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2010.01.26

民意の重さ

昨日の24日に投開票が行なわれた沖縄県名護市の市長選は、自民党とナンミョ~党による「期日前投票に身内を大量動員してインチキ票を集める」っていう薄汚いお家芸が炸裂したのにも関わらず、さらには、「辺野古への移設案をキープしときたい」って考えてる弱気なハトポッポ内閣が「民主党の推薦した候補者をあえて積極的には応援しなかった」っていうマイナス要因を抱えてたのにも関わらず、平和を愛する多くの人たちの心がひとつになって、「基地反対」を掲げた新人の稲嶺進さんを当選させることができた。

もともと、名護市の人たちの民意は「基地反対」だった。そりゃそうだろう。民有地の海岸を歩いてるだけで、アメリカ兵がニヤニヤ笑いながら銃口を向けてきたり、酷いケースになると、何もしてないのに殴られたり蹴られたりと、日ごろからキャンプ・シュワブのアメリカ兵たちによる傍若無人な暴力を受け続けてるからだ。そんなとこに、さらに新しい基地を造られたら、とてもじゃないけど暮らして行けない。だけど、13年前に、当時の売国自民党政権が、名護市の人たちに何の相談も説明もなく、勝手にアメリカ政府と「普天間飛行場の辺野古への移設」を合意しちゃった。そして、事後に合意を知らされた名護市の人たちが行なった当時の住民投票では、当然のことながら「反対」が過半数を超えた。

それなのに、その後の名護市の市長選では、選挙のたびに自民党とナンミョ~党による卑劣な「インチキ票集め工作」が繰り広げられて来た。基地建設の利権に群がる土建屋の関係者を投票所までマトメて送迎したりするのはブレックファースト前で、選挙が近づくと、急に名護市に住民票を移す数多くの某カルト教団の洗脳信者どもは、選挙で「基地賛成」の候補者に一票を投じたあと、すぐに消えてく。こんなインチキ選挙によって、民意に反した「基地容認派の市長」が当選して来た。だけど、今回の市長選では、度重なるハトポッポ政権の裏切り行為に堪忍袋の緒が切れた名護市の人たちが、「堪忍袋」の代わりに「島袋」っていう自民党のコシギンチャクを破り捨ててくれた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、24日の夜、選挙事務所で支援者たちと「当確」の報せを聞いた稲嶺さんは、「多くの市民のブリディーな選挙戦だった。これが市民の民意だと示すことができた」ってコメントした。「ブリディー」ってのは、沖縄の言葉で、「みんなの手」って意味だ。平和を愛する多くの人たちの手がつながって、大きな輪になったってワケで、「エヴァンゲリオン予想」的なコジツケで言えば、「大きな輪→沖縄」ってことになる。ま、「沖縄」を「大きな輪」にコジツケるのは、今に始まったワケじゃなくて、沖縄では「大きな輪」って銘打ったイベントも何度も行なわれてるし、レゲエやヒップホップやいろんなジャンルのミュージシャンが「大きな輪」を「沖縄」にカケた歌を歌ってる。大阪には「大きな輪」って名前の沖縄料理と泡盛のお店があるし、みんなが手と手をつないだ「大きな輪」は、昔から「沖縄」を表現する時の常套句でもある。

そんな「大きな輪」を民意としてハッキリと示したのが今回の市長選だったけど、沖縄の人たちが、この「普天間飛行場の移設問題」に対して民意を示したのは、これが始めてじゃない。去年の衆院選では、沖縄の4区すべてで、「基地反対」を公約に掲げた野党の候補者が当選して、政権交代への大きな推進力になった。もちろん、これは、民主党の代表のハトポッポが、選挙中に、何度も何度も「最低でも県外移設、できれば国外移設」っていう「公約」を連呼したからだ。だけど、こんな「公約」を連呼して衆院選に勝ったのに、ハトポッポ内閣は、政権交代を果たしたトタンに、雲行きが怪しくなり始めちゃった。

外務大臣に就任したフランケン岡田は「嘉手納基地に統合」とか言い出すし、防衛大臣に就任したコシヌケ北沢は「グアムはありえない」とか言い出すし、官房長官に就任したヌラリヒョン平野は「県内移設しかない」とか言い出すし、もうメチャクチャだった。それでも、あたしは、最初のうちは、やっと政権交代が実現したばかりなんだし、こうして閣僚がそれぞれ自由な発言をできるのも民主主義っぽくていいし‥‥って思ってた。閣僚それぞれが自由に発言しても、トップのハトポッポが「最低でも県外移設、できれば国外移設」って国民に約束してくれてたから、何かの機会にビシッと言ってくれると思ってた。

閣僚たちは自分の思ってることを自由に発言する。でも、トップのハトポッポが、内閣としての意見をビシッと言う。こうした形こそが、ホントの民主主義だと思うし、これなら、あたしたち国民も安心して政権を任せておける。ようするに、あたしたちは、ハトポッポに「リーダーシップ」を期待してたってワケだ。だけど、そんな国民の期待を裏切って、ハトポッポの口から出たのは、「沖縄の人たちの民意を聞いてから決めます」っていう信じがたい言葉だった。あたしは、この無責任な発言を聞いて、「はぁ?」って思った。

だって、沖縄の人たちの民意は、衆院選の結果として、トックに表われてたからだ。その民意を受けて政権交代が実現されたのに、その民意を受けて総理大臣に就任したのに、何を今さらトンチンカンなことを言い出したのか? 沖縄で、民主党を始めとした野党の候補者に一票を投じた人たちはたくさんいたけど、いったい誰が「高速道路の無料化」を望んで一票を投じたって言うのか? みんな、「普天間基地の県外国外移設」や「日米地位協定の抜本的見直し」を望んで一票を投じたに決まってんだろ! それなのに、今さら「沖縄の人たちの民意を聞いてから」だなんて、お前はバカか?‥‥って思った。

そして、この無責任発言を聞いた沖縄の人たちは、「それなら、もう一度、沖縄の民意を見せてやろうじゃないか!」って思って、11月8日に宜野湾公園で「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」を開催した。広大な会場に入りきれずに、公園の周りまで埋め尽くした何万人という人たちは、口々に「辺野古への移設」や「県内移設」に反対して、沖縄の民意を見せつけた。これは、ハトポッポが「沖縄の人たちの民意を聞いてから決めます」ってノタマッたことに対する、沖縄からの明確な答えだった。

だけど、これで、ハトポッポが、選挙中に自分が何度も連呼してた「公約」を思い出すと思ったのもトコノマ、次にハトポッポの口から飛び出したのは、「来年の5月までに決めます」っていう、時間稼ぎのゴマカシだった。どうして、ここで、沖縄の人たちの民意を正面から受け止められなかったのか? まあ、いろんな諸事情があったんだと思うけど、水面下でどんな動きがあったのかって言うと、閣僚の行動と発言がそれを表わしてた。

フランケン岡田は、さっそく沖縄入りして、生まれて始めて普天間基地を視察して、「こんなに危険な場所にある基地は1日も早く代替施設へ移さなきゃいけない」って言い出して、それと同時に、ヤタラと「日米合意の重要性」を口にし始めた。そして、コシヌケ北沢は、ハトポッポの命を受けてグアムを視察して、開口一番に「グアムは無理」って報告して、宜野湾市長やオムライス党が推してる「グアム移転案」の火消しに奔走した。こうした閣僚の行動や発言は、暗に「辺野古への移設もやむなし」っていうイメージを広げるための幼稚な根回しにしか思えなかった。

‥‥そんなワケで、沖縄の人たちは、去年の衆院選で民意を伝え、政権交代後の「県民大会」でも民意を伝え、今回の名護市の市長選でも民意を伝えたってワケだけど、この「民意3連発」を受けても、まだ、ハトポッポは、「それはそれとして、ひとつの意思だと受け止める必要があるが、(普天間飛行場の移設先に関しては)ゼロベースだ」ってノタマッた。そして、ヌラリヒョン平野に至っては、「名護市長選の結果はひとつの民意の表れだが、斟酌(しんしゃく)しなければならない理由はない」と来たもんだ。念のために、「斟酌」ってのは「相手の気持ちを思いやる心」って意味だから、ようするに、この国の官房長官が、「名護市の人たちの気持ちなんて考える必要はない」って言ったワケだ。

選挙は民主主義の根幹なんだから、その選挙で選ばれた市長が何よりも大きく掲げた「公約」ってものは、それこそ「民意」そのものなのに、それに対して「斟酌しなければならない理由はない」とは、民主主義ってものを根底から否定するほどの暴言であり、あたしは、久しぶりに、開いた口からエクトプラズムが出て来て幽体離脱しちゃいそうになったよ、まったく。ま、ヌラリヒョン平野に関しては、「内閣機密費」の時も「そんなものがあるんですか?」なんてスットボケてたほどの厚顔無恥だから、今さら何を言っても驚かないつもりでいたけど、ここまでバカだとは思ってなかった。

ま、今回のヌラリヒョン平野のセリフは、ハトポッポ内閣の「本音」みたいにも聞こえたし、実際、今回の市長選でも、民主党は稲峰さんのことを推薦してたクセに、ほとんど応援をしなかった。本来なら、大物議員を次々と応援に駆けつけさせたり、ハトポッポ自身が応援に駆けつけてもいいくらいの重要な選挙だったのに、不思議なことに、稲峰さんの応援に駆けつけたのは、オムライス党を始めとする「民主党以外の議員」ばかりだった。好意的に見れば、「ハトポッポは小沢一郎の問題で忙しいんだろう」ってことになるけど、自分が駆けつけないにしろ、代わりに大物議員を応援に行かせるくらいのことはできたハズだ。

‥‥そんなワケで、文句ばっかり言っててもジンジャエールだから、もっと建設的なことを書こうと思うんだけど、何が一番の問題なのかって言うと、ずっと沖縄にだけ基地を押しつけて来た売国自民党の悪政だった。利権のために全国に林立されてる危険極まりない原発しかり、自民党政権下では、大型の利権が絡む基地や原発などの「国民にとってのお荷物」を地方に押しつける際に、必ず「補助金」をバラ撒いて来た。ようするに、イヤなものを押しつける代わりに、コレといって主産業のない貧しい地域に対して、ノドから手が出るほど欲しい「現金」をバラ撒いて来たってワケだ。

「ジュゴンの見える丘」を歌ってる沖縄出身のCoccoは、ドキュメンタリー映画「大丈夫であるように~Cocco 終らない旅~」の中で、沖縄の基地や青森の六ヶ所村の核リサイクル施設のことを国による「飴とムチ」だって何度も繰り返してる。ホントは誰もが嫌がる危険なものを押しつけて、その代わりに「現金」や「仕事」という飴をバラ撒く政策。こんなものが、ホントに国民のことを考えた政策なんだろうか?‥‥って、わざわざ疑問形にするまでもなく、こんなもんは、とてもじゃないけど、マトモな政策とは呼べない。そして、その裏に、一部の政治家や大企業だけが大儲けできる利権が絡んでるんだから、なおさらだ。

基地でも、原発でも、ホントに心から賛成してるのなんて、何百キロも何千キロも離れた都市部の「安全な場所」に住んでる悪徳政治家や官僚や一部のお金持ちだけで、現地の住民はみんな苦しんでる。沖縄の基地の問題なら、名護市に限らず、ウチナンチューで、両手を挙げて基地に賛成してる人なんて1人もいないハズだ。基地に賛成してる人は、誰でもみんな、何らかの形で基地の恩恵にあずかってる人たちだけだ。それも、自分たちが生きてくための手段として、仕方なく基地に賛成してるだけで、沖縄がホントの意味で自立して、基地に依存しなくてもみんなが生きて行けるようになれば、ウチナンチューは1人残らず「基地反対」になるだろう。

‥‥そんなワケで、宜野湾市のど真ん中にある「世界一危険な基地」でオナジミの普天間基地だけど、あたしは、この普天間基地をニポンに返還する代わりに、その代替施設を造ってやるっていうニポン政府の考え方が、そもそも間違ってると思ってる。まず、ものすごく根本的なことを言うと、この普天間基地ってのは、戦争中に沖縄に上陸したアメリカ軍が、そこに住んでた民間人に銃を突きつけて、奪い取った土地に勝手に造った基地だ。だから、本来なら、北方領土とおんなじに、ニポン政府はアメリカに対して「無条件返還」を要求すべきものだってことだ。

だけど、アメリカの飼い犬になることを選択したニポン政府は、「無条件返還」を要求するどころか、アメリカが支払うべき土地代まで肩代わりして、あたしたちの血税から年間に60億円もの賃貸料を地主たちに支払い続けてるのだ。だから、土地を奪われた人たちも、一応はガマンしてるワケだけど、よく考えてみれば、自分の支払った税金が、自分が奪われた土地代として、自分に戻って来てるだけだってことに気づくだろう。

で、こんな「百害あって一利なし」の基地なのに、ニポン政府は、こんなものを正当化するために、バカのひとつ覚えの「抑止力」なんて言葉を連呼して来た。ようするに、「沖縄にアメリカの基地があるからこそ近隣国の侵略や攻撃を抑止することができる」っていう幼稚な理屈なんだけど、これほどの詭弁はないだろう。だって、普天間基地にいるアメリカの海兵隊ってのは、他国からの攻撃を迎撃するための部隊じゃなくて、他国を侵略するための部隊なんだから、たとえ、どっかの国がニポンを攻撃して来たとしたって、あたしたちを守ってはくれないからだ。

沖縄にいるアメリカの海兵隊の仕事は、皆さんご存知の通り、ベトナムの民間人を殺しに行ったり、イラクの民間人を殺しに行ったり、アフガンの民間人を殺しに行ったりっていう「侵略行為」であって、防衛なんかじゃない。そして、こんなことは、沖縄の人たちはみんな知ってるから、基地に賛成してる人たちだって、誰1人として「抑止力のために基地が必要」だなんて理由で賛成してる人なんていない。みんな、自分が生きていく上での「必要悪」として、仕方なく賛成してるだけなのだ。

そして、さらに言えば、現在の普天間飛行場にいる海兵隊のほとんどは、代替施設へ移動になるハズのヘリ部隊も含めて、2014年までに、みんなグアムへ移転することが決まってる。これは、去年の11月20日に発表されたアメリカ側のロードマップ、「沖縄からグアムおよび北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」にハッキリと書いてあることだ。だから、たとえ日米合意の通りに辺野古に基地を造ったって、どこか別の場所に造ったって、そこに海兵隊のヘリ部隊は常駐しない。

で、何が常駐するのかって言うと、数え切れないほどの墜落事故を起こしてる最悪の欠陥機、「オスプレイ」だ。ようするに、アメリカ軍は、常に墜落の危険と隣り合わせの欠陥機を身近に置きたくないから、ニポンに押しつけちゃえって考えてるだけなのだ。こんなもんに、ニポンを守る能力なんてアリエナイザーだし、それ以前に、海兵隊にニポンを守る意思なんてない。その証拠に、アメリカ軍の海兵隊の公式ホームページを見ても、沖縄に駐留する目的の中に、「ニポンを守る」なんて言葉はいっさい書かれてない。

‥‥そんなワケで、右に偏った人たちが、バカのひとつ覚えみたいに繰り返してる「抑止力」なんてものは、「単なる幻想」、もしくは、「アメリカ軍の人殺しを正当化するための詭弁」でしかない。アメリカ軍がニポンに駐留してるは、他国を侵略するための前線基地として便利だってことと、ニポンに駐留してると莫大な「おもいやり予算」がもらえるから、是が非でもニポンから離れたくないってのが「本音」なのだ。決して、ニポン人のことを守ってくれてるワケじゃないし、それどころか、ニポン人のことなんて思いっきり見下してる。だから、あたしは、ハトポッポ政権が自民党政権とは違うって言うのなら、自民党みたいにアメリカの飼い犬にならずに、沖縄の側に立って、沖縄の人たちの「民意」をアメリカに突きつけるべきだと思ってる。それでこそ、政権交代した意味があると思うし、何よりも、ハトポッポ自身が所信表明で明言した「対等な日米関係」への第一歩だと思う今日この頃なのだ。


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