなんだから、もっとちっちゃい。こうしたことから考えると、シーラカンスの卵って、魚体の大きさに対して、激しく大きいってことになる。だけど、シーラカンスが一度に産む数は、25個前後と激しく少ない。つまり、これは、サケやチョウザメのように、大多数は生き残れないからたくさん産む‥‥っていう「ヘタな鉄砲も数撃ちゃ当たる」方式とは正反対で、確実に生き残れる子孫だけを産む‥‥っていう堅実方式なんだろう。そして、だからこそ、何億年もの時を超えて生き抜いてこれたんだと思う。

卵の直径が2~3cmってことは、そこから生まれる稚魚は大きくても5cm程度なワケで、それが30cmを超えるまでお母さんのお腹の中にいるんだから、どんなに成長が早くても、数ヶ月から1年くらいはお腹の中にいるってことになる。だけど、25個の卵がぜんぶ孵化して、みんな30cmになっちゃったら、お母さんのお腹は破裂しちゃう‥‥ってワケで、シーラカンスのお母さんが一度に25個の卵を産むのは、25匹の赤ちゃんを産むためじゃなくて、1匹か2匹ほどの赤ちゃんを産むためで、残りの23個はエサなのだ。

あたしたち哺乳類の場合は、胎児はお母さんの体と「へその緒」でつながってて、そこから栄養分をもらえるから、何も食べなくても、お母さんのお腹の中で成長することができる。だけど、お母さんとつながってないお魚の場合は、自分の口から何か食べないと、お母さんのお腹の中で餓死しちゃう。それで、生まれた赤ちゃんのために、お母さんが用意しといた食料が、「多めに産んだ卵」ってワケなのだ。他の「卵胎生」のお魚の例を見ると、先に生まれた赤ちゃんは、卵を食べるだけじゃなくて、あとから孵化した弟や妹も食べちゃうケースも多いから、シーラカンスの場合も、お母さんのお腹の中で共食いをして成長するんだと思う。

‥‥そんなワケで、あたしは、今回の31.5cmのシーラカンスのことを「赤ちゃん」て呼んで来たけど、卵から孵化した時は5cmくらいで、それが数ヶ月から1年くらい成長してから外に出て来たんだから、「赤ちゃん」て言うよりは「幼児」って感じなのかもしれない。ま、どっちにしても、今回、生まれたばかりのシーラカンスの撮影に成功したのは、1938年にシーラカンスが発見されてから初めてのことで、「ふくしま海洋科学館」のグリーンアイプロジェクトの岩田雅光さんと吉村光太郎さんには、心からの拍手を送りたい。

でも、この「シーラカンスの赤ちゃん」のことばかりがクローズアップされてるけど、岩田さんと吉村さんは、実は今回、もう1つ、世界初のシーラカンスの撮影に成功してるのだ。今回の調査は、9月10日から10月9日まで行なわれた「第6回インドネシアシーラカンス現地調査」で、インドネシア北スラウェシ州のタリセイ島、バンカ島、マナド湾の3ヶ所をROV(自走式水中カメラ)で調査したんだけど、9月14日には、タリセイ島周辺の水深157mの岩陰で、体長が約120cmのお腹が膨らんだメスの固体の撮影に成功してる。そして、9月24日には、タリセイ島北部の水深146mの場所で、これまた120cm前後のシーラカンスが6匹集まってるとこを撮影してるのだ。

インドネシアのシーラカンスが、6匹もおんなじ場所に集まってるとこを撮影したのは世界初で、「シーラカンスの赤ちゃん」と同じく、これもシーラカンスの生態を調べる上で、ものすごく貴重な映像だ。何匹ものシーラカンスが群泳してる有名な映像はあるけど、アレはアフリカのコロモでの映像で、インドネシアのシーラカンスの群泳は、今回、岩田さんと吉村さんが撮影したのが始めてなのだ。そして、10月6日には、マナド湾内の水深161mの岩の隙間で、今回の赤ちゃんの撮影に成功したワケだから、この「第6回インドネシアシーラカンス現地調査」が、どれほどの成果を挙げたのかは、火を見るよれも明らかだろう。

‥‥そんなワケで、あたしは、お魚は全般的に大好きなんだけど、シーラカンスに限っては、気味悪くてたまらなかった。これは、幼いころのトラウマによる部分が大きくて、2006年8月18日の日記、「シーラカンスな午後」で詳しく書いてるけど、ちっちゃな時に、「よみうりランド」の水族館で、ゾンビみたいに不気味なシーラカンス剥製を見たからだ。だけど、大きくなってから、内田春菊さんの描く可愛いシーラカンスのマンガを見たり、実際に泳いでる映像を観たりして、ずいぶんやわらいで来てた。

でも、剥製ほどの不気味さはなくても、やっぱり、深くて暗い海の底をスローモーションみたいに泳いでるシーラカンスは、それなりに気味が悪くて、元気いっぱいに泳いでるハマチやカンパチなんかと比較すると、とてもおんなじお魚とは思えないほどのダークなイメージがあった。だけど、今回、シーラカンスの赤ちゃんの映像を観たら、最初にも書いたけど、生まれたばかりの子鹿みたいな可愛らしさ、いじらしさを感じちゃって、胸がキュンとして、一気にシーラカンスのことが好きになったのだ。

だから、あたしは、今回の岩田さんと吉村さんの功績を学術的な意味だけじゃなくて、あたしの個人的な趣味の意味でも、大いに讃えたいと思う。そして、今回、これほどの成果を挙げられたのも、これまでに5回の現地調査を積み重ねて来たからで、今回が第1回だったら、こんなにうまくは行かなかったと思う。何度もいろんな場所を調査して来て、何度も空振りして来て、そうした努力と失敗の積み重ねによって、今回の成功があるんだと思う。

で、連日、テレビを賑わせてる行政刷新会議の「事業仕分け」だけど、これまで自民党がやって来た天下りに対するバラマキの数々が白日のもとに晒されて、なかなか気分がいい反面、なんだかなぁ~って思っちゃうのが、何様のつもりなんだか知らないけど、レンホーの偉そうな態度だ。「日本科学未来館」の館長の毛利衛さんが、これまで努力して来た結果や状況などをパネルまで使って説明したのにも関わらず、レンホーは「でも赤字でしょ?」のヒトコトでバッサリと切り捨てた。次世代のスパコンの開発に関しても、レンホーは「世界一の性能にこだわる必要性があるの?」のヒトコトでバッサリと切り捨てた。

「日本科学未来館」だって、スパコンだって、今は赤字かもしれないけど、こうした事業が近未来的には国家を救うような大事業へと発展するかもしれないのに、レンホーの頭の中にあるのは、まるでコイズミと竹中平蔵の売国奴コンビが推し進めた「市場原理主義」そのものだ。「黒字ならどんな事業でも継続、赤字ならどんな事業でも廃止」っていう目先のソロバン勘定でしかない。子供たちの夢が詰まった「日本科学未来館」のたった23億円の予算を削るんなら、その前に、アメリカ側は45mのへリポート1つでいいって言ってるのを自民党が何十倍もの規模に拡大して総事業費5000億円にまで膨らましちゃった普天間飛行場の代替施設の計画を白紙に戻すのが先決だろう。毎年2000億円以上もアメリカに上納し続けてる「おもいやり予算」を見直すのが先決だろう。

‥‥そんなワケで、あたしが心配してるのは、今回、学術的にもあたし的にも素晴らしい世界初のシーラカンスの映像を撮影することに成功した「ふくしま海洋科学館」も、「日本科学未来館」とおんなじに、予算をバッサリと切り捨てられちゃうんじゃないかってことだ。「ふくしま海洋科学館」も財団法人で、毎年10億円の赤字を出してるから、これまでの功績や今後の展望を無視して、現在の収支だけで冷酷な判断をしてるレンホーにかかったら、「世界で初めてシーラカンスの幼魚の撮影に成功したんです」って訴えても、これがどれほど価値のあることなのかまったく理解できずに、「でも赤字でしょ?」のヒトコトでバッサリと切り捨てそうな気がする。このPDF資料を見てみると、「ふくしま海洋科学館」は、立地も規模もぜんぜん違う東京の「しながわ水族館」と比較されてて、「しながわ水族館」は毎年1億円以上の黒字なのに、「ふくしま海洋科学館」は毎年10億円もの赤字を出してるってことをアピールされてる。福島県にある巨大な水族館と、東京の真ん中にある小規模な水族館とを比較すること自体が激しく意図的なワケで、あまりにも「結果ありき」で悲しくなっちゃう。「コンクリートより人を大切にする政治」を掲げながら、結局は「人よりお金を大切にする政治」へと走っちゃってるみたいで、あたしは何だか水深150mの海の底に置き去りにされたみたいに憂鬱になって来た今日この頃なのだ。


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