荏原町純情商店街
今日は、荏原町に打ち合わせに行ったので、大井町線に乗ってった‥‥って言っても、東京以外の人にはチンプンカンプンだと思うから、軽く説明すると、あたしが住んでるニコタマは、渋谷まで10分ほどで出られる新玉川線と、品川区の大井町まで30分弱で行ける大井町線がある。で、この大井町線てのは、自由が丘も通るから、自由が丘と渋谷に用事がある時とかは、大井町線で自由が丘へ行ってから、東横線で渋谷へ出たりする。
でも、たくさんの人が通勤に使ってる新玉川線は、通称「新玉線(しんたません)」ていう略称があるほどメジャーで、それぞれの駅も大きいし、車両の数も多いのに対して、ジモティーがお買い物にに行くのに使う感じの大井町線は、全線の距離も短いし、駅と駅の間隔も短いし、駅によっては電車の長さよりもホームの長さが短くて一番後ろの車両のドアが開かなかったりするし、各駅停車しかなくて速度もノロノロだし、とってもコジンマリしたアットホームな電車だった。
まあ、電車を表現するのに「アットホーム」ってのも変だけど、電車だけに「ホーム」ってことも踏まえてもらうとして、こんなユルキャラな大井町線だったけど、何年か前には、ニコタマより3駅伸びて溝口(みぞのくち)駅まで行くようになったし、去年の春には、ナナナナナント!「急行」ができちゃったのだ! 全線が30分弱のプチ電車なのに、何で急行なんかが必要なのかって言うと、世田谷区のニコタマだった終点が、多摩川を渉った神奈川県の溝口駅になったことで、立川のほうとかから大井町方面に通勤してる人たちのために、乗り換えの手間ほ省いた上に、「1分1秒でも早く着くように」って考えたんだと思う。
実際、急行に乗ったって、大井町駅に到着するのは、各駅停車より、たった6分早いだけだ。だから、あたしなら、のんびりと各駅停車に揺られてくとこなんだけど、1分1秒を争ってる現代のビジネスマンにとっては、この6分が貴重なんだと思う。たかが6分、されど6分てワケで、ウルトラマンなら怪獣を2匹も倒せる時間だし、キッコーマンの「うちのごはん」なら「もやしのねぎ味噌炒め」と「鶏そぼろ甘辛しょうゆ味」を作れちゃうと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしが下駄代わりに使ってる大井町線の説明も終わったとこで、今日なんだけど、午後1時ころにニコタマの駅に着いて、長いエスカレーターでホームへ上がってったら、右に新玉線、左に大井町線が停まってて、ちょうど新玉線が発車するとこだった。それで、あたしは、小走りで大井町線に乗ったんだけど、これが急行だった。急行だと、あたしの目的地の荏原町駅には停まらないから、自由が丘とか大岡山とかで降りて、各駅停車に乗り換えなきゃなんない。でも、全線が30分弱のプチ電車だから、ハッキリ言って、どの駅で降りても似たようなもんで、最初から時間に余裕を持って行動してるあたし的には、自由が丘で降りるのも自由だし、大岡山で降りるのも大岡裁きって感じだった。
でも、車内はガラガラで、あたしの好きなハシッコの席に座れたから、ギリギリの旗の台まで行くことにした。旗の台で降りて各駅停車に乗り換えれば、次の駅が荏原町だから、水曜日の「ちい散歩」なら歩いちゃう距離だ。だから、あたしも、旗の台から「きっこ散歩」してみようかと思ったんだけど、電車が駅に到着したら、目の前に各駅停車が停まって待っててくれた。その上、運転手さんが若い女性だった。それで、あたしは、そのまま各駅停車に乗って、1分後には目的地の荏原町へ降り立ったってワケだ。つまり、サラッと振り返ってみると、電車の時間なんてぜんぜん気にしないでお家を出たのに、ニコタマの駅に到着したら急行が待っててくれて、急行を降りたら各駅停車が待っててくれて、「待ち時間が0秒」で目的地に着いちゃったってワケだ。
東京は、電車の数がムヤミヤタラに多いから、たとえば、JR山手線の渋谷駅のホームに行けば、朝でも昼でも夜でもどんな時間でも、2分の1の確率で電車が来てる。そして、電車が来てなくても、最高に待っても5分以内に電車が来る。だから、都心の駅で、電車を10分以上も待つことなんてメッタにない。だけど、あたしが乗った大井町線は、そうしたアワタダシイ都心の電車とは違って、ちょっと自由が丘までパンを買いに行く時とかに使う下駄みたいな電車だ。自由が丘でお買い物した帰りに、ちょっと等々力(とどろき)で途中下車して、等々力渓谷をお散歩したりしてから駅に戻って来ると、ホームのベンチで10分くらい電車を待つことがあった。
だから、あたしは、大井町線のそんなユルキャラな部分も踏まえた上で、タップリと余裕を持ってお家を出ることにしてる。駅までの道で顔見知りの猫とバッタリ会った時のこと、電車が10分以上も来なかった時のこと、目的の駅に着いてから目的地が分からなくて道に迷った時のこと、そうしたすべての状況を考えた上で、それでも30分前には到着するように、タップリと余裕を持ってお家を出る。だけど、今日は、顔見知りの猫にも出会わなかったし、電車は待たずに乗れた上な急行だったし、乗り換えも待たずに済んだし‥‥ってことで、1時間近くも早く着いちゃった。
それで、あたしは、荏原町の駅前のパチンコ屋さん、「Ships」で、たった2台しかない「機動新撰組 萌えよ剣~疾風怒濤編~」のスルーの釘が甘いほうの台を打って、お座り一発で確変を引いたから、キリのいいとこでやめて、踏切を渡ったとこにある立ち呑みの焼き鳥屋さん、「きむきむ」のノレンをくぐって、パチンコで勝ったお金で、昼間っから焼酎ダブルのホッピーを飲んだ‥‥てのはウソで、近くの公園で日向ぽっこをして時間をつぶした。
‥‥そんなワケで、あたしの住んでるニコタマは、東急グループの再開発でメチャクチャにされちゃってるし、すでに「ニコタマ」っていうブランドで集客してるお店だらけになっちゃったから、地元の人たちのためのお店ってのがほとんどない。あたしたちジモティーが愛用してた安くて美味しいお店は、カタッパシから立ち退きに遭った。大好きだった銭湯も、魚屋さんも、八百屋さんも、うなぎ屋さんも、ケーキ屋さんも、居酒屋さんも、定食屋さんも、みんな立ち退きに遭った。そして、新しくできたのは、わざわざニコタマまでお買い物に来る人たちをターゲットにしたお店ばかりで、どこも高くてまずい。だから、あたしたちジモティーは、ニコタマではお買い物をしなくなった。
何しろ、ニコタマの駅の中にあるおそば屋さんまでもが、とても「駅そば」とは呼べないようなノリだからだ。普通、「駅そば」って言ったら、小田急線の「箱根そば」に代表されるように、「安くて早くて美味しい」ってのが鉄則だろう。かけそばが200円台で、何か具を乗せて、初めて300円台前半になるのが当たり前だ。そして、「箱根そば」なら、カレー味のコロッケか、チクワの磯部揚げっぽい天ぷらを乗せるのがツーの食べ方だ‥‥って、ま、「箱根そば」のことは置いといて、これは「駅そば」じゃないけど、あたしの大好きな「ゆで太郎」だって、もりそばやかけそばは260円で、タヌキやキツネにして、初めて330円になる。
それなのに、ニコタマの駅構内になる「しぶそば」は、ふざけたことに、基本のかけそばが、すでに300円もするのだ。その上、タヌキやキツネにすると、90円も上乗せになって390円になっちゃう。「ゆで太郎」より60円も高くなるのだ。天カスを散らしただけで90円だなんて、1食の予算を100円に設定してるあたしから見ると、にわかには信じがたい現実だ。さらに言わせてもらえば、「ゆで太郎」なら、立派な掻揚げを乗せてもらっても380円だ。そう、「しぶそば」のたぬきそばよりも、「ゆで太郎」の掻揚げそばのほうが安いのだ。
その上、「しぶそば」は、オシャレ度を演出するためなのか、従業員がみんな女性なのだ。駅構内の立ち食いそば屋には、おばちゃんが働いてるとこもあるけど、ニコタマの「しぶそば」は、そういうおばちゃんじゃなくて、それなりに若い女性たちが、それなりにオシャレなユニフォームを着て働いてて、ムリに「今どき度」をアピールしてる。もちろん、あたしは、そうしたことに異論はない。どんなお店でも、「安くて早くて美味しい」のなら、「駅そば」として合格だと思ってる。でも、他の「駅そば」や「立ち食いそば屋」の平均値よりも、すべてのメニューが50円前後も高い上に、カンジンの味がイマイチなのだ。
10点満点で点数をつけるとすると、「ゆで太郎」が9点、「箱根そば」が8点、「富士そば」が7点‥‥て感じなのに対して、「しぶそば」は6点くらいだ。もちろん、こうしたお店は、店舗によって味やサービスに差があるから、「ゆで太郎」でもイマイチのお店もあるし、「富士そば」でもなかなか美味しいお店もある。だから、この点数は、あたしが食べたことのある数店舗の平均点てワケだ。
たとえば、「ゆで太郎」なら、あたしのイチオシの新橋の2店舗は、どっちも10点満点だ。だけど、渋谷の宮益坂の「ゆで太郎」は、時間にもよるけど、いい時で9点、悪い時で8.5点くらいだ。そして、他の「ゆで太郎」の点数も合わせて、その平均が9点てワケだ。渋谷の「富士そば」なら、センター街を入ってって、左に曲がったとこにあるお店が有名だけど、あたしの場合、もっと先まで行って、東急ハンズのとこにあるほうのお店に行く。その理由は、センター街の「富士そば」が7点なのに対して、東急ハンズのとこの「富士そば」は7.5点だからだ。
「富士そば」に関して言えば、去年の秋ころにオープンした大井町の2号店、大井町駅の東口を出て左へ行ったとこのお店がなかなか美味しいけど、それでも8点弱って感じだ。何でかって言うと、「富士そば」は、かけそばが280円だからだ。「ゆで太郎」は260円なのに、そばの茹で方もうまいし、茹でたあとのシメ方もうまいし、おつゆの濃さもちょうどいいし、すべての面において段違いに美味しい。一方、「富士そば」は、7割方のお店が「15秒ほど茹ですぎ」なのと、洗い方が甘いのと、おつゆが濃すぎる。それで20円も高いんだから、この点数は仕方ない。
そして、天下の「富士そば」に対しても、これほど厳しい点数をつけちゃうあたしだから、50円も高い上に、味もイマイチの「しぶそば」は、どう転んでも6点しかあげられない。「しぶそば」の関係者で、この点数に不満がある人がいたら、新橋の「ゆで太郎」へ行って、「茹で立てでお願いします」って言って、260円のかけそばを食べてみるといい。完全に「立ち食いそば」のレベルを超えた美味しさに、ガクゼンとするハズだ。ま、2店舗のうち1店舗はテーブル席だから、正確には「立ち食い」じゃないけど(笑)
‥‥そんなワケで、ニコタマは、「駅そば」でさえもこのアリサマだから、地元じゃメッタに外食する気にならないあたしだけど、久しぶりに荏原町へ行ったら、古き良き駅前の風景が広がってて、思わず外食をしたくなっちゃった。もちろん、お家でお昼ご飯を食べてから出て来たから、ムダなお金は1円たりとも使わないけど、荏原町駅の改札の前は、1つの建物が細かく仕切られてて、間口の狭いお店が長屋みたいに並んでるのだ。カウンター席だけのおそば屋さんやラーメン屋さんなんかが4~5軒並んでる上に、ラーメン屋さんにしても、今どきの偉そうなラーメン屋さんじゃなくて、札幌ラーメンの「どさんこ」だ。
東京のラーメン屋さんて、あたしが子供のころは、3割くらいが昔からある東京ラーメンの個人商店で、7割くらいが札幌ラーメンのチェーン店だった。名前も、「道産子」だったり「どさん子」だったり「どさんこ」だったりと表記はマチマチだったし、「どさんこ」以外の名前のお店もあったけど、とにかく、太い麺で、醤油と塩と味噌があって、バターだのコーンだの、北海道チックなトッピングがあった。だから、鶏ガラと煮干しのアッサリしたスープで、細めの縮れ麺で、メンマとホウレン草とチャーシューとナルトのシンプルなトッピングの東京ラーメンに慣れてたあたしには、太い麺とコッテリしたスープに山盛りのモヤシを乗せた札幌ラーメンは、ビジュアル的にも衝撃だった。
そして、東京中に広まった札幌ラーメンも、時代の流れとともに減少してって、その代わりに台頭して来たのが、「つけ麺大王」を始めとする「つけ麺」のチェーン店だった。今まで「どさんこ」だったお店が、知らないうちに「つけ麺大王」に代わったとこもたくさんあった。だけど、札幌ラーメンもつけ麺も口に合わなかったあたしには、どうでもよかった。やっぱり、あたしは、ラーメンならアッサリした東京ラーメンが好きだし、何よりも江戸のおそばが好きだから、こうしたフランク・ザッパな麺類には興味がない。
だけど、東京中どこへ行っても、駅前に必ずあった札幌ラーメンのチェーン店を見かけなくなって長いこと経つから、今日、荏原町の駅前で見た「どさんこ」の看板は、とっても懐かしかった。そして、正面にあるパチンコ屋さんの「Ships」も、託児所まで完備した今どきの大ホールじゃなくて、昔ながらの小さなホールで、台と台との間隔も狭いし、1つの機種がズラーッと並んでなくて、お店全体がバラエティーコーナーみたいで、温泉地のスマートボール場みたいな風情だった。
商店街の道幅も狭い上に、田んぼの畦道をそのまま道路にしたようなクネクネした道で、温泉宿の浴衣と下駄で歩きたくなっちゃうような雰囲気だった。浴衣のままパチンコを打って、そのまま踏切を渡って、三角形の土地にムリして建てたみたいな立ち呑みの焼き鳥屋さん、「きむきむ」のノレンをくぐって、早い時間からホッピーを飲む。そして、宿に戻ったら、また温泉に入る‥‥って感じの町並みだった。
あたしの愛する地元、ニコタマは、東急グループの再開発でメチャクチャにされてる。ジモティーたちから笑いものにされてる「フールズタワー(愚者の塔)」の林立しかり、駅から直接、高島屋へ行けるようにする工事しかり、すべてはヨソ者のための開発で、あたしたち地元の住人は大迷惑してる。辺野古で暮らす人たちのことを1ピコグラムも考えずに、自分たちのお金儲けの都合だけで普天間飛行場の移設計画をゴリ押しして来た自民党の守銭奴どもとおんなじで、ニコタマで暮らしてるあたしたちジモティーのことなんて1ピコグラムも考えてないのがよく分かる。
‥‥そんなワケで、ニコタマは酷いアリサマになっちゃったけど、大井町線沿いに移動すれば、まだまだ捨てたもんじゃない町並みが散見できる。人情味あふれる町かどうかは、住んでみないと分からないけど、少なくとも、ヨソ者のためじゃなくて、地元の人たちのための商店が並んでることだけは確実だったから、1週間に1回くらいは外食してみようって気持ちにもなりそうだと思った。とにかく、10年前は、安くて美味しいお店がいっぱいあったのに、再開発の波に押されて、今や、高くてまずくて見かけだけオシャレなお店ばかりになっちゃったニコタマは、どんどん住みにくくなって来たと思う今日この頃なのだ。
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