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2009.11.08

おでんの気分

数日前に「ガリガリ君が美味しいと感じるほど暖かくなった」ってことを書いたら、その次の日から一気に寒くなった。なんか、お天気の神様が「きっこの日記」を読んでて、あたしにツッコミを入れられないように気温を戻したのかと思っちゃったほど、急激に寒くなった。何しろ、テレビのお天気お姉さんによると、あたしが暖かいと思った11月1日が、25度以上、9月上旬の暖かさで、あたしが寒いと思った11月2日が、10度ちょい、12月上旬の寒さだって言うんだから、たった1日で3ヶ月も気温が変わったことになる。

水槽のお魚だって、お水を替える時には、ジョジョに奇妙に慣らしてくワケで、急に冷たいお水の中に移したら具合が悪くなっちゃう。ま、あたしのほうが、黒メダカやクチボソよりは丈夫だと思うけど、それでも、一気に10度以上も下がったんだから、恒温動物のハシクレとして、あたしにも多少のダメージがあった。とにかく、夜の8時か9時くらいまでは、昼間の暖かさが尾をひいてて、そんなに寒くはなかったのに、夜の10時くらいからどんどん寒くなり始めて、明け方には凍えるほど寒くなっちゃったんだからビックル一気飲みだった。

あたしは、深夜まで起きてたから、この気温の変化を体感したけど、夜の10時前にお布団に入った人は、眠るまでは暖かかったのに、目が覚めたら別世界みたいに寒くなってた‥‥っていうか、人によっては寒さで目が覚めた人もいたと思う。川端康成的に言えば、まさに「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」ってワケで、ベッドの4本の足にキャスターをつけて、寝てる人を起こさないように、そ~っと外へ運び出して、上越線の線路の上をずっと走らせてったら、清水トンネルを抜けて新潟県へ出たとこで目が覚めちゃった‥‥って感じだろう。

そんな感じだったから、前日には「ガリガリ君」の美味しさに感動してたあたしも、翌日には温かいものが食べたくなった。それも、体が芯から温まるようなもの‥‥ってワケで、あたしは、激しく「おでん」が食べたくなった。もちろん、ダチョウ倶楽部が顔に当てて「あちちち!」とかやってる「実際はヤケドしないように冷ましてあるおでん」なんかじゃなくて、ホントに熱々のおでんが食べたくなった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、ここ数年の節約生活のセイで、食べ物の値段に対する感覚がずいぶん変わって来た。4~5年くらい前までは、コンビニで普通にメロンパンとかコッペパンとかを買って、お昼ご飯として食べてた。それでも、あたしなりに節約の気持ちがあったから、「パンは1個100円まで」って決めてて、150円のパンとかは買わないようにしてた。飲み物も、お茶を持参してたから、お昼代はパン代だけで100円前後だった。一般的に見れば、これでもケッコーな節約だったと思う。

だけど、もっとシュールな節約生活を始めて、自分で作ったおにぎりを持参するようになったら、それまでコンビニで買ってた100円のパンでさえ、ものすごいムダづかいに思えて来た。だって、スーパーに行けば、食パンが1斤、100円で買えるからだ。あたしは、トーストを朝ご飯にする時は、8枚切りの食パンだと1枚じゃ物足りないけど、6枚切りの食パンなら1枚でちょうどいい。だから、食パンを買う時は、たいていは6枚切りのを買って、フリーザーで凍らせといて、毎朝1枚ずつトーストにして食べる。そうすると、6日ぶんの朝ご飯になる。

100円の食パンが約1週間ぶんの朝ご飯になるのに、おんなじ100円で買ったメロンパンやコッペパンが、たった1回のお昼ご飯で消えちゃうなんて、こんなにゼイタクなことはない。たとえば、お昼にパンを食べたいのなら、8枚切りの食パンを100円で買って来て、そのうちの2枚を使って、イチゴジャムを塗ったサンドイッチと、キュウリの薄切りをはさんだサンドイッチを作って持参すれば、食パン自体は4日ぶんになるし、ジャムやキュウリの金額を足したって、1個100円の菓子パンを買うよりは遥かに安く済む。そう考えるようになったら、それまでは自分なりに節約してるつもりで買ってたコンビニの菓子パンが、あまりにもゼイタクに思えてきちゃったのだ。

こんな感覚だから、すごくタマに仕事仲間とレストランに行った時でも、メニューを見て「食べたいもの」を選ぶんじゃなくて、「値段の安いもの」を選ぶようになった。まあ、レストランに行くなんて、2~3ヶ月に一度くらいだから、1000円前後までは、あたしも好きなものを注文するようにしてる。だけど、サスガに1500円くらいになって来ると、あるものが頭をよぎっちゃうのだ。それは、5キロのお米だ。スーパーに行くと、「こしひかり」とかは5キロで2000円から2500円くらいするけど、「秋田こまち」とかなら1800円くらいだし、「はえぬき」とかなら1500円くらいだ。先週、お米がなくなったから、「はえぬき」を買って来たけど、「新米」のシールが貼ってある5キロのが1560円だった。

で、あたしの場合、朝も夜もお米を食べて、お昼におにぎりを持ってっても、5キロで2週間は持つんだけど、パスタやおそばを茹でて食べたり、お好み焼きを作って食べたりもしてるし、仕事場でお弁当が出ることもあるので、5キロのお米を買って来ると、だいたい3週間近くは持つ。つまり、あたしにとっての1500円てのは、約3週間ぶんの主食の金額なのだ。もちろん、ご飯の他におかずやお味噌汁の材料費も掛かるから、実際にはもっと使ってるワケだけど、いつも買ってるお米が約1500円だから、レストランのメニューに1500円て書いてあると、「この1食ぶんのお金で、3週間ぶんのお米が買える」って思っちゃって、ものすごいイキオイで後ろ髪を引かれちゃうのだ。

‥‥そんなワケで、あたしにとっての「おでん」は、ものすごくゼイタクな部類に入るメニューってことになる。「お鍋」なら、4分の1のハクサイが50円、お豆腐が1丁50円で、あとは、あり合わせのものを入れて、最後にキムチの素を入れて「豆腐チゲ」にすれば、そんなにお金を掛けないで作ることができる。他にも、1匹50円のサンマと、1袋50円のエノキと、あり合わせのお野菜とで「サンマ鍋」にしたりって感じで、工夫すれば、1人ぶん100円ちょっとの予算で作ることができる。

だけど、おでんの場合は、スーパーで売ってる1人ぶんのパックでも250円前後はする。それに、おでんの時は、おでんをおかずにしてご飯を食べるんじゃなくて、おでんだけを食べるから、1人ぶんのパックだけだと、どうしても物足りない。それで、他に食べたいタネを別売りで何点か買ったりすると、アッと言う間に500円を超えて1000円近くになっちゃう。あたしの場合は、一番好きなタネが「ちくわぶ」だから‥‥って、そうそう、こないだの「カニエ」の話と似てるんだけど、ずいぶん前に、何人かで「好きなおでんのタネは?」って話をしてた時のこと、何番目かに「あたしはちくわぶ」って言ったら、地方から上京して来て「ちくわぶ」を知らなかった人に、「ちくわ部」だと思われちゃった。つまり、そんな部活動をやってるほど「ちくわ」が好きな人だと思われちゃったのだ(笑)

「ちくわ」はお魚のすり身で作るけど、「ちくわぶ」は小麦粉を練って作るもので、真ん中に穴の開いてる形状は似てるけど、おでんおける役割はぜんぜん違う。おでんをおかずにしてご飯を食べない‥‥って言うのは、この「ちくわぶ」が、おでんにおけるご飯の役割をしてるからだ。で、あたしは、「ちくわぶ」が一番好きで、次が「すじ」なんだけど、これも、関西の人には「牛すじ」のことだとカン違いされることが多い。東京の「すじ」は、サメのすり身を練ったもので、その中に細かくしたサメの軟骨が入ってて、コリコリとした食感がたまらない。

あたしは、この「ちくわぶ」と「すじ」が大好きで、あとは、「大根」「じゃがいも」「厚揚げ」「結び昆布」「玉子」「紀文のボール」が好きだった。「だった」って言うのは、今は「玉子」は食べないようにしてるからだ。それから、「紀文のボール」に関しては、あくまでも「作りたてのおでん」の場合の話で、次の日に温め直したものは、味が抜けて美味しくなくなる。あたしは、昔から、これが不思議なのだ。おでんのタネって、次の日には、大根とかはさらに味がしみて美味しくなるのに、「紀文のボール」だけは、ヘロへロになって味が抜けて美味しくなくなっちゃう。前の日の夜には、あんんなに美味しかったのに‥‥。

‥‥そんなワケで、この「おでん」て言う料理は、入れるタネにしろ味つけにしろ、ニポン各地にそれぞれのスタイルがある。名古屋のおでんは八丁味噌の味つけだし、沖縄のおでんなんて豚足(とんそく)が入ってるから驚きだ。それぞれの土地の風土に合わせて、独自に進化、発展して来たからだ。だけど、「おでん」て言うのは「田楽(でんがく)」のことで、「田楽」ってのは、平安時代のころからあった豊作を祈って踊る民間芸能のことだ。その「田楽」の中に、田んぼで高い竹馬みたいなのに乗って踊る踊りがあったんだけど、串を刺して焼いたコンニャクやサトイモに木の芽味噌をつけて食べるお料理の見た目が、その踊りの姿に似てたことから、このお料理のことを「田楽」って呼ぶようになった。

今だと、「味噌田楽」って呼ばれてるもので、この「田楽」に使う具材のコンニャクやお豆腐、サトイモやナスなんかを「焼く」代わりに「煮る」ようになったのが、今の「おでん」のルーツだ。だから、調理法で分ける場合には、「味噌田楽」のことを「焼き田楽」、「おでん」のことを「煮込み田楽」って呼ぶ‥‥なんて、ちょっとだけウンチクを傾けつつも、どんなにおでんが食べたくなっても、あたしには、イシモチとかを釣って来て、三枚におろして、白身を叩いてからスリバチで摺って、お塩とか卵白とかを入れて、粘り気が出るまで練って、それを平たい楕円形にして、油で揚げてみたり、蒸し器で蒸してみたり、棒のまわりに塗りつけて焼いてみたりして、ナニゲに薩摩揚げっぽいものとか焼きちくわっぽいものを自作してみるほどの時間もお金もない。

だから、あたしは、とにかくスーパーに行ってみて、それから考えることにしたんだけど、天はあたしを見放さなかった。一番心配してた大根が、1本100円だったのだ。それで、あたしは、とりあえず大根をカゴに入れてから、おでんのタネのコーナーへ欽ちゃん走りした。そしたら、いつもは1袋250円前後のパックが「2袋で450円」になってたから、これを買ってベースにすることにした。そして、絶対に外せないちくわぶが98円、すじが175円、結び昆布が8本入りで160円‥‥って、次々とカゴに入れてった。紀文のボールは200円なんだけど、次の日までの賞味期限のが2割引で140円になってたのが1袋だけあったから、急いでカゴに入れた。

パックのほうには、玉子、コンニャク、薩摩揚げ、ごぼう巻き、大根、焼きちくわ、つみれの7種類が入ってるから、これで彩りは十分だけど、せっかくの「おでんパーティー」なんだから、もうひとつパンチが欲しい。それで、あたしは、ハンペンでも買おうかと思ったんだけど、三角が3つと丸が2つ入った「がんもどきセット」が150円だったので、こっちを買うことにした。そして、最後に、100円の紀文の「おでんの素」をカゴに入れて、お買い物は完了した。総額で約1400円、あたしにとっては、お米5キロの値段に限りなく近い高額なお買い物だったけど、これは、母さんと2人で開催する「おでんパーティー」のための食材だから、あたしにとっては嬉しい出費だった。

‥‥そんなワケで、あたしは、自分の食費に関してはシビアだけど、母さんと食事する場合には、お金のことは考えない‥‥っていうか、値段の高いものを食べても、ぜんぜん気にならない。たとえば、母さんと回転寿司に行った時には、お皿の色を気にしないで、食べたいものを取ることができる。うなぎを食べに行った時には、特上が2800円、上が2300円、並が1800円だったとすると、迷わずに特上を注文できる。その上、う巻きや肝焼きまで注文するから、2人で7~8000円くらいになる。これは、あたしにとって、お米5キロとかのレベルじゃなくて、1ヶ月の食費に近い金額だ。それなのに、まったく気にならない。

高いものを食べるにしても、お金のことを気にしながら注文するとか、後ろ髪を引かれながら食べるとか、そんなんじゃ美味しくないし、食べないほうがマシだ。だけど、あたしは、母さんと一緒の時には、とにかく「母さんに美味しいものを食べてもらいたい」って思いがすべてになる。そうなると、お金のことは気にならなくなる。そして、一緒に食べてるあたしは、喜んでる母さんの笑顔と、自分が美味しいものを食べてることとで、2倍も嬉しくなれる。もちろん、こうしたメンタルな部分での喜びがあるから、お金のことが気にならなくなるんじゃなくて、あたしが節約生活をしてる目的が、もともと母さんに少しでも楽しい思いをさせてあげたいと思ってのことだからだ。

だから、あたしは、自分の目的通りにお金を使ってるワケで、母さんの笑顔を見て嬉しい気分になれるのは、目的が達せられたからでもある。でも、あたしは、これを「自分に対するイイワケ」にも使ってるズルイ女だ‥‥って、ナニゲに「シャ乱Q」の曲名みたくなっちゃったけど、あたしの場合、さっきも書いたように、自分の欲望のためには、100円のメロンパン1個買うことさえも罪悪感を感じちゃう。だけど、あたしの中には、「タマにはゼイタクなものも食べたいな」って思ってるあたしも同居してる。

そのため、今回みたいに、あたしがおでんを食べたいと思った時には、まずは母さんに電話して、おでんを食べたいか聞いてみる。それで、母さんが「食べたい」って言ったら、それが大義名分になるから、あたしは、予算を考えずにおでんの材料を買うことができるし、罪悪感を感じることもなくおでんをタンノーできるってワケだ。その上、母さんの喜ぶ顔も見られるんだから、ミゴトなまでの一石二鳥ってワケだ。ものすごく客観的に見れば、ふだんは「母さんが大切」とか言いながら、自分の欲望のために母さんをダシに使ってるんだから、あたしは最低の人間だと思う。だけど、そこまで言い始めちゃうとキリがなくなっちゃうし、逆に言えば、2人ぶんで1400円のおでんを食べるだけでも、ここまで自己分析した上でお金を使ってるんだから、何も考えずに1500円のランチを注文できるようなセレブよりは、ずっと人生を大切にしてると思う。

‥‥そんなワケで、いろいろと屁理屈をこねくり回して来たけど、練り物がメインのおでんの話題だからカンベンしてもらうとして、結果的に、あたしは、母さんと2人で「おでんパーティー」を楽しむことができた。大根は早めに煮えるように3センチくらいの厚さの輪切りにして、面取りしてからタップリのお水で下茹でして、それから他のタネを入れたお鍋に移して、ピッタリ20分だけ煮込んだ。やっぱり、「ためしてガッテン」で検証してた通りに、おでんは20分煮込んだ時点で「旨味成分」の量が最高になり、それ以上煮込むと、甘味が減ってくだけじゃなくて、練り物の腰もクタクタになってくから、煮込みすぎは厳禁だ。時計を見ながらピッタリ20分だけ煮込んだら、ちくわぶの腰もバッチリだったし、大根も半透明に美しく仕上がったし、がんもどきも重たくてお箸で持ち上げられないほどおつゆがしみ込んだし、紀文のボールも一番美味しい状態になった。そして、久しぶりに母さんと一緒に食べたおでんは、子供のころに、母さんやおばあちゃんが作ってくれたおでんとおんなじ味がした。母さんも「懐かしい味だね」って喜んでくれた。何故なら、母さんもおばあちゃんも、我が家はずっと紀文の「おでんの素」を使って来たからだ。そして、美味しいおでんで体が温まったら、心までポカポカに温まった気分になれた。「紀文」だけに‥‥なんてオチで申し訳ないと思う今日この頃なのだ(笑)


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