たまには日記らしく
「きっこの日記」と言いつつも、あんまり日記らしい日記は書いてないので、あたしがどんな日常を送ってるのか、想像もつかない人も多いと思う。それで、今日は、リトル趣向を変えて、普通の日記を書いてみようと思う‥‥ってワケで、今日は、千葉県の松戸で午後からお仕事だったんだけど、車じゃなくて電車だった。それも、午前中に品川の大井町に寄ってから松戸に行く予定になってたから、普通なら、渋谷に出てから山手線で東京駅に行って、そこから京葉線を使うってパターンなんだけど、今日は、大井町線で大井町に行ってから、地下深くまでもぐって、りんかい線で終点の新木場まで出て、そこから京葉線に乗る‥‥って方式にした。
りんかい線て、値段が高いから、あたしはなるべく使わないようにしてる。天王寺アイルに行く時も、フジテレビに行く時も、東京ビッグサイトに行く時も、できるだけ車で行くようにしてる。そのほうが、環境にはやさしくないけど、お財布にはやさしいからだ。だから、すごく久しぶりに乗ったんだけど、大井町から新木場まで、たった15分なのに、なんで380円もするんだろう?‥‥って、そりゃあ、海の上みたいなとこを走ってるんだから、建設にお金が掛かったんだと思うけど、それにしても、距離で換算すると、他の電車の2倍くらいする。
で、りんかい線だけじゃなくて、どんな電車に乗った時にも思うことなんだけど、あたしが乗っても乗らなくても、その電車は走ってるんだから、あたし1人くらいタダで乗せてくれればいいのに‥‥って思いつつ、りんかい線は、終点の新木場に到着した。それで、あたしは、今度は京葉線に乗り換えるために、いったん改札を出て、京葉線の改札を入ったんだけど、今日は、「バタバタしてて朝ご飯を食べてない」アンド「もうお昼に近い時間になってた」アンド「午後からのお仕事には時間の余裕がある」って状況から、京葉線の改札を入ったとこの立ち食いそば屋さん、「湾岸そば」で、240円のかけそばを立ち食った。ちなみに、この「立ち食った」ってのは、説明の必要もないと思うけど、立ち食いそばを食べた時の表現として、これから流行らせようと思ってる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、一杯のかけそばを家族3人で分け合って食べて、身も心もポカポカになったあたしは、階段を上って1番線のホームを目指したんだけど、あたしの目に飛び込んで来たのは、非常な電光掲示板だった。ホームの電光掲示板には、10分後に「蘇我行き」、22分後に「府中本町行き」って表示されてたのだ。さっきから「松戸」「松戸」って連発してたけど、細かいことを言うと、あたしが行きたいのは「東松戸」なワケで、さっきから「京葉線」「京葉線」て連発してたけど、細かいことを言うと、あたしが乗りたいのは「府中本町行き」の武蔵野線なワケで、「蘇我行き」の京葉線に乗っちゃったら、あたしの目指してる「東松戸」には辿り着けないのだ。
そう、京葉線と武蔵野線は、部分的にはおんなじとこを走ってるんだけど、西船橋で二手に分かれて、ぜんぜん違うとこへ行っちゃうのだ。つまり、小田原に行こうと思って小田急線に乗ってたのに、居眠りしてたら、相模大野であたしの乗ってる車両が切り離されちゃって、気がついたら江ノ島に着いてた‥‥って感じの流れになっちゃうワケで、ギャグでやってるならいいけど、お仕事なんだから通用しない。で、あたしは、せっかく240円のかけそばを立ち食って、身も心もポカポカになったと思ったのもトコノマ、東京湾からの冷たい風が吹きさらしてる地上数十メートルのホームの上で、22分間もガタガタと震えながら「府中本町行き」の武蔵野線を待たなきゃいけないハメになっちゃった。
不幸中のサイワイで、お仕事の時間には40分くらい余裕があったから、電車が来るのが22分後でも、大人の事情的にはノープラモデルだった。だけど、ホームの上はあまりにも寒くて、立ってると脚が冷たいし、木のベンチに座るとお尻が冷たい。ホームの中央部分には、もちろん風除けのパネルがあるんだけど、なかなか風の強い日だったから、どこにいても寒いことには変わりない‥‥って思ってたら、目の前のホームの真ん中に、まるで温室みたいなガラス張りのカフェがあった。その上、入り口の横のガラスには、「禁煙席○席、喫煙席○席」って書いてあるから、タバコも吸えるみたいだ。
それで、あたしは、しばらく悩んだんだけど、普通よりも高い電車賃も使ってるワケだし、1食の食費を100円に抑えてるあたし的には、いつもの2.5食ぶんにも匹敵する240円のお昼ご飯を立ち食っちゃったワケだし、これ以上、ムダ遣いはできないから、ここはガマンすることにした。それで、あたしは、凍えないように、電車が来るまで歩き回ってることにした。だけど、人の多いとこを歩き回ってると、皆さんに迷惑な上に、変な人かと思われちゃうオソレもあるので、あたしは、風除けのパネルがないホームの先端の吹きっさらしの場所を歩き回ってた。ここなら、ほとんど人がいなかったからだ。
だけど、誰にでも分かるように、こんな場所を歩き回ってても、ぜんぜん温かくなるワケはない。ようするに、冷たい海風の吹きっさらしの場所を歩き続けてるのも、ちょっとだけマシな風除けのパネルがある場所でジッとしてるのも、大差なかったってワケだ。だけど、あたしとしては、風除けのパネルがある場所でジッとしてるのが耐えられなかったから、こうして歩き回るほうを選択したワケで、寒いことは寒かったけど、「NECソフト」の親子ビルを眺めたり、「優良木材展示場」のホールを見下ろしたり、遠くに立ちのぼるタンカーの煙を見たり、反対側の「夢の島」の森の上を飛んでるヘリコプターを目で追ったりと、いろんなものを見ることができた。
そして、ようやく、「蘇我行き」の京葉線が来たので、あたしは、「あと12分か」って思って、それからもセッセと歩き回り、やっとのことで、「府中本町行き」の武蔵野線が来る3分くらい前になった。それで、「3分くらいならジッとしてられるだろう」って思って、風除けのパネルがあるホームの中央まで戻ったあたしの目に飛び込んで来たのは、ナナナナナント! さっき上って来た階段だった! あたしは、この瞬間、自分のアホさ加減に気絶しそうになった。そう、何も22分間ずっと寒いホームで待ってなくても、階段を下りて、さっきの「湾岸そば」のあったホールで待ってれば、体感温度が10度は温かい極楽浄土だったのだ。
‥‥そんなワケで、あたしが、この事実に気づいた時には、すでに「府中本町行き」の武蔵野線が来る2分30秒前くらいで、今から階段を下りても、1分もしたら、また上がってこなきゃなんないワケで、ここまで20分近くホームを歩き続けてたあたしには、もう、そんな気力は残ってなかった。それで、あたしは、仕方なく、そのまま2分30秒、ガタガタと震えながら電車を待った。だからこそ、やっとのことで電車が来て、ものすごく空いてて、あたしの好きなハシッコに座れた時には、車両の中が温かいこともサルコトながら、シートが湯たんぽみたいに温かく感じられて、ものすごく幸せパラダイスだった。
あたしは、あまりの温かさに、目をつぶってたら、ついウトウトしちゃった。そして、ハッと気づいたら、「終点、府中本町~府中本町~」‥‥てのはベタなギャグで、ちゃんと「東松戸」で降りた。で、駅を降りたら、さっきの新木場駅のホームの寒さがウソみたいに、ポカポカだった。やっぱり、さっきは、海風が吹きっさらしだったから寒かったワケで、リトル内陸部になれば大丈夫だった。結局、何が問題だったのかって言うと、それなりに内陸部の世田谷区に住んでるあたしとしては、内陸部の気候に合わせたお洋服だったワケで、沿岸部の気候には対応してなかったのだ。
一応、コートは着てたけど、春物のハーフコートだったし、その下はスーツだったけど、春物の生地の膝丈のスーツだったし、スーツだからブーツじゃなくてパンプスだったし、普通に電車を乗り継いで都心へ出勤するには何の問題もないファッションだったけど、冷たい海風が吹きつける沿岸部には対応してなかったのだ。だいたいからして、「りんかい」ってのは「臨海」なワケで、読んで字のごとく「海を臨む場所」なワケで、その上、線路も駅も高架になってるんだから、寒いに決まってる。ま、あたしが寒かったのは、「りんかい線」じゃなくて「京葉線」のホームなんだけど、新木場駅のホームは、「りんかい線」よりも「京葉線」のほうが高い場所にある。だから、あたしは、ホントなら、真冬に磯釣りに行く時みたいなカッコをしてなきゃダメだったのだ。
‥‥そんなワケで、今日は「日記」を書くつもりだったのに、いつもの調子で書いてたら、1日の出来事を書くどころか、まだ目的地にも到着してないのに、もうこんなに長くなっちゃった。そして、何よりもあたしが心配してるのは、このまま1日の出来事を書き続けても、コレと言って面白いことが何も起こらないってことだ。いつもみたいに、何かの話題で自由に書いてるのなら、あたしなりにネタを織り込んだりオチをつけたりできるんだけど、その日の出来事を書くだけの「日記」の場合には、ウソを書くワケにも行かないから、ぜんぜん盛り上がらないし、書いててもつまんない。それで、あたしは、ここまで来て、ようやく気づいたんだけど、「普通の日記を書いてみよう」って思い立つのが、今日みたいに何もなかった日じゃなくて、ものすごく面白いことが起こった日にすれば良かった‥‥ってワケで、次回こそは、とんでもないことが起こった日に、日記らしい「きっこの日記」を書いてみようと思った今日この頃なのだ。
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