ありがとう!国母選手!
今日、国母選手の出たスノーボードのハーフパイプの決勝を録画しといて観た。あたしは、ハーフパイプに限らず、国母選手がスノーボードをしてる姿を観るのが初めてだったワケだけど、あまりのカッコ良さにビックル一気飲みだった。マスコミが繰り返して報じてた記者会見でのふてくされた態度で、イヤでもマイナスのイメージが先行してたから、ヨケイにカッコ良く見えた。結果だけで言えば、最後の着地で手をついちゃったことで大きく減点されて、惜しくもメダルは逃したけど、それでも、ニポンのチームの中では最高の8位だったし、何よりもカッコ良かったのが、最後にダブルコークっていう大技にチャレンジしたことだった。
あたしは、カッコ良さの順位って、1番目が「難易度の高い技にチャレンジして成功する」、2番目が「難易度の高い技にチャレンジして失敗する」、3番目が「無難な技に変更して成功する」、4番目が「無難な技に変更したのに失敗する」ってふうに並んでると思ってる。だけど、得点で言うと、2番よりも3番のほうが高くなる。だから、いろんな競技で、2番よりも3番を選択するチームや選手がいるんだろうけど、あたしの感覚だと、得点のために無難な技に変更するなんて、これほどダサいことはない。
あたしが、フィギュアスケートのミキティーのことをあんまり好きじゃなかったのは、毎回毎回、「決勝では失敗しても4回転を飛びます」って宣言しときながら、実際に決勝になると、無難な3回転しかやらない上に、その3回転でもコケたりしてたからだ。つまり、4番てことだ。もちろん、本人の意思とはウラハラに、スキー連盟とおんなじくらい腐りきってるスケート連盟の意向だとか、コーチの命令だとかがあって逆らえないのかもしれないけど、それなら、「決勝では失敗しても4回転を飛びます」なんて言わなきゃいい。「不言実行」や「有言実行」ならともかく、「有言不実行」だなんて、「お前は政治家か!」って思ってた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、前回のトリノオリンピックでは、「大好きな荒川静香さんの試合しか観なかった」って書いたけど、今回、国母選手の試合を観て、「テンエイティー」って言葉が何度も出て来たのを聞いて、ものすごいデジャブ感に襲われた。それで、日記の過去ログを調べてみたら、2006年2月13日の日記、「ビックル飲んでテンエイティー」が見つかった。あたしは、前回のトリノオリンピックでも、ちょっとだけ、スノーボードのハーフパイプを観てたのだ。
あたしが観たのは、たぶん決勝だったと思うから、17才当時の国母選手は出てなかったと思うし、選手の名前なんか1人も知らないあたしとしては、高くジャンプした選手たちがクルクルと回るたびに、実況アナが「テンエイティー」とか「ナインハンドレッド」とか言ってるのを聞いて、その意味を考えるほうに気が向いてたみたいだ。結局、この時の日記を読むと、あたしの出した答えは、こんなことだった。
『「テンエイティー」ってのは「1080」、「ナインハンドレッド」ってのは「900」ってことで、両方とも「180」の倍数だ。つまり、これは回転数のことで、3回転(180度×6回)するのが「テンエイティー」で、2回転半(180度×5回)するのが「ナインハンドレッド」ってことなんじゃないだろうか?』
スノーボードに興味のないあたしは、このあと、ちゃんと調べたりしてないから、この推測が正解なのか不正解なのかは、未だに分からない。でも、ハーフパイプの世界は日進月歩みたいで、4年前には凄い技だったテンエイティーも、今回は誰もが簡単にやってる普通の技になっちゃって、金メダルを獲ったアメリカのショーン・ホワイト選手を筆頭に、時代は「縦回転」になってた。国母選手がチャレンジして惜しかったダブルコークって技も、ショーン・ホワイト選手が編み出した技とかで、横に回りつつ縦にもクルクルと回るんだけど、これまた名前の意味が分からない。
「ダブル」は「2回」だろうけど、「コーク」が分からない。英語で「コーク」って言えば、普通は飲み物の「コーラ」のことで、スラングだと麻薬の「コカイン」のことになるけど、「コカインをキメたくらい気持ちいい」って意味なんだろうか?でも、この技を編み出したショーン・ホワイト選手は、他にも、ダブルマックナントカって技もやってたから、「コーク」だの「マック」だのって、この人、マクドナルドがスポンサーについてんだろうか?‥‥って思った。とにかく、4年後のどこかの冬季オリンピックで、ショーン・ホワイト選手が出す新しい技の名前が「チキンマクナゲット」だった場合には、あたしの推理はゆるぎないものになるだろう。
‥‥そんなワケで、オチャラけはここまでにして、ここからはリトル真面目なことを書いてくけど、今回、スノーボードチームの元コーチの古川元幸さんの文章を読むことができて、あたしは、ホントに良かったと思った。たくさんの人から、「真実を知ることができて良かった」とか、「古川さんの文章を読んで、国母選手を応援する気になった」っていうメールが届いてて、紹介して良かったと思った。古川さんの文章を読んでなければ、今回のハーフパイプの決勝を観ても、ただ単に「アメリカの選手って凄いな」、「ニポンの選手はまだまだだな」って思っただけだっただろう。その裏に、選手を育成する上での大きな違いがあることなんて知らずに、結果だけから安易な判断をしてたと思う。
だけど、あたしは、古川さんの文章で、事前にオリンピック選手の実情を知ることができたから、アメリカやスウェーデンとニポンとで、これほど選手の扱いに差があるのに、それでも世界と肩を並べて戦った国母選手や青野選手のことを心からリスペクトすることができた。これは、大きな収穫だ。あたしは、最後にダブルコークを飛んだ国母選手を見て、純粋に「カッコイイ!」って思えたし、4年後も応援しようと思えた。ちんみな、古川さんは、次のように書いてる。
「選手の立場からみたらオリンピックは、ただ世界で最高の大会にすぎないのです。最高の大会で自分の納得いく競技がしたいというのが彼らの本音です。だれも日本をしょって立つなどと考えていません。」
「大会終了後、勝てなかった選手はお偉いさんたちにとってはもうゴミです。だれもシャイな高校生の競技後の気持ちなど考えない。だれもそれをケアしようとしない。日本のスポーツの世界なんてこんな程度です。世の中が変化しスポーツの世界も変化しているのに、いまだにアマチュアリズムやスポーツマン精神、たてまえや、お偉いさんのメンツの方が一競技者より優先されます。まだ若い一選手に日本というものを背負わせるのは重すぎると思います。スポーツマン精神は競技者のなかから生まれるものなのにいつのまにか一般大衆の価値観で決められてしまっているようです。」
だから、あたしは、4年後も国母選手を応援しようと思ったけど、国母選手には、ニポンのためなんかじゃなくて、自分のために、オリンピックでメダルを狙って欲しいと思った。自分は何もせずに、テレビを観て文句を言ってるだけの人たちなんか無視して、国母選手には、大好きなスノーボードで、もっともっと楽しんで欲しいと思った。そして、誰も越えられない壁みたいに言われてるアメリカのショーン・ホワイト選手よりも凄い技、「テリヤキダブルマック」を炸裂させて、オリンピック選手たちに勝手に「ニポン」を背負わせて「TPOをわきまえろ!」なんて死語をノタマッてる人たちに、「ギャフン!」ていう死語を言わせて欲しいと思った。
‥‥そんなワケで、とにかく、オリンピックに対するニポン人の感覚って、欧米諸国の人たちの感覚とはズレまくりだ。どの競技を見ても、自国の国旗をペタペタと貼りまくったユニフォームを着てる選手なんていないのに、ニポンの選手のユニフォームだけは、ヤタラと「日の丸」が貼ってある。その上、「日の丸飛行隊」だの「神風」だのって、まるで、ニポンの選手を応援しないニポン人は「非国民」だと言わんばかりの軍国主義的フレーバー。ニポンの「国を挙げてのオリンピック」っていう「一億火の玉」的なムードも最悪だし、「オリンピック選手は国の代表」っていう古臭い「押しつけ感」も最悪だ。そして、それを煽るニポンのマスコミも最悪だし、あまりにも「スポーツの本意」とはカケ離れちゃってる。
ニポンのマスコミの異常な取材と報道に関しては、バンクーバー在住の「Peace Philosophy Centre」の聡子さんがメールで教えてくださったんだけど、現地での実情を知ると、あたしは、「やっぱりな」って気持ちになった。聡子さんは、現地では国母選手の服装の話題なんか誰も口にしてないから、ニポンの国内だけで騒いでるんだと思ってたら、ニポンの新聞が「各国でも国母選手に賛否両論」なんて報じてるのを見て、驚いたそうだ。それで、よくよく調べてみたら、ニポンから現地入りしてる各新聞社の記者たちが、わざわざ国母選手の着崩しの写真を大きく引き伸ばしたパネルを持って回り、誰彼かまわずにその写真を見せて、「この選手の服装をどう思うか?」って聞いて回ってたんだって。
スノーボードに興味のある人以外は、国母選手の名前も知らないような各国の一般の人たちに、わざわざこんな写真を見せて回って、「各国でも賛否両論」だなんて、「自作自演」とはこのことだろう。国母選手の服装を「ニポンの恥」だって批判するのなら、この記者たちの行為や報道こそが「ニポンの恥」だって批判すべきだろう。こんなアホな取材や報道をしなければ、ほとんどの国のほとんどの人たちがまったく知らなかった「どうでもいいようなこと」なのに、こうしたマスコミのオカゲで、ニポンはきっと北朝鮮みたいな国だと思われちゃったハズだ。ま、ハワイまで朝青龍を追いかけてって、朝から晩までストーカーしてるような異常なマスコミには、今さら何を言ってもムダだろうけど、そんなマスコミが垂れ流す偏向報道を未だに鵜呑みにしてる人たちがいることに驚く。
‥‥そんなワケで、バンクーバー在住の聡子さんは、国母選手に対するニポンのマスコミの異常な取材や報道の他にも、オリンピックそのものに対するニポンのマスコミの偏向的な報道ぶりにも疑問を呈してる。
「どこの国も自国の選手を中心に追うのは当然ですが、日本のメディアは見事に日本の選手しか追わないですね。各スポーツでどんな選手がスターなのか、どんなドラマが繰り広げられているのか、日本の報道では全然わかりません。バンクーバーオリンピックの前の報道もそうでしたが、トーチリレイの報道も「地元の日本人のこの人が走った」とか、クロスカントリーの視覚障害者のカナダ人選手を特集したと思ったら「この人のお母さんは日本人です」とか、フィギュアのロシアのペアのカワグチ選手を「この人は本当は日本人なんですよ」という感 じで過剰報道するし、はっきり行って五輪の実績的には入賞が精いっぱいだった上村愛子をあれだけ金、金といってプレッシャーをかけた。事前にカナダの女子モーグル金メダル候補のハイル選手が記者会見受けたときに、日本のメディアの人が「愛子をどう思いますか?ライバルとしてどう見てますか?」と聞いて、ハイルは困ってましたよ。ライバルと言われても・・・って感じでした。」
あたしの大好きなF1でも、ニポンのテレビは、ニポン人ドライバー、ニポンのチーム、ニポン製のマシン、ニポン製のエンジン、ニポン製のタイヤ‥‥って、異常なほど「ニポン」にこだわった偏向的な実況を続けて来た。佐藤琢磨が参戦してた時なんて、実況アナも解説者も、放送の最初から最後までに何百回も「タクマ!」「タクマ!」「ニッポンのタクマ!」って連呼してて、ホントにウンザリだった。テレビ画面では、あたしの大好きなバリチェロが、シューマッハ弟とサイド・バイ・サイドで熱い走りを繰り広げてるのに、実況アナも解説者も「タクマ!」「タクマ!」で、あまりにもウザイから、あたしは音を消したほどだった。今年からは「カムイ!」「カムイ!」になるんだろうけど(笑)
あたしだって、ニポンを愛するニポン人なんだから、そりゃあ、それなりに自分の国には誇りを持ってるけど、あたしにとって、「愛国心」と「スポーツ」は、まったく別のモノだ。F1に関して言えば、ドライバーも、チームも、マシンも、別に国籍で応援したりはしない。国籍なんか関係なく、好きなドライバーや好きなチームを応援してるだけだ。あたしは、これがスポーツの観戦の仕方だと思ってるし、「ニポンを応援しないニポン人は非国民だ!」的なノリは、戦争の時だけにして欲しいと思ってる。だから、これから、スノーボードのハーフパイプの試合を観る時にも、国母選手だけじゃなくて、他の国の選手たちのことも少しずつ覚えて、好きな選手を増やしてこうと思ってる。
‥‥そんなワケで、今回の国母選手の問題は、ニポン国内だけで賛否両論だったワケだけど、この問題が起こったことで、良くも悪くも、スノーボードのハーフパイプって競技に、多くの人たちが注目したことだけは事実だ。そして、国母選手の試合を観て、たくさんの人たちが、ハーフパイプって競技の素晴らしさを知ったんだから、結果的に見れは、とても意味のあったことだと思った‥‥ってことで、今日は最後に、たくさん届いてる「国母選手に感動しました!」ってメールの中から、1通だけ紹介して終わりにしようと思う今日この頃なのだ。
件名:ハーフパイプかっこよかったですね!
お名前:ゆかり
コメント:きっこさん、はじめまして!いつもいろんな日記、楽しみにしています。初めてスノボの競技というものを見ました。迫力!空に舞い上がってくるくる!すごいかっこいいですね。国母選手のバックツイストうっとりしました。こんなすごい選手を世間にやいやい言われたぐらいで出場辞退させるとか言い出した連盟さんとやらにあきれました。指導も大切ですが大事な選手を守ってあげることのほうが重要だと思うのに。(あ、しかも指導すらしていないんだった)面白いからってメディアも煽りすぎだし、みてるひとも簡単にのせられすぎですよね。最近の政治関連のニュースにしても、強い攻撃的な大声は目立つから国民の総意みたいに煽られるけどあんがいとみんなシラーッとメディアを眺めてる気がします。そういう人は声をあえてあげないから無いものにされるのは悲しいです。でも注目されたおかげでスノボの競技も初めてみれたし、国母選手も、外国の選手もかっこよかったし、ありがとう!って感じです。これでもまだ「結局メダルとれねーじゃねーか」みたいにどうしても騒ぎたい人は、好きなだけやいやい言えばいいですね。あぁ、オチのないメールでごめんなさい。それにしても五輪の選手の皆さんかっこよすぎますね。最後まで存分に楽しみましょうね!きっこさんの日記も楽しみにしてます。
| 固定リンク