暫定総理にイエローカード
ハトポッポは、昨日、21日の夜の会見で、民主党が9月の衆院選の時に掲げた公約のうち2つ、「こども手当て」と「ガソリン暫定税の廃止」について、結論を発表した。「こども手当て」は、所得制限を設けずに、公約通りに全員に支給されることになった。だけど、「ガソリン暫定税」のほうは、一応は廃止にするけど、同率の税金を別の名目で課税するそうで、ようするに、ガソリンは1円も安くならないことになった。適切な表現かどうかは別として、「看板の架け替え」ってワケだ。だけど、この2つの問題を一緒に書いてくと、両方とも中途半端になっちゃうから、今日は「ガソリン暫定税」のことだけを書いてこうと思う。
で、まずは、今日の緊急アンケートの結果を発表するけど、これを書いてる夜11時の時点で、回答の総数が9615人で、このうち、ハトポッポの政策を「支持する」が4078人で42%、「支持しない」が4611人で47%、「分からない」が926人で9%っていう拮抗した結果だった。ご協力くださった皆さん、どうもありがとうございました♪‥‥ってことで、今回のアンケートは、最初から「支持しない」が若干リードしつつ、「支持する」と「支持しない」がおんなじくらいのペースで伸びてった。だから、前回のアンケートのように、一部の偏向的な思想の人たちによる裏工作もなかったようで、この結果が、国民の総意に近いと思って間違いないだろう。
ちなみに、あたしは、「分からない」に投票した。自分のことだけを考えれば、政権交代したらガソリンが安くなるって信じてたから、これは完全な裏切り行為で、ムカついてムカついてたまんない。「こども手当て」を何兆円バラまこうとも、子供のいないあたしには関係ないし、あたしにとって「生活が少しでもラクになる」って実感できるのは、この「ガソリン暫定税の廃止」しかなかったからだ。だけど、民主党だって、何か考えがあってやってんだろうから、こうした「自分のことだけ」で判断すべきじゃないと思ったことと、まだ、ハトポッポの言ってることが曖昧でよく分からないので、あたしは、判断を保留した今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしが判断を保留したのは、ゆうべのハトポッポの会見の内容が原因だ。ハトポッポは、最初、こんなふうに言った。
「一度、暫定税率を廃止して、それをすぐに戻すのは姑息だという世論の声がありました。財政が厳しい時だから、むしろ、景気対策、経済対策にしっかりと使ってくれよという(国民の)思いが伝わって来たから、使わせていただくことにすると、最終的に私が判断しました」
お前は、自分の都合のいいように国民の声が聞こえて来るエスパーか?‥‥ってツッコミは置いといて、ここだけを聞くと、「ガソリン暫定税」を廃止して、そのぶん、別の名目の税金を課税するのは、「景気対策」や「経済対策」のためだって言ってる。それなら、あたしは大反対だ。「景気対策」は、ドライバーだけの問題じゃなくて、国民全体の問題なんだから、国民全員が平等に負担するような、消費税とか、住民税とか、そうした税金の値上げでまかなうべきで、ドライバーだけに負担させるのは不公平だからだ。だけど、このあと、ハトポッポは、こんなセリフを付け足した。
「環境の問題もありますし」
「ガソリン暫定税」を廃止した代わりに「環境税」を導入するって議論は、ずいぶん前から出てたことだし、これなら、あたしは納得できる。車に乗らない人よりも、車に乗ってる人のほうが環境を汚染してることは事実だし、ガソリンに環境税を課税するのなら、車を持ってる人でも、ほとんど乗らない人と毎日のように乗ってる人とで納税額が違って来る。たくさん車に乗って、たくさんガソリンを消費して、たくさん空気を汚してる人は、たくさん税金を払うことになるんだから、これなら不公平じゃない。環境を汚した割合に応じて徴収された税金が、環境のために使われるのなら、ちゃんとスジの通った話で、これならあたしも納得できる。
ようするに、あたしは、頭ごなしに増税に反対してるワケじゃない。「ガソリン暫定税」から架け替えられる看板が、どんな名目の税金で、どんなことに使われるのか、その内容によって、「支持する」になる場合もあれば、「支持しない」になる場合もあるってことだ。そして、ゆうべのハトポッポは、この一番重要な点を明言しなかった。ただ、あたしが聞いた上での印象としては、単に財源不足を補うための増税で、「環境の問題」なんてのはイイワケにしか聞こえなかった。だから、あたしとしては、今日のところは、ひとまず保留にしたけど、今後、ハトポッポが、ハッキリと「環境税」ってことを明言して、環境のためだけに使うってことを約束しない限り、限りなく「支持しない」に近いブルーって感じの村上龍だ。
‥‥そんなワケで、あたしは、ずっと前から言い続けて来たけど、納税は国民の義務なんだから、必要があれば増税だってヤブサカじゃないと思ってる。消費税にしたって、ホントに国民のため、ホントに困ってる人たちのために使われるんなら、10%になったって15%になったって構わないと思ってる。だけど、今までの自民党政権では、自分たちと癒着してるヤツラのためだけに税金を使いまくり、ムダな公共事業をバラまき続けながら、それで、予算が足りないから消費税を引き上げるなんて抜かしてたから、あたしは「ふざけんな!」って怒ってたワケだ。
で、こうした税金のムダづかいを徹底的に見直して、税金がキチンと国民のために使われるようにするって公約に掲げたのが民主党だったワケだけど、政権交代したトタンに、どうも雲行きが怪しくなって来た。それは、タバコ税の引き上げに関するハトポッポと長妻ちゃんとの正反対のコメントを聞いたからだ。最初、タバコを1箱500円にするとか600円にするとかって話が出始めた時、厚生労働省が政府税制調査会に提出した要望書には、タバコ税の引き上げを要求する理由として「社会保障費などの財源確保のために」って書かれてたし、完全に厚生労働省の官僚に手なずけられちゃった感のある長妻ちゃんも「財源の不足を補うために」ってコメントした。ようするに、お金が足りないから、タバコ税を大幅に引き上げるってワケだ。
だけど、あたしの周りの喫煙者たちの多くは、「50円か100円くらいの値上げなら吸い続けるけど、200円も値上げされたらタバコをやめるよ」って言ってたので、あたしは、すぐに、喫煙者だけを対象にして、「タバコが1箱500円になったら?」っていうアンケートを実施した。子の時の結果は、10月31日の日記、「タバコの増税は国の大減収」にマトメてあるけど、やっぱり、こんなに大幅に値上げしたら、多くの喫煙者はタバコをやめるし、やめない人でも「本数を減らす」って人が大多数だった。そして、このアンケート結果をモトにして試算したら、タバコを1箱500円に値上げした場合の税収は、年間、6164億円もの大減収になることが分かった。
それで、あたしは、「財源不足を補うためにタバコ税を引き上げるのなら、大幅な引き上げは逆効果だ。税収のアップを見込むのなら、禁煙者が出ないように小幅な引き上げにとどめるべきだ」っていうアドバイスを書いた。だって、厚生労働省も、長妻ちゃんも、そろって「財源の不足を補うための増税」だって言ってたからだ。だけど、このタバコ税の大幅な引き上げについて、ハトポッポは、こう言ったのだ。
「私は(タバコを)吸いませんし、環境、人間の体の面から見てどうだということで、それなりに増税という方向が、私はありうべしかなと思います」
まるで、正岡子規の「鶏頭の十四五本もありぬべし」みたいに難解なコメントだけど、ようするに、ハトポッポは、「タバコは環境にも人体にもよくないものだから、大幅な増税の対象になっても仕方ない」って風味の言い方をしてる。つまり、ハトポッポは、「タバコは環境にも人体にも悪い」→「タバコ税を大幅に引き上げれば、タバコを吸う人が減る」→「タバコによる環境破壊も減り、病気になる人も減る」‥‥って理屈だ。あたしは、これはこれで一理あると思うし、病気になる人が減れば、医療にかかる国の支出も減るんだから、悪いことじゃないと思う。
だけど、この理屈だと、タバコを吸う人が減るんだから、タバコ税の税収も減るワケで、厚生労働省や長妻ちゃんが期待してる「税収アップ」とは正反対の結果になっちゃう。おんなじ「タバコ税の引き上げ」なのに、担当の厚生労働大臣の長妻ちゃんが言ってる「理由」と、総理大臣のハトポッポが言ってる「理由」とが正反対だから、あたしは、こんな増税は納得できないって思ったワケだ。
だから、今回の「ガソリン暫定税」の問題にしても、「景気対策」のためならそう言えばいいし、「環境」のためならそう言えばいい。それなのに、ハトポッポは、「景気対策」と「環境」の両方を口にした。これほどふざけた話はない。だって、「理由」も確定してないのに増税するなんて、結局は「増税ありき」の話ってことだからだ。とにかく、まずは増税だけしちゃって、あとからテキトーな「理由」をつければいいや‥‥ってふうに見えちゃうのだ。
‥‥そんなワケで、9月の衆院選で、民主党が掲げた公約はたくさんあったけど、ハトポッポにしろ、フランケン岡田にしろ、カイワレ王子にしろ、党を代表する面々が連呼してたのは、「こども手当て」と「高速道路の無料化」の2つだった。つまり、民主党としては、この2つの公約を目玉にして総選挙を戦ったワケで、これだけが理由じゃないにしろ、その結果、政権交代を果たしたワケだ。そして、ミゴトに政権交代を果たし、総理大臣に就任したハトポッポは、10月26日の所信表明演説で、国民に対して、次のように約束した。
「年金、医療、介護など社会保障制度への不信感からくる将来への漠然とした不安をぬぐい去ると同時に、子ども手当の創設、ガソリン税の暫定税率の廃止、さらには高速道路の原則無料化など、家計を直接応援することによって、国民が安心して暮らせる「人間のための経済」への転換を図っていきます。そして物心両面から個人消費の拡大を目指してまいります。」
で、選挙中に連呼してた「高速道路の無料化」に関しては、ここでは「原則無料化」なんていう逃げ道を作った表現でお茶を濁してるから、政権をとったトタンに「東名高速と首都高速は除く」とか言い出しても、それほどツッコミは入れられなかったし、挙句の果てに「北海道だけ」なんていう事実上の「公約とりやめ」と同レベルのトンチンカンなことを言い出しても、それでも国民の目は温かかった。これは、民主党が力を入れてたほど国民が望んでた公約じゃなかったってことと、多少の問題があっても、あの史上最悪の自民党政権に戻るくらいならガマンしようってことと、あとは、ご祝儀相場が働いてた時期だったからだと思う。
だけど、その「高速道路の無料化」のオマケみたいな位置づけだった「ガソリン暫定税の廃止」に関しては、ハトポッポは、所信表明で、何の逃げ道も作らずに、明確に「廃止」って断言してるのだ。それも、「こども手当て」の設立と並べて断言してる。そして、全国民に大きな期待を持たせたこの所信表明から3ヶ月近くが過ぎた今月の16日、党の公約であり、自分の所信表明でも約束した「ガソリン暫定税の廃止」をどうしても実現したかったハトポッポは、来年度の予算要望で、周り中から「暫定税ぶんの維持」を求められちゃった。激しく遅ればせながら、多くの人たちが、どう考えても予算が足りないってことに気づいたからだ。そして、この時点で、「ガソリン暫定税の廃止」を事実上あきらめたハトポッポは、翌17日の会見で、こんなセリフをノタマッた。
「少なくとも民主党の候補者は、総選挙でガソリン暫定税を廃止すると主張してきました。その思いはやはり大事にする必要があると考えております」
そう、このセリフこそが、4日後の21日の夜に発表した「ガソリン暫定税は廃止するが、それと同等の別の税を課税する」っていう看板の架け替え作戦に踏み切ったホントの理由だったのだ。つまり、ハトポッポは、あたしたち国民に対してじゃなくて、自分の党の議員たちの顔を立てるために、形だけの「ガソリン暫定税の廃止」を行なったのだ。
そもそも、この「ガソリン暫定税」ってのは、「道路特定財源」の一部であって、道路を造ったりすることにしか使えない。だけど、毎年毎年、何千億円も有り余っちゃうから、国交省の官僚たちは、ムダな箱モノを造りまくったり、職員の寮ってタテマエで豪華なマンションを林立させたり、高級車をマトメ買いしたりして、それでも使いきれないので、みんなで温泉旅行したり、ゴルフへ行ったり、キャバクラへ行ったりして、さらには、マッサージチェアだの、ゴルフセットだの、高級釣具だの、欲しいものを次から次へと買いまくってたワケだ。
だから、「国交省だけオイシイ思いをしやがって!」って思ってた他の省庁から突っつかれたコイズミやアベシンゾーは、この「ガソリン暫定税」を「道路特定財源」から「一般財源」にするために必死だった。「一般財源」になれば、他の省庁も使えるようになるからだ。だけど、国交省の激しい抵抗にあって、コイズミも、アベシンゾーも、「ガソリン暫定税」の一般財源化には成功しなかった。だけど、この長年の問題を何とか形にしたのが、「あなたとは違うんです!」でオナジミのフクダちゃんだった。1年間の在任期間中に、何ひとつ政治的成果をあげられなかったように見られてるフクダちゃんだけど、一応、「道路特定財源制度の廃止」と「2009年度からの一般財源化」っていう枠組みだけは作ったのだ。ま、それを台無しにしちゃったのが、空気も漢字も読めないフロッピー麻生っていう大バカだけど(笑)
ここまで読めば分かるように、35年間もガソリン代に不当に上乗せされ続けて来た「ガソリン暫定税」ってものは、廃止するのならキチンと廃止して、そのぶんが安くならなかったら何の意味もない。そして、廃止しても別の同率の税を課税するくらいなら、フクダちゃんがやろうとしたように、「ガソリン暫定税」はそのままにして、使い道のほうを「道路特定財源」から「一般財源」へとスライドすればいい話で、何も新しい税金なんかを設立する必要なんてない。「一般財源」にすれば、「景気対策」に使おうと「環境」のために使おうと自由だし、「暫定」って形を残しておけば、仮に、今後、世の中の景気が良くなって、徴収する必要がなくなった場合には、廃止して国民の負担を減らすこともできるからだ。
‥‥そんなワケで、ハトポッポは、こんなにもベストな案があるのにも関わらず、「ガソリン暫定税」を廃止にして、それと同率の別の税金を課税するなんていう、手間が掛かる上に後戻りできない最悪の道を選んだのだ。それも、あたしたち国民のほうを向いて選択したんじゃなくて、衆院選で当選した民主党の議員たちの顔を立てるために、こんなにも無意味な「形だけの廃止」をしたんだから、ある意味、まだまだ余裕をぶっこいてるのかもしれない。それに、今日のアンケートの結果を見る限り、全体の42%はこの政策を支持してるんだから、国民の8割が反対してる法案を次々と「数の暴力」で強行採決させて来た自公政権よりは、遥かにマシってことなんだろう。だから、あたしも、レッドカードを出したい気持ちを抑えて、ここはイエローカードにとどめておいて、もうちょっと「暫定総理大臣」のことを長い目で見てあげようと思ってる今日この頃なのだ。
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