« 母さんの自転車 | トップページ | ヒゲと美女とダイヤモンド »

2009.11.25

石のCM、玉のCM

現在放送中のテレビCMって、あまりにも酷いものが多いけど、あたしが呆れ果ててるのは、完全に「逆効果」としか思えないCMがマウンテンだってことだ。その最たるものが、各自動車メーカーが「エコカー減税」を連呼してる車のCMで、全国のお茶の間で数え切れないほどの国民がウンザリしてることだろう。中でも、トヨタの「こども店長」は、「大人げないとは思うけど、ぶん殴ってやりたいクソガキ ワースト10」のダントツの1位で、あの舌足らずの「減税も!」ってセリフを耳にするたびに、多くの大人がイライラしてる。

ダイハツの鹿のアニメの「カクカクシカジカ」とかいうCMにしても、最初のうちはそんなに気にならなかったのに、各メーカーの「エコカー減税」のCMが過熱して来たら、あの鹿が「最近、エコカー減税のCMばかりで、もうウンザリというあなたに、今日は‥‥‥‥‥‥エコカー減税のお話!」 ってCMを流し始めたもんだから、あたしは、そこらにあるものを手当たりしだいにテレビに投げつけたくなるほどイライラしちゃった。「人の神経を逆撫でする」とは、まさに、あのCMのための言葉だろう。

そして、これまたイライラしちゃうのが、ニツサンのCMで連呼してる「お買い時」っていう変なニポン語だ。「お買い得」なら分かるけど、いったい何なの?「お買い時」って? きっと、「今が買い時です」の「買い時」と、「お買い得」を合体ロボさせた造語なんだろうけど、造語なら造語ってハッキリと分かるものを使うべきで、あのCMを聞いてると、フロッピー麻生みたいな「言葉を知らないバカ」がデタラメなことを言ってるようにしか聞こえない。

こうした自動車メーカーのCMは、1本1本のクオリティーも酷いけど、何よりも視聴者を不快にさせてるのが、「エコカー減税が適用されてるうちに車を買わないと損するぞ!」とでも言わんばかりの押しつけ感が全面に出てて、まるで玄関に上がり込んで来た押し売りみたいに感じられることだ。トヨタの「こども店長」にしたって、あのガキ自体がムカつくワケじゃなくて、その後ろにいる大人たちの顔が目に浮かぶことがムカつくのだ。つまり、「可愛い子供を利用してまで消費者を騙して車を売りつけてやろう」っていう魂胆が見え見えだからこそ、あのガキまでもがムカついて来る今日この頃、皆さん、カルシウムは足りてますか?(笑)


‥‥そんなワケで、テレビでCMを流すことが「逆効果」になってると思われるものは、他にもたくさんある。最近、流れ始めたものだと、「こてっちゃん牛もつ鍋」のCMがいい例だろう。国際的カルト教団、ナンミョ~の広告塔の久本雅美なんかを使ってるんだから、完全に「逆効果」としか言いようがない。久本雅美と言えば、感極まって号泣しながら池田大作のことを賛美し続ける異常なVTRが有名だけど、今年は都議選も衆院選もあったから、あちこちのナンミョ~党の候補者の選挙カーの上で、発狂したように応援演説してる姿が、YOU TUBEを始めとした動画サイトに投稿されて、多くのマトモな国民をゾッとさせた。こんなカルト宗教タレントなんかをCMに起用したら、その商品が売れなくなるだけじゃなくて、その企業自体がナンミョ~系の企業だと誤解されちゃうことにもなる。

その上、久本雅美は、今年の春に「週刊現代」が発表した「業界がCMに使いたくないタレント」ってアンケートで、堂々のワースト1位に輝いてるのだ。4月の上旬に、航空、流通、飲料、通信などあらゆる業界のトップ企業149社を対象に、「貴社のテレビCMで最も使いたくないタレントは?」っていうアンケートを行なったところ、久本雅美がダントツの1位で、「なんでテレビに出ているのか分からない」とか「芸風が下品」とかの理由が挙げられてた。でも、これらの理由は、あくまでも「表向きの理由」なのだ。久本雅美を使いたくないって答えた企業の多くは、その理由として「関わりたくない」って答えてる。つまり、これは、「ナンミョ~タレントなんか使ったら、うちの会社がナンミョ~系だと思われちゃう」ってことなのだ。

まだ都議選の前の春の時点で、すでに久本雅美は「業界がCMに使いたくないタレント」のワースト1位だったのに、ナンミョ~党はその後の都議選と衆院選でボロ負けして、自民党と一蓮托生で政権与党の座からひきずり下ろされた。衆院選の時なんて、ナンミョ~党の当時の代表、太田昭宏の選挙カーの上で、久本雅美は歯グキを剥き出しにして狂ったように支離滅裂なことをしゃべりまくってた。それで、党の代表の太田昭宏まで落選したんだから、これほどイメージの悪いタレントは他にいないだろう。その上、これまでの「政権与党」っていう看板まで失っちゃったんだから、久本雅美に限らず、ナンミョ~タレントなんか使う価値はゼロってワケだ。だから、「こてっちゃん牛もつ鍋」のCMを見た多くの人たちは、「何で、今、久本雅美なの?」って思ったハズだ。

‥‥そんなワケで、こうした特殊な例はともかくとして、一般的なCMでも、完全に「逆効果」になってるものが多い。たとえば、ソフトバンクのスマップのCMだ。だけど、これは、スマップには問題はない。あたしは、スマップを始めジャニタレはぜんぶ嫌いだけど、これはあたしの個人的な趣味の問題で、世の中的にはスマップは人気がある。あたしは、香取慎吾の「こち亀」なんて史上最低だと思ったけど、あれほど最悪なドラマでも、ファンから見ればそれなりなんだろう。だから、あたしは、ソフトバンクがスマップを起用したことに関しては、別に異論はない。あたしに嫌われても、世の中の多くのスマップのファンに好意的に見られたほうが、CMとしては成功だからだ。

でも、あたしが「逆効果」だと思ったのは、現在放送中の一連のスマップのシリーズの中で、スマップのメンバーがソフトバンクのショップにケータイを見に行くってシチュエーションのやつだ。スマップのメンバーがゴチャゴチャと私語みたいな会話をしてる最後に、キムタクが「孫さんて剣道めちゃくちゃ強いんだぜ」とかって言うやつ。あのCMで、タレントなんだか実際の店員なんだか知らないけど、スマップのメンバーにケータイの説明をしてる女がいる。あたしは、あの女のしゃべり方が、全身に鳥肌が立つほどガマンできないのだ。

まるで、耳の穴から空気が抜けてるみたいなしゃべり方で、今どきの非常識なバカ女のしゃべり方そのものだ。何度聞いてもイライラしちゃうし、聞けば聞くほどムカムカして来る。そして、あんなバカみたいなしゃべり方の女を「街で出会った一般人」としてCMに出すんならともかく、仮にもソフトバンクのショップの店員として出演させちゃったら、ソフトバンクって企業自体が、あんなしゃべり方しかできないアホにお客の対応をさせてるような低レベルな企業っていうイメージを広めることになっちゃう。だから、あたしは「逆効果」だって言ってるワケだ。そして、もう1つの「白い犬」のシリーズにしても、いったいぜんたいどこが面白いんだか、あたしにはまったく理解できない。第一、あんなつまんないCMをシリーズ化すること自体が、企業イメージを悪くしてる。

こんなことを書いたのも、あたしは、ソフトバンクの2007年のCM、キャメロン・ディアスのシリーズに大感動したからだ。1作目は、荷物をかかえたキャメロン・ディアスが道を歩いてるだけで、BGMはエアロスミスの「WALK THIS WAY」だった。あまりにもカッコイイCMで、あたしは、ついにニポンの代理店でも、こんなにセンスのいいCMを作るようになったんだって思って、ホントに感動した。そして、そのあとは、ELOとオリビア・ニュートン・ジョンの「ザナドゥ」が流れる中、雪の降る中を歩いてるキャメロン・ディアスのCMが流れたから、あたしはまたまた感動した。

だけど、ソフトバンクは、こうしたハリウッドスターのシリーズを流しながら、今も続く「白い犬」のシリーズも平行して放送してたのだ。あたしは、「せっかく素晴らしいCMを流してるのに、こっちのバカみたいな犬のCMのセイで台無しじゃん」て思ってた。そしたら、素晴らしいほうのシリーズが打ち切りになって、どうしようもないほうのシリーズが続いちゃったのだ。予算の都合なんだと思うけど、あたし的にも、ソフトバンク的にも、これはあまりにも残念だった。

‥‥そんなワケで、あたしが「逆効果」だと思ってるのは、他にもたくさんある。誰だか知らないけど、もの凄いテンションの女の子が、発狂したみたいに踊ってるグリコの「ポッキー」のシリーズとか、「アフラック」の「まねきねこダック」のシリーズとかは、見てるほうが恥ずかしくなって来る。「まねきねこダック」は、あの歌がヒットしてるそうだけど、あたしには理解できない。まず、一番最初のCMの、縁側で猫とアヒルが踊ってるやつ。アレって、誰がどう見ても作り物の猫だってことが一目瞭然なのに、それを見て「じょうず~♪」とかって感心する女のワザトラシサにイライラした。そして、トヨタの「こども店長」とおんなじで、あえて舌足らずなガキに歌わせて「可愛い」って思わせようとしてる「後ろの大人たち」の魂胆にムカついた。

広告業界では、昔から「不況になったら子供と動物を使え」って言われてるんだけど、こうした「奥の手」って、あたしは、せめてどっちか1つだと思ってる。子供も動物も両方とも使うなんて、あまりにも節操がなさすぎる。その上、本物の猫じゃないのに「じょうず~♪」って、おいおいおいおい!って感じだ。さらには、猫にクチバシをつけた「まねきねこダック」ってキャラまで作っちゃって、安易で稚拙で軽薄な上に芸がない。おんなじ発想の合体動物でも、何年か前に、オセロか誰かを使った旅行代理店のCMで、サイとパンダで「サイパンだ」ってのがあったけど、あの、サイの角をつけたパンダはホントに素晴らしかった。それに比べると、「まねきねこダック」の酷さは目に余るものがある。

ま、この辺のことは、個人個人の感性の問題でもあるから、あのキチガイみたいな「ポッキー」のダンスを見ても、「アフラック」の「まねきねこダック」を見ても、いいと思う人だっているだろう。でも、あたしだけじゃなくて、あたしの周りのほとんどの人が「アレは変だよ」って言ってるのが、「ACジャパン」のCMだ。1人暮らしのおばあちゃんのとこに息子から電話が掛かって来て、息子が「オレだけど」って言うと、おばあちゃんは自分の息子だってことが分かってるのに、ワザと「オレオレ詐欺」を相手にしてるみたいな対応をして、最後に「してますか?ごきげんうかがい」ってナレーションが入るCMだ。

「ACジャパン」てのは、以前の「公共広告機構」のことで、何かの商品を宣伝してるんじゃなくて、「タバコのポイ捨てはやめましょう」とか、「電車やバスではお年寄りに席を譲りましょう」とか、国民に公共意識を啓発するためのCMを制作して流してる団体だ。あたしたちの税金は使われてないけど、新聞社や出版社や大手企業からお金を集めて運営してて、それが特例社団法人てことで非課税になってるから、ま、メディアの互助システムみたいなもんだ。

で、このヘンテコなCMなんだけど、何よりも気になるのが、息子の変な関西弁だ。そして、最後の「ごきげんうかがい」って言葉にも違和感を覚える。文章として「ご機嫌をうかがう」って言えばおかしくないんだけど、「ごきげんうかがい」っていう名詞にしちゃうと、何だか上司にゴマをすってる部下のイメージになっちゃって、変な「へりくだり感」が生じる上に、「イヤイヤやってる」ってニュアンスまで感じられちゃう。たとえば、久しぶりに実家に行くにしても、「明日は実家の母さんのご機嫌をうかがって来るよ」って言うのなら普通だけど、「明日は実家の母さんの『ごきげんうかがい』に行って来るよ」って言うと、トタンに「イヤイヤやってる」って感じになっちゃう。まだ見たことのない人は、ココで見られるから、息子の変な関西弁と、「ごきげんうかがい」って言葉の違和感を実感してみて欲しい。

‥‥そんなワケで、文句ばっかり言ってるみたいだけど、あたしにも大好きなCMがいくつかあるワケで、中でも、今、放送してる「東京ガス」のCMは、見るたびに涙が止まらなくなる。CMを見て泣くなんて、「あたしも年をとったのかな‥‥」って思っちゃうけど、あまりにも胸にジーンと来る素晴らしいCMだ。それで、2週間ほど前にミクシーの日記で紹介したので、あたしのミクシーの日記と、マイミクの皆さんからのコメントの一部を抜粋する。


2009年11月09日11:47
このCM、観るたびに泣きそうになっちゃいます。
こんなに良質のCMがあるのに、どうしてトヨタの「こども店長」だの、ソフトバンクの「犬のおとうさん」だの、イライラするようなバカCMばかりが高く評価されるのでしょうか?
あたしには理解できません。


ふじくま 2009年11月09日 12:07
同感です。これは泣ける。

あっ!こ 2009年11月09日 14:15
泣きました・・・・

タラ 2009年11月09日 14:56
泣けました。
東京ガスのCMだから流れてるのは東京だけなんでしょうね。
はじめて見てめっちゃ気に入りました。
ほかのマイミクさんとかにも紹介しようと思います。

JJ555 2009年11月09日 15:03
大阪ガスのカスCMの、1000倍良いですね。
泣けました。

Kei 2009年11月09日 16:05
画面が見えない僕などには何を伝えたいのかすら解らないCMが多い昨今、う~ん……こっこれはやられました~……泣きました~(;.;)

オワリン 2009年11月09日 16:23
東邦ガスのエリア在住なんで、知りませんでした。
いいCMですね。泣けました。

------------◎---- 2009年11月09日 16:28
きっこさんが挙げた以外にもくだらない通販のCMとか見てると苛苛するし電話番号覚えちゃう、笑。
このCMは良質でいいですね。
泣けました。

廣島屋 2009年11月09日 22:42
このCMは初めて見ました!
きたろうさんいいですねえ……。

R(アール) 2009年11月09日 23:09
なんていいCMや!
ううううっ感動しました

saya 2009年11月10日 11:15
このCM、本当に泣けますね!

Misty 2009年11月10日 12:44
なんて素敵なCMなんでしょう。。。感動しました。
東京だけでなく全国的に放映して欲しいです!

まるちょう 2009年11月10日 21:03
号泣しました。
ありがとう。

Koharu 2009年11月11日 10:40
このCMはじめてちゃんと見ました。
号泣デス。


‥‥そんなワケで、CMの目的は、もちろん「泣かせること」じゃないけど、わずかな時間で、見る者をこれほど感動させられる作品もあるワケだ。そして、この「東京ガス」のCMは、予算で言えば、ソフトバンクのスマップのCMの10分の1も掛かってない。「画面が見えない僕などには~」ってコメントをくださったKeiさんは、高知県在住の全盲のミュージシャン、堀内佳さんだけど、音を聞いただけでも泣けたそうだ‥‥ってことで、痒いとこに猫の手が届く「きっこの日記」としては、最後に、この東京ガスのCMをリンクしとくので、皆さん、ぜひ見てみて欲しい。特に、東京以外にお住まいの人は、たぶん初めて見ることになると思うけど、これほど良質のCMが、次から次へと垂れ流されてる最低のクズCMの中に埋もれてるんだから、CMの世界も、まさに「玉石混淆」ってワケだ。そして、「石」の中に埋もれてる「玉」を見つけるためには、周りの騒音に左右されないように自分自身の感性を磨くことが大切だと思う今日この頃なのだ。


「東京ガスのCM」


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ 「東京ガス」のCMでウルウルした人は感動のクリックをお願いします♪
  ↓


|

« 母さんの自転車 | トップページ | ヒゲと美女とダイヤモンド »